グリット・スクワッド! 〜超人ヒーロー達が、元社長令嬢の私を異世界ごと救いに来ました〜   作:オリーブドラブ

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第18話 鋼鉄と死神と悪魔

 

 ライガさんの背に、叢鮫さんが頼もしさを感じている一方で――鋼鉄食屍鬼の群れに包囲されていた輝矢君は、鉄球をいくら振るっても減らない敵の勢いに、押され始めていた。

 

「くッ! ダメだ、数が――!?」

 

 多勢に無勢。その言葉しか出てこないほどの、戦力差であった。今の時点でかなりの数が倒されているはずなのに、鬼達の勢いは全く衰えていない。

 輝矢君がどれほど鉄球を振るい続けても、鋼鉄食屍鬼達は絶えず群がってくる。飛び道具である鉄球の隙間を掻い潜り、間合いを詰めてくる敵に対してはキックで対応しているが――それでも、完全に対処しきれるわけではない。

 

 やがて全方位から飛び掛かって来る鬼達に、至近距離からタックルを浴びせられた輝矢君は――勢いよく転倒してしまった。そんな彼を袋叩きにするべく、鋼鉄食屍鬼達は一斉に牙を剥く。

 

 ――その時だった。

 

「排除目標、未確認生命体(アンノウン)。個体名不詳。その犯罪行為による被害者の拡大の阻止のため、今こそ破壊するッ!」

 

 白銀の聖鎧を纏う、鋼鉄の戦士。その右腕から伸びる高周波振動剣(パルサーブレード)が、輝矢君にのし掛かった鬼達を真っ二つに斬り裂いて行く。

 彼は輝矢君に肩を貸して立ち上がらせると、その鋭利な科学の刃で――迫り来る鋼鉄食屍鬼達を、矢継ぎ早に斬り払っていた。

 

「討ち漏らしは僕が仕留めます。貴方は中距離の敵をッ!」

「……分かった! ありがとう、グラウザー!」

 

 短時間で「間合い」という輝矢君の弱点を分析していた彼は、鉄球が輝矢君の手元を離れている隙に詰めて来る敵を重点的に狙い、完璧にカバーしている。僅かな無駄もないその挙動はまるで(・・・)、機械のようだ。

 

 ――しかし、強いヒーローが何人も加わったとは言え、数は圧倒的にこちらが劣っている。たった一撃で何十という鬼を屠れる彼らでも、避難している人々を完全に守り切れるわけではない。

 迎撃の網を抜け、無力な者を狙う牙が――私達に向けられていく。

 

「狙えるか、リーパー」

「任せな、キャプテン」

 

 刹那。私を含む民間人を狙っていた鬼達が、次々と頭を撃ち抜かれ転倒して行った。

 ――叢鮫さんの側で戦っていた、ハンドガンを握る黒尽くめの兵士。彼の銃弾によるものだろう。

 

 拡張マガジンによって装弾数を増されている銃が、矢継ぎ早に火を噴き異世界の鬼を狩り尽くさんとしている。

 広場の中央にいる魔人の元へと向かう、叢鮫さんに背を預けながら――銃の持ち主は民間人を狙う鬼達に、狙いを絞っているようだった。

 

「……俺は敵の『頭』を叩きに行く。撃ち漏らし(・・・・・)の始末は頼んだぞ」

「言われるまでもないさ。征服を以て、平和を為す――それが俺達、『ストライク・ブラック』の在り方だからな」

 

 「リーパー」と呼ばれている彼は、やがて叢鮫さんの側から離れると――近接格闘と銃撃を織り交ぜた戦法で、次々と鋼鉄食屍鬼達の頭部を破壊しながら、戦場を駆け抜けていく。

 視界の外にいる敵さえも、ノールックで撃ち抜きながら。

 

「まずは――この戦場から制圧させてもらう」

 

 静かに、そして厳かに。そう言い放ちながら引き金を引くその姿は、さながら戦場に降臨した「死神」のようであった。

 

 一方。別の方向から魔人の元へ向かっていた火弾さんは、悪魔を彷彿とさせる鎧を着た騎士と共に、鬼達との乱闘を繰り広げている。

 鎌のように湾曲している大鉈状の剣を振るい、修羅の如く敵を圧倒する彼の傍らで――火弾さんはボロボロになりながらも、鉄拳を振るい続けていた。

 

「子供ウケの悪そうな武器使ってんなぁ、間違って撃っちまいそうだ!」

『ポピピポッ!』

「うるせぇ、これしか持ってねぇんだよ! ウチの相棒(シルバード)みてぇなこと言いやがって――!?」

 

 互いに悪態をつきながらも、息の合った連携で鋼鉄食屍鬼達を蹴散らしていく、2人のヒーロー。彼らが互いの背後に迫る敵影を発見したのは、同時だった。

 

「マガイダーショットッ!」

「アブねッ!」

 

 次の瞬間。火弾さんは、指先から熱光線を放ち――騎士は散弾銃に変形した右腕で、無数の銃弾を撃ち込んだ。

 双方の後ろにいた敵は、すれ違いざまに発砲した彼らの機転によって、瞬く間に倒されてしまう。

 

「……それ、どっから出てんの? 物理法則には従っとけよ、ここ異世界だけど」

「……てめぇこそ、その指どうなってんだよ。魔法より魔法染みてんじゃねーか、ここ異世界だけど」

 

 そして再び、互いの武器に目を丸くしながら――彼らは軽口を叩き合うのだった。

 

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