ルガーランスはぁ!こう使う!   作:ミツヒRo・バートランド

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UA4000とかお気に入り100越えにびっくりしてたら低評価?くらって怯えた作者。評価時のコメントを一時的にオンにしてしまう。
コメントありがとう……
今週もおかえりなさい



我々は私によってコメントをもらうとニヤニヤすることを理解した。





前兆~よかん~

 

 

「イイ子だ……親の考えに疑いを持たないのはいい子だ。やはりお前は弓子たちと出来が違う」

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「う…………」

目が覚めると、知らない天井だった。

体を動かそうとして、右手に重みがあることに気づく。

「案子ちゃん……よかったぁ……」

「小百合ちゃん?」

「そうだよ、私だよ。どこか痛いところとかない? 自分の名前は言える? この指の数わかる?」

「痛みはないよ。オレの名前は狩谷案子、(書類上)10歳の小学5年生。そしてそれは3本。それより、手…………」

「あっ、わ、ご、ごごごめんね!」

小百合は大げさに驚き、握っていた俺の手を離した。

温かかったな……いやそうじゃない。

「気にしてないよ、ありがと。小百合がここまで運んでくれたのか?」

「えっと、私は……力が足りなかったから。()()()()近くに来た大人の人に頼んだの」

「そう……か、ありがと。ごめん、重かったでしょ」

「そんなことないよ! 柔らかかったし…………

そんな食い気味に言うこと? 

それに小百合の奴、目元が赤い。泣いてたのか。

「心配かけたな、でもオレは大丈夫だから」

「う、うん。でも……私が外に連れだしちゃったから」

「それは違う。むしろ連れ出してくれるって聞いて嬉しかったくらいだよ」

「でも実際に倒れちゃったし……」

「ちょっと疲れてただけさ。今は平気なんだから、気にすることないぞ」

「ほんと?」

「ほんとほんと」

「うー」

浮かない顔してるな……よし。

「心配なら、さ。ほら」

「うえっ!?」

「ちゃんと心臓、動いてるだろ?」

「う、うごいてる……どくどくしてる……きゅぅ…………」

「えっ」

気絶した……。

 

「その子、あなたが起きるまでずっとそばにいたのよ。疲れていたのね」

「か――りや先生。どうして?」

「どうしてもこうしても、あなたが倒れたって聞いたから来てあげたのよ」

「それは……ありがとう。ずっとそこに?」

「ええ、今の茶番も見ていたわ。どうせやるならもっと大胆にやりなさい」

「…………」

そういう意図はなかったんだが。

そっか、小百合はずっと居てくれたのか。なんかやばい奴って思ったのが申し訳なく思えてきた。だらしない顔しやがって…………いや、これは俺に心を許している証拠だろう。プランは順調だってことだ。

「それで、本当のところ体はどうなのよ」

「動く……よ、うん。特に問題はなさそう」

痛みや違和感もなく、上半身を起こすことができた。

「それはよかったわ」

「検査結果も、特に問題は見られませんでした」

扉を開けて入ってきたのは白衣姿の女性。

この島で白衣っていうとひとりしかいない。

「遠見先生」

「久しぶり……というほどでもないですが、定期健診以来ですね」

となるとここは遠見医院か。アルヴィスに小百合が来るわけないし。

そりゃ母さんもバツが悪いそうな顔しているわけだ。

「はい。ベッド、ありがとうございます」

「今の貴女は患者ですから」

「本当に異常はないんでしょうね?」

「問題ありません、すべて平常値です。今回は血管迷走神経反射性失神――つまりストレスが原因になります。何か思い当たることはありますか?」

 

思い当たるも何も……あの黒いオーラ、総士君だろう。

きっと今の総士君はフェストゥムの同化能力を捨てていないし、生まれからして言っちゃ悪いが半分フェストゥムである。

でもそれを俺が感じとったことと、綺麗だと感じるはずの(半分)フェストゥムに恐怖を抱いたのはどうしてだ? 

わからん。

そしてこれを正直に言ったら、変に勘繰られるだろうのは俺でもわかる。

 

「慣れない環境に少し酔っちゃったのかな、と」

「そうですか。わかりました」

特に追及もなく、遠見先生は電子カルテに記入していく。

というか、こういうところは未来を生きているよね竜宮島。ほんとこの時代、通信技術以外はオーバーテクノロジー。

 

「それで、センセイ。ほかに問題はあるのかしら?」

「いえ、幸い今回は外傷などもありませんでしたし、大丈夫ですよ狩谷先生。お帰りになりますか?」

「当然」

遠見先生は俺によそよそしく、母さんは遠見先生が嫌いで、俺は他家(病院)のベッドに寝ているのが気まずい。なんだこの状況。

母さんが部屋を出ようとした瞬間。また別の人が入ってきた。

「母さん、さっき言われてた資料まとめたわよ――――ってゆきっぺじゃない! どうしてここに?」

ここが遠見家なら当然というべきか、弓子さんだった。

扉を開けようとした手を中空にぶら下げながら、母さんはなんか見たこともない顔をする。十中八句気まずいとか思ってそう。

「どうしたもないわ」

「ベッドに倒れた女の子2人と母さんがいる状況でそんな言い逃れができると?」

「思わないわね」

「でしょ! えっと、君は?」

こっちに来たか。

「案子。狩谷案子です。お姉さんは?」

「ああ、あなたが噂の。私は遠見弓子、よろしくね」

「はい、よろしくお願いします」

「ゆきっぺ! 礼儀正しい子じゃない。というか一緒に住んでるのって案子ちゃんだったのね。言ってくれればいろいろしたのに~」

「言ったら、絶対あなたは揶揄ってくるじゃない」

「もちろん♪」

「これだから嫌なのよ……」

「それにしても、私たちの中で最初の子持ちはゆきっぺかぁ。あの物調面ゆきっぺが子育てしてるなんて感慨深くなるわぁ」

「ならなくていいでしょ」

「なるわよ。でもそっか~、ふーん?」

「今すぐその不愉快な笑みをやめなさい」

「いや♪ それより、子育てってどんな感じなの? ちょっと教えてほしいな~って」

「別にどんな感じもないわよ。普通にやればいいのよ」

 

普通(炭素化合錬成)ですねわかります。

 

「こんな風にゆきっぺは言ってるんだけど、案子ちゃん的にはどうなの、いいお母さんしてる~?」

「…………」

「え? はい、それはまあ……」

睨むのやめてくれない? 母さんのそれ怖いんだっての。

「それならいいけど~」

「もの言いたげね。気になるならあなたの母親に聞いてみたらどうかしら。お調子者なおてんば娘を抱えてずいぶん苦労が多いのではなくて?」

「うわっ、なによその嫌味な言い方。母さん、何か言ってやって!」

「…………」

「母さん、どうして無言なの!?」

「どうやら本当のようね」

「どこがー!」

「不可解に思うなら自分自身と暮らしてみたらどう? そんなことできないけどね」

 

弓子さん、なんか――――すごいな。この人ら何してんだろう。

でも、ここで弓子さんと関わりが持てたのはプラスだ。道生さんと交友があるみたいだしやっぱり日野博士はまだ島にいる。どうにかして会えないものか。

 

「案子ちゃん、こんなゆきっぺじゃなくて私のところに来ない? 料理も美味しいし変なファッションしてないし優しくしてあげられるわよ。むしろ今から晩御飯食べましょう?」

()()()って何よ」

「お言葉は嬉しいんですけど、保護者はいちおう狩谷先生なので」

「一応?」

「……狩谷先生なので」

「うぐぐ……じゃあ母さん、私も道生と一緒に暮らしたい!」

「だめよ、まだ早いわ」

「でも恵さんは良いって言ってくれたのよ」

「よそはよそ、うちはうち」

「むぅー! わからずや!」

「なんとでもいいなさい。あなたはまだ足りないことが多すぎるのよ」

 

 

 

「あれ……案子ちゃん、何が起きてるの?」

「オレにもわからん」

騒がしくて目が覚めた小百合と、そのまま続く痴話喧嘩?をしばらく眺めていた。

 

 

 

「すみません、柴田です~」

「智子さん。夜に呼び出してすみません」

「いえいえ。小百合を1人外に出すほうが不安ですから」

「お母さん」

「小百合、よくやったわね。そちらの子が?」

「うん、案子ちゃん」

「そう……娘がお世話になっています」

「いえ、オレのほうこそ……」

「今回は案子がご迷惑をおかけしました」

「狩谷先生、お気になさらないで? 小百合が大丈夫なら私が言うことは何もありませんよ。さ、小百合。帰りましょう」

「うん。それじゃ案子ちゃん、また……」

「ああ、また明日」

 

小百合はあとから来た母親に連れられて帰っていった。

智子さんっていうのか。糸目の人が実在するとは……単に試されただけかも。

 

「案子、わたしたちも帰るわよ」

「あ、うん」

「またね、案子ちゃん。気が変わったらいつでも来ていいからね」

「おやすみなさい」

 

 

 

 

 

「案子、いい友達ができたのね」

「うん」

「でもあなた。まさかとは思うけれど、忘れていないでしょうね」

「忘れてないよ」

 

 

 

 

 

全員が帰った後。千鶴は電子カルテに目を落としていた。

――――TIA…………どうしてこんな。

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

後日、学校にて。

 

なぜオレは教室に入った瞬間パンツの色を聞かれなきゃいけないんだ。

おまけにトールともあまり話が進まない。まるで意味が分からん。小学生とはいえこのサイズだぞ、お前さては貧乳派だな?

 

どうしようもない同級生は放っておき、休み時間の今は校庭で一騎たちと遊ぶ総士を見ている。

彼の左目に傷がない。やっぱり、一騎とひとつになろうよはまだ起きてなかったわけだ。ただ時期的に今年中だろうけども。

そもそも総士のことはどうするのが正解なのか、わからない。

蒼穹のファフナーという作品自体の根幹にあるのが一騎と総士の確執だ。確執というか、すれ違い。

一騎は総士を傷つけたことに心を痛め、総士は中途半端だった自我を確立させてくれたことを感謝しているが、お互い口下手だから本心を打ち明けることもできずどんどんすれ違っていく。その結果として一騎は自己否定により高いファフナー適性を得て、総士は目の傷からジークフリードでパイロットたちのサポートをする。

まず俺には総士病(通称)にならない一騎が想像できないし、ポエムを読まない総士も同様だ。

仮に総士の傷がなかったとして一騎はどう育つ? まっすぐな一騎が見たくないわけじゃないけど、最悪マークザインに乗れない可能性がある。それ以前にマークエルフすら。そうなれば無印1話で竜宮島は終わりだ。無印を生き残ってもHAEで来主の説得ができず滅びる可能性だってある。EXOの遠征組でもマジカルルガーランスができなきゃ全滅していただろう。

一方で一騎と総士の確執がなくなるのであれば、人類軍の偵察機が飛んできたときに一騎が総士の言うことを聞いて、島が発見されないままであるかもしれない。人類軍との接触が遅れれば、翔子がマークゼクスに乗り込む事態も避けられるはずだ。

どっちもそれぞれのいい点、悪い点がある。誰かしら助かるし、誰かしら死ぬだろう。総士たちはこんな選択をしていたっていうのか? なんて精神力だよ。

 

 

 

「案子ちゃんは、総士君みたいな子が好きなの?」

「え?」

考え込んでいた俺は、こちらを覗きこむ小百合の顔を理解するのに時間がかかった。

「容姿端麗、頭脳明晰、運動神経抜群。おまけにお家の太い…………」

「まてまて、そういうんじゃない」

「じゃあ、どういうの?」

「ただ考え事をしていただけ」

「考え事? 男の子の?」

「だから違うって」

「それなら、どんなこと考えていたか教えてくれてもいいいよね……」

「どうしてそうなる」

「私と案子ちゃんの仲だもん」

「いつそんな間柄になったっていうんだ」

 

まあ……俺が1人で悩んでも結論が出せないのはわかりきってるし、ちょっとぼかして聞いてみるのもいいか。

「引き返せない分かれ道があるとして。どちらにも良いことや悪いことがあるとき、小百合ちゃんならどうする?」

「それ……案子ちゃんにとって大事なこと?」

「ん、あんまり難しく考えなくていいよ」

 

数秒空を見上げ、小百合は答えた。

「…………私なら、大切な人と一緒に進める道を選ぶと思う。それがどんなに短い間でも、苦しくても、私は今ある出会いを大事にしたいから」

「…………」

大切な人、か。今の俺にとって大切なこと。

 

「これ、お母さんの受け売りなんだけどね……」

「……よく覚えてたな」

 

はあ。小学生に俺は何言ってんだ……年下に頼り過ぎだろ。肉体年齢に引っ張られてるのか?

 

そこまで話したところで、休み時間の終わりを告げるチャイムが鳴った。

「もどろ? 案子ちゃん」

「……ああ」

 

結局、俺は怖いわけだ。ひとつになろうとあの目で迫られることと、未来が分からなくなることが。

 

 

 

 

 

△▼△

 

 

 

 

 

村上 剛史(むらかみ たけし)にとって、狩谷案子という少女は危なっかしい相手である。

その日も彼女は友達と下校しようとしているところだった。

 

「この前お饅頭買ったんだけど、結構美味しくてさ」

「おばちゃんのところのでしょー? わかる。あたしも最初は餡子が苦手だったけど、後からくる優しい甘さが病みつきになっちゃうんだよね~」

「アンコだけに、オレが嫌いだったっての?」

「えっ、誰も言ってないよ! それに今は仲良しだからいいじゃーん!」

「はいはい……饅頭って年寄が食べるイメージあったけど、ここは子供も食べるんだよな」

「そうそう。向こうではあんまり食べなかったの? でも確かに、東京ってもっと高いご飯を食べてる感じがあるよ~。写真もそういうのが多いし」

「高層ビルの屋上でフルコース、とか?」

「そ~。いいよねー、ああいうの。ちょっとだけ憧れるよ。実際その場に行ったら緊張しちゃってそれどころじゃないだろうけど!」

「だよなぁ。オレも滅多になかったし、生まれのいい人じゃなきゃいけないところだから」

 

 

 

2人が正門に差し掛かったとき、剛史の身にそれは起こった。

首の後ろがひり付く感覚。冷たい風に撫でられたような不快感。

(これは……)

思わず手を添える。

剛史にとって、それは大概『悪いこと』の前兆だ。

いつも感じるわけではないためハッキリ言えないが、この感覚があるときは大概()()であった。

答えられない問題のときに先生が指名してくるときも、父が母を怒らせるときも、せっかくの休日に雨が降るときも。

 

(今日は何が起きるんだ……)

 

案子はおよそ3日に1回、何かしらのアクシデントに見舞われるのを剛史は見ていた。

小石に躓くのは序の口で、シャツの肩紐が千切れたり、ボールが飛んできたり、廊下を走る生徒とぶつかるなどなど。幸い、大事に至ったことはなかったものの、剛史はいまだ心配の念がぬぐえない。

 

だから今回も、何か起こると確信していた。

ただ、今までは命の危機に瀕するようなことがなかっただけで。

 

 

 

――――狩谷案子が鉄塊に押しつぶされる。

 

 

 

剛史が感じたのはそれだった。

地面に倒れる少女()()()()()と大量の血痕。

 

(な、なんだこれ……)

未知の感覚に剛史は困惑した。

それでも、これが本当に起きるならどうにかしないとまずい。思考が止まったのは数秒で、混乱しつつもすぐさま何か原因になりそうなものを探し始める。

小学生にも関わらずこのような判断ができたのは、ひとえに慣れだった。

 

 

 

そして見つけた。

(あの電柱……っ)

電柱のひとつが、ゆらゆらと揺れていたのだ。通常、地面に固定されているはずの電柱が揺れることなどありえない。それが揺れて、今にも倒れてきそうなのである。

だが、剛史の位置から2人を移動させるのは難しかった。距離的にも、筋力的にも。

そこでふと、彼女たちなら勝手に避けられるのでは?という考えが脳裏をよぎる。

(俺はただ、見てただけだ……そんな奴の言葉を信じてくれると?)

自分が何をしても変わらないのではないかという傍観にも似た感情。これまで、何か嫌なことが起きるとわかっていても、それを止められた(ためし)はなかった。だから今回もそうなのではないか、と思ってしまう。

しかし、それでも。

(今回は俺のことじゃない……できるのにやらないのも……嫌だ)

時間は迫っている。限られた選択肢から剛史が選んだものは。

 

 

 

「案子、早苗! 上からくるぞ、危ないッ!」

 

 

 

単純に、叫ぶことだった。

電柱が傾き、倒れはじめたのも同じタイミング。普通なら間に合わないが――――

 

 

 

「案子ちゃん!」

まず声に反応した早苗が空を見上げ、脅威を捉える。

「――――!」

続いて案子も状況を理解し、2人はその場を跳んだ。

 

 

 

小さな体躯に見合わない反射速度と脚力は火事場の馬鹿力だろうか。

結果として。

その2人は、降りかかる塊と火花を散らす電線を無事に避けることができた。

 

 

 

 

 

(……こんなこともあるのか)

剛史は、その光景を呆然と見つめていた。

 

 

「なんだ!」

「何の騒ぎだ!」

「おい、あっち!」

 

 

 

ほどなくして、大人たちが事態の収拾にやってくる。

あの2人も、声の主が剛史だとわかって感謝しにきた。

 

 

「タケちゃん、助かったよ。ありがと。まさか電柱が倒れるなんてな」

「あー、うん。無事でよかった」

「びっくりだよね~、案子ちゃん怪我ない?」

へーき、と彼女は答え、剛史の方を向いた。

「タケちゃん、お礼がしたい。これから西尾のおばちゃんとこいくんだけど、驕るよ」

「えっ、あたしは!?」

「あーもちろんおぼるよー」

「めっちゃ投げやりじゃん!」

「……なあ、お前ら今下手したら死んでたんだぞ!?」

つい、何事もなかったかのようにふるまう彼女たちに剛史の口から声が出る。

「おう、そうだな」

「でも生きてるしね~」

「そんな軽く……」

(正気か? 何を思ってんだこいつら!?)

剛史は目の前の少女たちが別の生物のように見えた。もし、自分が同じ目にあったら数日は寝込むだろうに。

「別に体痛めた訳じゃないからなあ」

「そうそう、剛史くんのおかげだよ。ありがとね~」

彼女らは事もなげに感謝を伝えてくる。

(なんだよほんと、こいつら……)

早苗は能天気だから無理もないとして、案子のほうは意味が分からない。東京の人間はみんなこうなのだろうか。

ただ、それでも。

(こういうの、わるくないな……)

自分の行動が、自分の宿命のようなものを変えられた気がして。それに他人の命を助けて感謝までされるというのは、いいことのように思えた。

 

「それより、早く行こうぜ」

とはいえ。距離感も考えずぐいぐい手を握って来る案子が、剛史は少し苦手だった。

どっかで見た、オタクに話しかけてくるギャル、という表現がぴったりだからだ。

「やめ、やめろお前!」

「遠慮すんなって。それに男だろ? いいんだよ、こういうのは貰っておいてさ」

そういって案子は剛史の背をたたく。

この女、乱暴。剛史は覚えた。

 

 

「もうちょっとタケちゃんは男らしさがあったほうがかっこいいよな~。せっかく身長高くなってきたんだし」

「え~? あたしは今の剛史くんも好きだよー。むしろ案子ちゃんが女子っぽさないんじゃない~?」

「オレの女子力は53万だが」

「でもお料理もお裁縫もできないじゃん。全部小百合ちゃんに任せてるの知ってるからね~?」

「別にあれは小百合がやってくれるから……」

「そういうの、世間ではクズっていうんじゃなかったっけ」

「…………頭来た、コマ投げで勝負しようぜ……久しぶりに……キレちまったよ……」

「そうだよね~。かけっこじゃあたしに勝てないもんね~?」

「うっせぇ!」

「でもいいよ~、あたし優しいから受けてあげる」

「ずいぶん余裕だな。オレのネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲に勝てるとでも……思っているのかね?」

「長くてわっかんないよ~。でも案子ちゃん弱いし~? 余裕だよね~」

「はあああああ~??? 負けないが??? よし、タケちゃん!」

「え?」

急に2人で盛り上がったと思えば、こちらに矛先を移してくる。

 

「君をオレの仲間にする! いくぞ!」

「ちょっと、2対1は卑怯でしょ~!」

「勝てばよかろうなのだァーッ!」

「はあああああ!?」

いうなり案子は剛史の首元に腕を回し、引き寄せた。

(あ、意外に甘い匂いするんだなこいつ…………じゃない)

「く、くびが…………うっ」

「タケちゃんが!?」

「案子ちゃんのお馬鹿さん~!」

 

 

 

 

剛史はその日、柔らかい布団に包まれたような、いい夢をみた。

 

 

 

 

 

なお、駄菓子屋に行くことは大人たちに止められた。

 

 

 

 

 

 

 

 






いちゃいちゃと愉悦が我々に半分ほどいる……
ファフナー本編……?

よかったら反応いただけると我々は頑張れる


我々は今後

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