晴れの日の土曜日
志摩家の家の前に、一台の車が止まっている
なでしこの姉、各務原桜が運転する車のトランクにはいくつかの荷物が入っており、更にそこに荷物が入れられていく
「これで全部?」「あと薪と炭」
なでしこはリンの荷物を入れ込むのを手伝う
今日は約束していた、
なでしことリンの焼肉キャンプの日だ
「お姉ちゃん、準備できました!」「はいはい」
「いってらっしゃい」「うん」
「お子さん、おかりします!」
「ふふ、はいどうぞ」
なでしこの元気一杯の言葉に、
リンの母親の志摩咲は微笑んだ
自分の母親となでしこのそんな会話を少し気恥ずかしく思いながら
「じゃ
しゅっぱーつ!!」
なでしこの掛け声と共に、一行を乗せた車が動き出す
それを咲は手を振って見送った
キャンプ場に行く前に、
食材を買いに『ゼブラ』と言うスーパーへ向かう
車快適…とリンはぬくぬくしながら
(…しかし…)
ふと運転席にいる桜に目を向けた
桜と会うのは、これで3回目
桜の運転する車に乗るのはこれで始めてで、こうして近い距離を長い時間過ごすのは始めてだ
(お姉さんって美人だよなぁ…)
目を少し細めながら、のんびりした様子で運転する横顔にリンはそんな感想を思いつつ
「あ~…うむうむ」もっちゃもっちゃ
その横を見れば、お徳用の大きい袋のグミを頬張る妹の姿に正直似てないなとリンは思ったのだった
数分後、お目当てのスーパーゼブラに付いた二人
来店するなでしことリンは、早速お肉コーナーへ向かう
なでしこもウキウキしているが、
実はリンも負けずにウキウキしていた
なんせただでさえ旨い肉を、備長炭で
しかもキャンプで食べられるのだ
直火火焼き、そして外ご飯……そんな上乗せ効果増し増しの肉だ
豚トロ、タン、カルビ………その他多々の肉肉パーティーが、もうすぐそこまでやって来ている…!
意気揚々とリンはお肉コーナーに向かっていって
「「…………………」」沈黙した
目の前に鎮座する様々なお肉たち
…を期待していたのに、売り場コーナーにはバラとカルビしか置いていなかったのだ……
なでしこはバーベキューは普通夏なので、冬の今はあまり焼肉用の肉は置かないんだと気付いた
そしてリンは
「………………」蹲って沈んでいた……
項垂れるリンに慌てたなでしこは当たりを見渡してみた
そしてあの物をみつけ、あっと気付く
「リンちゃん!豚串!!豚串とかならあるよっ!!」
「…豚串…?」「焼き鳥も!」
「…焼き鳥……?」
「うん!焼き鳥!!
炭焼だったら串物だっておいしいよ!!」
「そうか…炭焼と言ったらハンバーグとかも…」
「それもアリだよ、リンちゃん!!」
と、まあ当初の予定とは少しズレたが
無事にメインを選び終えて、リンはなでしこにタレは何味にするか聞こうとした
…そのなでしこはと言うと
「むはーーっ!!」(…出来立て惣菜トラップ…)
その後買ったメンチカツを出発した車内で食べたなでしこだったが
車内にメンチカツ臭が充満し、桜がなでしこが乗る助手席側の窓を容赦なく全開にしてワーワーしていたが
リンとなでしこは、今回向かうキャンプ場
四尾連湖キャンプ場に向かっていったのだった
さて、その道中なのだが
「そういえば、
四尾連湖キャンプ場なんてよく知ってたね」
とリンはなでしこに聞いた
今回、キャンプ場を探して見付けたのはなでしこだ
最近越してきたなでしこが、四尾連湖を何処で知ったのか気になっていたのだ
その問いになでしこは実はと説明する
キャンプを何処でするか
いつもの部室で、なでしこは千明とあおいに良いキャンプ場を知っていないか聞いた
すると千明が提案してきた
それが四尾連湖……かつて富士八湖の1つと言われていた、富士山近くの湖である
そこは地元住民にもあまり知られていないらしく、湖には謎の巨大魚が、管理棟のテラスには謎の激ウマバーベキューがあるとか
ないとか
「謎のってなんだよ…」「いつもの事やで刈谷くん」
「各務原隊員!!現地調査を頼めるかね!?」
「わかりました隊長っ!!」
「『なんだその小芝居…』」
「えへへ…たかちゃんにも言われた〜」
「………あのさ、前から聞こうと思ってたんだけど」
「うん?」
「刈谷くんと幼馴染みだったんだよね?」
「うん!そうだよ?」
「本栖湖で会ったときは、分からなかったのか?」
「あ〜…うん、たかちゃん幼稚園にいた時に引っ越しちゃってね……あれから会ってなかったから一目じゃ分からなかったんだ」
「でも名前を聞いたら思い出したんだろ?
10年くらい前なのに、良く覚えてたな」
「見た目も声も変わってたから気付かなかったけど、たかちゃんを忘れた日なんて無いもん」
「………そういう事を平気で言えるんだな………」
「ふえ?」
「いいや、なんでもない
(無自覚か…?……いや、これはただの天然だな)」
そんなこんな話していると
3人を連れた車は、四尾連湖へと到着したのだった
その頃、スーパーゼブラに高彦が訪れていた
頼まれた買い物をかごに入れて、
レジに向かっていた
「いらっしゃいませ〜」「ん?」
と、そこに最近になって聞き覚えのある声が聞こえた
「あ、犬山さん」「どうも〜」
「犬山さん、ここでバイトしてるんだ」
あおいの服装がスーパーの制服なので、そう問い掛ける
「そうやよ、先週からな
刈谷くんはお買い物?」
「ああ、頼まれてね」
「そっかぁ…あ、そう言えばさっきなでしこちゃんと志摩さん来てたで」
「ここで買い物してたんだ」
「うん、お肉とか、野菜とか買ってたなぁ。プチ鍋も作るって張り切っとったわ」
「…楽しんできてくれると良いね」
「…そうやねぇ」
微笑み合う、高彦とあおい
そんな二人の願いの先であるリン、そしてなでしこは
キャンプ場内にて蹲っていた(なでしこが)
紅葉要素書けませんでした……
高彦不在なので、省略しつつ書きたい場面を書くという感じで次も行こうと思います
クリキャンまではそんな感じかもです…