CROSS OF WORLD   作:しきん

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どうも、しきんです。

卒業シーズン真っ只中ですが、この私、何かと忙しい日々が続いております。

ミキシングについてですが、一からやり直す事に致しました。なので、実戦投入(するかも)はまだまだ先になりそうです・・・。

それでは、どうぞ!


第5話 誘われし者達・後編

午前11時29分 ハワイから西北西100㎞

 

「・・・長」

 

「・・・ください・・・長」

 

「起きてください・・・長」

 

「起きてください、艦長!!」

 

「―――!」

 

黒い制服を着た男性に身体を揺さぶられ、白い制服を着た女性は目を覚ます。彼女が目覚めると、そこは艦のブリッジだった。

 

彼女の名はタリア・グラディス。ZAFTの士官であり、この艦・・・『ミネルバ』の艦長でもある。

 

「アーサー、無事なのね・・・?」

「私も皆も無事なのに、艦長だけ無事じゃない訳が無いですよ!」

 

黒い制服の男性・・・アーサー・トラインの言う事には、どうやらミネルバのクルーは、少なくとも現時点で確認がついた者達は全員無事との事らしい。

 

「・・・状況は?」

「現在、確認中です」

「確認中?ミネルバの現在地は?」

「そ、それが・・・GPS及び軍事衛星とのリンクがエラーを起こしており、座標を割り出せません」

 

タリアはアーサーの返答を聞いて、オペレーション・ラグナロクに参加すべくヘブンズベースへと向かっている最中に遭遇した謎の嵐を思い出す。

 

(まさか・・・GPSのエラーはあの嵐によるものなの・・・・・・?)

 

タリアはそう考え、口を開く。

 

「ミネルバの状態はどうなの?」

「特に損傷はありません。ですが―――」

 

アーサーが続いて何かを言おうとしたその時、ブリッジの自動ドアが開いた。

 

「失礼します!」

 

大慌てで入って来たのは、ジブラルタル基地でZGMF-X666S『レジェンド』を受領したミネルバ隊所属のパイロットであるレイ・ザ・バレルと、レイとは同い年の整備員であるヨウラン・ケントだった。

 

レイが息も絶え絶えに声を出す。

 

「艦長、大変です!!」

「どうしたの、そんなに慌てて・・・」

 

タリアは不思議そうな顔で何事かと問う。すると、レイの口から思わぬ答えが出た。

 

「格納庫の状態を確認したのですが・・・

 

シンとデスティニーが・・・何処にも見当たりません!!」

 

「「・・・え?」」

 

タリアとアーサーは、レイの報告に耳を疑った。

 

 

2分後 ミネルバ 会議室

 

タリアを始め、レイを含むパイロット達、整備班長のマッド・エイブスといったミネルバの幹部により、緊急会議が行われていた。

 

現在、ミネルバ隊が置かれている状況の確認とこれからの行動について、この場の隊の幹部同士で話し合う事にしたのである。

 

「・・・という訳よ」

 

タリアが現時点で判明している事を一通り言い終える。

 

「しかしね・・・正直、私もこんな事態は生れてはじめてよ・・・」

「艦長、それはミネルバにいる者全員が思っている事です」

 

タリアが愚痴半分で漏らした言葉にレイは冷静な口調で同意の意を表す。レイの言う通り、ジブラルタルでの補給で新たに配属された人員を含むミネルバクルー全員が思うところであった。

 

「各員からの報告は?」

「まず、整備班からです。格納庫内はシン・アスカ及びデスティニーの姿が消えて無くなっていたという事を除いて、全機共に異常は見られませんでした。私からは以上です」

 

タリアの問いに最初に答えたのは整備班長を務めるマッドであった。期待の新型機であるデスティニー、そして何より自分が男としての信頼を寄せていたパイロットの1人であるシンが、自分達が気絶している間に姿を消してしまった事に不安を覚えている様子だった。

 

「それよりも艦長、私としては物資の方も心配ですわ。ジブラルタルを出たばかりで、現在は食糧・弾薬共に余裕はありますが、何日も海をさまよい続ければ必ず底をついてしまいますわ」

 

金髪ツインテールに蒼い瞳、おまけに美しい顔立ちといういかにもお嬢様キャラのような赤服のパイロットがタリアに指摘する。ジブラルタルでの補給で新たにミネルバ隊に配属されたパイロットのリーダー的存在であるこの少女の名はリディア・ガブリエルという。富裕層と貧民層の差が比較的大きいと言われるプラントのいいところのお嬢様で、腕もそこそこ高く、宇宙部隊から共に転属されたエースパイロットで、もう2人のパイロットは彼女の補佐役・・・というよりメイドの方が近いだろう。

 

「一応、ジブラルタルに引き返す案も浮かんではいるのだけれど、そのジブラルタルどころか他のZAFT部隊との通信も取れないままなのよ。もしかすると、最悪の事態も考慮する必要があるわね・・・」

「・・・あの」

 

と、ここで赤髪赤服の少女・・・ルナマリア・ホークが手を挙げる。

 

「もしかしたらと思うんですけど・・・私達、ミネルバごと異世界転移・・・とかしちゃったりして・・・」

「「「「「「・・・は?」」」」」」

 

 

3分後 ミネルバ 格納庫

 

そこに、レイは目覚めてから再び格納庫を訪れた。

 

「状態はどうだ?」

「おう、コンディションはバッチリよ!」

 

レイがコアスプレンダーの整備をたった今終えた整備員に声を掛けると、整備員は元気で答えた。

 

レイはコアスプレンダーに乗り込むと、計器のチェックを始める。

 

だが、このコアスプレンダー・・・実はシンがデスティニーに乗り換えるまで使っていたものではない。

 

シンが元々腕が良かった事で、使われないまま半ばお蔵入りという状態になっていた予備機なのである。

 

その予備機の機首には、偵察撮影用の高解像カメラが取り付けられていた。

 

実は、先の不可解な状況とルナマリアの発言で、異世界転移説が急浮上し、もしかしたら最有力なのでは!?という事になり、急遽、コアスプレンダーを用いた偵察、場合によってはそのまま異世界文明とのファーストコンタクトを行う事となったのである。

 

また、タリアが異世界文明とファーストコンタクトを取った時にとレイに手紙が入ったプラスチック製の筒を持たせている為、準備は万端であった。

 

『進路クリアー。コアスプレンダー、発進どうぞ!』

 

無線からオペレーターであるメイリン・ホークの明るい声が響く。

 

「了解。レイ・ザ・バレル、コアスプレンダー出る!」

 

レイがそう言うと、コアスプレンダーは玉がパチンコで飛んでいくかのようにミネルバのハッチから射出され、そのままジブラルタルがあるであろう東南東へと飛び立った。

 

言い忘れるところだったが、レイが偵察飛行に行っている間の編成は以下の通りである。

 

レジェンド ルナマリア・ホーク

インパルス リディア・ガブリエル

グフイグナイテッド クレア・フォレスタル

ザクウォーリア リサ・アマネ

ザクウォーリア パイロット無し

 

 

レイ出撃から1分前 ミッドウェーから東方500㎞

 

この海域を、1隻の原子力空母が東に進んでいた。

 

ニミッツ級原子力空母一番艦『ニミッツ』・・・この世界におけるこの艦は、退役年である2024年を3年後に控えた2021年の太平洋決戦で没した艦の一つである。

 

その沈んだ筈のニミッツが・・・今、東に進んでいるのである。

 

ニミッツのCICで、クルー達が慌ただしく動いていた。

 

「僚艦の反応、依然として現れません」

「う~む・・・」

 

ニミッツ艦長マシュー・イーランド大佐は、クルーからの報告を聞きながら考えを巡らせていた。先程、嵐を突っ切ったのだが、どうにもその嵐が奇妙なものだったのである。

 

嵐を突っ切った起こった不可解な出来事は、僚艦との通信が突如として途絶えてしまった事、そして無線にどこからも応答が無い事であった。

 

「もしかすると・・・」

 

マシューの脳裏に、ある予感が浮かんだ。

 

「直ちにRF-8G(クルセイダー)を発艦させ、ハワイに向かわせたまえ。そしてハワイを撮影させるんだ」

「はっ!」

 

マシューの命令を受け、1機のRG-8Gがエレベーターで格納庫から甲板に甲板に揚げられ、そこからカタパルトに移動した。前方のランディングホイールがカタパルトに固定され、その直後にRF-8Eのノズルからアフターバーナーが出る。直後、RF-8Eはカタパルトによって勢い良く投げ出され、そのままハワイに向かって飛んで行った。

 

 

同時刻 ハワイから南方約30㎞

 

「全く、ここ何処なのよぉ~~~!!」

 

海の上に広がる大空を飛ぶ蒼いモビルスーツのような人型機動兵器のコックピットで、少女は困惑した表情で叫ぶ。

 

彼女の名はスティレット。フレームアームズ・ガールという、本来ならば人間の10分の1程度のサイズのロボットであるのだが、スティレットが目覚めた時には人間と同じ大きさになっていたのである。

 

現時点で本人に自覚があるのかはまだ分からないが。

 

「轟雷もバーゼもシロもクロも迅雷もアーキテクトも、あのアホっ子も何処に行ったのよ~~~!!」

 

何度叫んでも返事が返ってこない無線に、スティレットは苛立ちを覚えていた。

 

その時だった。

 

「・・・あれ?」

 

スティレットは、前方のモニターに島のような何かが遠くにポツンと映っているのに気付いた。

 

「しょうがないわね、あの島に行って、皆が何処に行ったのか聞いてみるしかないわ!」

 

スティレットはそう言って、自分が乗っている機体を前に進ませた。

 

 

また同時刻 アズールレーン・ハワイ基地 港

 

レッドアクシズの動向を監視する為に建設されたこの基地に、1人の男性が降り立った。

 

カーキ色の軍服を身に纏ったその金髪碧眼の、10代後半のイケメン士官の名はアレックス・グレイ。ユニオン出身で、軍人家系生まれという少し硬めな者である。階級は少佐であり、この基地の指揮官に任命されたのだ。

 

「お待ちしておりましたわ。貴方が指揮官様ですわね?」

「・・・ああ。貴女は?」

「私は装甲空母―――イラストリアスですわ。ごきげんよう」

 

到着早々、アレックスを待ち構えていたのはキャペリンハットを被り、豊かな身体に少々透けた白いドレスを身に纏う白髪のロイヤルのKAN-SEN、イラストリアス級航空母艦一番艦『イラストリアス』だった。

 

「君が指揮官か?」

 

アレックスがイラストリアスの巨乳を見て少し顔を赤らめていると、横から誰かに声を掛けられた。

 

アレックスが声のした方向を向くと、そこには金髪赤眼の女性が立っていた。

 

彼女はキング・ジョージⅤ世級戦艦二番艦『プリンス・オブ・ウェールズ』。イラストリアスと同じく、ロイヤルのKAN-SENである。

 

「キング・ジョージⅤ世級二番艦、プリンス・オブ・ウェールズ。指揮官、よろしく頼む」

「アレックス・グレイ少佐だ。こちらこそよろしく頼む」

 

気を取り直したアレックスは、ウェールズと握手を交わす。

 

その直後だった。

 

「・・・?」

 

ウェールズが何かに気付く。

 

「あれは何だ?」

「あれ?本当だ、確かにあの方向から何かが・・・」

「あれは何でしょうか・・・?」

 

ウェールズにつられて、アレックスとイラストリアスも南の方角を見る。見ると、その方角から何かが近づいて来るのが分かった。

 

それはどんどん近付いていき、やがて特徴が大体分かるようになった。

 

青を基調としたカラーリング、頭部の額の部分に付いている1本のブレードアンテナ、そして右手に持っている時代遅れのガトリング砲のような形状の機関銃、そして何より、人間を10倍近くにまで巨大化させたような図体。

 

アレックス達の全く知らないものだった。

 

幸いと言って良いのか、おかしな事にいきなり攻撃はせず、ある程度こちらに近付いてきたところで空中静止し、ホバリングを始めたのである。

 

「何あれ・・・」

「何だろう・・・?」

「え~何あれ~~」

 

明らかに緊張感が全く感じられない者が混じっているが、その人型ロボットを発見したKAN-SEN達が1人、また1人と集まってくる。

 

「何だこの騒ぎ・・・って、えぇ!?」

 

司令部から何事かとやって来た金髪ロングヘアー&サイドテールに赤眼という勝気な風貌のKAN-SEN、クリーブランド級軽巡洋艦一番艦『クリーブランド』が人型ロボットを見て驚愕する。それと同時に、人型ロボットはゆっくりと降下し始めた。

 

クリーブランドはアレックス達の元に駆け寄った。

 

「ウェールズ!あれは一体・・・って、君は!?」

「君・・・ああ、俺はアレックス・グレイ。今日付けでここに着任した。よろしく」

「あ、ああ。よろしく・・・って、そんな事言っている場合じゃないだろ!?なんだよあれ!?」

「悪いが俺達も知らない。だが、敵か味方かも分からない以上、下手に手出しはしない方が良いと思うが?」

「そんな事言ったって!」

 

アレックスとクリーブランドが言い争いをしている間に、人型ロボットは遂に地に足を付け、直後に腹部のハッチが開いた。コックピットらしきものから出てきたのは水色ツインテールの少女だった。

 

「アンタ達、ちょっといいかしら?」

「・・・?」

「こ、今度は何だ!?」

 

コックピットを出てからの自分の第一声に戸惑いを隠せないアレックス達を見下ろしながら、少女・・・スティレットは質問した。

 

「轟雷っていう子を知らないかしら?」




≪速報≫ミネルバ隊(シン除く)、太平洋に転移していた!

前編・後編共にオリキャラを混ぜてみましたがいかがでしたか?

それと、アズールレーン側の国家もこの世界に転移してます。ユニオンは本国西部がアメリカ西部を上書きする形で、ロイヤルは本国がイギリスとカナダの間に転移しているので、今後の展開にご期待ください。

次回予告

自らの剣であるギアを失った夜露達を救助したみらい。だが、日本に引き返すか否かの決断は未だ付かないままであった。そんな時、みらいとひりゅうの元に謎の艦隊が現れるのだった。

次回『盾とアクトレスと桜と』
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