ドールズフロントライン ~プレイヤーズフロントライン~   作:弱音御前

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あまりの寒さに毛布にくるまったまま生活をおくっております。どうも、弱音御前です

今回よりプレイヤーズフロントライン本編開始となります

どうかごゆっくりとお楽しみください~


プレイヤーズフロントライン 2話

 前回のプレイヤーズフロントラインは・・・

 

 

「RFBはあの演習の何が気に入ってそこまでやりたいって思うの?」

 

 

「ゲームみたいなところ。仲間と勝利を分かち合えるのがすごく楽しそうだった!」

 

 

「その悩み、解決してあげられるかな~? ってところでさ」

 

 

「分かりやすいところで〝ゲームの世界〟をシミュレーターで体験してもらう事にした。入力するゲームデータを提供してくれたのが、ここにいるRFBってわけさ」

 

 

「俺が参加できるんですか?」

 

 

「指揮官と一緒に戦えるんだ!? そんな時が来たら良いなってずっと思ってたんだよね~!」

 

 

「じゃあ、そういう事で俺もテストに同行する事になったから、みんなよろしく」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ダイブポイント適正。システム、コンディション共にオールグリーン・・・と。うんうん、順調じゃないか。テストの必要なんてなかったかな、これは」

 

 50インチの大型モニター一杯に映し出されたステータスを眺め、ペルシカは満足気な様子で

マグカップを煽る。

 ペルシカの背後には、コネクターで繋がれた戦術人形が横たわる寝台が12台。それよりも少し大きな、カプセルを縦に割ったようなベッド1台には男性が横たわっている。

 指揮官に説明した、新型のシミュレーターテストというのは真実である。

 物理的な接続無しで人間の意識を仮想現実空間へ送り込み、そこで得た経験と技術を目覚めた後の現実で身につける。

 戦術人形達が行っている、模擬訓練と寸分違わぬ技術の人間への転用化は長い期間取り組んでいたプロジェクトである。

 フィナーレはもう目前。プロジェクトの担当であるペルシカは気持ちも一入、といきたいところだが・・・それよりも、もう一つの感心事に気を持っていかれて、プロジェクト完遂の感動もどこ吹く風なのであった。

 

「さて・・・私の予想以上である事を期待しているよ」

 

 眼を妖しく輝かせながら、ペルシカがキーボードを操作する。

 モニターのウィンドウが忙しなく閉じては開きを繰り返し、そうしてまず、ある1つのステージが映し出された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 Dive A  20XX年 第19生活地区

 

 大地を焦がさんばかりに照り付ける陽光。

 逆巻く風によって、砂塵に埋め尽くされた大気は呼吸もままならない。

 見渡す限り乾いた茶色の荒野に生命の気配は希薄。

 数十年ほど前、ここが木々の緑とコンクリートの灰色が見事なコントラストを織りなす土地だった。そう言っても、誰もが笑い話だと思う事だろう。

 そんな真っ只中の一角、かつては繁栄を遂げた成れの果てが、現在、この世界で暮らす生き物の数少ない住処となっている。

 砂嵐を防ぐための数十メートルはあろう金属製の外壁に囲まれた敷地内には、まともな建築物などひとつもない。今にも倒壊しそうな建物同士がお互いを支え合うようにして寄り添い合うその様子は、ジャンクヤードさながらといったところである。

 不幸中の幸いというものか、寄り添い合っている建物が日傘の役割を果たしてくれている為、生身では1時間と耐えられない強烈な日差しは地面にまでは届かない。

 暗く、湿気た吹き溜まりが今の人類の憩いの場となっている。

 ボロ切れのような服を纏い、幽霊の様な生気の無さで路を行く人の中で、その少女の風貌はあまりにも世離れしすぎていた。

 汚れとは無縁な純白のドレスに、自分の身の丈ほどあろうかという長さの金髪。異世界からやってきたかと見紛うばかり・・・いや、実際その通りの少女、G41はいつも可愛らしくパタつかせている耳をしおらしく畳み、1人路頭に迷っていた。

 

「うぅ・・・誰か・・・誰かいませんか~?」

 

 小さく、か細い声は誰に届く事も無く、薄暗い路地に溶けて行く。

 周囲の人物は、41のような明らかな異物に見向きもせず通りすぎ、商売を続け、自分の役割を淡々とこなしている。

 まるで、自分が透明にでもなっているかのような薄気味悪さである。

 

「ステージをクリアって言われても、どうすればクリアできるのでしょうか・・・」

 

 このシミュレートステージに無事降り立ったのは良いものの、肝心のクリア条件というのは教えられもしなければ、どこかに表記されているという事もなかった。

 途方に暮れた41はひとまずこの生活区域にいる人達に勇気を振り絞って声をかけ、情報収集にあたっていたのだが、悉くに無視されてしまい、ここまで何の情報も得られずにいるという顛末である。

 

「戦闘だったら得意なのに・・・これじゃあ、ご主人様に叱られちゃいますぅ」

 

 しょんぼりと肩を落とし、でも、なんとかしなければと脚だけは動かして、どんよりとした空気が漂う路地を彷徨い歩く。

 歩けども歩けども同じような風景で、自分がどれだけの時間歩いているのかも分からなくなり、いよいよもって途方に暮れてしまいそうになった、そんな時だった。

 

「あなた、この辺では見ない顔だね」

 

「ひゃあ!!?」

 

 突然かけられた言葉に、身体を飛び上がらせて驚いてしまう。

 声の主は41のすぐ左手、ゴミの寄せ集めだと思っていた塊に紛れて座っていた女性だった。

 薄汚れてボロボロの布を羽織っているその人物の顔や風貌は全く分からず、声でかろうじて性別が分かるくらいのものだ。

 

「わ、私の事ですか?」

 

「そう。随分と立派な武器を携えて。でも、見たところ、〝ヤツら〟の仲間っていう風には見えない。ハンターかな?」

 

 愛銃を指され、41は自分の背後に銃を隠す。でも、小柄な体ではマズルとストックがはみ出して隠しきれていない。

 

「え、えっと・・・はい、私は違う町から来ました。ハンターです」

 

 少しだけ考えてから、41はあえて目の前の謎の女性と話しを合わせることにした。

 ゲームの中では個々のゲームに定められたシナリオに沿って話しが進む為、戦術人形各々はそのゲームの主人公になって対応しなければ話しは進まない。

 これは、シュミレーターが起動する直前にRFBから受けたアドバイス。ゲームの中でのいわゆる〝お約束〟である。

 今まで、41が話しかけても完全無視してきた人々の中で、初めて向こうから干渉してきたこの女性はきっと話しを進めるためのキーパーソンなのだろう。

 見知らぬ女性にウソをつくのは気が引けるが、今は話しを進める為に形式だけの主人公を演じてみる。

 

「〝ヤツら〟に盗られてしまったペンダントを取り返してもらえないかな? お礼の代わりとして〝ヤツら〟の場所を教えるから、それで賞金を稼げば良いだろう」

 

 敵を倒して、ペンダントをこの女性に渡せば次に進む事ができる、といったところか。

 戦闘ならば、41も望むところである。

 

「分かりました。ペンダントを取り返してきます」

 

「ありがとう。この裏路地の先に溜まり場がある。たぶん、リーダー格の奴がもっているだろうから気をつけてね」

 

 そう言って女性が指を指すと、さっきまで建物の壁だった場所にいつの間にか路地が真っ直ぐ伸びていた。

 その様子を見て、ちゃんとした手順を踏まないと絶対に先には進めないんだと思い知らされる。

 これまで歩いていた路地でも十分に暗かったが、尚暗く、湿った空気が充満する裏路地に足を踏み入れ、41は自然と銃を構える。

 セレクターをバーストに切り替え、いつ敵が現れても良いように五感を研ぎ澄ませながら路地を慎重に進んでいく。

 

(あの女の人、〝ヤツら〟って言ってたけど、どんな姿なんだろう?)

 

 ここで、あまりにも基本的な事に気が付いてしまう。

 ここが溜まり場だと言っていたので、この先に居るヤツが敵なのだろうが、攻撃してはいけない対象だって居るのかもしれない。

 まだ入り口からは10メートルも離れていない。安全の為に、さっきの女性にどんな姿をした敵なのか確認に戻るのが適切だろうか?

 41が足を止めようとした・・・そんな矢先だった。前方、ゴミ置き場の影で蠢く何者かの姿を視認した。

 

「! 誰です?」

 

 41の問いに何者かは言葉を返さない。

 ぬぅ、と立ち上がった人型の身長は180センチ以上。41とは比べるまでもなく大きな相手である。

 銃口を向ける41に向かってゆっくりと歩いてくる人型の姿がようやく明らかになる。

 くすんだ黒色の革パンと革のジャケットで筋骨隆々な体格を覆い、顔は骸骨を模したマスクで隠している。

 右手に持つ銃器はM1887ウィンチェスターショットガンだが、戦術人形であるM1887とは比べるまでも無く別人である。

 まぁ、革のジャケットという点は共通しているが、そこだけだ。

 99.9%ほぼ間違いなく敵であろう見た目のそいつが、ゆっくりとショットガンの銃口を41に向ける。

 そんな緩慢な動作を見てのんびりしている程41は平和な戦術人形ではない。

 敵に狙いをつけるや、躊躇なくトリガーを引く。

 タタタ、と小気味良い発砲音が路地の壁に反響し渡り、敵の身体が背後に弾き飛ばされた。

 倒したという手応えを感じながらも、41は仰向けに倒れた敵に向けて慎重に歩み寄る。

 敵の様子を覗き見ようとしたところで、地面に横たわった巨体は音も無く、まるで、風にさらわれる砂のように崩れて消えていった。

 

「ふぅ・・・今のが敵みたいですね」

 

 どんな恐ろしい怪物が待ち受けているのかと思いきや、トリガーの一引きで倒せてしまうようなのが相手だと分かり、41の心に余裕ができる。

 萎れていた耳もようやくピンと張り、見た目にもヤル気が出ているのが分かるくらいだ。

 

「これくらいの相手だったら、私1人でも問題なく・・・ふぇ!?」

 

 背後、路地の入口の方にふと視線を向けて、余裕が滲んでいた表情が再び焦りに変わる。

 目の前には、いま倒した敵と同じ姿の人型が。それも1人ではなく、大人が2人並んでようやく通れるくらいの幅の路地を埋め尽くさんばかりにひしめいていたのだ。

 41がちょっと眼を離した隙にどうやって? コイツらはどこから出てきたのか?

疑問が頭の中をぐるぐると駆け巡るが、そんな悠長な事を考えている暇はなかった。

 

「~~~~~~~!!」

 

 言葉と呼ぶにはあまりにも原始的な雄叫びをあげながら、敵が一斉に走り寄ってくる。

その様はさながら、子猫に襲いかかるバッファローの群れといったところだろうか。

 1人の幼女に迫りくるマッチョな大人達、という表現はあまりにも犯罪的な為、前述の表現でぜひとも勘弁していただきたい。

 

「きゃあ~~~!!?」

 

 これにはさしもの41も大慌てで路地裏の奥へ向かって全力退避。

 先の様子も分からない路地をただひたすらに駆け抜ける。

 途中、行く手を阻むように々見た目の敵が現れるが、すぐさま排除して足を止める事なくやり過ごす。

 

「っ! 弾がもったいないです」

 

 頭部に1発で倒せると見抜き、セレクターをセミオートに切り替える。

 小柄が故にすばしっこさには自信のある41だが、行く手を阻む敵の排除が思ったよりも面倒で、少しずつ背後から迫る敵の濁流との差が縮まってきてしまう。

 逃げつつも背後の敵の排除を試みるが、一向に数が減る様子はない。撃ち倒した分だけ補充されているかのようにも思えてしまうほどの物量である。

 ついに手持ちのマガジンも切れ、残弾は装填しているマガジンの中に半分入っているだけ。下手な反撃は止めて逃げに専念していると、路地の先が開けているのが確認できた。

 

「良かった。あそこまで逃げ切れば」

 

 一本道の路地では分が悪すぎるが、抜けてしまえばいくらでも逃げ回れる。この謎の仮面集団との追いかけっこから解放される、という安堵から41の脚も自然と早まる。

 かくして、41は後続集団との距離を十分にとったまま路地を抜け・・・そうして、また愕然とする。

「そ、そんな・・・」

 裏路地の先が開けているように見えていたのは、表の道に繋がっていたわけではなかった。

 四方をコンクリートの壁に囲われた袋小路には、薄汚れたソファーや椅子などの家具が乱雑に置かれ、テーブルの上に散乱した瓶や食べ物と思しき物体が発する異臭が周囲に充満している。

 まさに、41を追いかけてきた謎の骸骨マスク集団のアジトといった様子であるが、こんな中でくつろげる者の神経を本気で疑いたくなるほどの環境の悪さだ。

 絶望からその場で佇む41に、アジトの中に居た数人の敵が銃口を向ける。

 

「っ!」

 

 反射的に応戦。片っ端から一撃で仕留めてみせるが、路地で追いかけてきた敵もどんどんアジト内に入り込んできている為、焼け石に水である。

 そうして、トリガーがカキンと虚しい金属音をあげるまでにそう時間はかからなかった。

 

「うぅ~・・・」

 

 周囲360度を完全に包囲されて成す術が無くなる41。撃てないと分かっていても、戦意は消えていない事の証として銃口は降ろさず敵に向け続ける。

 取り囲みこそすれ、一向に撃ってくる気配の無い敵の間から、一層に体格の大きい者が1体、

41の前に姿を現した。

 見たところ、この下っ端達のボスなのだろう。41にこの任務を頼んできた女性が言っていた、ペンダントを持っているヤツに違いないが、弾切れで戦えない今の状況では倒しようもない。

 弾薬を補給して再びこの路地に戻るのが最善。というか、そうするしか道は無い。

 

「ていっ!」

 

 その場から大きく跳躍、手近な敵1体の肩に飛び乗るとそこを踏み台にして再び跳躍、建物の壁沿いに伸びているパイプに飛び移った。

 このまま、パイプ伝いに四方の壁を昇って屋上へ抜けて逃げ切る。それが、土壇場で41が考え付いた活路だった。

 まるで小動物の様に機敏な動きをみせる41に敵は狙いをつけられずにいる。

 逃げ切れる。今度こそ41はそう確信するが、ゲームとはいえ、やはり上手く事が進む世界ではなかったようである。

 ズドン、という重い銃声と共に41が飛び付いたパイプが外れ落ちる。ボス格の敵が撃った散弾がパイプとコンクリート壁の接続部を抉ったのだ。

 

「あ・・・」

 

 パイプと共に41の身体も落下していく。

 10メートル近い高さからの自由落下であるが問題はない。猫の様な身のこなしで体勢を立て直すと、音も無く地面に着地する。

 そのタイミングを狙っていたのだろう、41のすぐ正面にまで迫っていたボス格の敵は、41の髪を鷲掴みにすると背後の壁に叩きつける。

 

「きゃあ!」

 

 叩きつけられた音と衝撃こそ大きかったものの、痛みがないというのはシュミレーターの良いところである。

 

「この! 放してください~!」

 

 41の力では、樹の幹のように太い腕からはどれだけもがいても逃れられない。

 相手を蹴り飛ばそうとして、でも、全然足が届いていない41の可愛らしい仕草にどうこう思うような様子もなく、敵は銃口を41の顔に突きつける。

 

「あ・・・ぁ・・・」

 

 目前、数センチの位置には真っ黒な穴。吸い込まれたら最後、どこまでも落ちて行ってしまいそうな漆黒が41の恐怖を煽りたてる。

 ああ、自分が今まで壊してきたモノ達はこういう気分だったのか、と思い知らされる。

 

「ごめんなさい、ご主人様・・・」

 

 指揮官の役に立てなかった事を最後に悔い、41は静かに眼を閉じた。

 銃声が41の耳を劈く。

 訓練終了を告げる音だと41は瞬間的に認識したが、そうではなかった。

 

「ふぇ?」

 

 ぽすん、と地面に尻持ちをついた衝撃で気の抜けた声が口から漏れてしまう。

 正面に目を向ければ、そこには41を掴んでいた左腕を失った敵の姿。

 

「そのまま伏せてろ、41!」

 

 何が起こったのか分からず呆然としていると、頭上から声が響いてきた。

 連続する銃声と共に降り注ぐ弾丸の雨。それを浴びた片っ端から、まるで糸の切れた人形のように次々と倒れ消えていく。

 12人が倒れたのと同時に、先ほどの声の主なのだろう真っ黒な人影が41と敵軍団を遮るように降り立った。

 黒いロングコートを纏っているので、それが何者なのかは41には把握できない。

 突然の乱入者で敵が混乱しているうちに、黒コートの人物は両手に携えた拳銃を高速リロード。スライドロックを外すやいなや敵の群れに向かって踏み込んでいく。

 ショットガン相手の接近戦だというのに、その人物の動きからは少しの躊躇すらも感じる事はできない。

 身体が触れるくらいに接近した敵と体を入れ替えながら周囲の敵に弾丸を撃ち込み4人を始末。

 両手を広げ、回転しながらの水平撃ちで弾丸をばら撒き、7人を瞬時にダウン。

 あまりにも華麗なクロスレンジでの銃撃戦を前に41は思わず見惚れてしまう。

 一体、目の前の相手は誰なのか? という疑問すら頭からすっかり抜け落ちてしまっていた。

 片腕を失い、部下の群れに逃げ込んでいたボス格だったが、周囲の部下が次々と倒されていき、いよいよ身を隠しきれなくなっていく。

 そうして、ついに黒コートの人物とボス格との間がクリアになる。

 周囲の部下は圧倒的な力量の前に怖気づき、続々とアジトから逃げ出してしまっている。

 壁に追いつめられたボス格に歩み寄りながら、黒コートの人物は悠々と拳銃をリロード。

 そこに勝機を見出したのか、41を捕まえた太い腕が伸びる。

 

「避けて!」

 

 自分を助けてくれた人物に協力しなければ、という思いで41が思いきり声を張り上げる。

 しかし、そんな心配は杞憂に終わったようだ。あっさり巨腕をかわすと、弾丸を4発腹部に撃ち込む。

 ずしん、と重い音をたてて巨体が転がる頃には、あれだけ居た敵の姿は1人たりとも見えなくなっていた。

 

「ふぅ。大丈夫かい、41。ケガはない?」

 

 黒コートの人物は戦闘終了とみるや、踵を返して41に歩み寄ってきた。

 やはりサングラスで顔はよく確認できないが、その顔立ちも、声も、41がとても良く知っている人物に間違いはなかった。

 

「ぁ・・・あの・・・あの・・・」

 

「? ああ、これをかけてたら誰か分からないか」

 

 あまりの嬉しさに言葉を失ってしまっていたのを怯えていると勘違いしたのか、彼は41の前で跪くとサングラスを取り外してくれた。

 かくして、41の目の前にはご主人様こと、指揮官の優しい笑顔が現れてくれたのだった。

 

「ご主人様・・・ご主人様ぁぁぁぁ!」

 

 溜まりに溜まっていた寂しさと共に涙も溢れ、その場で泣きじゃくってしまう。

 本当に、この場に誰もいないのが幸いだと41自身も思えるくらいの泣きようだ。

 

「見つけるのが遅れてごめん。怖い思いをさせちゃったね」

 

「うぅ~・・・ぐす・・・いいえ、ご主人様が謝る事ではないですぅ~」

 

 優しく頭を撫でられて、それでようやく気持ちが落ち着いてくれたおかげか、自分がこんな場所に来た目的を思い出した。

 ボス格の骸骨マスクが倒れていた場所に視線を向けると、そこには小さなペンダントが1つ落ちている。

 

「ご主人様が助けてくれたおかげで、これが手に入りました」

 

「ペンダント? なんでまたそんなものを」

 

「このステージをクリアする為に必要みたいなんです。取り返してきてくれって、この路地の入口にいた女の人に頼まれました」

 

「キーイベントって事か。俺の方は、このステージの情報は集まるんだけど先に進めるような

イベントには出くわさなくって。詳しい事は移動ついでに話そうか。いつまでもこんな所に居たくないよね」

 

「はい!」

 

 指揮官が差しだしてくれた手に自分の手を重ね、2人並んで路地を引き返す。

 さっきまで怖くて仕方がなかった路地と同じ場所だというのに、傍に指揮官が居るだけで温かく感じられるのが不思議なものである。

 

「ご主人様は戦うのがすごく上手なんですね。私、ビックリしちゃいました。それに、その

お洋服・・・」

 

「ん~・・・たぶん、みんなと一緒に戦えるようにってペルシカさんが俺のステータスを弄くったんじゃないかな? 自分でも驚くくらい身体が軽く動くんだよ。あと、このコートとサングラスは初めから身につけてたもので、決して自分で選んだわけではなくて」

 

「普段のご主人様と雰囲気が違うけど、とてもカッコイイと思います」

 

 素直な感想を向けると、指揮官は恥ずかしさを少し滲ませながら笑ってくれた。

 41は指揮官のこういう朗らかな仕草がとても好きなのである。

 

「ありがとう。ところで、なんでさっきは掴まったまま反撃しなかったんだ? そういう話しの流れだったとか?」

 

「ふぇ? あ、あれは、弾切れで反撃できなくなってしまって」

 

「弾切れ? エースのキミにしては珍しい失態だね?」

 

「仕方がなかったんです! あの怖い人達がワ~って襲いかかってきて、すごく大変だったんですから!」

 

 思えば、指揮官と2人きりでこうしてゆっくり話しをするのも久しぶりの事だ。

 これまでに少しずつ募っていた寂しさのツケを払うかのように、41は今だけ指揮官に思いきり甘えるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~NEXT プレイヤーズフロントライン~

 

 

「なかなかどうして、面白い事になってきましたね。戦闘準備といきましょうか、タボール」

 

 アーミー・オブ・ツー

 

 

「まあ! ファマスったら、指揮官の裸体をご覧になった事がありますの!?」

 

 グリフィン内スキャンダル

 

 

「さすがにブン殴りますよ?」

 

 鉄拳制裁

 

 

「私達の冒険はまだまだこれからですわ!」

 

 それアカンやつ

 

 

 プレイヤーズフロントライン 3話 Coming Soon




プレイヤーズフロントライン、いかがでしょうか?

今回はシミュレーター世界なので普段以上に好き勝手できます。やったね!

前作には出なかった人形もとりあげる予定なので、今後もどうぞお楽しみに~
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