日刊66位、ルーキーでは8位を獲得できました! これからも頑張っていきますのでよろしくおねがいします。
お詫び:問題文において「メスガキは意地が悪い」と書いておらず混乱させてしまいました申し訳ございません。
いつだって、デュエルというのは真剣なものとは限らない。
時にはお遊びでだって楽しめる。勝っても負けても楽しい。
カードに描かれているモンスターや一場面を切り取った魔法罠を見事に再現する超技術「ソリッドビジョン」の導入により、見ているだけでも楽しい。
それが今日、カードゲームでありながらも世界的娯楽となった魅力の一つだろう。
「え、えーと俺は切り込み隊長を通常召喚、その効果で手札からレベル4以下モンスター……岩石の巨兵を特殊召喚!」
おどおどしながらゆっくりとカードをディスクに置いていくその姿に反し、彼の目の前には勇敢なるモンスターたちが召喚される。
歴戦の勇士であり目の下の傷が武勲を物語る騎士。そんな彼の二倍以上の巨躯を持ち、剣や矢など通さないと言わんばかりの体を持つ石の魔物。
上がる土煙が彼らの推参を演出する。
匂いなどは流石に難しい……が、動作一つで擦れる金属鎧。揺れる地面などが映像そして音で再現されている。本物かと見間違うほどの完成度だ。
一.通常召喚に成功した時に発動可能。
手札からレベル4以下モンスターを1体特殊召喚。
二.モンスターゾーンにこのカードがある限り、相手は他の戦士族モンスターを攻撃対象に選択できない。
どっちも優秀な効果を持つ素晴らしいカード。これでレア度が高ければ言うことなし!
「そして伏せカードの装備魔法、ドーピングを発動! 岩石の巨兵に装備。これで攻撃力は1300から2000に!」
空に現れたる薬瓶。ひとりでに逆さになるとそのまま岩石の巨兵に降りかかった。何ともシュールな光景だが目に見えて岩石がイキイキとし出すのが分かる。
鉱物好きにとってはなかなかたまらない光景かもしれない。知らないけれど。
「バトルだ! 岩石の巨兵でセットモンスターを攻撃! 切り込み隊長も続けぇ!!」
裏守備。未だカードの裏面しか姿を見せないモンスターに対して巨岩の一撃が降りかかる。
彼はセットモンスターの本来の守備力が1600、発動されている相手の「カオスシールド」により1900まで上昇することも知っている。
攻撃力が守備力を上回れば破壊可能。がら空きになったフィールドを切り込み隊長が駆け抜ける。
「さぁどうだベルケット先生! これで俺の勝ちだ!」
「──ふふん……ざぁこ♥」
そのはず、だった。
窮地に追いやったと思っている先生はフードの袖で頬を隠し、口角がつり上がりむき出しになった八重歯をぎらつかせる。
罠に引っかかってくれてありがとう。そう生徒に対し伝えていた。
「セットモンスターは異次元の女戦士! 戦闘を行ったダメージ計算の後、相手モンスターと一緒にゲームから除外できちゃうの♥」
「ええっ!? それじゃ」
「へへーんだ、可愛い女の子には棘があるって教えてもらわなかったの? それじゃ岩石の巨兵くんはじょが~い♥ 」
カードの裏面に岩石の剣が突き刺さる。
やがて裏面が割れたかと思えば、鎧を着た女剣士が岩の体にしがみついているではないか。
振りほどこうとしてももう遅い。突如として黒い穴が開いたかと思えば二体ともその空間に飲み込まれてしまった。
「う……で、でもまだ切り込み隊長が」
「おまぬけさん♪ 岩石の巨兵自体は除外だけど……装備されたカードは対象がいなくなったことで墓地に送られる。こんな簡単なことも忘れちゃうなんて」
言葉と共にカラになり転がっていた薬瓶が割れる。
それを合図に、ルナの隣で発動されていた赤紫色のカードが怪しく光り、カードの絵柄からゴーストたちが現れる。
青白く透き通った体、この世への未練怨念を微塵も隠さない恨みの顔。生者を呪い、落ちるものを嘲笑い仲間にする者達。
愚か者を引きずりこもうと生徒へと迫る。
「あ」
「永続罠、死霊の誘いの効果。お勉強が足りないメガネくんに300ポイントのダメージ♥」
「うわぁぁぁ!」LP:100→-200
ゴーストが生徒の体を突き抜けた。それだけで体の力が一気に抜ける気がして、生徒は膝をつく。
青き尊き制服に埃をつける敗北。悔しさがあふれ出る。
一部始終を教室の片隅で眺めていたメイドは後に語る。
思い通りに行ったからって生徒が間違えたのを心底喜ぶのは先生としてどうなんだろう、と。
「メガネかけててブルー寮の癖して勉強も出来ないの♥? モンスターの効果、異次元の女戦士の効果一つ覚えてないなんて落第してもおかしくないね~ざぁこ♥ ざこデュエリスト♥
宿題増やしておくから覚悟しておいてね♥」
有頂天になり小躍りするまでする主人を見つつ、メイドは一人お茶を嗜んでいた。
◇
「切り込み隊長で一刀両断侍を特殊召喚。ドーピングを切り込み隊長に装備、一刀両断侍で裏守備の異次元の女戦士を攻撃。
一刀両断侍の特殊効果を発動、裏守備モンスターを攻撃した時、ダメージ計算無しで破壊! 死霊の誘いの効果であなたに300ポイントのダメージ。攻撃力1900となった切り込み隊長で
「ぐわぁぁぁぁ!! ドーピングはいらないでしょぉぉぉ!!」LP:500→200→-1700
だから生徒にわざわざダメージ上乗せで殴られるんだぞ。メイドは心の底で思った。
おおーという周りの感嘆の声がやや上がる。中にはこんな退屈な問題でなにを、と片肘を突いて見ているものもいるが……それはそうとモンスターが流れるように動くところは見ていて楽しいのだろう。やや前のめりになっているのを隠しきれていない。
「はいっ、はいおしまい! お、おめでとう三沢っち! 流石にこの程度の問題は簡単すぎたようね!!」
「ええ、通常召喚という題名に騙されずにカードを選ぶ、というのにやや手間取りましたが」
教室の中で賞賛を受け取りながらカードを教師に返す三沢。確かにこの問題はラーイエロー、もといラーゴールドトップの実力者には優しすぎる。
……だが、今回の狙いはそちらではないのだ。ルナは改めて教室にずらり並ぶ生徒たちの顔を見る。
自分も授業中にカードが触りたかったと残念そうに目を輝かせる者、簡単すぎるという文言に間違ったのが恥ずかしくなり俯く者、ルナのことを見定めるかのように見下ろす多くの強者たち。
「(ブルーのトップは、万丈目グループの三男、万丈目 準。そして女子の象徴に早くもなりつつある天上院 明日香。レッドでは、クロノスを倒した遊城 十代。この三人をいかにうちに引き込めるかってところかしら)」
既に台頭しつつある各寮の実力者たちの反応は大事である。
ブルーの二人組はやや退屈そうにしているためまだ厳しいが……レッドの遊城はカードを使った授業に喜んでいるようにルナには見えた。
これならば彼を引き込むことも容易だろう。鼻息を荒くする。
さて、時間はお昼前。
アカデミアの中に複数ある教室の一つ。100人近くは収容可能、階段状に並ぶ机にはたくさんの生徒達が腰かけていた。
最前列にはイエローの生徒が。中段にはオシリスレッド。上段の一番遠い席にオベリスクブルー。
当然イエロが一番前にいるのは、この教師の差し金……というよりか「私の授業の席は早い者勝ちだけど、わかっているな?」との脅しのおかげだ。
「(……ブルーでも……特に女子組は結構間違えたわねこれ。大丈夫かしらこの学園)」
この学園ではオベリスクブルーこそが最高位の生徒達の筈だ……が、女子組においてはそうではない。
入学当初の振り分けでは、
中等部からのエスカレーター組は上位がブルーへ、下位がイエローへ。
編入組は上位がイエロー。しかし下位は一番下のレッド行き。
だがここに一つ、例外が存在する。それは「女性」という性別の問題だ。
女子だけはその実力に関係なくオベリスクブルーへと配属される。その理由は「ブルー以外に女子用の寮がない」というものだが……これはいけない。そんな境遇でも学園では最高位のブルーだ。
実力のない女子はブルーの中での地位は低いものの、そのストレスからか他寮相手に強気に出ることはままある。それが下の者の心意気を腐らせる。
だからこそ、だからこそ、
「(やっぱりラーゴールドこそが、この学園で一番になる資格があるわ!!)」
そこで私欲に走らなければいい事を言っているはずなのだが……。
ゴールド寮建て替えの際には校長に掛け合い、女子用の部屋も用意しておこう。そうすることで二つの寮に女子が置け実力とヒエラルキーの矛盾がやや解消されるはずだ。
拳を握りしめ思う。
……そのためには、こんな問題を間違えてしまうような生徒達をどうにかしなければならないのだが。
「……カード効果が分からないなぁーって時とかは、そのカードを持ってる人を探して交流したりぃ、図書室にカード名鑑があるからそれを借りたりするのも大事だよ♪
まあアカデミアに来てるようなおにぃーさん達はそんなこと、言われないでもやっていたはずだよね♥?」
次回からの取り組み方のヒントを出しつつ考える。
確かにモンスターの効果などはわざと伏せてはいたが、名前はしっかり明記していた。それなのにこのありさまか。
自分の掲げる目標が意外と達成可能なのではないかという余裕と、逆にラーゴールドでも間違えたものが多くいたという事実に頭を悩ませる。
「えーと、ルナの授業はこんな感じにー結構詰めデュエルやらの問題を記述のプリントで、そしてそれを元に実技で答えさせまーす♪
し・か・も、今回の問題は前日にラー寮には出していたんだけどぉ……授業課題とは別にラーの子たちには出す予定なの♥ もっとやりたい、もっと解きたいって子たちは是非ともうちの寮を目指してねぇ♥」
露骨な生徒びいきである。大丈夫かこの教師。
その面倒くささにラーゴールドの生徒達も含め、大半が嫌そうな顔をする。だがそれを見てルナは怒ることもなく笑顔の下でぐふふと笑う。
どうやら今回はその反応はお見通しだったようだ。やる気のない生徒達に上を目指させるのがいい教師と言うものである。
「……セフィ」
右手を開き空に向け名を呼ぶ。その行為をするだけで注目が集まる。
数瞬の間が開き、メイドが巻物をルナの掌に置いた。
「はいここに。生徒の皆様こんにちは。わたくしはお嬢様のメイドをしております、リゼ・セフィともうします。ちなみにフランスの生まれで──」
「自己紹介とかいいから!」
用は済んだから帰れとばかりにしっしっと手で示すとメイドは一度お辞儀した後いなくなる。その後姿に「あぁ……」と残念がる男子生徒がいたためルナは冷や汗をかく。
このままではお子様の面倒を見る素敵なメイドさんなんて評価がついてしまうと。
すでに手遅れであるとは知らず、ルナは巻物を広げる。
「授業の時には希望者に問題を解いてもらうんだけどぉ……なんとっ! 一番に正解した子には、ご褒美をあげちゃう♥」
もので釣るのは果たして立派な教師と言えるのか??? 生徒の半数が思った。
残りの生徒は授業で褒美? せいぜい成績に少しプラスされるくらいでしょと舐めていた。
「──その詰めデュエルで使用したカードの中から好きなのを一枚プレゼントするわ」
「「ぅぉぉおおおおおお!!!」」
会場が沸いた。具体的に言えば隣の教室にいた人たちが怯え、校長室に居たはずの鮫島校長さえ地震かな? と誤解するほどに。
元々カードを多く持たぬレッドの生徒は大いに喜び、他の生徒達の二倍チャンスがあるイエローの生徒も奮い、ブルーでは下位に属する者達も思わず声を上げた。
この学園においてカードは財産だ。それが貰えると知れば盛り上がらない訳がない。
「……よしっ」
メイドはひそかにガッツポーズを取っていた。
レアカードが買えずに嘆く主人に対し、なにが入っているのか分からない通常のカードパックならば一定数までと提案。
それではノーマルや低レア。更には当たってもあまり嬉しくないタイプのレアカードが余るじゃないという反論には「そっちは生徒にプレゼントしましょう」「生徒からの好感度がうなぎのぼりですよ」「そのうち皆あなたのことを慕いますよ」と唆した。
それってカードの切れ目が縁の切れ目になるだけじゃないか? ルナは気が付くことは無かった。
この素晴らしき悪魔的発想により、余らせてたいしていらないカードたちは褒美として。
それ以外のノーマルや微妙なカードたちは今日からラー寮で「使わないカード入れ」が設置され、投函。多くのラー生徒たちがその恩恵に預かれるようになる。
これの設置により生徒のカードプールの充実を図るのが狙いである。
聖人かと思わせる程の偉業。
それが言い争いの成果だという事を知っているのは彼女だけである。
興奮冷めやらぬ会場の中、三沢が自分にはその権利があるのだと気が付く。自分の顎辺りまで軽く手を上げ恐る恐る質問した。
「……えっと、じゃあ俺は……異次元の女戦士を」
「いいよ♪ これはスーパーレアだけど……流石に20枚もいらないもん♥」
今回は金庫から取り出した一枚だったが、彼女にとっては「たくさんあってさすがに飽きる程のレアカード」と「生徒達から喜ばれ慕われる」ことを天秤にかけた時には後者に傾く程度のもの。
ルナも何の気なしにカードの束から一枚抜き出し三沢へ投げた。
受け取って確認してみるが、確かに絵柄が光り輝いている。スーパーレア、それも本物だ。
スーパーレアカードが、問題一枚解くだけで手渡された。
その光景が更に会場をヒートアップさせる。これからの問題にはどんなレアカードが出るのだろうか。そう思うだけで興奮が止まらない。
「……な、なんか予想より盛り上がっちゃったわね」
流石にここまでくるとルナ自身も引き始める。
何事かと見に来た生徒たちが困惑の表情になっているのが教室の外に見える。
「……お嬢様、自分で言いだしておいて何ですが」
「なによ」
「……これ、大問題になったりしませんかね?」
私はかわいいから大丈夫でしょ。
そんなジョークすら飛ばせず、ルナも押し黙った。
お金じゃなきゃセーフでしょ。ルナは思っていた。
このあと校長からバチクソ叱られることになるとはまだ知らない。
「ノノノーネ……なんて恐ろしい事を。でーも、おかげで遊城十代は教室に釘付けにできるノーネ」
とある復讐を成すべく、計画を企てていたクロノス教諭。
彼が他の野次馬の生徒達に押しつぶされながら笑っていたことも知らない。
本日の騒ぎは、これだけではおさまらないようだった。
・詰めデュエル 「痛みが気持ちいい?」
条件:このターンを耐え抜き、次のターンで勝利せよ
効果は全てOCG準拠のものである。
また問題のため、やや現実ではありえない盤面であることに目をつぶること。
メスガキLP:1900
フィールド :死皇帝の陵墓
-モンスター:
・バイトロン(表側攻撃/攻・守 2400→2900・1000)
-罠 :なし
-魔法 :重力の斧-グラール(装備魔法/発動中/対象:バイトロン)
手札 :0
墓地 :1枚(ヒゲアンコウ)
融合デッキ :0
デッキ :37枚(詳細無し)
貴方のLP :800
フィールド :サベージ・コロシアム
-モンスター:なし
-罠 :戦線復帰(裏)
-魔法 :なし
手札 :0
墓地 :千年の盾,アマゾネスの格闘戦士,衛生兵マッスラー,ロケット戦士
融合デッキ :0
デッキ :34枚(デッキトップ:マスター・ジーグ)
フェイズ:メスガキのメインフェイズ。なおバイトロンはこのターンにアドバンス召喚されているため表示形式変更不可。サベージ・コロシアムの効果でかならず攻撃してくるものとする。
ルナ「攻撃が成立することによりサベージ・コロシアムの効果で私のライフは2200♥ さぁどうするどうする? ふふーん?」
このモンスターが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が上回っていれば、その分戦闘ダメージとして相手に与える
貫通効果って意表突ける気がしていいわよねぇ
自分の墓地からモンスターを一体選択、そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。
雑に良い蘇生カードね。レベル制限もないから色々悪用できそう。
・補足事項 もう一人のデュエル座学担当者。
名前は「佐藤浩二」メスガキ先生がデュエル後、既にデッキ内容が決まっていることを主にデュエルタクティクスを充実させることに対して、
彼は制限カードなどについての解説、カードに対しての論理を教える先生である。裁定などを主に教えている。
ただ、かなり難解な授業であるため退屈、眠くなるというのが評判。