軽トラ野郎の少年は何を思ってポルシェに惚れたか 作:エタノールの神様
桑田「ホシノ先輩!今日という今日は負けないぞ!」
ホシノ「あのさあ。荷台下ろしたところでドラテクを磨かなきゃ勝てないのわかってる?」
桑田「なんてこと言うんだ!」
ホシノ「そもそも魔改造キャリーに通常仕様のクリッパーで挑もうなんて無茶が過ぎると思うんだけど…」
ここは学園艦外周サーキット。たまに学園長とスズキ、ナカジマがレースしているコースでホシノ(三年生)と桑田(一年生男子)が学園長を審判にレースをしていた。
学園長「うーん馬力は桑田くんのクリッパーの方が二馬力上ですがそもそものドライブテクニックが足りていませんね。」
ナカジマ「学園長先生もそう思います?」
学園長「ノンクラッチでのシフトチェンジがスムーズにできるようになったことは評価に値します。ですが軽トラの利点を全くではありませんが生かせていません。」
ナカジマ「例えばどんなところでしょうか?学園長先生」
学園長「まず車幅ですね。道に対して車が占める幅が小さくなるから追い抜き易いです。けれど彼は追い抜けるところで追い抜こうとしていません。直前で諦めています。」
ナカジマ「確かにそうですね…」
学園長「きっとクラッシュが怖いのでしょう。ですが誉めるべきところもあります。」
ナカジマ「もしかして直線加速ですか?」
学園長「そのとおりです。加速に最適なシフトをタイミング良く選んでいます。だから加速にムダがありません。これは一週間前からかなり成長していると言っていいでしょう。ゴールしたらほめてやりなさい。」
ナカジマ「わかりました。あっ!」
学園長「今三速ギアがブローしましたね…」
ナカジマ「桑田にドリフトはまだ早かったか…これは決まりましたね」
学園長「いえ、彼が一週間前に比べて成長した点は直線加速だと言いましたよね?ではこの学園艦外周コースのゴール前は?」
ナカジマ「直線…」
学園長「三速ギアがブローしたくらいで彼の技術でどうにでもなるでしょう。少なくとも『今のホシノ君』相手には」
ナカジマ「わっ速い!彼がここまで桑田くんがここまで成長してるなんて!」
学園長「彼が夜な夜な直線加速を重点的に練習しているのを残業帰りに見ました。でもちょっとエンジンの音が近所迷惑ぎみだったので作業場に消音マフラーをおいて置きました。換装してあげてください。」
ナカジマ「わかりました!」
学園長「ではゴールの判定を。『ゴール!勝者ホシノ、3分20秒177、二着桑田、3分20秒256!』」
桑田「ぬうううう!あと少しで勝てたのに!三速ブローがなければ!」
ホシノ「直線は頑張ったんじゃない?夜中の音、聞こえてたよ」
桑田「げっ!」
学園長「ホシノ君も桑田くんもよく頑張りました。ホシノ君のコーナーさばき、桑田くんの直線加速、ちゃんと見ていましたよ。」
桑田「学園長先生、ありがとうございました。」
学園長「桑田くんは一週間でよくここまで直線加速を極めましたね。ですが今度はコーナー立ち上がりを練習するともっといい結果に結び付くと思います。安心して練習に励みなさい。」
桑田「はい!」
学園長「では私は角谷くんと話があるのでこれで。いいレースをありがとう。」
ホシノ「こちらこそ、審判ありがとうございました。」
一週間後。戦車道が復活し整備に関する人外スキルが更に磨かれるとはこの場にいた自動車部員の誰も知らなかった。
そう。校長先生のフェラーリと桑田くんの軽トラがある『脳筋』の装備に踏み潰されるとは…
いかがだったでしょうか。
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