ゆるく行こう~野クルの男子部員~   作:Akila?

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寝袋革命(?)

いつもの通学

 

駅まで自転車を漕ぎ、

電車に揺られる

 

今年の4月から、変わらない光景

 

 

しかし、今日からは

 

 

 

 

「おはよう!」

 

電車に乗ったら、既に乗っていた

少女に話し掛けられる

 

 

 

「…おはよう、なでしこ」

「うん!」

 

これが高彦の、新しい日常である

 

 

 

 

 

 

 

 

「見て見てー!」

 

電車の中、隣に座る高彦に

自分のスマホを見せるなでしこ

 

「ふじさん撮ってきたよ~」

見せ付けるように、嬉しそうに見せたのは、

この間行ってきた富士山の麓キャンプ場の写真

 

志摩リンとのツーショットでの、富士山の写真

 

「スゴかったなぁ~、それからね!

その後道の駅行ってね!アイス食べてね!!」

 

「わかったから、落ち着けって」

「だってだって、楽しかったから!

誰かに言いたくて言いたくてムズムズするもん!」

 

朝からテンションがハイのなでしこに、

高彦も苦笑いする

 

 

こうやって二人で通学を共にしているのは、

他でもなく、なでしこが言い出した事だ

 

高彦が通学時同じ電車に乗っているのを知り、

なでしこは一緒に登校するのを提案した

 

同じように後2つ駅から、彼女の所属する

野クルの2人も合流する

 

態々乗り込む車両も指定する辺り、

なでしこはマメだ。

 

「と言うか、富士山好きなら登山部の人等と

行ってきたらどう?毎年登るみたいだし」

 

 

「そんな~!私がふじさんに登るなんて!!

 

わたしはね、遠くから見てるだけで満足なのよぅ」

「片思いの少女みたいに………」

 

「両思いになれるよう頑張ります!」

「なにをだよ」

 

 

「あ、これお土産の飲むヨーグルトだよ~」

「あぁ、ありがとう………うま」

 

 

「だよね!わたしももう10本飲んじゃった」

「飲み過ぎだろ」

 

 

そんなやり取りをしながら、電車に揺られる二人

 

高彦はまだまだテンションの収まらないなでしこを宥めつつ、毎日の通学が随分賑やかになったなぁと

 

 

うすボンヤリしながら、思っていたのだった

 

 

▽ ▽ ▽

 

本栖高校の1年の教室の1つ

 

自分の席に着いた高彦は鞄から諸々を取り出して、ホームルームが始まるまで寝るモードに入ろうとした

 

それに待ったをかけたのは、クラスメートの友人だ

 

 

「刈谷~、お前キャンプ行ったのか?」

「…行ったよ、一週間前に」

 

睡眠の邪魔しやがってと思ったが流石に邪険にするのも気が引けて、高彦は友人に応えた

 

「本当物好きだなぁ。

冬のキャンプなんて、滅茶苦茶寒いじゃねえかよ」

 

「…まあ、滅茶苦茶寒かったよ」「だろ?」

 

 

「でも、楽しかった」「?たとえば?」

 

 

「……景色が綺麗だった、人がいなかったから落ち着けた

焚き火が暖かくて

 

飯が滅茶苦茶旨かった」

 

「ふーん……俺はやっぱやりたいと思わんなぁ……

暖かくなったら大丈夫そうだが」

 

「なら、その時は行くか?」

「おう!頼むわ!!」

 

「言っとくが、お前も働けよ?」

「え~、俺初心者だし……」

 

 

「なら行く前に教える。

安心しろ、分かりやすく教えるから

 

当日までに完璧に仕上げてやるから」

「おまっ、なんか怖ぇんだけど……」

 

「サボったら飯抜きな」

「鬼か!貴様~!!」

 

教室でもそんな賑やかなやり取りをして、

結局そのままホームルームが始まった

 

 

キャンプの話題でも、これまでの日常が少しずつ変わり始めているのを、高彦はゆるく感じていた

 

 

 

放課後

 

本日日直だった高彦は学級日誌を書き、

帰ろうかと下駄箱へ向かう

 

 

そこにある意味見慣れた桃色の髪が見えた

 

「なでしこ?」「あ、たかちゃん!」

 

学校指定のジャージを着たなでしこが、高彦の方を向いて応える

 

何故か両手に段ボールを持って

 

「……なにしてんだ?」

「えっとね、これは…見た方が早いね!」

「はい?」

 

「さ、行こう」「えぇ~………」

なでしこに手を引かれて…と言うより連行されて

高彦は校庭へ連れていかれた

 

 

そこにあったのは

 

 

「もらってきた~っ」

「………なんだこれ」

 

良く分からないが、色々な何かで巻かれた大垣千明がいた

 

なでしこと同じくその場にいたあおいから

夏用のシュラフでも暖かく出来るように試行錯誤していることを聞く高彦

 

高彦が見てる前で、千明になでしこ、あおいの二人係りで段ボールを巻き付ける

 

 

「おおっ!!これマジで暖かいぞ!!」

どうやらとても暖かいらしく、嬉しそうな千明と

 

「「ほんとっ!?」」なでしことあおい

 

これなら夏シュラフでも大丈夫だと手を合わせ会うなでしことあおい

 

 

しかし、問題が1つ

 

「これトイレ行くときどうすんの?」

「「あ───」」

 

 

「………ていうか、バッチリ梱包されて

あたしはこれから何処へ発送されるんだ?」

「「…………………………………」」

 

とても微妙になる空気

 

 

 

加えて、高彦はもう1つの問題にも気付いていた

 

この空気の中でそれを言うのはどうかと思ったが、割りと重要だと思ったので言葉に発する

 

 

「…あの、さ。これ二人でここまでやったんだよね?」

「?そうだよ?」

 

 

「いや………最後の一人はどうするのかと………」

「「へ?」」「…あ」

 

ポカンとするなでしこと千明と、何かに気付いたあおい

 

 

「2人までは手助けがあるけど、1人になったら…」

「「…あ」」

 

なでしこと千明も気づいたらしい

 

暫し沈黙する一同

 

 

時間が少し経って

 

 

「……頑張って冬用買うか」

「せやね…」「そだね……」

 

意見が纏まった野クルガールズだった

 

 

 

因みに千明の梱包状態の写真をリンに送り

 

 

「………何やってんだ、あいつら」

 

静かに突っ込まれたのだった

 

 

 

 

 

千明の梱包を解いた後、野クルの面々は校庭で落葉の焚き火を行っていた

 

焚き火でココアを淹れて飲みながら、

暖まる野クルガールズ達

 

そこには梱包解きを手伝い、

お詫びにと好意に預かった(なでしこに連行された)

高彦の姿もあった

 

暖かなココアの温度とホッとする甘さに和む高彦

 

 

そうしてると、なでしこが高彦に話し掛ける

 

 

「ねぇ、たかちゃん。ちょっと相談なんだけど」

「?どした?」

 

 

「あのね、私リンちゃんに本栖湖のお礼が出来たんだけど、まだたかちゃんにはしてないじゃん?」

「別に気にしなくて良いよ」

 

「お礼がしたいんだ。

だから考えて……おもてなしキャンプをしようかなって」

 

「…おもてなしキャンプ?」

 

 

「うん!今度私たち野クル初のキャンプに行くんだ!

 

まあ、まだ場所とか決まってないけど………

 

たかちゃんもどうかなって」

 

 

 

「……いや、どうかなって………色々ダメだろ」

「え~、だってお礼したいもん!!」

 

「気にしなくて良いって………」

 

 

「でも……私たかちゃんとキャンプしたい……」

「………」

 

言葉に詰まる高彦

 

この間のことと良い、今と良い

 

どうやらこの各務原なでしこと言う女の子は超が付くほどのお人好しで、

 

こう言うことに関してはとことんマメらしい

 

高彦がやんわりと遠慮する度にシュンとするなでしこ

またしても垂れ下がる耳と尻尾が見える

 

 

高彦は千明とあおいに目を向ける

 

 

千明とあおいは既に『おもてなしキャンプ』の事を聞いていたらしく

 

 

「私達もちょっとどうかな思ったけど、

なでしこちゃんにメチャ頼まれてなぁ」

 

「まあ、良いんじゃねってなってな。

ただし、少しでも変なことしたら焚き火の中に放り込むけどな」

 

「そんな事しないけどさ………」

 

断る可能性のあった2人も承諾しており

 

なでしこに純粋にキャンプに着いてきてと言われ

 

高彦も遂に折れた

 

 

「…わかった」「!」

 

「お邪魔します」「やった!!!」

 

両手を上げるなでしこと、

微笑ましげな千明とあおい

 

 

 

少し困り顔の高彦だったが………

 

 

まぁ………良いかと悩むのを止めた

 

 

キャンプにまた行きたいと思っていたし

 

 

そう、ただ友人と知り合いとキャンプするだけ

 

 

そう言い聞かせ、高彦も野クルに混じり

 

 

行き先もまだ決まっていないが、

野クル初のキャンプの会議に参加するのだった

 

 

 

↓イヌイヌイヌ子さん

 

キャンプ会議にて

 

「飲み物も用意しないとな。

イヌ子ー、コーヒーってまだあったっけ?」

「あ、そろそろ無くなるわー。

次銘柄変えてみるー?」

 

千明とあおいの幼馴染み同士が話してるのを見て

 

 

「……………」

 

「たかちゃんどうしたの?」

「あ、いや…」

 

 

「面白い呼び方やから、気になったんと違う?」

「!…まあ、うん」

 

「会った頃から『イヌ子』やったんよ。

ちなみに私岐阜出身でな。

ここに引っ越す前は岐阜県の犬山市犬山て所で

カフェ犬山って言うドックカフェやっとったんよー」

 

「そうなんだ」「へぇ~そうだったんだ~」

 

 

「…なでしこ、刈谷」「「?」」

 

「良く見ろ……

 

あれがホラを付く時のイヌ子の目だ」

 

千明の視線に従って向いた先には

 

「イヌ繋がりで運命感じるわ~」

目の焦点が明後日に向いているあおいがいた………

 

 

 

「…と言うか、犬山市は愛知県じゃ?」

「゜言゜!」

       続く?

 

 

 

 

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