ルガーランスはぁ!こう使う!   作:ミツヒRo・バートランド

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日野家その①

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野道~ふせき~

 

 

 

 

それでもまあ、日野家についた。

竜宮島ではよくある木造2階建ての住宅だ。

呼び鈴を押してみるが……。

 

「平日だし、みんな仕事してるよな」

 

誰か出てくる様子はない。

勝手に入って洋治さんの部屋を探すべきか悩む。

……却下だ。不法侵入がばれたときのリスクがでかすぎる。

 

いざ家にまで来たものの、俺は洋治さんや道生さんに関してどうするべきなんだ。

島を離れることに関しては…………正直、離れてもらわないと困る。マークザインもそうだが、道生さんにはカノンを助けてもらわなきゃ、エインヘリアルも完成しないし人類軍来襲時にどうなるか想像つかない。

そうなると洋治さんがティターンに関して何か改善案を持っていればいいんだけど……ノートゥング・モデルを作って、人類軍のファフナーやザインを今から設計していたらそんな余裕はない可能性もある。まず馬鹿正直に知らないはずの子供がティターン・モデルなんて口にするわけがないし、どう聞けばいいんだ?

 

「家にあげて貰えればまた違うんだろうけど」

「へぇ、俺の家に入ってなにするつもりなんだい?」

「それはもちろん決まって……」

「ぜひ教えてもらいたいね。噂の小学生が俺の家で何をするのか」

「その声……道生さん!?」

「おうともよ」

 

振り向いた先には、仕事帰りと思われるバンダナの男――道生さんが立っていた。

まさか聞かれて? いや、確信的なことは口走っていない。大丈夫だ。

 

「それで、案子はなんでここに?」

「えっと……道生さんに会いたくて」

「それはまた、どういう意味で」

「こういう意味だとしたら……?」

 

正直、話のきっかけを考えていなかったけど……確か道生さんは女好き設定があったよな。ふふ、抱き着いて堕落させ(おとし)てやる。

 

「へぇ、うれしいこと言ってくれるじゃん。けどあいにく、小学生は好みじゃないんでね。あと10年したら考えてやるよ」

 

ダメか……。

 

「話に聞いたより身持ちが固いんですね」

「そりゃ、好きな女がいるわけだからな」

「妬けちゃいます」

「由紀っぺにそっくりな話し方をしても無駄だぞ。それで、本当のところどういう了見だい?」

 

……こうなれば、即席の嘘と真を混ぜた言い訳で入り込むか。

 

「ちぇ……でも、会いたかったのは本当だよ。最近は弓子さんや狩谷先生が道生さんの話ばかりするから」

「由紀っぺまでとは意外だな。でもそれがどう俺の家に入ることに繋がる?」

「狩谷先生が構ってくれないから家出と恋敵の観察を兼ねて?」

「絶対に言葉を間違えてるぞ、それ。はぁ……家出ねぇ。まあ、外で話すことじゃないし中に入りな」

「ありがとう」

 

 

 

「悪いね、お袋がいないもんでこんなのしか出せない」

「ううん、無理を言ってるのはわかってるから」

 

出してもらったお茶を飲みながら周囲を観察する。家具や設備は他の家と変わりないけど――――よかった、家族写真はあるみたいだ。

 

「難しい年ごろなのはわかるが、由紀っぺも心配するから早く帰ったほうがいいぞ。少しはここで休んでもいいけどな」

「うん……道生さんは、家出とか」

「俺? 家出なんてほどじゃなかったが、ないわけじゃなかったな」

「何したの?」

「もう5年近く前になるか……」

 

椅子に腰かけた道生さんは、懐かしそうに語り始める。

 

「当時の俺はなんというか、向こう見ずでな。弓子には今でもそうだって言われるんだが……それ以上にってことだ。ともかく、ある日あいつが急に星空が見たいなんて言いだした。それで俺も叶えてやりたくなっちまって、まともに準備もしないで連れ出しちまったわけよ。しかも灯台にしておけばいいものを、1番高いところが良いんじゃないかと思ったもんだから、山に行っちまったわけだ」

「それは……」

「もう雲行きが怪しいだろ? 実際、山頂にたどり着いたら雲行きも怪しくなってきてな。行く前に天気を確認すりゃよかったけど、体が動いちまったから仕方ねえ。……結果的に雨が降り出して、星は見えなかった。この時点で失敗だろ?」

「ロマンも何もない……」

「はっきり言うなぁ、おい」

「でも気になるから続けて欲しい」

「へいへい……当然、傘なんて持ってなかったわけだから俺たちはずぶ濡れよ。加えて視界が悪いくらいの大雨で、遭難しちまった。笑えるよな、地元なのによ」

「それで、弓子さんは?」

「めっちゃ怒ってた」

「だよね」

「ああ。転げまわって泥んこになった俺たちは下山を諦めて、近くの岩場に避難することにした。不幸中の幸いはどこかの馬鹿が花火をしたらしくて、その残骸からマッチを見つけられたことだったな。それで火を起こして、凍えるのだけは避けられた」

「岩場に2人きりだったの?」

「翌日、探しにきた親父たちに助けられるまでな。まぁ、星を見せてやれなくて弓子には悪かったが、俺にとっちゃ体温を逃がさないためって名目であいつとくっつけたし、肌の感触が心地よかったのはいい思い出だよ」

「……変態」

「おいおい、男っていうのはそういうもんだぜ?」

「知ってる。それだけ好きなんだね、弓子さんのこと」

「そりゃな」

 

 

疑うわけじゃなかったけど、本当に道生さんは弓子さんが好きらしい。

俺は、両想いの彼らを少しの間とはいえ引き裂かなきゃならない。

それがみんなのためであり、俺のためにもなる。

彼氏と5年会えなくなるけど許してね。なんて言ったら、弓子さんにビンタされるか?

されたとしても……俺の支払える対価なんてそのくらいだ。甘んじて受けよう。

心苦しさも皆無というわけじゃないが、原作通りに進めば出会える分だけまだマシな方だと思う。

 

俯いた俺に何かを感じ取ったのか、道生さんは優しく話しかけてきた。

 

「孤児なんだろ?」

「え?」

「学校じゃ転校してきたと話してるらしいが、アルべリヒドで育てられた孤児だって俺にはわかる。あの事件はいろんな人を奪っていったからな。もちろん、由紀っぺにとっても」

 

この流れは……。

 

「あの事件?」

「教えてもらってないのか? まあ、案子には知る権利があるか。少し、ショッキングな話になるぞ?」

「大丈夫」

「……わかったよ」

 

道生さんは両手を顎に添えて、神妙な雰囲気をまとった。

 

「――――昔、とある機械が暴走事故を起こした。俺らが丁度お前くらいのころだ。予想されていなかったわけじゃないが、当時の技術を総動員して作られた上にトップレベルの技術者が揃っていたことから可能性は低いとされていた。だが、ふたを開ければ大惨事。周囲を丸ごと飲み込んで関係者はもちろん、近くにいただけの人間も大勢死んじまったって話さ」

 

ゼロファフナー、エーギル・モデル。海神の名を関する第1世代のファフナーは起動実験中にパイロットもろとも周囲を文字通り消し飛ばした。責任を感じて西尾のおばあちゃんが研究から手を引いた大事件。ティターン以上のいわく付きである。

 

「うっ」

 

なんだ、頭が――――

 

 

――――システム、コントロール不能!

――――パイロット応答ありません!

――――電力供給を強制終了しな! 反応炉の冷却、急ぐんだよ!

――――コアが未知のフィールドを形成! 周辺の磁場が変化していきます!

――――総員退避急げ!

――――だめです、間に合いません!

 

 

デカブツと慌ただしく走り回る人たちの姿。

なんだ? いや、ゼロの起動実験なのはわかる。だが、どうして俺がそんなものを幻視する? 俺は前世はもちろん今世も詳細なんて知らないはずだぞ……。

 

 

「大丈夫か?」

「いや、うん……大丈夫」

 

考えてもしょうがない。今はこっちが優先だ。

 

「それならいいけどよ。まあ、由紀っぺも両親をそこで失ってるわけだから、少し気難しいところもあるだろうけど大目に見てやってくれ……っていうのは、なんか変だな。ははは」

「平気。ちゃんと先生を見てるよ」

「本当か? どっちが親かわかったもんじゃないな」

 

実際、精神年齢で言えばこちらが年上だし。

 

「由紀っぺが親代わりかぁ。奇妙なもんだよ」

「それ、弓子さんも言ってた」

「考えるのはみな同じってわけか。きちんと親らしくしてくれてるか?」

「うん、優しくしてくれてる」

「そうか。あいつもここ最近で変わったってことかねえ」

 

道生さんはくつくつと笑った。

さて……せっかくこの話題を出してくれたんだ、乗らないわけにはいかない。

確証はないけど道生さんなら口を滑らせてくれそうだから、60%ってところだろう。

 

「ねぇ、それよりその機械ってなんだったの? みんな消し飛ばしちゃうなんて怖いもの?」

 

俺がそう聞けば、道生さんはうーん、と悩む仕草をした。悪いが、ここは押し通らせてくれたら嬉しい。

 

「怖いものといえば怖いし、危ないと言えば危ない。けど、必要ないってわけでもないんだよ」

「じゃあ、何のためにあるの?」

「何のためか……守るため、だな。みんなを」

「みんなを奪ったのに?」

「それでも、だ。難しいだろうが、何かを得るには何かを使わなきゃならないのさ。使いつぶされるだけだとしてもな」

「一方的なんて、悲しくないの?」

「それしかないなら、そうするしかないだろうよ。それに、いつかは還ってくるはずだ。一方的と決まったわけじゃない」

「……じゃあ、その機械はまだある?」

「ああ、みんなを見守ってるとも」

「オレにも使える?」

「さぁ、それはどうだかな。案子次第だろうよ」

「ふーん……じゃあ、せめて名前を教えて欲しいな」

「えぇ? それは困る。いくら由紀っぺのよしみだとしても、言えることと言えないことはあるぞ」

「どうしても?」

「どうしてもだ」

「そっか――――」

 

 

 

 

 

「――――()()()()?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「名前くらいならいいか…………『ファフナー』っていうのさ。誰にも言わないでくれよ? 俺が怒られちまうからな」

「もちろん、守るよ」

「そうしてくれるとありがたいね」

 

 

 

これで1歩近づいた。ありがとう、道生さん。

 

 

 

「そういえば、道生さんのお母さんたちはあの写真に写ってる人?」

「ん? よく気が付いたな、その通りだ。デカい男が親父で、きつい目をしてるのがお袋。今は別のところに住んでるけど、昔は仲がよかったんだぜ?」

「うん、優しそうな人たちだと思う。遠いの?」

「遠いといえばな」

 

洋治さん別の場所に住んでるのか。

忘れがちだけど恵さんも情報量少ないんだよな、無印の1話で逝ってしまうから。

 

「そうだ、由紀っぺの昔の写真とか見てみたくないか?」

「あるなら見たいかも」

「よしきた。少し待ってな」

 

それから、道生さんが掘り出してきたアルバムで3人の若い時の写真なんかを見た。

やっぱり母さんは昔から美人だった。

 

 

 

 

 

「やべぇ、いつの間に日が暮れてるじゃねえか。お袋が帰ってきちまう」

「ほんとだ。時間が経つのは早いね」

「まったくだ」

 

窓から斜陽の光が入ってくる時間帯。

部屋の隅に置かれた電話が鳴り響いた。

竜宮島は無線を出すわけにはいかないので、こういうのは内線である。

 

「はい、もしもし……げっ、いや、ああ。大丈夫だ、すぐ返すさ」

 

「誰から?」

「喜べ、保護者様だよ。大切にされてるじゃねえか」

「そっかそっか」

 

以外と心配性だもんね、母さん。

 

「はいはい、家出時間は終わり。仕度しな」

「何その時間。定期的にあるの?」

「あってもいいが、毎度俺の家に来られても困る」

「気を付けます~」

「絶対その気がねえ声だぞ」

 

道生さんは話しやすいから仕方ない。

せっかくだし、ちょっとお節介しておこう。

 

「道生さん」

「なんだ?」

「弓子さんの写真、今のうちに撮っておいた方がいいよ。ツーショットならなおさら」

「なんだぁ、そりゃ」

「やりたいことは早いほうがいいってこと」

「はー、女ってどうしてこう……まあ、俺も撮りたいとは思ってたんだ。そのうち誘うさ」

「よしよし」

「その顔、なんだか気持ち悪いから止めろ」

「はーい。それともう1個」

「まだあるのか」

「うん。道生さんなら大丈夫だと思うけど、小さな女の子がやってきたら助けてあげて欲しいの」

「別に構いやしないが、なんでまた。島にはアルべリヒドがあるだろ」

「もしも、だよ。もしも」

「そういうことにしておく」

「じゃあ、オレはこれで。今日はありがと」

「おう」

 

 

さて、外に出――――

 

 

 

「案子ちゃん、なんで男の家にいるの?」

 

「道生? どうして小学生を家に連れ込んでるのかしら」

 

 

 

「「ひっ」」

 

 

能面被ったような表情の2人が立っていたものだから、道生さんと声が被る。

 

「お前ら、どうしてここに……?」

「由紀っぺから連絡があったのよ」

「あ、あの野郎……!」

「どうやら、お馬鹿さんにはお説教が必要みたいね」

「…………お手柔らかに」

 

道生さんは連れ去られていった。

 

「案子ちゃん、私たちも帰ろう?」

「そう、だね」

 

俺も潮時らしい。

目がどろどろしてるんだよ、小百合。いったい誰がこうしたんだ。

とりあえず手を握ってあげれば戻るけど。

 

 

 

 

 

我々がオリ主を乗せたいもの

  • ファフナー(負荷:中)
  • ジークフリード(負荷:中)
  • 両方(負荷:大)
  • それ以外も加える(負荷:高)
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