※自信満々に投稿した詰めデュエルが早速ミスっていたので修正しています。
これが即堕ち2コマです。
場所は日本国、とある山の上の建物。
普段ならば多くの人が世界的カードゲーム「デュエルモンスターズ」を楽しむ、いわゆるドームのような場所。
だが、だが今日に限ってはそうではない。
「ついに、ついにこの日がやってきたな……」
時は八月の後半。夏の熱さもピークを過ぎて、葉の色も緑から変化していく頃。
会場でただ一人、不敵に笑う男がいた。
通行の邪魔になっており横を通る同年代の者達から嫌味な視線を貰っているのにも全く気が付かないほど自分の領域に浸っているものが居た。
やたらイタいボロボロのコートをたなびかせ、自分に浸っている男がいた。
「デュエルアカデミア……その入学試験がな!!」
誰と話しているわけでもないのに大声で叫ぶはた迷惑な男だった。
腰からぶら下げたチェーンが通されたカードケース、40枚の己のデッキを大事そうに撫でるとまた「フッ」と笑いを零す。
もちろん道のど真ん中でだ。
……この男の擁護をするとするならば、まあ許してやってくれ。彼は人生で一番大切な瞬間を味わっているんだ……とフォローにならない言葉しか綴れない。
それほどに大事な試験、ここまで男の気分を高めるイベントであることは間違いない。
──デュエルアカデミア。
一般的な学問の外に文字通りデュエルを教える場所。大概が社会とは隔絶された場所に存在し、通う生徒は何から何までデュエル尽くしで鍛えられる。
例えプロデュエリストになることが目的でなくても、デュエルモンスターズが好きな子供なら一度は通ってみたいと考える夢の場所。
今日は全国に存在する中でも一番の格式を持つ本校高等部、その実技試験日なのだ。
ここにいるのは筆記試験を潜り抜けた猛者たちばかり。とうぜん、この男もその一人だ。
「筆記試験の成績は117番……いやまあ、テンションが上がり過ぎてて途中から回答欄がずれていたに違いない。俺の本来の実力なら一桁は確実だったはず……」
……ちなみに今回の受験者の数は120名であることは周知の事実である。
手にした試験票を握りしめ目に炎を燃やす男。とうとう周りの受験者たちがイラついてきたらしい、試験官へ苦情を入れようと動き出す者もいた。
だが男は気づかなかった。
「い、いやそんなことはどうでもいい!
この実技試験で試験官を倒し! 実力を知らしめ! 俺はデュエルキングとなる! その伝説の始まりはこれからなのだから!」
「──おにぃーさん♥」
彼の背中から声をかける、その女児の存在に。
「ひょっ!? ……だっ、誰だ君は!」
自分の世界への侵入者に驚いた男、跳ね上がり汚い声を上げ通路の壁へとダイブした。
鈍い音を立て鼻を赤く染め上げた男。少しした後、誤魔化し声を荒げる。
「クスクス……人に名前を尋ねる時はまず自分から、って学校で習わなかったの? それにしてもそんな真っ赤にしちゃって、クリスマスはまだ先だよ?」
少女は真面目に答える気などない。壁に激突した男を笑い「サンタに置いてかれちゃったの?」などと言葉を続ける。
男もかなり迷惑な人物ではあったが、この女児も面倒くさい人間と認定して間違いないだろう。
「なっ、この! 子供だからっていい気になりやがって……!」
そんな挑発を受けて腹が立たない器ではない。すぐに鼻以外も真っ赤に染まればその原料は恥と怒りだということは言うまでもない。
加えてさらに苛立ったのは、女児がどう見ても年下だということ。
身長は130超えてるかどうか。恐らくは日本人ではないのだろう瞳の色と金髪のツインテール。
おおよそこの場にはふさわしくないオシャレパーカー、膝,手の甲までも隠すかなり大きめのもの。
15歳である自分よりも二つ……いや三つは最低でも低いだろう女子。小学4年生辺りだろうか。
そんな見積もりの子供に好き放題言われたとあってはプライドに関わる。
だがその行動を見て女児は追撃をかける。猫をモチーフにしたのであろうフードを深くかぶり防御してますと言わんばかりに顔を背ける。
当然、顔は笑っている。
「エー怖ーい♥ おにーさんってばこんな小さい子に怒っちゃって恥ずかしくないの? それで伝説のデュエルキングになるだなんておっかしぃんだぁ! アハハ♥」
心のこもっていない悲鳴はただ人を腹立たしくさせるだけである。
げん骨の一つでもくれてやろうかこのガキが……、男の怒りは限界にまで上り詰めようとしていた。
しかし周りの目があるし、なにより口で負けたからと言って暴力に出ることそれは人間として負けたも同然だ。
『──あーあー、てすてす、マイクテスト。……まもなく実技試験を開始します。受験番号120番から110番までの者は』
そこで水が差された。熱くなった男を冷まさせるスピーカーの音声。
早くいかなければ順番を飛ばされてしまうし、なにより呼ばれた時にこない不真面目な受験生だと思われてしまう。
「そもそも今日は関係者以外立ち入り禁止の筈だ! 俺はこれから試験があるんだ、ガキは早く家に帰って宿題でもやってろ!」
男はそう言うと颯爽と走り出し女児に言い捨て置いて行く。
会話バトルに最後言い放ち相手からの返答を聞かなければ、それは勝利にも等しい。
これは逃げではない。会話の不毛さに気が付き打ち切る賢いものの選択なのだ。そう男は自分に言い聞かせた。
……はたから見れば、女児に言い負かされて涙目で試験に向かったようにしか見えなかったが。
ともかく、そんな男の後ろ姿を見て少女は
「……キャハッ♥」
また楽しそうに、口角を吊り上げた。
◆
男は筆記の試験はズタボロだった。
だがそれは実技への自信の裏返しでもある。町内子供デュエル大会では何度も勝ち、周りからは「将来プロデュエリストになるんだよね」と言われるほどに。
男は当然だと思った。故にアカデミアの試験も簡単に突破できると思い込んでいた。
「……馬鹿な。何もできずに終わった……?」
自身の左腕にはめた機械、デュエルディスクから鳴ったブザーが耳に焼き付いて離れない。
LifePoint、通称LPが0になったことを知らせたもの。つまり敗北の証。
モンスターもマジックもトラップも、数段上の世界を見せつけられ負けた。
井の中の蛙、ゲコゲーコ。頭の中で先ほどの女児が笑っている気がする。
「アンタの実技はこれにておわり。結果はまたあとで郵送されるから」
そう言われて返事をしたかどうかも覚えていない。
男は観客席に座り込んで、ずっと地面を見つめている。
急に未来も何もが見えなくなってしまったような絶望感。首が締まっていく錯覚すら覚え、これからどうすればいいという焦燥。
「──って感じだと思うんだけどぉ、メディっちどう思う♥?」
「叩き落した張本人にそう言われているトーハ、彼も気づかないでしょうネェ」
先ほど受験生を煽り散らかしていた女児と、これまたキワまった……ガイコツのように骨ばった顔と似合わぬ金髪おかっぱポニーテールの男性。二人は試験官たちの待機所と思われる場所でお茶をしばいていた。
骨張り男の名はクロノス・デ・メディチ。デュエルアカデミアの実技担当最高責任者である。
この場において一番偉いのはクロノス。そんな彼をメディっちと呼び捨てにする女児がただものではないのは見て分かる。
「流石にあれはやりすぎの気もしましターガ?」
「えー、だって魔知ガエルを並べただけだしぃー。モンスター破壊効果のカードとかろくにいれてないからああなるんでしょ」
このカードがモンスターゾーンに存在する限り、相手は他のモンスターを攻撃対象に選択できない。
他略。
カエル系のカードってやたら強いわよね。
つまりこのカエルが二体いるだけで攻撃対象に選択できなくなり、男は何もできずに負けた。
攻撃することしか考えていなかったが故の悲劇であった。
試験担当が先ほどの子供だと分かった男は仕返しとばかりに意気揚々とゴブリンやらなんやらを召喚していたが、突破できなくなるやどんどんとしおらしくなっていったのは中々に滑稽であった。
「あれはまぁ落ちるとして、今年はいまいちパットしないわねぇ……」
やがて興味を無くしたのか、パーカーの袖を振り回して遊ぶ女子。
それをみて頷きかけた後、ピンときたらしくクロノスは眉をひそめた。
「そうデスーネ……去年どこぞのオコサマ試験官が、"自分のデッキ"で実技試験をして暴れたせいかもしれませンーノ」
うぐっと女児は動きは止まる。
男の言葉に周りの試験官たちも同調し頷いた。四面楚歌、逃げ道無し。
「……え、えーオコサマ試験官って誰のこと―? 私よくわかんな~い♥」
キャハッと取り繕ってみるが空気は微風もなしに変わらず。
「……だ、だってぇ! あ、あの時の受験生が『こんな子供に何が出来るんだ』なんて、だからその……少しぐらい年季の差をわからせようと……ちゃ、ちゃんと実技自体は勝ち負け拘らず採点しましたー!」
「初等部の設立でもするからその広告ですか? 息子が帰ってずっと泣いています。労働法って知ってる? などナード、多数のありがたい意見をいただきましたノーネ」
趨勢は火を見るより明らか。勝てない試合だ。クロノスはよほど溜まっている物があったらしく、考える時間も無しにすらすらと述べていく。
言えば言うほどに周りの試験官たちの頷きも大きくなり言外に「調子に乗ってんじゃねぇぞ」という怒りすらある気がしてきた。
これはいけない。反撃の手段を女児は探そうにも何もない。
だが、だがここでメスガキに横風が突き刺さる。
会話を聞いていながらも業務の遂行を優先しようとした試験官の一人が、マイクの電源を入れた。
『──受験番号10番から1番のものは指定の位置へお集まりください』
「……あっ! そ、そそそろそろまた実技試験の時間ね!! 受験生たちを待たせるなんていけないことだから、ええと、この試験用デッキ持ってデュエルしてくるわ!!」
脱兎のごとく。
普段なら「待ち人? ははは、待たせるだけ待たせておけ」と巌流島戦法をとることすら厭わないものが心にもない事を言って駆け出した。
盗人さながらのにトランクケースの中のデッキを抜き出して走っていく様は完全に逃亡者そのもの。
もっと言うなら先ほどの受験生よりも徹底した逃げっぷりである。
あまりの勢いにクロノスはぽかんと置き去りにされた。
しかし数秒後に意識を取り戻し、既に遠く小さくなっている彼女に対して声をかけた。
「あ、待ちなさぁーい! 話はまだ終わってませンーノ! おこさま先生──じゃなかった、Ms.ルナ──」
◆
「──ルナ・ベルケット先生、ですよね」
「あれ? 私の名前を知ってるなんて……もしかしておにぃーさんはファンか何かなのかな? ルナ嬉しい♥」
ところ変わって言うか観客席からステージ移り、二人は相対していた。
15歳にしては逞しい体と太いもみあげが特徴的な男。彼はどうしてか目の前の試験官のことを知っているようである。
「ええ、噂はかねがね。こうして実技を担当して頂けるのは光栄です」
噂とはどの噂だとルナは一瞬考えたが、すぐさままた「外用」の顔に戻す。なんにせに褒められているのなら悪い気はしない。
それではとお返しばかりに男を褒めようとルナは大きく手と足を動かしアピールする。
小さい体でそうすれば、なんともほほえましい光景に映るものだと理解しての行動だ。
「ありがとう♥ 流石は
「よろしくお願いします!」
男、三沢 大地は相手のペースを崩すことが多い子供ムーブも受け流し、精根整ったと言わんばかりの眼差しでルナを射抜く。
少しルナはそれに驚きつつ「これなら少しは退屈しないかもしれない」と思い受けて立つ。
「少しはルナのこと、楽しませてね♥」
三沢が左腕を振りかぶり、戻す勢いで前に突き出す。
ルナはパーカーのジッパーを一気に摩り下ろしはためかせ、パーカーの内側に備えてあったディスクを取り出す。
お互い既にデッキはディスクに刺さっている。
ならばもう、あの言葉を叫ぶしかない。
「「
戦いの火蓋が今、切られた。
・ev詰めデュエル01
条件:勝利せよ
効果は全てOCG準拠のものである。
また解は複数あるものとする。
メスガキLP:1300
フィールド:
-モンスター:アステカの石像(表守備),ビッグシールドガードナー(表守備)
-罠 :D2シールド(裏),クロスカウンター(裏)
-魔法 :なし
手札 :火炎地獄
墓地 :11枚(詳細無し)
融合デッキ:0
デッキ :24枚(詳細無し)
三沢LP:1600
フィールド:
-モンスター:デーモンソルジャー(表攻撃)
-罠 :破壊輪,全弾発射
-魔法 :
手札 :キラー・トマト,トマボー,死者転生,強欲な壺
墓地 :16枚
融合デッキ:0
デッキ :17枚
フェイズ:メスガキのエンドフェイズ
ルナ「ターンエンド、あとはバトルマニアさえ引けば終りよ!!」
このカード名は1ターンに1枚しか発動きない。
相手ターンに、相手のライフ以下の攻撃力を持つ相手場の表側表示モンスター1体を対象を破壊し、自分はそのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを受ける。その後、受けたダメージと同じ分のダメージを相手に与える。
効果改定前はこれと防御輪のコンボが強烈だったわ