この素晴らしき軽巡に幸せを 作:T督
よっしゃ演じてやったぞこらぁ!
冷たく暗い深海へと体が沈んでいく中、私こと、own級軽巡洋艦、HMS
俺は世に言う転生者の艦娘だ。転生前は艦これのイベント掘りの真っ最中で徹夜していた。そうして100週目を迎えようとしていたところようやく目的の艦娘であるシェフィールドを手に入れたのだが。そう思った矢先に死因は謎だが死んでしまいその目的の船であるシェフィールドとして艦娘として生を受けてしまう。
「うぁ……ここは……」
「えっと、大丈夫ですか?」
「え……うん、多分大丈夫」
(あ、阿武隈やんけ!?)
最初はもう驚きしかなかった。だって突然海の上で呆然と立っていると思ったら恐らくイベント海域を回っていた阿武隈率いる水雷戦隊艦隊がいきなり目の前に現れたのだから。
画面の向こう側の存在である艦娘が目の前にいて明らかに生きていると肌で感じる感覚で分かってしまう。そんな環境の中俺は艦隊の大破か中破したと思われる怪我をした駆逐艦、磯風に手を引かれながら鎮守府へと帰還する。その途中、俺は頭の中を巡る知りもしない、体験もしてもいない情報を頭を整理していた。何とか鎮守府内の執務室に到着する前に自身の情報を頑張って受け入れながら整理し終わりついでに磯風から受けるこの世界の説明を合わせて俺はある結論へと辿り着く。
(あれ? 俺が艦娘として生きなければならないのってヤバくない? この世界では普通に同型艦がいるとか……って事は本来のキャラじゃない艦娘って絶対異端扱いされる、ヤバイ。下手すれば解体かも‥‥)
そんな自身がおかれた状況を理解して俺は……
「HMS
「君がイギリス軽巡洋艦シェフィールドか……一緒に深海棲艦から世界を救うため頑張ろう」
「君が
転生した艦娘、シェフィールドを演じる事にした。
幸い頭の中に巡る知識の中に元のキャラの情報があったから何とかなり数年、艦娘として戦い続けた。
「加賀さんシェフィールドさんのお料理美味しいですね!」
「そうですね」
「海外艦か日本料理が作れるだなんて……凄いな」
「私的には驚きです!」
「‥‥」(クソがぁ! マジで空母とか戦艦の大飯ぐらいの食べる量多すぎるぞこのやろぉ! それに鳳翔さんいないとかキツすぎるぞ!)
時に厨房で戦い。
「なぁシェフィールド、この資料だけど……」
「Admiral、此処はこう書くと良いわ。だけどこれは‥‥」
(秘書艦メンドインじゃぁ~)
時にアドミラール……提督のお仕事を手伝ったり。
「甘く見ないで!」
またある時には深海棲艦相手に砲雷撃戦をやったりとキャラを演じながらではあるものの艦娘ライフを満喫していた。しかし、そんな生活も長くは続かなかった。
「シェフィールドさん!」
仲間へと魚雷が当たるところを俺が庇ったのだ。
「大丈夫、機関は生きてる。航行に支障は……ないっ」
その結果俺は大破、機関は機能不全を起こしまともに動きそうにもない。俺が庇わないとその艦娘は大破ではなく轟沈していただろう。それにこっちの艦隊もボロボロで敵には戦艦もいる、生き残るには誰かが囮にでもならない限り生き残ることは出来ないだろう。
だから。
「私が敵を引き付ける。暁、そのライトを借りるわ」
「え、でも……」
「いいから、私に任せて」
私がやるしかない。幸い今は夜、私が率いている水雷戦隊にいる暁が探照灯を持っていた。だから私がそれを受け取ってひきつければみんなは鎮守府へと帰れる。
「全艦撤退戦に移行する。私が敵艦隊を引き付けるからそのうちに皆は撤退して、その間の指揮は磯風に任せる、いいわね?」
磯風は何気に一番長く一緒に過ごしていた子だ、俺の言いたい事も分かるだろう。こっちの覚悟も読み取れたんだろう、何か言いたそうな顔をしているが大人しく従ってくれた。皆の背中を見送り俺は爆発しそうな機関を無理矢理動かし動きながら探照灯で敵を照らしながら装備している6inch Mk.XXIII三連装砲で敵を撃つ。
そうして二度目の人生最後の瞬間を俺は迎える。
「綺麗……」
最後に見た光景は沢山の砲弾や魚雷がまるで流れ星の様に綺麗に映ったのだった。
そうして俺は今深海へと引きずりこまれていた。
(あ~、沈んじまったな‥‥それにしても提督には悪い事した、せっかくカッコカリの指輪までもらってのに沈んでしまうだなんて……悪いなぁ。磯風達も無事撤退できただろうか‥‥心配だなぁ)
そんなことを考えながら俺の体は闇に包まれていく。意識朦朧としていきそして意識を失った。そして目が覚めると……
「死後の世界へようこそ。シェフィールドさん」
そこは一面黒の不思議な空間、そこに私は椅子へと座らされていて目の前には青色の髪をした綺麗な人がいた‥‥って、この人どっかで見た事あるな?
「私はあなたに新たな道を案内する女神。辛いでしょうが、貴方の人生は終わったのです」
うん、知ってる。敵の砲弾や雷撃を食らった痛みも深海の寒さも覚えてる。だから深海棲艦になると思ってたけどまさか女神に会えるだなんて……雪風に幸運のキスをしていたのはこの人だったのかな?
「それで貴方はかんむすぅっていうのかしら……」
「その前に一つよろしでしょうか?」
「えぇ、良いわよ」
「私が逃がした艦隊の皆は無事に鎮守府へと帰る事が出来たのでしょうか?」
人生を賭けて皆を逃がしたんだ、できるなら生き残ってほしいのだけど。助かっていないのなら、私の死が無駄になってしまう。
「あの子達なら無事よ、今はあなたの追悼式か何かをしているとこじゃないかしら?」
「何故疑問形?」
「だって私の管轄外の世界の事だし、貴方だって私は担当じゃないだからね」
ほえ~、女神にも色々と事情があるんだなぁ。まぁ、助かったのならそれでいっか。
しみじみとその事を確認していると女神様が説明を始めてくれた。どうやら俺には三つの選択権があるらしく一つは天国に行く、二つ目は記憶を消されてもう一度艦娘として建造し直される。そして三つめは……
「あなたにはある世界へと転生して魔王を倒すか……その三つよ、さぁ選びなさい」
ほへー、天国は天国でなんかヤバそうな匂いがするし艦娘に転生しようにもどんな艦娘になるか分からない。それに記憶がないだなんてそれは本当に死、だよな。死にたくねぇなぁ、なら選択権は一択みたいなものだよなぁ。
「三つ目でお願いします」
「それで特典‥‥って即答!?」
そりゃ命懸けの戦いなら既に深海棲艦との戦いで経験してるし、三度目の人生を歩めるチャンスなら歩んでみたいしね。
女神様は予想外と言った表情しているけどすぐにゴホンと咳払いと共に何と言うか女神らしさを取り戻すとその他の説明をしてくれた。その世界は魔王によって侵略されてるせいかそこで死んだ人が怖がって元の世界に転生したがらないらしい、だから他の世界から転生して人口減少を防いでるとか何とか。そんな裏事情もあって三つ目の世界が選択権にあったらしい……女神の世界の裏事情とか知りたくなかったわぁ。すっげぇメンドイけど討伐するかどうかは自由らしくて倒したら倒したら何でも願いを叶えてくれるらしい……正直どうでもいいけど。
「特典はどうする?」
「特典?
「世に言うチートね」
「チート……ズル?」
「ズルじゃないわ! それは強力な固有スキルだったり、人知を超えた才能だったり、神話に出てくるような武器だったり、とにかく魔王を倒す為に必要な特典の事よ!」
「へぇ」
そして手渡されるのはカタログらしき本、中には色々とチートの内容が書かれていてどれもこれも強そう(脳死)
けどなぁ~、どうせなら使い慣れた奴が良い。例えば艤装とか……ってそうか。
「決まりました」
「何にしたの?」
結構時間が経ってたのか女神様は暢気にポテチなんか食ってる…いいなぁ。鎮守府にいたころは深海棲艦との戦争真っ最中だったからそんな資金的な余裕なかったし、おやつが食べられるときがあっても駆逐艦に譲ってたから食べた事なかったんだよなぁ。美味しいそう。
「艤装を地上でも海上と同じ様に使えるようにしてください、あと補給の心配もなくしてください」
「艤装?‥‥あぁこれね」
多分俺の資料的な物を確認しているんだろか……何が書かれているか気になる。
「うん~……よし、良いわよ」
おぉ~物は試し、頼んでみるもんだなぁ。その後はトントンと手順が進んだ。女神は突如現れた天使に何か伝える。アレかな? 天使は女神の部下的な存在なのかな?
「シェフィールドさん。貴方の願いは受理されました。」
俺の体包むように光と共に魔法陣的な物が現れる。あれか、これが異世界に飛ばす系の魔法陣か。スゲェ~本当な魔法だ。
「あなたの人生にどうか貴女のこれから進む道に、幸あらんことを!」
そうして俺は異世界で3度目の人生をスタートさせたのであった。