ゆるく行こう~野クルの男子部員~   作:Akila?

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月明かりの

「…今日山梨に引っ越してきて」

 

絶叫を上げてしまった高彦

 

今、彼は同じくキャンプをしていた少女リンのキャンプスペースで

 

 

「…えぐっ」

高彦が絶叫を上げた原因の少女と話をしていた

 

少女と話をしているのはリンで、

泣きながら嗚咽混じりの少女の話を纏めている

 

「自転車で富士山を見に来たんだけど」

 

何故に少女が一人でここにいるかと言えば、

富士山を見に来たのだと言う

 

何を隠そう、この本栖湖は山梨県の数ある富士山の絶景スポットの1つなのだ。

 

高彦も富士山を出来れば見たかったので、

何となくシンパシーを感じた

 

 

 

ああ、雲がかかってて落ち込んだだろうなと

 

さて、そうして富士山を見に来たのは良いが

 

 

「疲れて横になったら寝過ごしたと」

「へう゛」

 

そう言うことらしい

 

「あっちは坂道だし下まですぐだと思うけど」

「むりむりむりっ!、ちょうこわい!!」

(だろうな…俺でも怖いわ)

 

だが何時までもここで…とはいかないだろう

自分もだが彼女(リン)も寝袋があるだろうが、

少女は見たところ自転車以外なにも持っていない

 

「迎えに来て貰ったら?

携帯とか持ってません?」

 

高彦がそう聞くと、はっと少女は顔を上げた

 

「あ、そっか!!

スマホスマホ最近買ったスマホスマホ……

 

スマホス……マホっス」

そう言って取り出したのは

 

 

トランプ(52枚セット)だった……

 

何でだよ…そうツッコミそうになるのを抑えて

フォローしようとする高彦だったが

 

 

ぐうぅぅぅ~

 

誰かの腹から盛大な腹の虫の鳴き声が聞こえた

 

「…はぁぁ~………」

項垂れる少女から、

誰の腹からは直ぐに分かった

 

そんな少女を見て、リンは自分が持ってきた

カップラーメンを取り出して少女に差し出す

 

「ラーメン食べる?」「えっ!?くれるの!?」

 

 

「1500円」「「゜言゜」」

 

 

「…じゅっ、じゅうごかいばらいで

おねがいしまふぅ」

「ウソだよ…ウソだよ」

2回続けて言うリン

 

1回目は少女

 

2回目は…

「…わかってましたよ?」「………」

 

ジト目を高彦に向けながら、

リンは湯を沸かす準備を始めた

 

(へぇ…シングルバーナーか、良いな……

あ、そうだ)

 

何かを思い付いた高彦は、

自分のキャンプスペースへ戻っていった

 

 

戻った高彦が手に取ったのは、

先程作ったミネストローネスープの残り

 

「やっぱもう冷めてるよな」

高彦は再び、スープを火にかける

 

(…あの子、こんなに寒い所で

ずっと寝てたのか……

丈夫なのか鈍感なのか……)

 

そんなことを考えている間に、

スープが良い具合に温まってきた

 

「よし…あ、そうだ」

高彦は器を2個分用意し、

残りのスープを取り分ける

 

それらを持って、高彦はまた2人の所へ

戻っていった

 

 

「あの~」「ふぁい?」「?」

 

高彦が声をかけると2人は彼の方を向く

(少女の方は舌を火傷したのか少し舌足らず)

 

「良かったらどうですか?」

彼女達に、

高彦は器に入ったスープを差し出した

 

「え、良いんですか!?」

「作り過ぎたのだから」

 

ありがとうございます!、と受け取る少女

 

「あなたも良かったら」「え、わたしも?」

 

コクリと頷くと、リンは高彦からスープを

受け取った

 

2人はそれぞれスープを1すくい

 

「おいし~!」「…美味しい」

 

「良かった」

どうやら口にあったらしく、

家族以外で料理を振る舞ったのが初めてだったので、少し安心した

 

少女はカレーめんとスープを

テンションを上げながら食べていく

 

それは見事と言うべき食べっぷりだ

 

「…(旨そうに食べてくれるな……)

「あうっ!」!ど、どうしました?」

 

 

「…また火傷した~!!」

「…あ、そう…(何故嬉しそうなのだろう?)」

 

「…あの」「あ、はい?」

少女の食べっぷりに感心していると、

リンに声をかけられた

 

リンは少々抑え気味に言葉を発する

 

「…美味しいです。ありがとう」

「あ、うん。こちらこそ」

 

しかし抑え気味だが気持ちが

良く伝わってきて、高彦も一安心した

 

 

「ごくごく…ぷはぁ~!!

 

あっ!!」「?」

 

 

 

「…お、おいくらでしょうか……」

「良いから、それ」

 

焚き火とラーメンとスープで

温まったからか落ち着いてきた少女

 

リンは改めて、少女に話しかけた

 

「ねえ、あなた何処から来たの?」

「あたし?

ずーっと下の方、南部町ってとこ」

 

(南部町…ここまで結構遠いのに、

自転車でよく来たな……

見た目に反して体力があるのか)

 

 

「もとすこのふじさんは

千円札の絵にもなってる!

 

…ってお姉ちゃんに聞いて長い坂

上ってきたのに、曇ってて全然見えないんだもん」

「ああ…確かに。

俺も良かったら見たかったな……」

 

「ですよね!?

奥さんもそう思いますよね!」

 

 

 

 

 

 

 

「…見えないって、あれが?」

「「え?」」

 

「あれ。」

リンは少女の後ろを見ながらそう言った

 

「あれ?」

少女は後ろを振り返り、

高彦もリンの視線を辿って見た

 

 

 

そこにあったのは

 

 

本栖湖の向こうに聳え立つ、大きな山

 

かかっていた雲がいつの間にか

無くなったのだろう

 

 

月明かりに照らされた、

見事な富士山だ

 

 

「みえた…

ふじさん……」

 

少女と高彦は、その富士山の姿に見惚れた

 

高彦は山梨県在住で大きく見える富士山は

見たことはある

 

しかし月の光だけで照された夜の富士山は、

見たことが無かった

 

幻想的…そう思える見事過ぎる富士の山………

 

 

「あ」

沈黙の中声を発したのは少女であった

 

 

一時間程後

 

「このおバカ!」「へう゛っ!!」

 

やって来たのは少女の姉らしい女の人

 

どうやら少女は家の電話番号と自分の番号は

覚えていなかったが、姉の電話番号は知ってたようで……

 

その姉が乗ってきた車から降りてくるなり、

少女の頭に3連の拳骨をお見舞いしていた

 

「…うちのバカ妹が、

 

ほんっとーーーにお世話になりましたっ!」

「あ、いや…」「別に大した事は……」

 

 

「アンタ!

持ち歩かなきゃ携帯電話とは

言わないのよ!!」

「えぅ~、ごべんなざいぃっっ!!」

 

「おらぁっ!

さっさと乗れブタ野郎!!」

「いででで!!けらないで~

やめれ~、カレーめんとスープがでるぅ──」

 

…リンと並んで

 

何だか凄い光景を見ている気持ちになる……

 

 

見ている内に準備が整って、

少女を乗せた車のエンジンが付いた

 

「おやすみなさーい、

カゼひかないでねー」

「「おやすみなさい」」

 

車が少しずつ遠くなる

 

高彦とリンは、お詫びにと少女の姉に

貰ったビニール袋一杯のキウイを眺める

 

((…ラーメン(スープ)がキウイに化けた…)

お互い似た感想を心の中で述べる

 

変わった子だったな…と思いながら、

高彦は戻ろうと振り返る

 

 

 

その時

 

「ちょっとまってー!」

 

後ろから声が聞こえて、

同じように戻ろうとしていたリンと

共に振り返る

 

すると少女が駆けてきて、

軽く息を整えた後

 

「はいこれ!

あたしの番号!!」

とリン、そして高彦の手に紙を握らせた

 

「お姉ちゃんに聞いたんだー、

カレーめんとスープありがとっ!!」

 

少女は寒さで鼻を真っ赤にしながらも、

明るい笑顔を浮かべてそう言った

 

「今度はちゃんとキャンプ、

やろーねっ!!」

 

じゃーねーっ!!、と

車へ駆け戻る少女

 

 

今度こそ見えなくなった車を眺めて、

少女から渡された小さい紙を見る高彦とリン

 

そこには電話番号と

 

 

『各務原なでしこ』と、

名前が書かれていた

 

 

「…やっぱヘンな奴」「…だね」

 

 

「……まあ、登録だけしといてやるか」

「…はは……」

 

 

それから自分のテントへ戻った高彦

 

彼にとって初めてのキャンプだったが

 

 

 

 

 

 

 

「…また、やろう」

 

寝袋の中で呟いたその言葉が、

とても楽しかった事を裏付けていた

 

 

 

 

 

2日後

 

高彦は制服を来て、学校に来ていた

 

刈谷高彦、高校1年生

 

本栖高校の男子生徒である

 

「…(次のキャンプは何処へ行こうか……

それと何を作るかも決めないと…あ、その前にお金貯めた

方が良いのか?)」

 

校舎の階段を昇りながら

考えていたのは、キャンプの事

 

彼はあの本栖湖のキャンプから、

すっかりアウトドアにハマってしまった

 

元々は偶然本屋で見たアウトドア関連の雑誌を読んで、少しだけ興味が沸いて一回やってみようと思って行ったキャンプ

 

家にあったテント(両親が昔1度使ったらしい)

と寝袋を購入してキャンプに行ってみた

 

 

まさか1度でこんなにハマってしまうとは、

高彦も思ってなかった

 

大きな理由は、やはりあの富士山だ

 

夜の富士山……高彦を虜にするには、

十分過ぎる絶景だった

 

「…キウイ旨かったな」

次に思い出したのは、

キャンプで出会ったあの少女

 

各務原なでしこと言う名前らしい少女は、

とても変わった子であった

 

そして貰ったキウイはとても美味しかった

 

 

「…今度はちゃんとキャンプやろうって

言ってたけど……」

少女から貰った携帯電話は、一応登録してある

 

だが…態々かけるのは、少々憚られた

 

「またやる日なんて、あるのかねぇ」

 

そう呟きながら、

目的の階へ上り終えた高彦

 

 

 

 

「職員室は~、もう一個上か!」

「…ん?」

 

パタパタと自分の後ろを横切り、

上へ階段を駆け上っていく足音

 

 

再会は近い内にやって来る

それを今の高彦は想像もしなかった

 

 

 

 

まさかあんな再会になるとはも───

 

 

 

 

 

 

↓へやキャン△

 

「お前なぁ…こんな寒い時期に

キャンプなんかしねぇよ」

 

「あ、やっぱり?」

 

教室にて話す、高彦と友人何人か

 

話題…と言うか高彦がふった話は、

高彦が今度行くつもりのキャンプについてだ

 

高彦は友人も誘ってみた

 

返答は上の通りだったが

 

 

「お前も変わってんなぁ……

キャンプなら夏じゃないか?」

 

「いや~、なんか1回行こうと思ったら、

直ぐ行きたくなって」

 

「お前…そうだ、京都へ行こう

みたいな事を……」

 

「そんな変わってたら、

女の子と関わったり、青春出来ないぞ~」

 

 

「別に…俺女子と関わる気ないし」

 

その発言に襲われそうになったり

 

撃退したりと一悶着あったが、

高彦は予定を変わらず、初めてのキャンプ

 

 

本栖湖のキャンプへと、向かったのだった




「ブタ野郎!!」の所は書いてて思わず苦笑いして
自分のその時思った感想をそのまま文にしました


次はまた、近い内に
もしかしたらオリキャラの高彦の設定を書くかも……

では、読んでくださった方へありがとうございます!!
よろしければ次も、是非御覧下さいませ!
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