ルガーランスはぁ!こう使う!   作:ミツヒRo・バートランド

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感想、評価、お気に入りありがとうございます。
我々はSSによって喜びを理解した……

RoLを扱う以上、登場キャラの性格などに独自解釈が入りますがお許しください。
パイロットの半数以上よくわからないってホント? 




個性~なまえ~

さてまぁ。なんとか転生した途端死ぬなんてことはなかったからいいんだけど、ファフナーの世界って常に死亡フラグが乱立しているようなものなんだよな。

ひとつの良いことがあると一つ以上の悪いことが起きてしまう世界である。

初めてファフナーを動かせると思ったら動かした途端あたり一面を吹き飛ばしたり、心を寄せる相手と付き合えそうになったと思ったら相手がこん睡状態になったり、子供ができたかもしれないと思ったらダンクシュートされたり……。

味方の強化を素直に喜べないアニメなんてそうそうないぞ。

 

一方でいいこともある。

生前いろいろアニメや特撮は見てきたけど、ファフナーの大人は大概有能かつ温情があるのだ。一部ヤバイ人もいるけど、基本はフェストゥムが大体の原因である。

でも核攻撃はやめろ。

 

 

 

「今日からここが貴方の部屋よ。基本的な家具は揃えたはずだから大丈夫だとは

思うけど、何かあれば言いなさい。服や化粧品はこれからそろえていくから」

「うん、ありがと母さん」

 

というかよく抱き着けばいけるとか思ったな。あの狩谷先生……ミツヒロ一筋の人類軍スパイ。冷徹な人間といったらまず彼女が思い当たるのに。というかほんとにこの人狩谷先生か? マスター型じゃないよね? でも道生さんとかにはフランクだったしなぁ。

考えても仕方ないか……。原作キャラの一人に会えたことを喜ぼう。そもそも狩谷先生のこと嫌いじゃないものな。

 

そうそう、狩谷先生と一緒に暮らすことになったよ。なんで……?

十中八句、俺のママ発言で皆城さんが深読みしたんじゃないかって思うけど。

俺のママ発言とか嫌な語呂だな……。

 

「あとは……そうね。あなた、名前あるの?」

「名前?」

 

そんなこと考えてたら名前を聞かれた。

前世じゃなくて今世だよな? そういえばないかも……ないわ。そりゃ生まれたばっかだもん。

 

「それならこれからは案子(あんず)と名乗りなさい」

「あんず……」

「人々を導く水先案内人。私をあの人の下に導くための」

 

あ、うん。これ狩谷先生だな間違いない。

監視ついてると思うんだけどいいのかなそんなこと言って……。

でも水先案内人は気に入った。今世は案子と名乗ろう、どっかのフラッグファイターみたいになんだかんだ生き残れそうだから。

 

狩谷先生はそのあと仕事に行って、代わりにアルべリヒド機関の大人たちがやってきた。お手伝いさんらしい。

先生子育てとか初めてだもんね……。でもどうせ監視なんでしょ?

学習プログラムとか言ってるし。

ああ、嫌じゃないよ。俺も自分でかなり怪しいって思うもん。

でももうちょっと優しく引っ張ってくれないかなぁ!? こちとら(肉体は)5歳児やぞ!

精神年齢で考えろ?

すみませんでした…………。

 

 

 

 

 

さて、なんでもいいけど生まれた以上、俺はこの島で生きなきゃいけない。

脱島も少し考えたけど……異世界転生したらやりたいじゃん、原作で死んでしまった人を助けるやつ。

狩谷先生なんか顕著だけど、どんがらがっしゃーんからの憎悪オチなんて悲しいだけだ。

彼女はミツヒロしか眼中にないだけで、生徒の質問に答えるとか、学校行事に取り組むとか、級友のためにシステムを弄ってあげるとか、人間らしさも持ち合わせているから好きなキャラの部類だし。それが問題だって? 細けぇことはいいんだよ!

人類軍は許さないけど。

そのためにもまずは島のことを知らなきゃいけないと思う。

アニメで映像越しに見た島じゃなくて、”本物”の島を。

そのためには学習だって訓練だってしてやる。

全力で生きるんだ。

そしたら見つかるはず。命の使い方ってやつが、今度こそ。

 

 

 

 

 

――――この時の俺は知らなかったんだ。いくらアニメで知識を携えたところで、現状の打開に繋がるわけじゃない。よくある話だ。でも、ここで抱いた決意は決して、偽物ではないことも確かだった。

 

 

 

 

 

△▼△

 

 

 

 

 

柴田小百合は当時のことを回想する。ある女の子がやってきた日のことを。

 

「紹介します! 今日から皆さんと一緒に学ぶことになった――」

狩谷 案子(かりや あんず)だ、よろしく。名字の通り狩谷先生の姪でね、東京から来たんだ」

 

東京――未知の大都会。

なんだかすごい子だな、と小百合は思った。

同時にさみしそうだな、とも。

島は確かに人も少ないし不便なこともあるけれど、お互いの結束は強いのだ。年上は兄や姉のようだし、年下だって弟や妹のように感じられる。

でも東京はどうだろう。血縁関係もない、無関係の人ばかりたくさんいてお互いのつながりは薄いんじゃないのだろうか。

夢と希望にあふれているなんて人伝手の言葉を、小百合は絶対視することができなかった。

 

そんなことは露にも思わず、クラスの多数は別の話題で沸き立っている。

狩谷先生の姪。

島の外で働いた後、島に戻ってきた若い先生だ。大人の魅力に溢れたあの先生に惚れている男子も多い。

娯楽の少ない島だから、少しでも新しいことがあるとそれに食いつくのは自然だった。

席に座るなり周りを囲まれて矢継ぎ早に出される質問を、案子は笑顔で受け答えしている。人当たりはいいらしい。

彼女は小学生なのに発育もいいようで、男子の中には鼻を伸ばしている子も見られた。狩谷先生と縁者というのは嘘じゃないらしい。

(えっちなのはいけないと思います……)

小百合は自分の胸を触ってみる。固い感触だった。

自分もいつか、ああいう風になれるのだろうか。

(な、なってみせるもん)

 

 

 

固い決意をしたその放課後、小百合はその女子と会話する機会を偶然に得た。

 

「あれ? 確か小百合ちゃんだった……よね」

「えっと……はい……」

「ああよかった、間違ってたらどうしようかと……帰りはこっちなの?」

「そう……えと」

「案子でいいよ、オレもこっちなんだ。途中まで一緒に行かない?」

 

突然話しかけてきた案子に押され、小百合は流されるまま首を縦に振った。

 

 

最初の数分は無言のまま。互いの足音と風の音だけが響いている。

小百合は案子の顔を横目で見た。近くで見るのは初めてのことだ。

意思の強そうな眼だな、と思った。確かに前を向いて、どこかへ進もうとする目。

自分はどうだろう。どこか……例えば島の外に行きたいなんて思っただろうか?

ないはずだ。そこまでの興味を小百合は外界に持てていない。いずれ「卒業」するとしても島の近くで働きたいと思うに違いない。

一体彼女には何が見えているのだろうか、それが少しばかり気になった。

 

 

その案子は歩きながら慣れるのを待ってくれているようだった。見知らぬ人が隣にいることを。

奇妙なことだが、そばを歩く彼女の足音や呼吸は子守唄のように小百合を落ち着かせてくれ――――いつも他人と話すときは緊張してしまうにも関わらず、初めて話す案子に不安感や不快感を持たなかった。

(なんだろう……まさか本当に運命の相手なんているのかな……?)

それはマセた年ごろの少女的思考。だが、その考え方は小百合が彼女の存在を受け入れる時間を大いに縮めることになる。

 

「案子……ちゃんはさ」

「ん?」

「どうしてわたしに話かけてくれたの?」

 

帰り道も中間に差しかかったころ、小百合は訪ねてみることにした。

窓辺で遠目に眺めるだけだった自分に、何の興味を持ったのか。どこかを見つめる彼女が自分に何を見出したのかを。

 

「どうしてかぁ……偶然、じゃだめだよな?」

「うん……」

たぶん嘘じゃないのはわかる。けど、ほかにも何かあるんじゃないかと小百合は思った。それが気になる。

 

うーん、と頭をかいてから、彼女は口を開いた。

 

「クラスのみんなは……たぶん、悪い人じゃないってのはわかる。むしろいい人だ。けどオレを通して()()や母さ――狩谷先生を見るばかり。確かに故郷なのは事実だけどね。()()を見てくれているのか不安でさ……でも君は、ただ珍しいだけのオレに話かけてこなかった」

 

(それは……みんなの輪に入るのが怖かっただけで……)

小百合の独白など知る由もなく、案子は口も足も止めない。

 

「それってきっと、まだオレが君の前で個人として何もしてないからじゃないかと思ってね。なら、オレという個人が興味をひければ(オレ)を見てくれるはずじゃない? だから友達になりたくて……声をかけたんだ。ちょっとめんどくさいかな」

「ううん……全然。みんな、今日は気分が昂っちゃっただけ……だと思う」

 

(やっぱり、寂しかったんだ)

小百合は自分の感覚が間違っていないことを理解した。昔からなんとなく、人の心の内を感じ取れるのだ。苦労もあるのだが……今回はいいほうに働いたらしい。

 

「よかった……それならみんなと仲良くできる可能性もあるわけだ」

(みんな――――)

その言葉に少し、小百合は胸の痛みを覚え――次の言葉の前に霧散した。

 

「あと、もう一つあるんだ」

「もう一つ?」

 

 

 

 

 

 

「ああ。叶えたい……叶えなきゃいけない夢がある。そのためには小百合ちゃんの力が必要かもしれないんだ」

「わたしの……?」

「そうだよ、小百合ちゃんの」

 

案子はそこで足を止めた。

振り返った子百合を、意志の強い瞳が貫く。

時が――止まったように感じた。

 

 

 

 

 

「でもきっと、それは少し先なんだ」

宙を舞った葉が落ちる間、実際は数秒のことだった。

小百合が声を出すより先に、案子が動く。

「だから、その時にもう一度お願いするよ。それがオレが小百合ちゃんに声をかけた理由」

小百合が言葉の意味を理解しきるより前に、彼女は小百合を追い越してしまった。

それに気が付いて、小百合も慌てて追いかける。

 

 

 

 

 

それからは初めと同じく無言だった。

しかし、小百合は心臓の鼓動がうるさくて退屈だとは思わなかった。むしろこの音が案子に聞こえてしまわないか緊張したほどである。

自分は何を言われたのだろうか。直感的に、彼女の言葉が嘘ではないとわかった。

恥ずかしいからすぐ離れたい。でももう少し一緒にいたい。

複雑な感情の嵐が小百合を飲み込んでいた。

 

「わたし……こっちなので」

「あ、じゃあオレと別なんだ」

やがて二人は分かれ道に差し掛かり、各々の道に向く。

「今日は話せてよかったよ。明日から仲良くしてくれる?」

「うん、よろしくね……案子ちゃん」

「こちらこそ、小百合ちゃん」

 

 

 

 

 

(必要と……必要とされてる。わたしが……わたしが)

その後の小百合の足取りは、いつも以上に軽かった。出迎えた母親に驚かれたくらいだ。

それが出会い。忘れられない、彼女と初めて話した日。

以来、小百合と彼女はたびたび遊ぶ仲になったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺は、どこにいるんだろうな」





残念ながら、このSSでは小百合はぺったんこのままです……
本編でも記述すると思いますが、オリ主君の原作知識はBEYOND公開前までです


我々は今後

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