ゆるく行こう~野クルの男子部員~   作:Akila?

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いざ、キャンプへ!

本日、晴天なり

 

陽が出ており、気温は低いが出掛けるのには

もってこいの気象である

 

 

「行ってきます、母さん」

 

高彦は暖かい服装とリュックサックを背負い、

母の美沙子に声をかける

 

「行ってらっしゃい!気を付けていくのよ」

「うん」

 

 

「一緒に行く子達に迷惑をかけないように。

それと……」

 

「分かってる分かってる、じゃ」

 

 

 

「……楽しんでらっしゃい」

家から高彦が出ていった後、

美沙子はそう、微笑んで呟いた

 

 

 

 

本日、高彦はキャンプへ向かう

 

野クルの部員3人と一緒に

 

 

 

塩之沢駅まで歩いていく途中、

高彦は今日までの事に思いを馳せていた

 

 

 

思いを馳せていた…とは言ったが、

特別何か大きな事があったとかでは無い

 

同じ年の女の子3人とキャンプと言うのも十分過ぎな大きな事なのだが、高彦はもう気にしない様にしていた

 

勿論節度は弁えるつもりだ

彼方は好意で誘ってくれた。

 

ならば、少なくとも失礼の無いように

しなければならないだろうとは誘われたその日に決めた

 

高彦が考えていたのはそれではなく、

新しく買ったキャンプ用品である

 

ネットで買った、LEDのランタン

懐中電灯で灯りは確保できるが、

折角キャンプするならと高彦は新たに購入した

 

今度バイト代が入ったら、

高彦はシングルバーナーを買うつもりだ

 

ネットで買うか…それともキャンプグッズが売っている所で買うか

 

希望的には直接見て買いたいと思っている

 

(何処かにあるか……今度探してみよう)

 

実は結構近くにそれがあるのだが、

それはまた別の話で……

 

 

 

そんなこんな考えていると、

見慣れた駅が見えてきた

 

改札を通ってホームで待っていると、

乗り慣れた身延線がやって来る

 

そして車両に乗り込むと

 

 

「たかちゃーん!!」

 

何時もの光景が高彦を出迎える

 

 

「おはよー!」「ああ、おはよう。なでしこ」

 

 

 

なでしこと会話に花を咲かせながら、

電車に揺られていく

 

それは何時もと同じ日常…なのだが、

今日は少し違う

 

違うのは何時もに増してなでしこのテンションが高いこと

 

荷物が多いこと

 

 

そして何時もは降りる駅で降りず、

電車に留まることだ

 

向かうのは山梨市駅

ここで大垣千明と犬山あおい、

なでしこと同じ野クルメンバーと待ち合わせをしている

 

山梨市駅に行くのに、途中で甲府駅で

乗り換える必要がある

 

なでしこは山梨に来て間もないので、

多少慣れている高彦が案内係だ

 

「楽しみだねぃ~!」

「楽しみなのは分かるけど、

今からそんなにテンション上げすぎるとバテないか?」

 

さっきから上機嫌ではしゃぐ(騒がしいと言う意味ではない)なでしこに苦笑いする高彦に、なでしこは問題ないと言うようにニヘラと笑う

 

「大丈夫!別腹だもん!」「どういうこと?」

 

相変わらずで、こう言うところは何時もと変わらない

 

甲府駅に着くまで、なでしこはずっとそんな感じだった

 

 

そして着いた、甲府駅で一旦電車を降り

乗り換えるホームへと向かう

 

改札からは出なくても良いので、

次に乗る電車のホームは直ぐに着く

 

身延線ホームの階段を降りて…と、その時

 

 

「あ…」

なでしこは何かに気付いたのか、足を止めた

 

 

「なでしこ?」

それに気付いた高彦が声をかけると、

なでしこは

 

「っ!」

迷うそぶりを見せないで駆けていった

 

「へ?」

それに驚く高彦だが、直ぐにその行動の意味に気付く

 

階段の手前で立ち止まるお婆さん

正確には、重そうな荷物を持ったお婆さんが階段を降りるのに手間取っている

 

それになでしこは駆け寄っていった

 

そういうことか…高彦も彼女等に近寄った

 

 

「なでしこ」「あ、たかちゃん!あのね…」

 

 

「お婆ちゃん、荷物持ちますよ」「!」

 

「え、良いのかい?重たいよ?」

「大丈夫、これくらいなら」

 

高彦がそう言うとお婆さんは荷物を高彦に手渡した

 

それを担ぐ高彦を見て

 

「お婆ちゃん!わたしの手握って。

一緒に降りよ?」

なでしこが笑顔でお婆さんに手を差し出す

 

「ありがとう、お嬢ちゃん」

お婆さんはそれに微笑み、なでしこの手を取った

 

ゆっくりと時間をかけて階段を降りる3人

 

お婆さんはここで改札を出るらしく、階段を降りた所で別れる事に

 

「ありがとう、お若いのに親切で助かったよ」

「いえいえ」「気にしないで!」

 

ニコニコと手を降りながら離れていくお婆さんを見送る2人

 

「たかちゃん優しいねぇ」

姿が見えなくなるまで手を降っていたなでしこが、高彦にそう言った

 

「若いのに立派だねぇ」「お婆ちゃんか」

 

「えへへ~、リンちゃんにもおんなじ事言われたよ」

「…それは気の毒に。志摩さんが」

 

ほにゃりと笑うなでしこ

そんな彼女にお返しと

 

「て言うか、なでしこが最初に気付いたんだから。

なでしここそ偉いもんだねぇ」

「あ、おじいちゃんだ!」

 

あはは!と笑うなでしこと小さく笑む高彦

 

穏やかな空気が流れていく………

 

 

 

 

 

それで頭から抜けていた

 

 

 

『まもなく、塩山行の電車が発車します』

 

「!なでしこ!乗る電車だ!!」

「あえっ!?」

 

 

懸命に駆けた2人だったが

 

 

 

すんでで間に合わず、

次の電車を待つことになったのだった…………

 

 

 

▽ ▽ ▽

 

山梨駅の改札を、慌てて出る2人

 

待ち合わせの場所には、既にもう2人が待っていた

 

 

「ごめん!!」

「二人とも遅れてごめんーっ!!」

走ってくる高彦となでしこに気付いた二人が、出迎えた

 

「おー来た来た」

 

「甲府駅で乗り遅れちゃって…」

息を切らすなでしこにあおいは笑って応えた

 

「えーよえーよ、まったり行こか~」

全く気にしていないらしい

見れば千明も気にせずに笑っている

 

色々あったが無事、合流した四人

 

この日までに冬用のシュラフを各自用意した

テントももう一個買い足した

 

 

準備は万端

 

号令を勤めるのは野クル部長の千明

 

「んじゃー今日の目的地

『イーストウッドキャンプ場』へ…しゅっぱーつ!」

「「おーっ!」」「…おー」

 

野クル(+1)が向かう初キャンプ地……

 

イーストウッドキャンプ場へ───

 

 

 

 

↓『わん』だふる

 

 

………目の前に広がるのは、広大な湖

 

汚れの無い湖面、それに逆さまに綺麗に写る立派な富士山

 

 

高彦は直ぐにここが何処だか理解した

 

そう、彼が初めてキャンプに訪れた場所

本栖湖だ

 

この綺麗な景色を見て、高彦はポツリと呟く

 

 

 

 

 

 

 

「…俺なんでここにいるんだろう?」

               続く

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