メスガキお嬢様先生のわからせかた   作:低次元領域

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 実家に帰ってのんびりしてたので初投稿です。

・前回までの丸藤 翔、意気揚々と舟をこいでブルー寮前に行ったらクロノス先生が嵌められていたので何も見なかったことにして帰った。

メスガキメインデッキ
LV3.「私の王女へのロード」←前回のあとがきにて使用されたもの
Lv6.「私と???のロード」

追記
 またしても詰めデュエルにミスがありました。私はメスガキになりたい


SOLUTE-4:試験準備の解法

 どんなことがあれど時は進む。

 過負荷に耐えられず止まる歯車仕掛けの世界ではない。

 

 学生たちの呻き声が響く島内。

 後一週間もすれば、とデュエルアカデミアでは日夜学生たちが己の進退を願い研鑽に励んでいる。

 目的は当然、学生にとっての苦しみ──試験だ。

 

 ……これはその中でもひときわ励むものの一場面。

 

「フィールド魔法、疑似空間がフィールドから離れた場合。その前にコピーしていたカード名と効果は失うため破壊時や場から取り除かれた際の効果は発動できない、と……佐藤先生の出題するものは興味深いものが多い」

 

 秋の夜長、ラーイエローが誇る秀才三沢大地は食堂で一人勉強を続けていた。

 書きつられ続けるノートは積み重ねられ、『予習用1』『復習3』『応用1』『応用2』『応用3』と簡素に書かれたタイトル、おろされて真新しい筈の表紙。

 その中にびっしりと書かれた文章と数式が彼の勉強量を物語っている。

 

「……でも、どうにも授業ではそこら辺を掘り下げてくれないんだよな」  

 

 授業で取り扱うものは褒めつつ、指導方針には思うところがある三沢。やや悩まし気にペンを手で遊ぶ。

 当然、佐藤先生本人は真剣に授業をしているのだが……三沢が気になるものと、彼の担当する生徒の平均の低さ。これらの差が、優秀な三沢にとっては基礎も基礎の所のみで授業が終わるという問題を生み出しているらしい。

 ただでさえ授業は三寮合同。知識の習得具合も違う者達を集めてうまくいくはずがないというのも原因か。

 

「しょうがない、気になる所は教科書と自分で進めるか……」

 

 とうとうテスト範囲どころか教えられた箇所というタグ付けすら無視し始めて知識を集め始めた男。この行為が後に佐藤先生の心を苦しめることになるが……それはまた別のお話。

 ……そう、この男はテスト範囲など眼中にない。

 

 テストには普段から勉強している所のどれかが出るだけなので、日ごろ完璧にしていれば態々そこだけを勉強し直す必要もない。

 

 本心からそう考えているのだ。つまりこの勉強量すらも当たり前のこと。

 学生の本分は勉強だと言うが……あまりにそれは行き過ぎではないだろうか。学者にでもなるのか? 彼の取り組みを見たイエローの生徒達はそう思ったらしい。

 このままでは体を壊してしまうのではないか、危うさも見えた、

 

 が、

 

 

「……論理デュエル学はそれくらいにして、少しお休みになられませんか? そろそろ食堂も立ち入り禁止の時間ですし」

 

「あっ、もうそんな時間か……ありがとうございますセフィさん」

 

 ティーポットを片手にそれを制するものがいた。

 子供にしか見えない副寮長に仕えるメイド、リゼ・セフィ。彼女の手元からは仄かに湯気が立ち上っていた。

 

「いえいえ。食堂の一部を使わせていただく代わりではありますが、パトロールのような物を仰せつかってますので」

 

 時間すら忘れていた三沢に対しコーヒーを差し出して彼女はパタパタと片づけを始める。他の生徒が使っていた椅子をテーブルの上に置いたり、掲示物を貼りなおしたり。

 三沢は特別な生まれではない故、メイドと言うものをまず見たことがない。しかしその仕事ぶりは素人目でも判断できる。

 

 所作の一つ一つが完成しているとは言い難いが、一連の流れの手早さはまさに仕事にしている者の技である。

 感心しつつ、三沢も邪魔にならないよう筆記用具を仕舞い始めた。

 

「……もう長いんですか? メイドをされて」

 

 されど、知識欲というのは唐突に湧いて出るものでもある。

 うら若き、は言い過ぎだが未だ20代であろう彼女。その手際はどのように学んだのか。

 不意に気になった彼は尋ねた。

 するとメイドは何かを思ったのか、やや作業が遅くなりつつも背中越しに返す。

 

「──私が8歳の頃から今まで、ずっとお嬢様のお傍におりました」

 

「は、八歳……?」

 

 十年、下手をすれば二十年近く。人生の大半を費やしてきたと語る彼女の後ろ姿に思わず三沢は息を飲む。

 ……あの、負けただけで試験中に泣きだしてしまうような主人に、という要素を付け足すと更に壮絶さが増した。

 

「……ふふっ、むしろ今の方が安心できますが?」

 

「えっあ、あの」

 

「メイドですから、人の顔は読めますよ」

 

 いつのまにやら彼女は振り向き、三沢を見下ろしていた。細く切れ長な瞼から僅かに翡翠の瞳を覗かせ笑っている。

 すごく大人びている気がするのに、童心に帰っているようにも思える不思議な笑みだ。思わずドキリと三沢は強張る。

 それすらもクスクスと笑うメイド。悪戯が成功した、そんな顔だった。

 

「昔のお嬢様は……勇ましくはありましたが、少し怖かったので」

 

 そして語り零した内容に、やはり三沢の知識欲が触れる。

 

「……怖い?」

 

 授業内容、持っているであろうレアカードの数々。

 それらとは合わない程油断をする人だと思っていた。油断、侮りさえなければ確かに教師最強と名乗っても生徒から笑われない程度の実力はあると思っていた。試験前の事前調べで知った彼女の情報からもそう思っていた。

 

「……それは、アカデミアの教師になる際、生徒相手に50連勝した。その頃よりも前の話ですか?」

 

「おや知っておりましたか……その時も51戦目には手札事故を起こし何もできずに負けたので、そちらばかり有名になっていますが」

 

 デュエルアカデミアの、しかも本校の教師になるためには厳しい試験を切り抜けらなければならない。

 だが不思議なことに、一切の大会記録もない。学術、論文の一つもない彼女が鮫島校長の推薦により教育実習生になった。

 

 当然、実力を疑われた彼女、示すためか来るもの拒まずで対戦を受け続け……51戦目で何もできず負けた。不名誉な話として語り継がれていたが、裏返せばそれだけ勝ちつづけたということ。

 その後、教師として正式採用。今に至る。どれほどの豪胆さかと期待していた三沢は実技試験で驚いたに違いない。

 

「うーん……そうですね、ここの電気が落ちるまであと十数分あります」

 

 時計を見てやや考えた後、彼女はキッチンから自分の分のマグカップを持ってきてポットから注ぐ。

 先ほどよりか控えめに湯気が立っていた。

 

「折角ですし、私の暇つぶしとあなたの休憩代わりに……お嬢様の話でも聞いていきませんか?」 

 

 そう言って対面席に腰下ろす彼女を、三沢は何も言わずに受け入れた。

 まだ夜は、終わらない。

 

「……あれ、お湯ですかそれ?」

 

「──ええ、最近のは粉を入れるだけで楽ですね」

 

 そう言ってインスタントコーヒーを楽し気に作る彼女を、三沢は何も言わずに見逃した。

 ここまでどうどうとインスタントを使うメイドというのも、初めて彼は見た。

 

「……あっちなみに私、紅茶を淹れること以外は他人に振舞ってはいけないとお嬢様から料理は禁じられているのです」

 

「そっそうなんですか?」

 

 ここまでの印象から三沢は考えた。

 幼馴染に近いメイドの手料理を他人に食べさせたくないとか、それぐらいの可愛らしい独占欲の結果だろうか。

 

「『その、リゼの料理は……うん。どんなものでも食べられるようにすることに関しては完璧ね!!』とお嬢様から太鼓判は得ておりますから、ご賞味いただけないのは残念ではありますが」

 

「ハハハ、マタノキカイニ」

 

 どうしてか、謎の物体が乗った皿の前で震え目を逸らしているルナ先生が浮かんだ。あのなんでもストレートにぶちかます先生ですらお茶を濁すとはどんな事態だ。

 突如脳内と連動し震えた体に、彼は粉が溶け切っていないココアを流し込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だ~か~ら~! こんだけお願いしてるのに何で聞いてくれないのよぉ~!」

 

 あまりに卑劣な戦いの決着がついて早一日。 

 またしても校長室にて、一人の女児が校長へと食い下がっていた。

 抱えた書類を机に叩きつけ、ピョンピョンと跳ねる様はウサギのようだ。校長は可愛らしく表現した。

 

「もう一回言うわよ……今度の入れ替え試験の方式を変えてほしいなぁって♥」

 

 更に可愛く仕上げるため一度息を整え、両手で頬杖を作り首を傾けた。

 これぞ世の男たちをぶりっ子してるなぁーと言わせながら警戒を緩くし、女子からは嫌われる奥義の一つである。

 使われて困らなかった男たちはいない。

 

──駄目です

 

 だが無駄……ッ! すでに何度もその奥義を使われてきた校長に対し、もはや無意味……っ!

 無慈悲にも書類はつき返される。 

 

「なんでぇ!? イエローの副寮長、オベリスクブルーの男女両方の寮長の意見書なんてかなり効力あるでしょう?!」

 

「いえ、そもそも試験の一週間前にいきなり試験方式を変えるわけには……」

 

 これは正当な回答である。繰り返す校長に対して一教員であるルナ・ベルケットにはどうすることもできない。

 寄付金戦法も使えなくなった今、きちんと「教員としてこんな意見が出ています」と書類を集めた彼女の成長を褒めるべきではあるのだが……。

 

「大体筆記はともかくとして実技を評価する今のやり方。同じ寮の、実力が近そうな一人としかデュエルしない。しかもそれを眺めてなんて参考にならなすぎるのよ! それを見て『昇格に相応しいか』なんて判断つかないわよ!

だからこうして『5人グループで総当たり戦』優良な成績をとった者は上位の寮のデュエルして勝ったら昇格! ってシステムチックにした方がいいって提案してるんじゃない!」

 

 その他、「レッドの寮は実技のみ優良でも上位昇格デュエルを受ける権利」「ブルーは下位の者の昇格デュエルで負けたら即降格」など、明らかにイエロー寮に人を集める気満々の改革案。

 それにしても一応形としてはより実力を測りやすい、寮間の流動を活発化させる狙いが分かる改革案。急過ぎるためか校長へのウケはとても悪い。

 

「いや、それは分かりますがやはり生徒達は色々準備してきているわけで……複数人とのデュエルではデッキの構築も変えなくては」

 

 事実、対策を練られやすい戦略を使うデッキとしては致命傷になり得る変更だ。初見殺しが悪いという訳ではないしやはりいきなりは……。

 

「一人にだけ勝てばいいなんてデッキ構築してる奴は落とせばいいのよんなもん!!」

 

 それを知ったことかと切り捨てる教師のクズ。

 彼女のサイドポーチには対機械族、対コントロール、対パーミッションと言った厄介なデッキに対してのメタカードが複数隠されており、いざとなったらすぐにデッキのカスタマイズが出来る様にされているのは秘密だ。

 

ワタクシ相手にメタカードバリバーリ入れてたオコサマが何か言っているノー……ネッェェ!?」

 

「えー♥? メタに対してのメタも考えてないデッキを使う実技指導最高責任者が何か言っているけどルナってば子供だから分かんなーい♪」

 

 意見書を書かされたクロノスはやや不満げにルナの隣に立っていた。が、愚痴を一切聞き洩らさない地獄耳少女につま先を踏まれ言葉にならぬ痛みを叫んだ。

 そのやり取りを見て何かあったと校長は悟っているが、少女に付け込まれたのが悪いと見て見ぬふりをする。

 

 システム・ダウン、酸性雨、或いは古代の機械が多く持つ共通効果「このカードが攻撃する場合、相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠カードを発動できない」に対し攻撃宣言時などに発動するカードをフリーチェーン──発動タイミングを状況に左右されないものたち──に入れ替える悪行をさらりとやってのけた少女にクロノスが勝てる道理はなかった。

 

「(くぅ……このオコサマ教師めぇ、後で覚えているがいいノーネ!)」

 

 企みが危うく明るみに出そうだった彼も懲りていない。しばらくすればまた何かひと悶着が起きるに違いない。

 

「オホン、この改革案は非常に面白いので。次回から少しずつ導入……という形なら考えられますが」

 

「えー……そんなゆっくりの改革なんて生ぬるすぎぃ」

 

 急進派である彼女には思い立ったらすぐ実行しなくては気が済まないタチだ。この校長からの譲歩にも不満げにしていたが……、

 

「……! じゃ、じゃあもう一個の方は認めてもいいって事よね!? こっちは生徒の準備とか関係ないし!」

 

「……断る理由もありませんし、一度見てもらった方が早いと思いますからな」

 

 意見書に書かれていた「試験方式への疑念」とは別の嘆願。こちらは別に否定もされていないと気が付いた彼女は上機嫌になった。

 生徒の為だとか何とか言っていたが、やはり現金な女である。

 一方そちらも書かされたクロノスはやや面倒そうに肩を落とす。

 

「かつて特進クラスの生徒の為に作られましたが今や廃寮。立ち入り禁止となっていました……マスターブラック寮の改築案。とはいえ、学園から予算は出せませんよホントに?」

 

「いーのいーの、こっちは私財で進めるし……まだ建ってそこまで経ってないから痛んでる箇所だって少ない筈……!」

 

 森の中に存在する廃寮。勝手に掃除なりなんなりをしてくれるなら学園としてもお願いしない理由がない。どうせ使えなくてもメンテは必要なのだ。

 あんなものをどうするのかと校長は不思議がっていたが……ルナには一つ夢がある。

 

「ラーゴールド寮の為の場所が欲しいのよ!」

 

「……そのラーゴールド、とかいうものの許可は出していませんよ?」

 

「グフフ……森の中の洋館とかお洒落でいいわよね。なんか幽霊が出るとか噂もあるけど、そんなの気にしないし見つけたら従わせて……」

 

 ゴールドへの道はまだまだ道は遠い。

 それでも確かな一歩を踏みしめた、進んだと思ったルナは校長の苦言は聞き流し両手を上げて喜んだ。

 

 

 

「……洋館のゴーストぉ? ふぅむ……なるほどなノーネ。ぐふふふのふー……」

 

 その様子を横目に、痛い目を見たばかりの彼もまたいい企みを思いついたと喜ぶ。

 二人が怪しげに笑っているので思わず校長は「意外と相性は良さそうですな」と他人事のように呟いた。




・詰めデュエル 「お前のフィールドは俺のもの」
勝利条件:このターンで勝利せよ
※誤記がありましたごめんなさい。
アンデットワールドの場所 フィールド→手札へ

 効果は全てOCG準拠のものである。
 また問題のため、やや現実ではありえない盤面であることに目をつぶること。
 解方が二つあったら本当に申し訳ない。

メスガキLP:1850
フィールド :ハーピィの狩場(発動中)
-モンスター:
・ハーピィ・レディ1(表側攻撃/攻・守 1300→1500→1800・1400→1600)
・ハーピィ・レディ三姉妹(表側攻撃/攻・守 1950→2150→2450・1400→1600)
-罠 :聖なるバリア-ミラーフォース-,波紋のバリア-ウェーブフォース-,ハーピィの羽根吹雪(三枚全て裏)
-魔法   :
手札    :0  
墓地    :5枚(万華鏡-華麗なる分身-,ハーピィ・レディ×2,霞の谷のファルコン,幻のグリフォン)
融合デッキ :0
デッキ :30枚(詳細無し)

貴方のLP :1000
フィールド :なし
-モンスター:ゾンビ・マスター
-罠     :なし
-魔法   :
手札    :戦線復活の代償×2,ゾンビ・マスター,ゾンビーノ,死者蘇生,アンデットワールド
墓地    :4枚(ゴブリンゾンビ,馬頭鬼,達人キョンシー,ドラゴンゾンビ)
融合デッキ :0
デッキ :34枚

フェイズ:あなたのメインフェイズ。
なおメスガキは貴方はあなたが何かしたらすぐさまハーピィの羽吹雪を発動するものとする。

ルナ「さてさて、こわーいゾンビデッキでどうされちゃうのかなぁ♥?」
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