CROSS OF WORLD   作:しきん

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どうも、しきんです。
遂に新たなパソコンを購入しました!
これからも頑張ってまいりますので、何卒よろしくお願い致します。

それでは、どうぞ!


第7話 出向初日の緊急警報(エマージェンシー)

ここで、この世界における2019年からキアナと芽衣の転移までの間の歴史を説明しよう。

 

2019年9月6日、中国・武漢市にて1発の核兵器が爆発した。これにより、武漢市は死者900万人以上(市外から来た者を含む)という壊滅的な被害を受けた。後にこの悲劇は『武漢核爆発事件』と呼ばれる事となった。

 

同年12月19日、大型宇宙ステーション『ユグドラシル』の建造が開始する。

 

2020年2月26日、エジプト首都であったカイロを首都とする、エジプト・スーダン・リビア・チュニジア・アルジェリア・モロッコ・西サハラからなる連邦制国家『北アフリカ連邦』が建国される。

 

同年7月24日、東京オリンピックが開催される。

 

同年11月2日、ユグドラシルの建造が完了する。

 

そして2021年・・・深海より、世界に戦火の火種が降り注がれた。

 

5月1日、第50回衆議院総選挙にて鹿島久雄が当選、総理大臣に就任する。

 

7月1日、太平洋にて、豪華客船『アルペジオ』が何者かの攻撃により沈没。この事件が国連軍艦隊の設立のきっかけとなった。

 

7月29日、国連軍艦隊と深海棲艦の・・・否、人類と深海棲艦の、最大の戦いが繰り広げられた。国連軍艦隊は善戦こそしたが、深海棲艦に対する有効打を与える事が出来ず、原子力空母を含む航空母艦10隻、ミサイル巡洋艦18隻、ミサイル駆逐艦19隻を失う多大な被害を被った。

 

10月3日、中国南東部沿岸付近一帯が深海棲艦の攻撃を受け、死者500万人以上、負傷者9000万人以上という甚大な被害が出た。

 

10月7日、満州連邦共和国が独立を宣言する。

 

2022年3月1日、世界初の量産型モビルスーツ『GAT-01(ストライクダガー)』の配備・運用が開始される。

 

同年3月3日、初のヨーロッパ製モビルスーツ『ZGMF-1017(ジン)』がロールアウトされる。

 

同年4月27日、日本国自衛隊のストライクダガーの配備・運用が開始される。

 

2023年8月10日、横須賀近海に侵攻した深海棲艦を1人の少女が撃破。世界で初めて艦娘の存在が確認され、人類の反撃の狼煙となった。

 

 

2024年 7月6日 午前8時12分 東京都 キアナと芽衣の自宅

 

7時50分に起きたキアナはほぼ同時に起きた芽衣と共に朝食を作っていた。

 

その途中、2人は一昨日保護した少女と青年に関する話をしていた。

 

「じゃあ、イーグルちゃんと総一朗君に関する事はまだ何も分かってないの?」

「うん。鹿島さんと坂本さんも、この事について調べてくれているけど、今のところ手がかりといえるものはあの2機だけだって」

 

『イーグル』は少女の、『総一朗』は青年の名前である。

 

イーグルという名前の由来は、フレズヴェルクが鷲の巨人を指す言葉で、『鷲の巨人』から鷲を取った事である。

 

なお、総一朗という名前は、芽衣が自分のセンスで付けたのであり、キアナも良いんじゃないかと太鼓判を押した事で芽衣考案のこの名前が決定されたのだ。

 

単に総一朗という名前だけでは些か寂しいし苗字が無いのはあれなので、勝手ながらキアナが姫子の苗字である無量塔を彼の苗字にした為、戸籍上(?)では青年は『無量塔総一朗』となっている。

 

それはともかく。

 

2人が朝食の準備を進めながら、2人は話題を別のものに変えた。

 

「そういえば、鹿島さんが言っていたアズールレーンとの交渉、上手くいっていると良いけど・・・」

「うん・・・外交官をアメリカやイギリス、フランスやドイツとかとの多国籍使節団に参加させているそうだから、何とかなると思うけどね」

 

芽衣に返事をして、キアナがテレビに視線を移すと、丁度その話題に関するニュースについての議論が行われているところだった。

 

『転移した国家がもし本当に1940年代前半のアメリカやイギリスと同じ性質の国だったとすれば、どうなるのでしょうか?』

『はい。当時は人種差別の全盛期とも呼べる時代でしたので、間違いなく我々日本人やその他のアジアの人々はその弊害に晒されるでしょう。また、パールハーバーで正体不明の武装組織が奇襲攻撃を行った事について、国連側は深海棲艦によるものと見ていますが、転移した国家側が騙し討ちとして見ている以上は、和平交渉はかなり難しいのが現状と思われます』

 

このニュースの内容はこうだ。

 

国連側の使節団と転移した国々との交渉について分かった情報によると、転移した国々側・・・アズールレーンという軍事同盟の構成国であるらしい彼らの言い分によれば、『重桜』という国が自分達に対して騙し討ちをしたらしい。更に、アズールレーン側は日本を重桜として見た上で国連をアズールレーンの敵対同盟であると思っているらしいのである。

 

「2人共、おはよう」

「めい~、きあな~、おはよ~」

 

と、そこに起きた総一朗とイーグルがやって来た。

 

イーグルは元気な女の子の生き生きとした、総一朗は上半身真っ裸になったら絶対モテそうなボディで、2人揃ってかなりナイスな肉付きだった。

 

「あっ、おはよう」

「おはようイーグルちゃん、総一朗君」

 

キアナ達は席につき、食事をした。

 

そして、食べ終わってから十数分後、キアナ達は家から出発した。

 

 

午前9時48分 神奈川県 横須賀鎮守府 たけみなかた 格納庫

 

現在、この鎮守府に停泊しているたけみかづち型MS護衛艦二番艦『たけみなかた』の格納庫、その中のとあるハンガーに固定されているモビルスーツ・・・MTF-01『戦雷』の傍で1人の青年と整備班長が会話をしていた。

 

男性アイドルとしても人気が出そうな顔立ちの青年の名は橘基矢。航空自衛隊MS技術試験小隊の隊長を務めている。階級は二等空尉で、知る人ぞ知る隠れイケメンである。

 

そして中年の整備班長の名は北見淳。その気になれば文字通りやべーレベルのセッティングやチューニングもやってのける事から『地獄のチューナー』の異名で恐れられている超一流の整備士である。

 

「そういえば、聞きましたか?」

「ん?なんですかい?」

「いや、ここに機体とパイロットが来るって話なんですけど、北見さんは新しくやって来る機体について何か知ってますか?」

「んー・・・」

 

橘の質問に北見は少し小さめなうねり声を上げる。そして、腕を組んで口を開いた。

 

「何でも、2機とも試作機で呼びパーツは後から送られてくるってのは聞いたんですがね、それ以外はまだ知らされてませんよ」

「そうなんですか。ありがとうございます・・・ん?」

 

北見に礼をした直後、たけみなかたのハッチが開いた。そこから4人の人影と2機のモビルスーツが入ってくるのが確認出来た。

 

「おっ、噂をすれば何とやらじゃないですか」

「例のモビルスーツと成子坂からの出向者か」

 

入って来た4人を出迎える為、橘は戦雷から離れる。4人を代表して白髪の少女が前に出て手を差し出す。

 

「成子坂重工から来ました、雷電紀亜奈です。よろしくお願いします」

「航空自衛隊MS技術試験小隊隊長、橘基矢二等空尉だ。こちらこそよろしく頼む」

「はい。橘二尉」

 

そう言って握手を交わし、双方のファーストコンタクトは無事に終わった。

 

キアナは他国で言う空軍である航空自衛隊の部隊が何故海上自衛隊の指揮下にあるであろうMS母艦に所属しているのかが不思議でしょうがなかった。詳しく調べてみれば長くなるのだろうが、こんな事ならMS母艦に乗るMS部隊の名称を海兵隊にでも変えた方がいいんじゃないかと思っていた。流石に声に出しては失礼なので口には出さないが・・・。

 

「本日より、君達は横須賀鎮守府の指揮下に入ってもらう。早速で悪いが、一緒に送られてきた各モビルスーツの整備を整備班と共に行ってもらいたい。整備完了後は、指示あるまで待機、以上だ」

 

キアナが思っている事を知ってか知らずか、橘はキアナ達にそう告げた。

 

「了解しました」

 

キアナはそれを承諾して、運び込まれた2機のモビルスーツを見る。一昨日の深海棲艦の空襲の際に搭乗したZGMF-X10A『フリーダム』とNSG-X1『フレズヴェルク』がオリーブドラブのシートを掛けられた状態で運び込まれているところだった。

 

「・・・ん?」

 

と、ここでキアナはある事に気付いた。

 

フレズヴェルクに掛けられたシート・・・正確には、フレズヴェルクの右脚にかかっている部分の先端付近が不自然な動きを見せたのだ。

 

(誰かいる・・・?)

 

キアナは直感にも近い感覚でそう確信したが、整備員が調べてくれるのなら大丈夫かとひとまず思考の片隅に置いた。

 

「ほー、あの2機が例のモビルスーツか。早く全貌を見てみたいもんだ」

 

橘の後ろでフリーダムとフレズヴェルクを見ていた北見が感嘆の声を上げる。するとキアナ達の方を見て爽やかな笑みを浮かべて挨拶を始めた。

 

「じゃあ俺からも。たけみなかたの整備班長、北見淳だ。お嬢さん方、よろしくな」

 

キアナから見る北見は、一見明るそうにみえるが、裏腹に見えないものを容易く見破れる程の洞察力を隠し持っているようにも見えた。中年層の知り合いがあまりいないキアナ達にとって、北見はそれ相応に特異な人間なのである。

 

「雷電芽衣です。よろしくお願いします」

「僕はイーグル・バルザックでーすッ!よろしくお願いしまーす!」

「無量塔総一朗です。よろしくお願いします」

「芽衣ちゃんにイーグルちゃん、総一朗か。今後ともよろしく頼むぜ」

 

これでこの場の自己紹介は粗方終わった。それを確認した橘はキアナと芽衣に指示を出す。

 

「紀亜奈さん、芽衣さん。一応言っておくが、俺が乗る戦雷の調整はスラスターを除いて粗方済ませている。スラスターの調整が終われば後は本番だな。君達はあの2機の調整をやって―――」

「あっ!お、お前ら!こんなところで何してる!?」

 

橘が言い終わる直前、フレズヴェルクに掛けられたシートをどかそうとしていた整備員が声を上げる。一同がその方向を見ると、そこには茶髪ポニーテールの少女と緑の短いツインテールの少女が整備員のすぐ側で伏せていた。

 

そう、あの不自然な動きの原因はその少女だったのである。

 

「あっ、いや~・・・私達~・・・」

「職業体験で来たなり~」

「職業体験に来る人間がモビルスーツと一緒にシートの下に隠れるなんて事するかって!」

「ちょっと!その機体で何してるの!?」

 

少女2人と整備員が言い争っているところにキアナが割って入る。芽衣達もキアナを追いかけて来た。

 

「あ、ああ~・・・ご、ごめんなさい。私、この機体が少し気になっちゃって・・・あれ?」

「ん~?あお、どうしたなり?」

「気になっちゃって・・・何なの?」

「フレズ!?」

「「!?」」

「「「「「・・・?」」」」」

 

茶髪の少女が放った突然のこの言葉にキアナと芽衣は半ば反射的に身構える。3人以外の者はいまいち理解していない様子・・・

 

「えっ!?フレズって、もしやあの!?」

 

訂正、4人以外だった。

 

(ま―――まさかこの娘、フレズヴェルクについて何か知っている・・・というか何でイーグルの名前候補だった『フレズ』を知ってるの!?)

 

キアナはそう予想したが、少女はキアナの予想を知っているのかいないのか、イーグルに駆け寄ってそのまま抱きしめた。

 

「あのねフレズ、轟雷が一昨日から急にいなくなっちゃったの!フレズは轟雷が何処に行ったのか知らない!?」

「うわー!いきなり僕に何するんだー!!」

「えっ・・・?」

 

イーグルの返事に少女は首を傾げた。まるでイーグルとは知り合いの関係であるかのように。

 

「な、何言ってるの?この前のバトルで轟雷と引き分けになったでしょ?」

「僕はそんなの知らないよ!」

「えっ!?」

 

キアナはイーグルと少女のやり取りを聞いてある結論に至った。

 

(もしかして・・・この娘、イーグルの知り合い?それに轟雷って・・・その轟雷も、この世界の何処かに飛ばされたって事なの?フレズヴェルクってオーパーツみたいな機体だったし・・・)

 

そう、実はフレズヴェルクは規格そのものが従来のモビルスーツと全くと言って良い程合わない機体なのだ。

 

フェイズシフト装甲を持つフリーダムはともかく、フレズヴェルクの一部のパーツは謎の結晶で出来ており、もしかしたらエネルギーを生み出す性質を持っているかもしれないという徹夜で頑張ってくれた技術開発部の先輩達からの研究結果が出ている。

 

それを聞かされ、茶髪の少女の放った『轟雷』という言葉を聞いたキアナは一抹の不安に駆られていた。

 

「あの・・・名前は何ていうんですか?」

 

不意に茶髪の少女がキアナに名前は何かと尋ねた。

 

「・・・雷電紀亜奈。成子坂重工のテストパイロット」

「私、源内あおといいます」

「私は寿武希子というなり」

 

2人の少女・・・源内あおと寿武希子は自己紹介した。

 

すると、あおは何やら決意を抱いたような表情で口を開いた。

 

「雷電さん、お願いがあります。

 

私をパイロットにしてk」

 

ビイイイィン!!ビイイイィン!!ビイイイィン!!

 

あおが自分をパイロットにしてくれと言い終える直前に突如として格納庫内にサイレンが響き渡った。

 

『南南東より深海棲艦の航空隊が接近中!!第3MS中隊はスクランブル発進、MS技術試験小隊は敵の奇襲攻撃に備え待機せよ!』

「だそうだ!君達も機体に乗って、命令あるまで待機!いいな!」

「はい!それとあおちゃん、話は後で聞くから貴女は・・・北見さんの指示に従って避難して!」

「あっ・・・は、はい!」

「わ、分かりました!」

 

避難するようにとキアナからそう言われ、あおと武希子は困惑しつつも了承する。

 

「はぁ・・・とにかくそこの嬢ちゃん、お前さんは医務室で居候させてもらえ。おい、この嬢ちゃんを医務室に連れてってくれ。見学に来た子供が道に迷ったと言ってりゃ大丈夫な筈だ」

「は、はい!」

 

北見は最初にあおを発見した整備員に指示を出すと、すぐに持ち場に戻った。といっても、格納庫自体が彼の持ち場なのだが・・・そこは気にしないお約束である。

 

 

1分後 たけみなかた 艦橋

 

矢継ぎ早に第3MS中隊の機体が全て発進する以前より、飛行甲板の管制塔を兼ねるこの艦橋の人間も、格納庫や基地の者に負けない程に動いていた。

 

「赤城・加賀・翔鶴・瑞鶴より艦戦隊発艦!」

「昨日配備された烈風一一型か。あれの配備がもう少し早ければあれ程の被害を受ける事は無かっただろうな」

 

オペレーターの報告にそう答えたのはたけみなかた艦長である海原雄山一等海佐。海原は赤城達から発艦した烈風を細目で睨む。

 

「しかし、つい先程搬入されたあの2機は出さなくて良かったのですか?先日の戦闘から見て強力な戦力だと思いますが・・・」

 

メガネをかけた男が海原にそう質問する。

 

「あれはまだ得体の知れん代物だ。それに、そんな状況であれを出すなど言語道断、出せば深海棲艦の奴らが日本の新型兵器と早とちりするのは間違い無い。最悪の場合、塩を送る事になるぞ」

 

海原の反論にどこか納得が行かないとでも言いたげな表情を浮かべるメガネ男は黒木隆之三等海佐。たけみなかたの副長である。

 

「ともかくだ。敵艦載機が存在する以上、深海棲艦がどこかにいるのは確かだ。もしもの時は艦娘達に任せる他は無い」

「・・・はッ」

 

 

同時刻 横須賀近海

 

今、航空自衛隊第3MS中隊『ホワイトキメラ隊』と深海棲艦の航空隊のドッグファイトが始まった。

 

「各機、散開!ハエ叩きを始めるわよ!」

『『『『『『『了解!!』』』』』』』

 

ホワイトキメラ隊隊長、新沢天城三等空佐の指示を合図に、ホワイトキメラ隊は散開し、赤城達の航空隊と共に深海棲艦の艦載機達を各個撃破していく。

 

その時だった。自衛隊とも国連軍とも深海棲艦とも違う謎の艦隊が現れたのは・・・。

 

「新たな敵影?・・・これは!?」

 

それらは、天城にとっては見覚えのあるものだった。

 

天城は報告する為、たけみなかたへの通信を開く。

 

「こちらホワイトキメラ1、新たにアンノウンを捕捉―――くッ!!」

 

報告しようとしていた時に複数のアンノウン・・・否、3隻のセイレーン量産型が天城の駆る雪のように白い戦雷・・・戦雷・特壱型にレーザーやミサイルを放った。

 

天城は特壱型をその場から飛び退かせてお返しにビームライフルで攻撃してきたセイレーン量産型のうちの1隻・・・巡洋艦クラスのそれにビームを3発お見舞いする。

 

『隊長!アンノウンの空母から見た事の無い艦載機が発艦してます!』

「・・・仕方ない、ホワイトキメラ1より各機、後退して態勢を立て直す!」

『『『『『『『り、了解!!』』』』』』』

 

セイレーンの艦載機が次々と発艦していくのを確認した天城は後退の指示を出す。戦況は止まる事を知らず、変わり続ける。

 

 

同時刻 たけみなかた 艦橋

 

天城からの報告に、艦橋内部は蜂の巣を突いたような状況となっていた。

 

「艦長!アンノウンですが、どれもデータにありません!完全な未確認です!!」

「・・・一体、どうなっている?」

 

海原もこの事態に苦虫を嚙み潰したような表情を浮かべる。黒木も表情を曇らせている。

 

「艦長、格納庫より内線電話が・・・」

「何?・・・分かった」

 

オペレーターの報告を疑問に思いながら海原は受話器を取る。

 

「艦長の海原だ。こんな時に何事だ」

『艦長さん!私も出してください!!』

「な、何!?」

 

 

同時刻 たけみなかた 格納庫

 

キアナの言葉に芽衣とイーグル、総一朗は思わずキアナの方を見た。

 

『お前はここに来てまだ間もないんだ!それに、そもそもお前は民間のテストパイロットだ!許可など出せる訳が無いだろう!!』

「アンノウンってのもこっちに向かっているんですよね!?だったら鎮守府を攻撃される前に叩けば被害を出さずに済みます!相手も私達の存在をまだ把握しきれていない筈ですから、意表を突く事は出来るかと!」

 

フリーダムとフレズヴェルクは既にいつでも動かせるようになっている。後は鎮守府が敵の射程に入るまでにアンノウンを叩く事が出来るか否か。今鎮守府を潰される事は人類側の太平洋における行動力の低下を意味する。特に横須賀鎮守府は日本最大規模の鎮守府だ。ここを潰されてしまえば、日本は深海棲艦に滅ぼされてしまうだろう。例えそうならずとも、東京は確実に集中攻撃の標的にされるのは火を見るよりも明らかだった。

 

『・・・』

『艦長、私も彼女に賭けます。アンノウンの詳細が分からない以上、打てる手は打つべきでしょう』

『黒木三佐・・・分かった。だが、もう1機は甲板で待機だ!アンノウンの接近に備える必要もある!』

「ありがとうございます!!」

 

キアナは礼を言うと、電話を切ってフリーダムに乗り込む。続いて芽衣もフレズヴェルクに乗り込む。

 

「フリーダムとフレズヴェルクが出るぞ!ビームライフルとシールド持たせろよ!!」

 

フリーダムとフレズヴェルクを発進させるという情報を艦長から聞いた北見の指示を聞いた整備員は忙しなく、そして活気良く動き続ける。

 

フリーダムにビームライフルとシールドが、フレズヴェルクにセットで搬入されたベリルスマッシャーが装備された。

 

『フレズヴェルク、カタパルトに移動してください』

 

オペレーターの指示に従い、フレズヴェルクがカタパルトに移動する。フレズヴェルクがカタパルトに移動すると、フレズヴェルクの両足がカタパルトに固定される。発進準備完了だ。

 

『進路クリアー。フレズヴェルク、発進OK!』

「フレズヴェルク、発進します!」

 

芽衣の掛け声と共に、フレズヴェルクは急加速し、青空の広がる外界に放たれた。

 

『続いてフリーダム、カタパルトに移動してください』

「了解!」

 

キアナはフリーダムをカタパルトに移動させる。

 

『進路クリアー。フリーダム、発進OK!』

「雷電紀亜奈・・・フリーダム、行きます!」

 

遂に、キアナの駆るフリーダムが発進した。

 

 

1分後 横須賀近海

 

「敵機捕捉・・・あの艦隊と戦闘機達がアンノウン!」

 

アンノウンを確認したキアナは一番最初にアンノウンと交戦を始めた第3MS中隊の隊長機・・・天城の駆る戦雷・特壱型に通信を入れる。

 

「こちらフリーダム、援護します!」

『了解。・・・それにしても、よく海原艦長が許可を出したわね」

「何とか説得したんです!」

 

天城は少し驚いたような表情となったが、すぐにその前の表情に戻す。

 

『・・・なら、私に付いて来なさい。艦載機を射出している敵空母を仕留める』

「了解!!」

 

天城の指示を聞いたキアナは了承し、空母タイプのセイレーン量産型をマークしつつフリーダムを特壱型に追従させる。

 

『私が吶喊する。フリーダムは後方から砲撃を』

「砲撃・・・了解!!」

 

天命時代では砲撃などは全くと言っていい程やった事が無かったキアナにとって、初めて実戦で、しかもモビルスーツでやる砲撃はどうしても緊張するものだ。

 

(出来るか・・・いや、やるしかない!)

 

それに加え、フリーダムのOSは総一朗が操縦する事しか想定していないのか、並みのパイロットでは扱いづらい代物となっている。フリーダムに組み込まれているマルチロックシステムという機能など使おうにも機体の制御が出来なくなるので絶対に出来ない。

 

「・・・だとすれば火力と射程からしてバラエーナよね」

 

後方から砲撃するとすれば、ビームライフルなんかでは火力も射程も少々不足気味。一応、フリーダムには腰にビームライフルより射程の長いレールガンが左右1挺ずつ配置されているが、生憎両方とも壊れて使い物にならない。

 

ならば、ここはフリーダムの武装の中で最も火力の大きいバラエーナを使うのが最善と考えたのである。

 

「落ち着け・・・相手は大型艦、当てられる・・・」

 

キアナはマークしていたセイレーン量産型をロックオンする。それでもブレる照準を何とか小さくしていく。

 

「・・・当たれーーーッ!!」

 

キアナがトリガーを引くと、バラエーナから大きな熱量を持つ赤いビームが放たれ、吸い込まれるようにセイレーン量産型に直撃した。

 

直後、空母クラスのセイレーン量産型は音を立てて爆発し、前後真っ二つに割れて轟沈した。

 

「当たった・・・や、やったんだ・・・・・・」

『各モビルスーツは至急後退してください!大和が砲撃します!!』

「えっ!?」

『大和が砲撃・・・ホワイトキメラ1より各機、後ろに下がりなさい!フリーダムも!!』

「り、了解!」

 

オペレーターと天城の剣幕から、大和の砲撃が凄まじいものだと悟ったキアナはフリーダムをその場から退かせる。

 

直後、残りのセイレーン量産型は大和の砲撃によって海中に没した。




キャラのみ参戦に美味しんぼと湾岸ミッドナイトを入れたのは軍人としても有能そうな海原雄山さんと黒木隆之さん、そして地獄のチューナーである北見サンを出す為ですな。あと、今回は中途半端な形で終わらせてしまったかもしれん。(すっとぼけ)

次回予告

セイレーン量産型の空襲を阻止したキアナ達。次なる戦いに備えようとした矢先に、思わぬ事態が起こる。

次回『太平洋より』
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