ハリエット・ポッターと夢想の旅   作:永久@

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色々な好意

 あっという間に十月だった。肌寒く湿った空気が広がり出して、校内には風邪が大流行していた。

 ハリエットはロックハートから必死に逃げ隠れする以外、特に何事もなく過ごせていた。彼は本当にハリエットを気に入っているようで、事ある事に近付いてきたけれど、最近は大人しくなったように思う。

 あの愉快───または、不愉快───とにかく生徒たちからどちらの評価も獲得した、あのライラック色の教師を避けている間、ハリエットがハーマイオニーとロン以外で行動を共にしたのはグリフィンドールの上級生たちであった。

 きっかけはとある昼下がり、演説のように己の武勇伝を口ずさみながら、その額の傷を見せて欲しいと怯えた様子の教え子に乞う防衛術教授の姿を、一人の男子生徒が目撃した。

  少年は勇猛果敢を掲げるグリフィンドールの三年生だった。目の前の光景を確認した彼は、考える間もなく即座にロックハートの整ったムカつく横顔目掛けて勢いよく飛び蹴りをかまし、突然のことにぽかんと目を丸くしたハリエットの手を取って逃走した。止まりなさい、と叫ぶロックハートの声は思いっきり無視した。

 そのまま寮に戻る途中で、彼らはグリフィンドールが誇る赤毛の双子とその親友のクィディッチ実況者に遭遇し、事情を聞いた彼らが怒り心頭で悪戯グッズを握り締め報復に向かおうとしたところ、たまたま通りかかったマクゴナガルに全ての仔細が報告された。

 

「全くあの男は、本当に……! 彼には私からきつく言っておきます。よく後輩を助けましたね、マクラーゲン。その勇気ある行動に、グリフィンドールへ五点差し上げます───えぇ、貴方たちもポッターの為に立ち向かおうとしたのでしょう、わかっています。ですからその手に持っている代物に関しては聞かないでおいてあげますからね」

 

 フレッド、ジョージ、リーはぶつくさ文句を言いながら、そっと手に持ったブツを懐に仕舞いこんだ。

 

 

 その日以降、ハリエットが一人で行動することはほぼなくなった。

 曰く、グリフィンドールの中で『ロックハートからプリンセスを守ろうの会』が結成されたらしい。所属の半分は男子生徒だった。別に色恋とかは関係なく、シンプルにロックハートを嫌いな生徒の比率が圧倒的男子だったというだけである。

 オリバー・ウッドはその一人に名を連ねていた。ハリエットのことをよく可愛がっているうちの一人であったし、彼もまたシンプルにロックハートのことが嫌いなようであった。どうやら六年生と七年生には『めちゃくちゃ疲れる魔法テスト』なるものが存在しているらしい。それが、進路にとても大きな影響を与えるのだそう。

 それほどに重要な時期の防衛術教師が、ピクシー騒動のロックハート。さもありなん。

 

 

 ハロウィンまで残り数日のとある土曜日、ハリエットはウッドと一緒に、大粒の雨に打たれながら箒で空を駆け抜けていた。

 たかが大雨と流行り風邪程度では、ウッドのクィディッチ熱を冷ますことは出来ず。むしろ「悪天候の試合を練習出来る!」とウキウキしだす始末である。ミスター・クレイジークィディッチの異名は伊達ではない。

 

「そうだハリー、風の動きを掴むんだ!」

 

 ウッドはハリエットの指導に特に熱心だった。去年からそうであったが、今年は更に熱を帯びているようにハリエットは感じていた。

 自分ではあまり自覚しきれていなかったけれど、どうやらハリエットの速さはかなりのものであるらしい。箒が良いのは勿論そうだが、体格が華奢な方なのと体重が軽いので、風に乗れば猛スピードを出せるのだとか。その分、吹き飛ばされないように最低限の重みも必要なので、ハリエットは定期的にウッドから「たくさん食べろよ」と言われていた。

 

「さぁもう一度、最高速度を試そう。風上から飛ぶんだ!」

 

 ハリエットは頷き、湖の風上の方に飛んでいく。水の上は風が強くなりやすいからとウッドがこの場所を選んだけれど、その向かい風ともなれば更にきつい。ウッドのたくさん食べろという主張の正しさを改めて実感する。

 だいぶ風上の方に辿り着いたところで、ハリエットが身体を方向転換させたのと同じくして、ちょうどスリザリン・チームの偵察から戻ってきた双子がウッドに近付いてきた。ゴーグルを額にあげると、その顔はどこか深刻そうで、ウッドの表情も僅かに歪む。

 

「そんなにか?」

「あぁ、やばいぜニンバス2001。予想以上だ」

「ほとんど空気を突っ切ってた。人ってより、緑の影を目で追っかけてるみたいで……」

 

 そこまで言った時、三人の頭上を風に乗ったハリエットのニンバス2000が、切り裂くように突っ切った。

 

「……まぁでもやっぱり大丈夫かもしれない」

「とりあえずシーカーはなんとかなるかもしれない」

 

 あつい手のひら返し。ウッドからハリエットへの好感度がまた上がった瞬間だった。

 

 練習は午後まで続いた。ウッドがようやく解散を告げると、ハリエットはフレッドとジョージと一緒に限界ホールの方まで飛んでいった。巨大な樫の門を押し開けて中に入ると、大広間はすぐそこだというのに、酷い大雨のせいなのか、人の気配もなくしんとしていた。

 城に入って一息つくと、どれだけ酷い雨だったのかが改めて実感した。全員揃って上から下までずぶ濡れで、ローブを絞った時に溢れた水が瞬時に足元に水溜まりを作っている。

 

「うひ〜、ひっでぇ」

 

 犬みたいに全身をばたばたさせて水飛沫を飛ばしながら、面白おかしくフレッドが呟いた。

 

「ウッド、服乾かしてくれ……あれ、ウッドは?」

「あそこ」

 

 相棒の疑問にジョージが答える。窓越しに指さす先では、ウッドがまた空を飛んでいた。

 

「もうちょっと飛んでるってさ」

「マジかよあいつ。お前はあぁなるなよハリエット」

「ホントだぜ。頼むから二代目クレイジークィディッチは受け継がないでくれ」

 

 ロンの言っていたデマの出現先ってここからだったりしないだろうか、とハリエットはぼんやり思った。

 

「と、なると……相棒、お前乾かし呪文覚えてる?」

「まだ。お前は? 相棒」

「防水はできるぞ。でもあれ多分違うやつだよな」

「多分。わからん」

 

 何やら相談し合う二人を、ハリエットはじっと黙って聞いている。雑巾みたいにローブの裾を絞ると、指先が冷たくじんじんする。

 

「わかった、こうしようぜ」

 

 そうこうしていると、突然フレッドがぱちんと指を鳴らしてそう言った。

 

「ここからすぐ近くがハッフルパフ寮だろ。あいつらお人好しだから、誰かしら連れてきて乾かし呪文かけてもらおう」

「いいね。でも樽の叩く順番知ってるのか?」

「知らない! まぁ数打ちゃそのうち……」

 

 くしゅん。

  景気よく笑いあっていた双子がぴたりと止まった。二つの目が下を向く。もう一度、くしゅん、とあまりに小さく音が響いて、途端に赤毛たちは焦り出した。

 

「寒いか? 寒いよな、ずぶ濡れだもんな」

「走ろうジョージ。ちょっと待ってろハリー、ついでに食堂で暖かい飲み物ももらってきてやるから」

 

 鼻をすすりながらハリエットが頷いたのを確認して、フレッドとジョージは地下に続く階段の方に駆けていった。勿論彼らもずぶ濡れなので、ざばざばと重い音と共に足跡が続いていく。

 それを見送ると、ハリエットは壁際の方によたたと寄った。冷える手先でぎゅうぎゅうと力一杯ローブの水気を絞るが、どんなにやっても溢れてくる水にそっとため息がこぼれる。

 ふと見上げると、ちょうど目の前の壁に、寮の得点を示す砂時計があった。砂時計と言っても、その中に輝くのは砂ではなく、四つの寮のカラーに合った四種類の宝石である───グリフィンドールはルビー、スリザリンはエメラルド、レイブンクローがサファイア───今フレッドとジョージが向かったハッフルパフの時計には、ダイヤモンドが煌めいている。

 ハリエットはぼうっと砂時計を見つめた。今年は昨年と違って特に問題を起こしていないので、グリフィンドールの点数はそこまで悪くなかった。それでも、最も点数が高いのはスリザリンだ。レイブンクローが二番目で、グリフィンドールを挟んでハッフルパフのダイヤモンドが一番数が少ない───その時、ハッフルパフの砂時計から、ぬうっと灰色の顔が現れた。

 

「───ふー、酷い雨……しかし、スプラウト先生の薬草たちが無事なようで大変よか……む?」

 

 独り言つ灰色の顔が、ハリエットを見つけた───飛び上がって身を竦めるずぶ濡れの女子生徒は、大層インパクトがあったのだろう。わたわたと慌てて、ぬるりと壁から全身が現れ出でた。

 

「どうされたのです、そんなところで───あぁ、こんなにびしょ濡れで……」

 

 大柄のでっぷりとした体格、手にはカップ。マッシュルームのような髪型から質素な服まで、どこか時代を感じさせる。

 彼が、太った修道士───ハッフルパフ寮に憑くゴーストだと気付くのに、ハリエットは少々時間がかかった。ピーブズや城のゴーストを怒鳴りつけることの多いスリザリンの血塗ろ男爵と違って、ハッフルパフやレイブンクローのゴーストとは顔を合わせる機会もないから仕方ない。

 ハリエットは言葉が出なかったが、修道士はハリエットを見てぺらぺらと口を開いた。

 

「まさか、まさか、この雨の中、外にいたのですか───さっきも空を飛んでいる誰かを見かけましたが、貴方なのですか!? なんと───」

 

 あの、と口を開こうとしたところを、修道士の声が更に覆い被さる。

 

「いけません! いけません! 今は風邪がこーんなに流行っているのに───ハッフルパフの生徒なんて、もう何十人と医務室に運び込まれたのですよ。マダム・ポンフリーはもう手一杯で、まぁそれも何十人という分の薬を作っているのですから、無理からぬこと。しかし彼女の作る薬の効き目ったら、今朝に何度も咳を繰り返していた子が、昼にはピンピンして戻ってくるんですから───」

 

 どうしよう、このひとめちゃくちゃ喋る。

 興奮している時のハーマイオニーもよく喋るが、この太った修道士はその倍は口が回る。口数少ない分、ハリエットはこの手のタイプと相性が良いと自覚していたが、相槌を打つこともできないのは珍しかった。

 

「貴方も、そんなにびしょ濡れでは風邪を引いてしまいますよ! 貴方───えぇと───」

 

 修道士はハリエットの顔をじっと見つめたが、誰だかわかっていないようだった。なんだか新鮮な気分だ───グリフィンドール生をハッフルパフ憑のゴーストが知らなくてもおかしくはないだろうが、誰も彼もハリエット・ポッターについて知っているものだと思っていたから───あるいは、濡れた髪が額に張り付いて、傷が見えないせいかもしれないが。

 

「あぁ、ちょうど良かった───フィルチ! 今しばらくこちらに!」

 

 突然、太った修道士がぱっと満点の笑顔で顔を上げると、聞き捨てならない名前を呼んだ。彼が手招きする方にハリエットもベンチから立ち上がって振り向くと、ミセス・ノリスを抱えたフィルチが、階段を上がった先に立って、何事かと太った修道士を見つめていた。その訝しげな表情は、びしょ濡れのハリエットを見つけると、軋むように歪んで強ばった。

 

「汚い!」

「えぇまさしく! 彼女をご覧下さい、こんなにびしょ濡れで!」

 

 悪意ある罵倒と哀れみの同意に合わさって、ミセス・ノリスがにゃあと鳴く。

 

「可哀想に、このままでは風邪を引いてしまいます。フィルチ、どうか貴方の部屋まで連れたって、何か拭くものを貸してやってくださいな」

 

 ハリエットは驚いて太った修道士を見上げた。ホグワーツ入学からこの二年、罰則に関すること以外でフィルチに生徒を託す人を、これまで見たことがなかったからだ。グリフィンドールのサー・ニコラスだって、彼には険しい顔をする。

 

「あ、あの……」

「さぁさぁお行きなさい! このままじっとしてたら明日には喉を痛めてしまいますよ!」

 

 ハリエットの背中に修道士の手がすかすかと空振りする。あまりに満面の笑みに、なんだか断ったら悪いような気がしてしまう。

 フィルチが同じように思ったかどうかはわからないが、チッ、とハリエットにも聞こえるくらい大きく舌打ちした後、いつも通りの忌々しげな表情でハリエットを睨みつけ、その場でくるりと振り向いた。

 

「さっさとしろ」

「あ、あの、でも……」

 

 フレッドとジョージを待っている、とハリエットは言いたかったけれど、苛立ったフィルチが怒声を上げる方が早かった。

 

「ええい、まどろっこしい! 来るのか来ないのかどっちなんだ!」

 

 びく、とハリエットは大きく肩を跳ね上げ、急いで箒を掴み階段を駆け上がった───ほとんど条件反射のようなものだった、何しろ今のフィルチの言い方が、あまりにもバーノンおじさんが怒る時とそっくりだったから───ハリエットが近くまでやってくると、フィルチはふん、と鼻を鳴らし、そのままつかつかと歩き出す。後ろを振り向いてみると、二人───それから一匹───へ、太った修道士がにこにこと手を振っていた。

 ハリエットは暗い顔で、フィルチの後ろをとぼとぼ歩く。フィルチを困らせていると思ったし───ハリエットを振り向きながら、「また床を拭かねば」とぼやいているから───勢いに流されて人を待っていると言い出せなかった自分が一番悪いと思った。直すべきとわかっているのに、どうにもできない自分自身に何よりも嫌気がさす。

 ハリエットがフィルチの事務室に入ったのは初めてだった。窓がなく、灯りはランプが一つだけ。磨きあげられた鎖や手枷が壁にかけられていて、思わずぞっとしてしまう───フィルチが生徒の罰則に、鎖や手枷を使って逆さ吊りにしたいと思っているという噂があったからだ。真実か否か、ハリエットは深く知らなかったけれど、恐怖を煽るには充分すぎるくらいの部屋だった。

 フィルチはミセス・ノリスを床に下ろすと、乱暴にタンスを開き、中からタオルを引っ張り出した。そして、色褪せてほんの少し茶色になったそれを、ずい、とハリエットの前に差し出してくる。

 

「そら」

 

 全くなんだって私が生徒相手にこんなことを……とぶつぶつ文句が聞こえてくる。もう何をしても怖かったが、逆らう方がもっと怖かったので、ハリエットは大人しくそのタオルを受け取った。

 

「あ───ぁ、ありがとう、ござい、ます……」

 

 お礼の言葉は震えて、言い切るにつれて小さく萎んでいく───フィルチは眉間に皺が寄ったまま、僅かに片眉をつり上げて、ハリエットのことを見やった。

 何か怒らせてしまっただろうか、と不安げになるハリエットをよそに、ふん、とフィルチはそっぽを向いて、ガタガタ音を立てながら椅子に腰掛ける。その様子を見て、ミセス・ノリスも椅子の傍にある古ぼけたクッションに身を預けた。

 ひとまずは大丈夫なようだと、ほっと胸を撫で下ろす。手渡されたタオルは木材のような匂いが染み付いており、ざらついた手触りからしてかなり年季が入っているものだとわかる。とりあえず頭から被るようにしてみたけれど、正直、このタオル一枚では骨まで冷えた身体を拭ききれるとは思えなかった。

 とはいえ、ずぶ濡れのまま外に出てもフィルチは怒るだろうし、せっかく貸したタオルが使い物にならない、なんて言えばもっと鬼の形相になるだろうとも思った。

 どうしよう、とハリエットが考えていた時だった。天井から大きな音がして、吊るされていた石油ランプがカタカタと揺れた。

 

「ピーブズめ!」

 

 フィルチが唸り声を上げた。びくりとハリエットの肩が跳ねる間にも、彼は大慌てで事務室を出ていき、クッションから飛び上がったミセス・ノリスがその後を追いかけていく。

 ぽつん、と一人取り残されたハリエットは、呆然と彼らの後ろ姿を見送った。今のうちに出て行った方が良いのだろうか、と考えながらくしゅん、と小刻みにくしゃみを繰り返す。ぼうっと鼻をすすりながら、ひとまずタオルを畳んで椅子の上に置いておく。机の上には乱雑に羽根ペンや書類が散らばっていたが、中でも紫色の光沢が輝く封筒が目を引いた。

 

 

KWIKSPELL(クイックスペル)』 初心者のための魔法速習通信講座

 

 

 ハリエットはその銀文字をぼうっと見ただけだった。興味が湧く隙もなく、ばん、と背後の扉が勢いよく開いたからだ。

 

「───助けに来たぜ、お姫様!」

 

 振り向くと、そこに立っていたのはジョージだった。歯の浮くような台詞と呼び方に、いつもなら赤面するところだったが、不思議と今日はそうならなかった。ハリエットが呆然としている間に、ジョージは否応なくハリエットを横向きに抱き抱えた───所謂、お姫様抱っこというやつである。

 

「……!?」

「よし、フレッド行こうぜ!」

「よっしゃ!」

 

 驚きすぎて声が出なかった。どうやら廊下にいたらしいフレッドは二つ分の箒を抱えている。おそらく自身とジョージのものなのだろう。

 

「───待て! このクソガキ共が!」

 

 二人が走り出そうとした時、遠くから怒声が響く。フィルチの怒声だった。しかし双子は止まらず、むしろにんまり笑って、走り去る背後にべえ、と舌を向けている。ハリエットは抱えられているので、じっとそんな彼らを見ているしかできなかった。

 フィルチの怒声が聞こえなくなるまで、彼らは走り続けた。ようやく何も聞こえなくなった頃、双子は止まり、ジョージは少し息を切らしながらハリエットを地面に下ろした。

 悪かった、とジョージはハリエットにぽつりと言った。

 

「置いてかなきゃ良かったな、でもフィルチに捕まっちまうなんて、思ってもみなくてさ……」

「本当だぜ!」

 

 隣で同じく息を切らしながら、フレッドが言う。ジョージよりも怒っている様子だった。

 

「今度から太った修道士の言うことなんて無視しちまえ! 奴さん、ずうっとこの城にいる癖に、フィルチがどんな奴かわかっちゃいないんだ」

 

 そうなのだろうな、とハリエットも身に染みてそう思う。あんなににこにこと生徒をフィルチに差し出す人は、ゴーストでも生者でもきっと彼以外にいない筈だ。

 悪い人ではないのだろうけれど、とハリエットは身を震わせながら考える。そのぶるりと震えた様子を見下ろして、「あっ」とフレッドが素っ頓狂な声をこぼした。

 

「ジョージ、やっちまった。セドの奴、置いてきちまった」

「あっ」

 

 双子が顔を見合せて「「乾かし呪文……」」とぼそっと呟いたのを、ハリエットはくしゃみをしながらぼんやり聞いた。




太った修道士とかいう出番どころか情報がなさすぎてほんまに可哀想なゴースト。
流石ホグレガでさえ新情報がなかった男や、面構えが違う。
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