【休載中】混沌の魔法騎士王   作:森雄

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思わぬ繋がり

 フエゴレオンによる新入団員への歓迎の言葉を上げると、まるで待っていたかの如く団員達がアジトから出てきてフエゴレオンに挨拶をした。

 

『お帰りなさい団長!! レオ!!』

「ただいま帰った。彼等が新しい団員だ、皆色々教えてやれ」

『はい!』

 

 フエゴレオンから新入団員に教育をする様に団員達に告げられた団員は挨拶の時のように息ピッタリに返事を返した。

 その後、新入団員の自己紹介が行なわれた。

 

 そんな中、アジトに三位で付いたレオは悔しさを表情に浮かべながら、アルトを見ていた。

 

 そんなレオポルドをフエゴレオンは見ており、彼はある提案をした。

 

「[紅蓮の獅子王]団よ、聞け!!」

 

 フエゴレオンの言葉に全員が身体をフエゴレオンへと変えた。

 そんな団員に彼は告げた。

 

「余興として新入団員と模擬戦をする!」

『ッ!?』

 

 フエゴレオンの言葉に各々の反応を示した。

 それもそうだろう。

 新入団員に関しては先程まで精一杯苦労して手にしたばかりにも関わらず、いきなり模擬戦をすることになってしまった。

 フエゴレオンは新入団員に現団員達の力を教える事で先輩達の力を見本とし、成長する事を望んでいた。

 特に、試験会場でアルトは相手の炎魔法を混沌魔法ではなく、同じく炎魔法を越える魔法で倒した。

 故に、強く影響が出るのではないかと思考し、この提案を持ちかけたのだ。

 

 そんな団長の提案に最初に乗ったのはレオポルドだった。

 

「賛成です兄上!! 勝負だ我がライバル!!!」

 

 レオポルドはフエゴレオンの提案に乗ると、アルトに勝負を申し込む。

 またもレオポルドに勝負を挑まれて内心で溜め息を付いてしまう。

 しかし、そんなアルトにフエゴレオンが話し掛けた。

 

「アルト」

「はい」

「正直に言えば、私もお前の本気を知りたいのだ。お前がレオポルドに勝てば私に挑むことを許す」

『なっ!?』

「あ、兄上!?」

「フエゴレオン団長! 何を言っているのですか!?」

 

 フエゴレオンのその発言に彼の弟や副団長である額に大きな傷がある顎髭の男性が彼に抗議した。

 しかし、フエゴレオンはその条件でも出さなければアルトが本気を出す事はないと思っているのだ。

 そして、その考えは正しい。

 

 彼がレブチを倒す際に四肢を拘束したのはアスタの援護だけでなく、彼自身の潜在能力があまりに高すぎるが故に魔導書を手にする前から人を殺すのに一切の苦労もない程の力を持っていたのだ。

 故に魔導書によって更に力の覚醒によって彼は魔法を減少させた状態で使うしかなかったのだ。

 それは先程の入団試験でも同じ事。

 

 フエゴレオンがその事を確信付けていたのは今までの彼の魔法騎士としての経験からによるものであった。

 そして、この魅力的な挑戦にアルトは乗らないはずがなかった。

 

「わかりました。受けます」

 

 アルトのその言葉に団員達は内心でアルトを苛立っていた。

 混沌の魔導書を手にしたからと言って彼は下民。

 只の運で手にしただけのまぐれを自身の力だと言わんばかりな態度に団員達は不満を抱えていた。

 

 そんな不満を抱えているこれから先輩になる団員達の事などの心境など察することなどせず、彼はレオポルドから少し距離を取り模擬戦の準備を終えた。

 

 アルトが距離を取った事で、模擬戦の準備完了である事に気付いたレオポルドは笑みを浮かべながら、戦闘の構えをとる。

 二人の準備が終えた事を確認するとフエゴレオンが模擬戦開始を告げる。

 

「初め!!」

 

 フエゴレオンが合図を告げると、すぐさまレオポルドが魔導書を開き自身の魔法を発動した。

 

 ___炎魔法"螺旋焔"___

 

 レオポルドの両手から放たれた螺旋状に伸びる炎魔法にアルトは魔導書を開きすぐさま魔法を行使した。

 その魔法は入団試験と同じく炎魔法を使ったのではなく、ハージ村の神父様が有している魔法属性である火魔法だった。

 

 ___混沌火魔法"超越の業火(オーバーヒート)"____

 

 レオポルドの魔法を遥かに超える約4000度以上の熱量を帯びた火魔法を放ったアルト。

 魔法名通りの業火を超越した火にレオポルドの炎魔法は簡単に打ち消し、レオポルドへと襲っていく。

 その火魔法をギリギリの状態で回避したレオポルド。

 

「くっ‥!?」

 

 ギリギリに回避したレオポルドにアルトは"聖剣エクスカリバー"を取り出し、新たな魔法をエクスカリバーに付与して魔法を発動した。

 

 ___混沌水魔法"皇鮫后(ティブロン)"___

 

 エクスカリバーを一振りすると剣から巨大な水で形成されたホオジロザメが現われてレオポルドへと向かって行く。

 

 ___炎魔法"炎獅子の咆哮(レオ・ブラスト)"___

 

 炎で形成されたライオンがアルトの放った水魔法に衝突し、大きな爆発と水蒸気が生じた。

 水蒸気で何も見えない状態でいると、レオポルドは次の魔法の発動の準備をするも、アルトがいる場所から淡い光が一瞬だけ輝いた。

 すると、レオポルドの首筋に剣の刃筋が突きつけられた。

 

「なっ!? い、いつの間に‥‥」

 

 ___混沌魔法"神速の歩み"____

 

「お前の敗けだ」

 

 混沌魔法は全ての魔法の原典。

 それ即ち複数の魔法属性の融合・合体すらも含まれている。

 二つ以下の属性ならば「混沌○○魔法」で終わるが、三種類以上の場合、それは混沌である。

 よって"神速の歩み"は混沌魔法になる。

 

 “神速の歩み”‥‥‥光魔法による光速移動と雷魔法による瞬間的高速移動に時間魔法による光速の六乗にまで加速し、雷魔法による瞬間的高速化を時間魔法で劇的に繰り上げ、周りの時間だけを遅延させる事で更に光の速度を超えた神速の状態で動く事が出来る。そして、自身の身体が追い付く様に肉体に強化魔法を掛けたいる。雷魔法と光魔法と時間魔法の加速に肉体への強化魔法の融合魔法だ。

 

「ッ!? ‥‥‥俺の‥負けだ‥!!」

「そこまで!」

 

 背後から剣を突きつけられたレオポルドは敗北を認めた。

 レオポルドが負けを認めた事でフエゴレオンが勝負の終了を告げる。

 レオポルドが負けた事に団員達は驚愕と困惑していた。

 

「レオが負けたっ‥!?」

「嘘だろ‥‥」

「あのレオが‥‥」

 

 王族であり有力な団員であるレオポルドが今日やってきたばかりの新人相手に負けた事にレオポルドよりも先に入団指定先輩団員達が次々に困惑を口に出していた。

 

 そんな中、敗北したレオポルドは‥‥

 

「っ! ‥‥‥我がライバルよ! 俺は負けたが、今度は必ず俺が勝つ!!」

「勝つのは俺だ」

 

 敗北した事への悔しさはあれど、自身のライバルより強くなり、勝利することを宣言するがアルト負けるつもりはなく、彼も淡々と告げる。

 それは次の勝負も俺が勝つという挑発も加わっている。

 そんな二人に話し掛けるフエゴレオン。

 

「良いバトルだった二人とも」

「ありがとうございます」

「‥‥レオ、アルトとの戦いはお前に新たな炎を開花させるだろう!」

「はい! 兄上!!」

 

 レオポルドはフエゴレオンから助言の様な事を言われ、素直に受け取った。

 

 そして、フエゴレオンはアルトへと顔を向けた。

 

「ミモザから聞いていた通りだったな」

「?」

 

 フエゴレオンの発言がわからずアルトは首を傾げる。

 そんな彼にフエゴレオンが話しだした。

 

「アルト、お前は三年前、魔法騎士団に護衛されていた1人の少女を助けているな」

「‥‥‥っ! あぁ。そう言えば、神父様に頼まれてフォーロン村にいった際にそんな事があったな」

 

 アルトはフエゴレオンから告げられた言葉に記憶を遡りながら思い出すと、その言葉と合致する出来事を思い出した。

 思い出したアルトにたたみかける様にフエゴレオンが告げる。

 

「お前が助けた少女はミモザ・ヴァーミリオン。私やレオの親戚に当たる者だ。彼女から魔導書を持たず魔法騎士団を越える下民の者と出会ったと聞いてな。お前の実力を知りたかったが、どうやらお前は中級魔法騎士以上である事がわかった。お前の本気を確かめる為に約束通り私が相手をしよう」

 

 フエゴレオンはどうやら従妹の告げた事を確認するためにアルトに余興を行なったのだ。

 そして、その余興の中でアルトの実力を知ることが出来るだろうと思ったフエゴレオンだったが、彼は中級魔法騎士であるレオポルドに勝てる実力者というだけで中級魔法騎士以上の位にある上級魔法騎士・大魔法騎士のどれなのかを知るべく彼に焚き付けた条件を持ち出したのだ。

 

 それはアルトを焚き付けるには十二分なものであった。

 よって、その条件を手にしたアルトは現魔王騎士団長と戦う事になった。

 それにしても、アルトが救ったという出来事に関しては何れ語ることにするが、思わぬ繋がりがあった事に変わりはなかった。

 

 話しを戻して、団長と新入団員最強との模擬戦が行なわれようとしていたが、それに待ったを掛ける者がいた。

 

「待ってください団長」

「どうしたランドール」

 

 声を掛けたのは[紅蓮の獅子王]団の副団長ランドール・ルフトエールだった。

 

「その模擬戦。私にやらせていただけませんか?」

「何故だ?」

「団長と模擬戦する前に、副団長である私を倒してからにして頂きたいのです」

「‥‥‥アルト。お前はどうだ?」

 

 フエゴレオンはランドールの発言から止めるのは無理だと判断し、対戦するアルトに問うた。

 

「俺はかまいませんが‥‥」

「ではランドールとアルトの模擬戦を行なう。他の新入団員(もの)も団員達から」

 

 アルトはランドールの要求に同意する発言を取った。

 それにより、フエゴレオンはランドールとアルトが模擬戦することになった。

 

 同時に他の新入団員も他の先輩団員達と模擬戦する事になった。

 先輩団員から声を掛けられて模擬戦を行なう他の新入団員達。

 その先輩団員の中には先程アルトと戦ったレオも参加していた。

 どうやら気持ちを切り替えて新入団員を鍛える事に

 

 そして、ランドールとアルトの模擬戦が行なわれる事になり、先程同様にフエゴレオンが審判を行なう形で模擬戦が行なわれるのだった。

 

「それでは、ランドールとアルトの模擬戦を行なう」

「「‥‥‥」」

「‥‥初め!」

 

 [紅蓮の獅子王]団の副団長と[紅蓮の獅子王]団の新入団員最強の模擬戦が始まった。

 

 

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