ドールズフロントライン ~プレイヤーズフロントライン~   作:弱音御前

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花粉に頭を悩ませる今日この頃、皆様はいかがお過ごしでしょうか?
どうも、弱音御前です。

佳境にはいりましたプレイヤーズフロントライン。
今回はインターミッションという感じで短めになっています。
決して、連載に息切れしたわけではないと言い訳をしておきます!

今週もどうぞお楽しみください



プレイヤーズフロントライン 10話

 ここまでのプレイヤーズフロントラインは・・・

 

 

 

「2人とも、喜ぶのはまだ早いよ! 油断しないの!」

 

 

「約束を守れず申し訳ございません・・・指揮官・・・タボール・・・」

 

 

「しきか~ん。しゅきぃ~」

 

 

「なんでこんな事になってるのさ!?」

 

 

「9、41、フォーメーション〝デルタ〟。ヤツを部品単位までバラバラにしてやれ」

 

 

「必勝の構えで戻ってくるから、それまで3人で頑張ってね~」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 RFBに引っ張られるがまま、火中の部屋から飛び出してきたネゲヴは大木の様な柱が延々と

立ち並ぶ廊下を走り抜けていた。

 

「ネゲヴさんは、あの黒い45さんを見てどう思った?」

 

「その質問の真意によるわね。言い出したら、それこそキリが無いのだけれど」

 

「じゃあ、もっと分かりやすく聞くよ。黒い45さん、あまりにも強すぎると思わない?」

 

「ん・・・それはまあ、ちょっとは出来るかなってところかしら。ほんの少しだけどね」

 

 あまりにも強すぎる。グリフィンのエースクラスが5人揃っていたあの状況ですら、攻略の糸口も見えない。

 あれなら、1人で鉄血の一個中隊を潰せと命令された方がまだ勝算があるというものだ。

 

「そう、ネゲヴさんの言うとおり、アイツはあまりにも強すぎるの」

 

「そこまでは言ってないじゃない・・・」

 

 結局、ネゲヴの心中などお見通しだったようだが、下手に反論するのは控えてRFBの言葉に

耳を傾けておく。

 

「このステージの元になったゲームはね、超高難易度、俗に言う〝無理ゲー〟っていうので

ゲーマーの中で有名なタイトルなの」

 

「ふ~ん? でも、アンタ達みたいなのはそういう難しいのを好むものじゃないの? 敵は強ければ強いほど燃える、みたいな」

 

「もうね、そんなレベルじゃないんだよ。例るなら、そうだな~・・・ネゲヴさん1人で砲撃態勢のジュピター砲20基に挑む感じ」

 

「うん、それは無理ね」

 

 強がりなネゲヴもそこはハッキリとお答えしておく。

 

「よりにもよって、私が提供したゲームの中からこれを最終ステージに選ぶんだから、たぶん、

ペルシカさんはこの事を知ってたんだろうね」

 

 そんな絶体絶命的な状況にいるというのに、RFBはさも楽しそうに笑っている。

 変なヤツだな、とは思わない。ネゲヴだって、戦闘時に追いつめられると自然に笑みを浮かべるような変な人形なのだから、他人の事を言えやしないのである。

 

「まさか、必勝の策があるとかウソついてUMP45達を置いて逃げてきたの?」

 

「そんな事しないよ! 本当は使わないでクリアしたかったんだけど、でも、これを使わないと

もう絶対に勝てない状況だし。ってわけで、もう心は決めたからネゲヴさんも何も言わないで

おいて」

 

 必勝の策があるのなら、それを使う事に一体なんの躊躇いがあるというのか?

 やはりRFBは良く分からないヤツだな、とネゲヴは小さく首を傾げる。

 

「それで? 私を連れ回してるのが必勝の策とどう関係してるのか、いい加減教えてくれない

かしら?」

 

「そうだったね。これから私がやろうとしている事は、本来、まともにプレイしていたら

〝有り得ない〟状況を可能にする技、〝チート〟っていう行為なの」

 

 ゲームにはとんと疎いネゲヴには聞き慣れない言葉だが、RFBの話し方から、それが一般的には良しとされない行為なのだろうことは伺える。

 

「ハッキングみたいなものなのかしら? ここ、ペルシカが組んだシステム内だけど、そんな事して平気なの?」

 

「チートっていっても、このゲームの場合は救済措置としてシステム内に組み込まれてるモノだから、たぶん問題ないよ。そもそも、これを使わないと全クリ困難な無理ゲーなんだもの」

 

「はあ・・・そういうものなのね」

 

「そういうものなのです! そして、これからここでネゲヴさんにチートを施す為の手順を踏んでもらいます」

 

 長い長い廊下の最果て。そこでようやく足を止めたRFBが偉そうに言う。

 

「なんで私に施すのよ? アンタの方がここに詳しいんだから、アンタがやればいいじゃないの」

 

「私は玄人プレイヤーだから、そういうのは性に合わないの。ネゲヴさん、副官に勝ちたそうにしてたから声かけて連れてきたんだけどなぁ~」

 

 含みのある言い方でチラチラと目配せしてくるその様子は腹立たしいが、確かに、45に勝てるというのは非常に魅力的な提案ではある。

 そう思ってしまった時点で、もうネゲヴの負けである。

 

「・・・分かったわよ。私は何をすればいいのかしら?」

 

「まず、この柱を一本づつスラロームしながら反対端まで走ってこっちに帰ってきて」

 

「・・・・・・」

 

 このパルテノンの廊下はとても長い。先が地平線かのように見えるくらいなので、きっと数キロ程度じゃあまだ足りないだろう。そこに等間隔に建てられた柱の本数など、もう想像したくも

ない。

 その柱の一本一本を左右に蛇行しながら廊下を往復しろとRFBは言っているのだ。しかも、〝まず〟という言葉から始めたので、その後にまだ何らかしらの手順が残っていると考えて間違いない。

 ふざけたことぬかすな! と、ぶん殴ってやろうかと一瞬だけ考えてしまうが、それは

スペシャリストらしからぬ暴挙だと心の中で自分を嗜める。

 

「何してるの? ここの廊下すっごい長くて時間かかるんだから、さっさと走る!」

 

「もう! いいわよいいわよやってやるわよ! そのチートとやらが大した代物じゃなかったら、その時は覚悟しときなさいよ!」

 

「はいはい、その時はお好きにどうぞ。1本でもスラロームし忘れたらやり直しだから、正確に

お願いね~」

 

 正確に、とはいえのんびりやっていたらどれだけの時間がかかるか分かったものではないので

全力疾走。

 一体これは何の罰なのだろうか? と悲しく思いつつネゲヴは1人黙々とスラロームに取り組み続けた。

 

 

 

    ~20分後~

 

 

 

「思ったより速かったね。途中でズルしてない?」

 

「してないわよ! スペシャリストなめんな!」

 

 結局、果てしなく続いているように見えたのは反射による錯覚だったようで、往復するまでの

時間は予想よりも短く済んでくれた。

 それでも、戦術人形の運動能力だからこれくらいの時間で済んだのだ。人間だったら倍以上は

かかっている距離である。

 

「オッケー。そしたら次はあの柱に行って」

 

 立っている位置から6本先の柱を指差しながらRFB。その指示に従い、ネゲヴは柱のもとへと歩いて行く。

 

「じゃあ、柱に抱きついて頬ずりして」

 

「何で!?」

 

「理由なんか私だって知らないよ。そういう手順なんだもん」

 

 確かに、これはRFBに怒鳴っても仕方が無い事である。

 

「あぁ~もうっ!」

 

 悪いのはこのゲームを造った顔も名前も知らない何処かのバカ野郎だ。その人物に副官45の顔を重ね、頭の中でソイツを存分に痛めつける事で自分への慰めとしておく。

 自分の身体より何倍も太い柱にしがみつき、顔をスリスリと擦り付ける。

 鉱石のような質感の柱はひんやりとしながらもどこか温もりのようなものも感じられ、ちょっとだけ気持ち良く感じられてしまうところがまた憎い。

 

「よし、次はこの角度から・・・いや、もうちょい左かな? よし、ここでいいや」

 

「アンタ、次は何をするつもりなの?」

 

 ネゲヴの背後、やや離れた位置からRFBの声が聞こえる。言われた通り、すりすりと柱に

頬ずりをしている最中なので、彼女が一体何をしているのか見る事はできない。

 タタタ、と駆け足の音が聞こえる。どうやら、RFBはネゲヴに向けて走ってきているようだ。それも、結構な速さである。

 

「何する気!? ねえ、何する気なのよ!?」

 

「これが最終ステップ! 柱に抱きついているキャラに全力で飛び蹴り~!」

 

「ホント、このゲーム作ったヤツ馬鹿なんじゃないの!?」

 

 背中に強烈な衝撃を受け、ネゲヴの身体が前方に吹き飛ばされた。

 ・・・柱にしっかりと抱きついていた筈なのに・・・である。

 

「な・・・何なのよ、これ?」

 

 漆黒のパルテノンに居た筈なのに、RFBに蹴り飛ばされた瞬間、ネゲヴは数字の0と1が無数に浮かぶ〝海中〟に漂っていた。

 海中だと表現したのは身体に感じる浮遊感ゆえの事である。

 

「0と1・・・データソースの中に迷い込んだって事?」

 

 おおよその電子システムは0と1の組み合わせで構築される。このシミュレーター内でネゲヴが認識していたモノ全ては、0と1が素材となって表現されているのである。

 そんな素材達に囲まれたここは、言うなれば〝世界の外側〟。世界の創造主のみが存在を知りえる、本来ならばネゲヴの様な一存在が足を踏み入れてはならない空間だ。

 手元でユラユラと漂う緑色の0を掴もうとすると、0はまるでクラゲの様なゆったりとした動きでネゲヴの手からすり抜けていってしまう。

 無限に広がるデータの海に浸り、安らぎを覚えるネゲヴだったが、そんなリラックスタイムは

時間にしてほんの数十秒足らずの出来事であった。

 

「きゃあ!?」

 

 突然、身体に重力を感じたと思えばそこは再びパルテノン。抱きついていた柱の反対側から、

蹴り飛ばされた勢いのまま飛び出してきた様である。

 驚きながらも、咄嗟に状況を理解して床に上手く着地する。

「よし! これでチートのフラグは立てたんだけど・・・なんか変わったような感じする? すっごい身体が軽くて超高速で動ける~とか」

 

 駆け寄ってきたRFBに言われ、その場でピョンピョンと跳ねてみたり足を動かしてみたりするが、特に変わったような感覚は無い。

 

「おっかしいな~? 確か、ステータスへの超々高倍率バフだったはずなんだよな~」

 

 身体を舐めるように見回してくるRFBの訝しげな表情がネゲヴの不安を煽ってくる。

 

「ん~・・・もしかしたら、ペルシカが先手を打ってチートデータだけ抜きだしちゃったのかもしれない。そうだったらゴメンね」

 

 可愛らしく舌を出しておどけて見せるRFB。

 RFB自身、予期していなかった事だというのはネゲヴも分かってあげたいところだが、あれだけの手間をかけさせてくれたのだ。

 有言実行。情状酌量の余地は無い。

 

「ふふふ・・・つまりは失敗という事? それじゃあ、覚悟はできているでしょうね、RFB?」

 

 目一杯RFBを怖がらせてやるために、薄ら笑いを浮かべながら、すぐ傍らの柱を拳で叩いた。

 あくまでも、怒っていますよアピールの為に叩いただけであって全力を込めたわけではない。

ドアをノックするよりもちょっと強いくらいの力である。にもかかわらず、いかにも頑強そうな

柱は、まるで爆薬で吹き飛ばされたかのように大きく抉り飛ばされてしまった。

 

「・・・」

 

「・・・」

 

 パラパラと破片を落す柱の有様を見て、2人して言葉を失う。

 自分の手は無事なのだろうか? と開いたり握ったりを繰り返してみるが、特に異常は見受けられない。

 ネゲヴの力で柱を叩き壊した、とみて間違いなさそうである。

 

「だ~いせいこ~! これで黒45さんに勝てるよ! やったね、ネゲヴさん!」

 

「よくやったわ、RFB! 待ってなさいよ、UMP45! 今日こそは目にモノ見せてやるんだから!」

 

 成功と見るや、RFBを泣かせてやろうと思っていた事も忘れて45達のもとへと引き返す、

かなりチョロいスペシャリストネゲヴなのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~NEXT プレイヤーズフロントライン~

 

 

 

「私の姿でおっぱいプルプルさせやがって! ムカつくのよ!」

 

 

 理不尽な怒りが黒45を襲う

 

 

 

「お待たせ、副官。言った通り、必勝態勢で戻ってきたよ」

 

 

 ヒーローは遅れてやってくる

 

 

 

「もっと私を恐れなさい。もっともっと、良い声で啼けぇ!」

 

 

 スーパーネゲヴちゃん大暴れ

 

 

 

「いいわいいわ! こんなに良い気分になったの初めてよ! こういうのって、なんて言うんだったかしら」

 

 

 そして、ゲームは幕を降ろす・・・?

 

 

 

 プレイヤーズフロントライン 11話 Coming Soon




チート、ダメ絶対!

ということで、次回は反則級に強くなったネゲヴちゃんのターンの活躍をお楽しみに!

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