怪奇探偵ウルフ   作:犬養 神

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狐霊

唯が駆け足で公園を飛び出し、犬の捜索に向かう。

 

それに反して、あかりは落ち着いた様子で突っ立っていた。

 

あかりは狐憑きの家系に生まれ、幼少の頃より自らに取り憑いた狐の霊による霊障に苦しめられてきていた。

 

 

 

 

「タヌ子には負けへんで・・・狐霊たちよ、私の言う事を聞いてッ!!」

 

 

 

 

あかりは自らに取り憑いている狐霊に呼び掛けた。

 

 

 

 

「オイッ!お前に取り憑いてる狐は凄く危険な動物霊なんだぞ!!下手に刺激すると前みたいに・・・」

 

 

 

 

大神が制止する。

 

かって、ゲートの魔力であかりに取り憑いた狐霊が暴走した事を思い出したからだ。

 

ゲートとは近年、世界各地に出現している魔界と人間界を繋ぐ門の事である。

 

ゲートから異界の妖魔が溢れ出し、その多くは闇に潜み人間の血肉を糧に生きていた。

だが、妖魔の中には人間との共存を望む者も現れた。

 

そして、人と妖魔が共存する街、デモンロードが誕生した。

 

かってゲートの魔力により狂暴化した狐霊に取り殺されそうになったあかねを大神は知人の霊能者の助けを借りて救った。

 

その時の感謝と憧れの気持ちから、あかりは大神の助手を名乗るようになったのである。

 

「大丈夫、以前の私とは気力も霊力も違いますから!修行して狐霊たちを操れるようになったんです」

 

そう言って、あかりは自信に満ちた笑みを浮かべた。

 

そして、あかりはジェリーの写真を狐霊たちに見せた。

 

「このワンちゃんを探して欲しいんよ。友達の大事な家族なんや」

 

あかりが狐霊に頼み込むように語りかけた。

 

狐霊たちは、あかりの声に応え犬を探すために散り散りに飛んで行った。

 

ある者は上空から周囲を見渡し、ある者は犬の匂いを頼りに探し、それぞれ役割分担をしながら狐霊たちは捜索を始めた。

 

 

その頃、唯は犬を探しながら公園の周辺の住宅地を歩き回っていた。

 

昼間なのに人の気配のない住宅街は静かすぎて不気味なほどだった。

 

しばらくすると、思わぬ誘惑が唯を襲った。

 

民家に並んでひっそりと営業しているラーメン屋を見つけたのだ。

 

探偵助手としての仕事中とはいえ朝から何も食べてない唯は食欲に負けて店の暖簾をくぐった。

 

そして店内のカウンターに座った。

 

 

 

「何にしましょうか?」

 

七三分けにメガネの一見、サラリーマン風の店主が訪ねた。

 

「チャーシューメンとレバニラ炒めください」

 

唯が注文をする。

 

あいよ!と店主は返事をすると手際よく調理を開始した。

 

しばらくして、美味そうなチャーシューメンとレバニラ炒めが目の前に出された。

 

1口食べれば見た目通りの美味で、唯は夢中になって食べ始めた。

 

だが、そんな食事タイムを邪魔するようにスマホの着信音が鳴り響く。

 

 

 

「もしもし・・・・ええっ!?」

 

 

 

電話は大神からだった。

 

内容は犬の居場所を発見したというものだった。

 

あかりが使役した狐霊が廃病院に犬がいるのを見つけたというのだ。

 

 

 

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