ウォーハンマーノベル:混沌汚染死都ゴルモラ   作:古杉連太郎

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序章

秩序と混沌、破壊と死の軍勢が戦い続ける世界の片隅で。

 

幾つもに分かたれた領域の中、混沌の名を冠する邪神達が支配する領域に、八芒核(エイトポイント)は存在していた。

 

かつて秩序によって栄華を誇り、そして暗黒の神々によってその歴史に終焉を打たれた大地では、神に見捨てられた人々が醜くもたくましく生き延びていた。

 

自らの文明を捨て去り、愛と正義と秩序を唾棄し、残虐にして気まぐれな神々に従うことでかろうじて生きながらえていた彼らは、その大地を同胞の血で赤く染め上げ、その地を血の吹き荒れる地(ブラッドウィンドスポイル)と呼ばれるまでにいたっていた。

 

その中の一角。

鯨ですら沈む沼地の南に、燃え滾る砂漠の西に、生物の音の全くしない森の西に。

混沌に捻じ曲げられた荒野の中に、人々が住まう街があった。

 

岩山に囲まれ、石造りの壁に囲まれた天然の城塞。崩れ落ちた建造物によって欠けた円状の形をした巨大都市。

 

かつて秩序の神によって治められていた時代、栄華を誇りそれゆえに神の禁忌に触れ滅ぼされたと言われる古の都、ゴルモラ。

 

神の怒りによって消え去ったはずの都市は、度重なる神々同士の大規模な戦いによって、突如地の底より現れた。

まるで地獄の底から呼び戻されたかのように。あるいはこここそが地獄であることをもう一度思い出させるために。

 

既に文明を失って久しい混沌の眷属たちには到底作ることのかなわない堅牢な、それでいて住まう主のいなかった石造りの建物群には、やがて荒野をさまよう人々が住み着き、いつしかゴルモラは危険な大地を行きかう者たちの新たな交易街へと生まれ変わっていった。

 

だが街の地下に広がる鉱脈や古代の至宝の存在が明らかになるにつれて、幾多の混沌暴君(ケイオスロード)がその領有権を主張するようになる。

 

直接に軍勢でぶつかることはなく、街の支配をめぐった争いは常に絶えず、昼は人目の届かぬ地の底で、夜は月明かりで照らせぬ路地裏に死体が転がるようになっていた。

 

殺し合いがより凄惨になり、生贄が絶やすことなく悲鳴を上げ、悦楽のための奴隷が列を連ねるなかで、人々は自らに問いかける。

 

それは本当に富と栄誉に魅せられた故か。訪れた者の理性と正気を奪い、少しずつ人々は自分たちの狂気が加速するのを感じていた。

 

混迷を深め争いが激化し、混沌神を祀る神殿の篝火がより多く大きくなっていくのを見ながら、人々はいつしか彼の街をこう呼ぶようになった

 

混沌汚染死都ゴルモラ、と。

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