ドールズフロントライン ~プレイヤーズフロントライン~   作:弱音御前

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今週もまた懲りずにやってまいりました。
どうも、弱音御前です。

プレイヤーズフロントラインを本編からここまで読んでいただいて本当にありがとうございます。
ちょっとした後日譚のような今話ですが、ほんの息抜き程度に読んでいただけたらと思います。

それでは、どうぞお楽しみください


プレイヤーズフロントライン エピローグ

 Dive END グリフィン多目的室

 

 

「それでは、我らグリフィン精鋭部隊の勝利を祝して。乾杯!」

 

 簡素な挨拶に合わせ、かんぱ~い! という姦しい声が室内に反響し渡る。

 普段はブリーフィングに使用されるのが主な多目的室も、繋げて巨大化したテーブルの上に豪華なディナーを並べれば立派なパーティー会場に早変わり。

 本来、祝勝会は大規模戦闘勝利の際に開催されるものなのだが、今回は特別。試験のお礼という事で16LAB、というか、ペルシカ全面出資でテストに参加していない娘達も巻き込んでの

大祝勝会だ。

 自分達の懐が痛まないということもあって、料理のグレードも普段より2段階くらい上である。

 

「あ、45姉が飲んでるジュース美味しそう。私も飲みたいな」

 

「いいわよ。指揮官」

 

「はい、ただいま」

 

 45に答えるや、テーブルの向かい側まで早足で移動。瓶に入ったジュースをグラスに注ぎ、

すぐに引き返す。

 

「どうぞ」

 

「はい。慌てて飲んじゃダメよ、9」

 

「ありがとう、45姉」

 

 ひと仕事終え、彼は談笑する45の傍で待機しつつ自分のグラスを傾ける。

 

「45さん、そこのお料理をとってくれませんか?」

 

 お皿を出しながらお願いするのは41。テーブルの上、ちょうど45から手が届く位置にあるオードブルを御所望である。

 

「ちょっと待っててね。指揮官」

 

「はい、喜んで」

 

 明らかに45が取った方が早いのだが、わざわざ45は指揮官にお皿を渡し、指揮官もまた、

そんな非効率的な行いに対して何も言わずテキパキと行動する。

 そうして、可愛らしく盛りつけされたお皿を45に渡し、指揮官はまた45の傍で静かに待機するのである。

 自由に立食パーティーを楽しみたいという気分なのは山々だが、シュミレーター内での失態に

対してのお許しが出るまではこうして喪に服すしかないのだ。

 

「・・・指揮官?」

 

「いかがいたしましたか、姫様?」

 

 ちょっとだけ声を低くし、規律正しく頭を垂れる。

 45へのご機嫌取りのつもりでやったのだが、呆れられてしまったようで溜息を追加でつかれてしまう。

 

「もういいから、指揮官もパーティーを楽しんできて」

 

「いいの?」

 

「なんか、コキ使ってるみたいで罪悪感が出てきちゃった。ただ、あの件はまだ許したわけじゃないから、勘違いしないで」

 

 ひらひらと手を振って45は指揮官を解放してくれる。

 まだ許したわけじゃないという点に言い知れぬ恐怖を感じるが、それは今考えても仕方の無い

事だ。

 

「指揮官さま~。こちらで一緒にお食事しませんこと~?」

 

 指揮官がフリーになったのを目敏く察知し、お誘いをかけてくれたはタボール。まずはテストで頑張ってくれたみんなに労いを、という事で喜んで彼女のグループにお呼ばれされる。

 

「みんなお疲れ様。見込み以上のテスト結果だったってペルシカさんも言ってたから、俺としても鼻が高いよ。今日は沢山食べて飲んで楽しんでね」

 

 言って、ネゲヴとファマスの間の空いている椅子に腰を降ろす。

 

「指揮官様もお疲れ様でした。シュミレーターでステータス調整されているとはいえ、指揮官様の運動能力は素晴らしかった、ってみんなでお話していたところですの。ねえ、ファマス?」

 

 向かいに座るタボールから話しを振られるが、ファマスからの返事は無い。

 

「・・・」

 

 不思議に思った指揮官がファマスに視線を向けてみる。彼女は両手で可愛らしくコップを持ち、ストローでジュースを吸った状態で固まっていた。もう少しでコップの中身を吸い尽くしてしまいそうである。

 

「ファマス? ちょっと、ファマス! 聞いていますの?」

 

「・・・・・・」

 

 ついにコップの中身が尽き、ズゾゾゾ~という音が返事の代わりにタボールに返される。

 それでも、なぜだかファマスのフリーズ状態が解除される様子がない。

 

「ファマスさん!?」

 

「何ですか? そんなに大声を出さなくても聞こえますよ」

 

 突然にスイッチが入ったかのようにファマスが顔を上げ、タボールの言葉に反応する。

 どうやら、あれだけタボールが大声で呼んでいたのに本当に耳に入っていなかったようである。

 

「まあ! そんなしれっとした顔で、良い度胸してやがりますわね!」

 

「考え事でもしてたのかな?」

 

 口汚いモードのタボールに代わってファマスに聞いてみると、ファマスは再び顔を下げて

しまう。

 淡いブロンドの髪の隙間から覗くその顔は心なしか赤みがかって見える。

 

「えっと・・・指揮官様と一緒に戦えてとても嬉しかったです。次にシュミレーターを使える機会がありましたら、またご一緒していただけたら幸いだなと・・・そう思っていまして・・・」

 

 ファマスは途切れ途切れながらにでも、そう話してくれる。

 普段から真面目な彼女はこういうお願い事をするのに慣れていないのだろう。凛としたイメージの強い彼女が見せる恥ずかしげな様子はとても可愛らしく写る。

 

「もちろん。ファマスに遅れをとらないよう、俺もしっかりと訓練をしておかないとだね」

 

「ありがとうございます。私、楽しみにしていますね」

 

 柔らかに微笑んでくれるファマスの頭をつい撫でてしまいそうになるが、寸でのところで手を引っ込める。

 TPOをわきまえずにナデナデはやめなさいと、昨日45に怒られたばかりなのを思い出したのである。

 

「なんですのなんですの? ぼ~っとしたりへらへらしたり、超キモイですわ」

 

「それで結構です。これは、私だけが知っていれば良い事ですからね」

 

 得意げにファマスが言うと、タボールは頬を膨らませて拗ねてしまう。

 いつ見ても、本当に気の合う良いコンビである。

 

「私はもう遠慮したいわね。やっぱり、戦闘は実戦が一番だし」

 

 グラスを片手に頬杖をつき、まるでバーの常連でもあるかのような雰囲気を醸しながらネゲヴがぼやく。

 これでグラスの中身がリンゴジュースじゃなければ、もっと雰囲気が出ていたことだろう。

 

「ネゲヴはあまり楽しめなかったのかな? 傍からは結構楽しそうに見えたけど」

 

「そりゃあ、楽しい事だってあったわよ。でも・・・あんなやられ方じゃあ納得できないもの」

 

「では、それこそもう一度挑戦してリベンジを果たすのがお決まりではなくて?」

 

「もう一度やったって、あの黒45が出てくるとも限らないでしょ? 死角からの攻撃とか、やられた瞬間が分からずにやられるってのが一番ムカつくのよ」

 

 勢い良くリンゴジュースを飲み干すネゲヴの横で、指揮官は素知らぬ顔でグラスを傾ける。

 

「それでも、十分に活躍してたんだから良いじゃないか。心からリベンジしたいって思っているのは私達の方だよ」

 

 ネゲヴの愚痴に刺し込んできたのはテーブルの並びに座っていたグリズリーである。

 彼女の傍にはSVD、G36姉妹と、確かにネゲヴ以上にリベンジに燃える顔ぶれだろうなと

納得できる。

 

「ご主人様と出会う事すらも叶わず脱落してしまうだなんて。こんな不甲斐ない私をメイドの神は許してくれるのでしょうか? ・・・いや、許されない。許してくれるはずがありません。私を

許してくれるのはこの一杯だけ。貴女はとても美しくてお優しいのですね」

 

 目の前に掲げたショットグラスに向けてブツブツ愚痴ると、G36はその中に注がれた琥珀色の液体を一気に飲み干した。こちらはネゲヴが飲んでいた可愛いのと違い、かなり度数の高いれっきとしたアルコールである。

 その空きビンがすでに2本ほどテーブルに立てられているので、もうすっかり出来あがりだ。

 

「ああ、姉さん。こんなに憔悴なさってお可哀そうに。わ、私も頑張ってお付き合いします!」

 

「やめとけやめとけ。酒っていうのは自分だけの世界なんだ。気が済むまで、心行くまで飲ませてやればいいさ。・・・というか、アイツは酒強すぎだから付き合ってたらどうなるかわからんぞ?」

 

 そう言ってG36cのコップにジュースを注ぐのはSVD。孤高な印象を受ける彼女だが、こうしてG36cと談笑している姿を見ると彼女のお姉さん気質な一面に気がつかされる。

 

「こちらに来てくれたのですね、指揮官。お料理を持ってきましたので、よろしければご一緒に」

 

 両手のお皿に料理とドーナッツを山盛り積んで戻ってきたのはモスバーグである。

 今、こんなに元気な様子の彼女を見るとシュミレーター内で十字をきって見送ってしまった自分がとても恥ずかしく感じられてしまう。

 

「サンキュ~、モスバーグ。お! ホワイトシュガーにオールドファッションとは、良い品揃えだね!」

 

「ネゲヴもお料理をどうぞ。せっかくの宴なんですから、いつまでも拗ねていたらもったいないですよ?」

 

「拗ねてなんかないし。今日も私は至って通常営業のスペシャリストよ」

 

「ふふ、そうですね。では沢山食べて、沢山笑ってスーパースペシャリストを目指して下さい」

 

「・・・アナタ、スペシャリスト馬鹿にしてない?」

 

 口を尖らせて言いつつ、ネゲヴはモスバーグが差しだした小皿を素直に受け取る。

 指揮官から見て気難しい部類に入るネゲヴだが、モスバーグに対してはわりと素直に・・・というか、モスバーグがネゲヴを上手くコントロールしているような感じにも見える。

 シュミレーターを通してこれだけ仲良くなれたのなら、同じ任務に就いてもらってもいいかな、と指揮官は小さく頷く。

 

「ところで、今回の主役のRFBをどこかで見なかったかな?」

 

 テスト参加組でまだ様子を見ていない最後の1人の居場所を尋ねると、モスバーグが行き先を

教えてくれた。

 どうやら、この部屋を出てペルシカのところへ行ったようである。

 

「主役不在っていうのは示しがつかないな。ちょっと様子を見てくるよ」

 

 ネゲヴ達に見送られ、パーティー会場から出て行く。

 喧騒にまみれた会場から一変、いつも通りの無機質な廊下を16LABのエリアに向けて進んでいく。

 最後の最後で脱落してしまった指揮官はその場面を見届けられなかったが、ラストステージは

最後の1人になったRFBがシュミレーター内のプレイ時間換算で数時間かけてクリアしたようである。

 黒45を倒す過程で爆誕した黒ネゲヴの強さは尋常ではなく、それまで生き残っていた45、9、41はものの数分で脱落。そこからRFBは、たった1人で戦い続けたというのだから驚きである。

 黒ネゲヴというのはゲーム内で裏技を使用した影響で発生してしまったイレギュラーであり、

その所業があまりにも酷かったという事から、現在のネゲヴの記憶からは完全に消去されてしまっている。

 ついさっき、ネゲヴが黒45にやられたと言っていたのは記憶が消されているが故の事なのだ。

 そこまで徹底されると、黒ネゲヴがどんな事をしたのか興味に絶えない指揮官だが、45はもちろん、9もその事に関しては〝げんなり〟とした表情を浮かべるだけで何も教えてはくれな

かった。

 つまりはそういう事だったんだな、という事でその件に関しては蓋を閉じるべきだろう。

 そうこう考えているうちに16LABエリアに到着。

 アンロック状態のパネルに手をかざすと、静かにドアがスライドしてくれる。

 

「お? 指揮官のご登場だ。キミを迎えに来てくれたんじゃないのかな?」

 

 デスクに座っているペルシカが来訪に気付き、RFBも指揮官の方に振り返る。

 果たしてゴミなのか重要な機材なのか色々なモノが転がっているラボ内を、足元に注意しながら進む。

 

「主役が会場からコッソリ抜けだすとは感心しないね、RFB」

 

「ごめんなさい。シミュレーターテストの件で改めてペルシカにお礼を言っておかないとって

思って。あと、これを返してもらったの」

 

「? 弾薬ケース?」

 

 RFBはオリーブグリーンの重厚なケースを両手で大事そうに抱えている。

 

「それはRFBから提供してもらったゲームだよ。わざわざお礼に来てくれたから、ついでに返しておこうと思ってね」

 

「それ一杯にゲームが入ってるのか? 何十本あるんだよ・・・」

 

「100タイトルくらいかな? これでも私のコレクションの半分くらいだけど」

 

 どこからこれだけのものを集めたのか不思議なところだが、戦術人形の中にはもっと首を傾げたくなるようなモノを大量に集めている娘もいる。

 ツッコむのは野暮というものである。

 

「ねえ、ペルシカも行かない? みんなで楽しくパーティーしようよ」

 

「お誘いありがとう。でも、私はそういうのは性に合わないんだ。気持ちだけ貰っておくよ」

 

「そっか・・・じゃあ、また遊びに来るから。色々なゲームの話ししようね!」

 

 踵を返し、入口に向かうRFBに向けてペルシカは笑顔で手を振る。

 

「RFBを迎えに来たんだろう? ぼ~っとしてないで後を追いなさい」

 

 RFBがお世話になったお礼、という意味を込めてお辞儀を一つ。入口に向き直る。

 

「借りの返済は24時間365日、いつでも受付中だよ~」

 

 歩き出そうとして、ペルシカの言葉で足が止まる。

 ちょうどRFBが部屋から出て、このラボ一角には指揮官とペルシカだけになった。

 

「おや? 心当たりが無いって顔してるね。私がステータスを弄くったせいでキミはシュミレーター内であれだけの動きが出来たんだ、っていう謂れの無い罪を私は甘んじて被った。その借りだよ」

 

 ペルシカを一瞥する。

 彼女はこれまで指揮官が見た中でも一番楽しそうで妖しい笑みを浮かべていた。

 互いに会話をする事もなく指揮官は再び歩を進め、ラボを後にする。

 

「遅いよ、指揮官。早くみんなのところに戻ろ?」

 

 ドアの外ではRFBが待っていてくれた。ゲームディスクとはいえ、100本近くだとそれなりの重量だろう、箱を抱える様子は見るからに重そうである。

 

「その前に、箱をキミの部屋に持っていかないとだろう? 持つよ」

 

「ダメ。この中にはプレミアム付いてるタイトルも入ってるんだから、私が責任をもって運ぶの」

 

「はいはい、仰せのままに」

 

 歩きづらそうにしながら進むRFBの横に付いて彼も歩く。

 ここからRFBの部屋まではフロアを移動して5分くらい。ちょっとしたお散歩である。

 

「ありがとう、指揮官。シュミレーターとはいえ、ゲームの世界で戦うっていう夢が叶ったのは

指揮官のおかげだよ」

 

「俺は何もしてないよ。RFBが自分の望みをちゃんと持って、それに向けて行動できた結果なんだから」

 

 ペルシカというジョーカーが現れたというラッキーもあるだろうが、それもあの時、食堂で

RFBと会話をしていなかった引き寄せられなかった事である。

 幸運は自分で手繰り寄せ、自分で掴む事が出来るものだというのが指揮官の持論だ。

 

「えへへ。今度はみんな揃って全クリしたいな。結局、私だけで黒ネゲヴさん倒しちゃったから、いつもとあまり変わらなかったんだもの」

 

「じゃあ、まずはステージの難易度を下げる事を考えような。黒ネゲヴ、黒45よりも強かったんだろう? 勝てるイメージがこれっぽっちも浮かばないよ」

 

「指揮官もまだまだだね。・・・そうだ! 私が指揮官にゲーム訓練してあげるよ! 私のようなマスタークラスには及ばずとも、そこそこプレイヤーくらいには育ててあげる!」

 

「そうだね。じゃあ今度、時間をとってお願いしようかな」

 

「ってか、今から私の部屋でやっていかない? ほんのちょっとだけ、先っちょだけだから。ね?」

 

 パーティーに連れ戻す為にRFBを迎えに来た指揮官だったが、正直、シュミレーターステージの元になっていたゲームに興味が沸いていたところであった。

 時間に気を付けていれば平気。そんな油断が命取りとなり、結局、パーティーがお開きになるまでゲームに熱中してしまい、後ほど2人して45にこっぴどく叱られる羽目になってしまうの

だった。

 

 

END              




改めまして、プレイヤーズフロントラインを最後まで読んでいただいてありがとうございます。
いつものことながら、勢い任せで書いているので色々と破綻していることもあったりしますが、まぁ、そういうのも味かな~、なんて開き直ってみたりしています。

少しの準備期間を置いて、またドールズフロントラインでの次回作を予定していますので、気が向いたらそちらにも足を運んでいただけたら嬉しいです。

それでは最後に、先日実装されたMOD3の88式はもう別ゲーのキャラみたいになってね!?
というツッコみをもってお別れの挨拶とさせてもらいます。

以上、弱音御前でした~
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