ゆるく行こう~野クルの男子部員~   作:Akila?

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お土産と放課後の焼き肉論

キーンコーン、カーンコーン…

 

 

学校のチャイムが鳴る

 

既に1日の授業は終了しており、これは放課後のチャイム

 

 

もう11月の終わりともあって、夕日が出始めている

 

 

 

図書室で本を読んでいたリンは、パタンと本を閉じた

 

彼女は図書委員

最後に図書室を閉めるまでが仕事、

もう閉めなくてはならない

 

 

 

 

 

…のだが

 

 

(暖かくて出られん…)

 

ストーブが暖かすぎ(快適)で、出るに出られなくなっていた

 

 

ぬくぬくしながら、何の気なしにカレンダーを見る

 

 

(…今年もあと1ヶ月ちょっとか…)

 

昨日一昨日と行ってきた、長野のソロキャン

 

初めての原付旅、訪れた場所、見た景色……

 

色々予想外の事が起こって大変だったが、頭に浮かぶそれらは、リンにとって良い思い出となっていた

 

初日に入れなかった温泉も、帰りに入ることが出来た

 

楽しかった…心からリンはそう想った

 

 

「………」

不意に自分の鞄を見詰めて、中を覗く

 

そこにはお菓子の箱が入っていた

 

 

リンが、なでしこへと買った長野の土産だ

 

渡そう…そう思って持ってきたが、もう放課後

 

(…クラス違うけど……何処かで見かけると思ったんだけどな……)

 

とはいえ生物なので、早めに渡したい……

 

ぅぅん…と悩んでいると、

お菓子の下に何かあるのに気付いた

 

 

なんだろう…?と取り出すと

 

 

「…なんだこれ?」

それは小包だ

 

こんなの入れたっけ…?と考えて

 

「…あ」

今日の朝の事を思い出す

 

 

今朝、リンは少し寝坊した

 

朝御飯を食べる時間も無かったので、支度を済ませて家を出ようとした

 

 

その時、母親からお弁当と

 

この小包を「あなた宛よ」と渡された

 

寝ぼけ気味でそれを受け取った自分はそれを、鞄の中に入れてしまって………

 

 

 

「…なんで出がけに渡すかな…」

 

鞄の中に入れたリンもリンだろう…そんな突っ込みをする者はここにいない………

 

 

▽ ▽ ▽

 

「またね、リン」「うい」

 

「明日のお昼はそれ使って

ここで焼き肉やろうね」「大惨事だわ」

 

あれからやって来た斎藤恵那に、リンはツッコミを入れた

 

恵那の言ったそれとは、小包の中身だ

 

 

中身はネットで注文したコンパクト焚き火グリルだった

 

これで焚き火や、炭火を使った料理を作れる

 

キャンプ飯の雑誌を見て、焼き肉のページをロックオンしたリンはキャンプで焼きたての焼き肉を想像してゴクリ……

 

 

 

そんな時に現れたのが恵那だった

 

グリルをメタル賽銭箱?と、ふざけなのか真剣なのかよく分からない恵那の問いにツッコミつつ、リンは恵那と話していた

 

 

グリルに付いている鉄板を使い、焼き肉を焼く……

 

自然に焼き肉論の話題となった

 

 

豚バラ カルビ 豚トロ ホルモン ハラミ タン ロース───

 

焼く順番、食べる想像……考えるだけでお腹が鳴りそうな焼き肉論

 

「お会計三万五千円となります」「たけえよ」

 

最後は恵那のボケで終わった

 

 

…その後恵那にお土産の事を指摘された

 

 

部室にまだいるんじゃない?と言う恵那に、リンは渋った

 

なでしことは親しくなったのだが、

まだリンはあの『ノリ』が苦手なのだ

 

 

リンは恵那に渡してきてと頼んだが、恵那はそれを断った

 

 

「リンが渡してあげなよ。

そっちの方が喜ぶと思うけどな」

 

恵那の言葉に、リンは何も言えない

 

リンだってそうしたい……と思っているから

 

 

 

「なでしこちゃんにお土産早く渡しなよ~」

そう言い、恵那は図書室から出ていった

 

 

 

「………」

また一人になるリン

 

静かになった図書室で、スマホを手に取る

 

 

長野にて、なでしこから送られてきた夜景の写真

 

長野と山梨……遠いその距離

されどこの夜空の下で繋がっている…そう想える写真

 

写真に映る満面の笑みのなでしこ

 

白い息を吐いて、鼻と頬を赤く染めて……

自分の為に、寒い中をこの光景を撮ってくれた

 

 

なでしこの優しさ、リンは分かっていた

 

しかし改めて…なでしこの優しさをリンは実感した

 

 

そして

 

「…………」

 

写真に映る、もう一人の姿

 

暗いのが苦手ななでしこに付き添った、彼

 

 

刈谷高彦、リンは高彦について殆ど知らない

 

しかし本栖湖にてスープを貰って、それが凄く美味しかったのを覚えている

 

なでしこの幼馴染みだったらしい彼、彼もまた寒い中を歩いていった

 

なでしこの為…そして自分の為に

 

 

「…お人好しカップルか………」

 

 

 

 

 

 

「失礼します…」「!?」

 

急に聞こえてきた声に、ビクンとなるリン

 

声の方を向くと……そこには高彦の姿があった

 

 

「あ、志摩さんお疲れ様」「あ、ああ…うん……」

 

 

 

「あのさ…なでしこここ来てないかな…?」「へ?」

 

 

「実はさっきまで部室にいたんだけど、急に『リンちゃんのとこに行ってくる~』…て出ていって」

「えぇぇ……」

 

「もう帰る時間になっても戻ってこないから、

ちょっと見に来たんだ」

「そう…でも私も見てないよ」

 

「そっか…何処行ったんだろ…?」

首を傾げる高彦

 

 

(…そう言えばこの人、入部したんだっけ)

 

なでしこから高彦が野クルに入ったことを、

メッセージで送られてきた

 

文面だけでもとても喜んでいたのが分かったものだ

 

 

「…電話してみたら?」

 

「う~ん…それが出なくて」

「なにやってんだアイツ…」

 

溜め息を吐くリンに、高彦は苦笑する

 

「一応もう一回かけてみるか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

♪~♪~♪

 

 

 

着信音が鳴った

 

この図書室の中で

 

 

「「……………」」

高彦とリンは顔を見合せ、

音の鳴る方へ向かう

 

 

そこには───

 

 

本棚の影から伸びる、人の足……

 

息を飲み、近付いてみる二人

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クゥ~……zzz」

 

「…いた」(こいつ、またか)

 

寝息を経てて幸せそうに眠るなでしこがいた……

 

 

「むにゃむにゃ……zzz」「いや起きろよ」

 

 

「zzz……」「おおい、なでしこ。そろそろ起きろ」

 

 

「…起きてるよぉ………zzzzzz………」

 

 

 

 

 

 

 

「…起きなかったら晩御飯抜き」「!」

 

高彦の一言でなでしこはカッ!と目を開き、

起き上がった

 

「おきた?」「…ふぇ?たひゃひゃん?」

 

「風邪引くぞ、全く……」

(…本当、どこででも寝る奴だ)

高彦が溜め息をつき、リンが本栖湖の時の事を思いだし呆れる

 

 

「…ねぇ、たかちゃん」「ん?」

 

 

 

 

「晩御飯は…?」「食べなさい」

 

▽ ▽ ▽

 

「いや~、二人が楽しそうに話してたから…

なんか入ってけなくて…」

 

「だとしてもあんな所で寝なさんなよ」

「えへへ…暖かくてつい……ところで、何話してたの?」

 

なでしこの問い掛けに、ハァ…と溜め息を1つ

 

 

「…これ、長野のお土産」

リンはなでしこに、買ってきたお土産を差し出した

 

 

それを見たなでしこは元々大きい目を更に大きくして

 

「えっ!!おみやげ!?わたしに!?」

「生菓子だから早く食べなよ」

 

 

 

「ありがとうリンちゃん!!」

花が咲いた様な笑顔を見せるなでしこ

 

その様子に、リンは漸く渡せたことと、喜んで貰えた事にホッとした

 

 

 

「大事にするよー!!」「「いや食えよ」」

リンと高彦のツッコミがハモった……

 

 

「おいしそ~!!」「………」

 

お土産の箱を大事そうに持って眺めながら、嬉しそうにしているなでしこに、リンは先程恵那に言われたことを思い出していた

 

 

『リンが渡してあげなよ』

 

『そっちの方が喜ぶと思うけどな』

 

そして同時に、なでしこなら食べ物の方が喜ぶかも……と思った時に想像していたなでしこの満面の笑み

 

今目の前の反応が、一切の違いがないリアクション

 

 

それにリンは小さく笑んだ

 

 

なでしこはちょっと食べてみて良い?とリンに聞き、勿論彼女は了承したので、封を開けてお菓子を1つ取る

 

包みを開けて出てきた真っ白なお饅頭になでしこはまたまたニコニコ

 

はむっ…と一口食べて

 

 

「ん~~~~~~~~~っ!!」

 

たまらない!!!とばかりにまたパクパク……

 

「すっっっごく美味しいよ!!

ありがとリンちゃん!!!」

「黙って食えよ」

 

バッサリと言ったリンだが、

少し赤くなっている頬が本心を物語っていた

 

美味しそうに食べるなでしこ、それを見るリン

 

穏やかな空気に、空気になっている高彦もほっこりする

 

「あむあむあむあむあむぅ…………む?」

中から生チョコが出てくる饅頭を夢中で食べていたなでしこ

 

リンの目の前に置かれた『ソレ』を、あむあむさせながら興味を持つ

 

 

「なにこれ? ミニ賽銭箱?」「おまえもか。」

 

リンは溜め息をつきつつ、それの説明をした

 

説明を聞いたなでしこはへぇ~、と更にそれ…グリルに興味を持ったようだ

 

これ一個で焚き火も、料理も出来る

 

しかも焼き肉も、キャンプで出来ると聞いて目をキラキラさせる

 

 

その食いつきっぷりを見て、リンはそれで今度肉焼いてみる?と尋ねる

 

すると

 

「うんやる!!

やろうよ!!焼き肉キャンプ!!」

 

「あ…いや、キャンプという訳じゃ…」「そうだ!!」

 

なでしこは水を得た魚…と言うかご褒美を得た犬のようにテンション高めに、リンに顔を近付ける

 

ずいっと急に顔を近付けられて恥ずかしそうにするリンを尻目になでしこは尋ねた

 

「リンちゃん、今週の土日ひま!?」

「え、まあ…バイトは無いけど…」

 

「今度はわたしがいいキャンプ場探してみるよ!!

野クルの名にかけて!!」

 

目を…全身をキラキラさせてVサインをするなでしこ

 

その勢いに負けて「…うい」とつい同意をしてしまった

 

「よーし!がんばるぞー!!」と完全に行く流れに持っていってしまったなでしこ

 

 

「何のお肉にしよっかなー…それと、暖かい物も……」

 

もうすぐ期末試験なのに…そう思いつつ

 

 

 

 

(………まあ   

     いいか)

 

しょうがないなぁ……となでしこに流されることを選んだリンであった

 

 

 

 

 

 

 

因みにお土産の生チョコ饅頭はこの間にほぼほぼ食べ終わっており

 

 

机の上にある空の包みにリン、そして高彦が苦笑するのであった

 

 

 




へやキャン△

(…YAKINIKU…✨)



(ロース…カルビ…トントロ……)


(キャンプで………YAKINIKU───)



「………………✨✨✨」







「……………」じーっ

恵那は全部見ていた





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