詳しくは内容で……
作者でさえ、タグの転生者が甥にいることを忘れかけてました;;
終夜がゴミ掃除をした時から、十五年の月日が流れた2079年春――
終夜、三十一歳となり深夜と真夜は二じゅ――これ以上書くと精神崩壊させられ全身を光で穿たれるので書けませんでした。
そんな終夜は、最近和服を好んで着るようになった、妹たちは相変わらず意匠の凝らしたドレスを好んで着ていたりするが、今は関係ないことだ。
特にこの十五年間はいろいろと濃密なものだった。
第三次世界大戦が終了後、人の数が減り過ぎ、魔法師の兵器としての価値を上げたため、魔法師の早婚化が求められるようになった。
人と言うのは、何かをするにしても必ずどこかの部分で関係してくるため減らすことの出来ないものだ。
特に戦争と言うものは人間同士が行うため、それは必然と言ってもいい。
そう、だからこそ人の数を増やすためには子が増えなければならない、早く結婚させなければならないという安直な考えを持つものが増え、社会的に早婚化が求められるようになった。
むろんそれは終夜にも言えたことで、結婚可能年齢になってからと言うものお見合いの話が引っ切り無しに来たものだ。
それは深夜にも言えてことで、終夜がお見合いを妨害した数は、両手足の指では足りない程だ。
真夜は、男性恐怖症が治る見通しがないということもあり、「何時までも待てない」と言う七草からの言い分で、婚約解消の話をこちらが飲むことになった。
その際終夜が、内心ガッツポーズをしたのはお約束だ。
それでも覆すことが出来ないこともある。
それが深夜の結婚だった。
これは、四葉家としての決定で深夜も諦めて受け入れた。
相手は『司波龍郎』という、規格外のサイオン量を保有しているもので、経営者としても優秀な男だ。
この結婚にはいくつか隠された思惑が含まれており、一つが司波龍郎と言う比較的魔法師として優秀な血統の入手だ。
終夜には一歩劣るものの、現役の優秀とされる魔法師と比較して尚規格外のサイオンを保有しており、魔法師の資質は遺伝するということに基づいてのことだ。
他に経営者としての資質だ。
これは、四葉以外の十師族や残りの十八家にも言えたことで、あらゆる場所に出資したり、会社を経営したりすることで収入を得る上で優秀な経営者は外せない、そう言った思惑がここにはあった。
最後にこれが重要だ。
四葉深夜としての子供を隠すということだ。
現在四葉は世界各国から目を着けられている。
終夜に子供が出来たとしても、誘拐したりして大漢の二の舞になりたくないのは各国当たり前のことだ。
だが、他はどうだろうか?
深夜や真夜が助けを求めたならば終夜は応じるだろうが、助けを求めなかったとして自主的に助けるだろうか?
半分は最愛の妹の血だが、もう半分は自分から妹を奪った憎き男の血が入った子だ。
そう考える上でも、四葉の姓より他姓になっておいた方が危険度はかなり下がる。
というのが四葉家の一族会議で出された結論だ。
むろん、こんな会議をする際に終夜が居たら、間違いなく妨害されることを予測しており、まだ当主をやっている元造は秘密裏に事を進めたのだ。
そして、あの手この手で終夜が深夜の結婚についての話を知ることを徹底的に妨害、隠蔽し何とか結婚までこじつけたのは、ある種の敬意を払ってもいいと一族の者達は思ったほどだ。
後でこの事を知った終夜は、予想通りキレたが。
まあ、結婚と言っても政略結婚も良い所なので、席を入れてからはほぼ別居中というか、合うのも月一あるか無いかだ。
深夜は、今も普通に四葉家本宅に居るし、司波龍郎氏は、元々愛し合っている恋人と会社近くのマンションに住んでいる。
家は一応用意されてはいるものの、使われていないのが実情だ。
それでも血統は入手するために、体外受精と言う手段が使われるとのことだ。
それで今年の四月に誕生したのが達也と鋼也だった。
二卵性双生児ではあるが、その容姿は似ても似つかないほど掛け離れていた。
片方は父である龍郎にどことなく似ているが、片方は銀髪オッドアイだった。
念のためDNA鑑定など徹底的に行ったが、結果は確実に二人の子供であった。
先祖返りにしては、四葉の方はあり得ず、司波家の方も純粋な日本人で海外の血が入った形跡は一切ない。
そのことに一部の研究者が、その謎を解明しようと熱を入れたのは関係ないことだが……
そして、もう一つ重大なことがあり、達也と鋼也が生まれる一年前、これも体外受精と言う方法だが、終夜と深夜と真夜の間に既に子供が生まれていたのだ。
終夜のものと深夜と真夜のものを使用しての体外受精という方法を使っての妊娠だった。
ただ、産んだのは真夜だ。
深夜は形式的には結婚しているため、違う男の子供を産んで品格を貶められるようなことが在ってはいけないため、真夜が代わりに産んだのだ。
名前は、深夜との間の子は深姫、真夜との間の子は真姫という。
終夜としても目に入れても痛くない程のかわいい娘を愛すべき妹たちとの間に出来たのだ、その時の喜びようと言ったら言葉に出来るものではなかった。
むろん”四葉終夜”の子供と言うだけで、世界中で取り上げられるレベルのニュースだが、ニュースになることはなく、終夜の存在を恐れる裏や一部の権力者たちの間でのみニュースとなった。
何故ニュースになることがなかったのかというと、大亜連がインドシナ半島へと南進していると言う事と、体外受精とはいえ、近親間の子供だからという二つの要因がある。
魔法師と言う存在が生まれてからと言うもの、近親間の忌避は比較的なくなりつつあり、近親間での子供が忌避されていた理由の遺伝子異常も現在の医療レベルで解決できるものとなっており一部の国では推奨さえされているほどだ。
だが、世間体と言うものがありまだ馴染みきれていないのが実情だ。
それでも近親の子供と言うだけで差別されることは、昔に比べて無くなりはしたが、未だ好まれてはいない。
終夜が近親で誹謗されようとも、そんなことを気にする終夜ではなかったが、もしそれが妹たちの誹謗中傷や娘たちの虐めに繋がったならば、間違いなくキレることを想像することは容易であり、戦略級など生温い、生きた災害の猛威に曝される恐れのある、日本はすぐさま一般大衆に馴染むように近親を推奨し始めた。
そんな娘たちが可愛くて仕方がない終夜に仕事が舞い込んできた。
その時の表情は、歴戦の古強者でさえ震え上がらせることが出来るほどだったという。
その仕事の内容と言うのが、大亜連のアホどもが大漢での損害を補うべくインドシナ半島へと南進し始めたことに対する介入だ。
この仕事は、USNAと新ソ連の二か国が決定したことであり、終夜にも同行してほしいと言うものだった。
ハッキリ言って、終夜はこの仕事乗り気ではなかった。
報酬は、先の二か国より莫大な金額が出るが生まれたばかりの子供がかわいくて仕方がない終夜は、片時たりとも離れたくないのだ。
安全面だけは、四葉家本宅にいる以上安全は保障されているが、それでも心配だ。
と、いろいろと文句を言って行きたがらない終夜だったが、結局実の妹であり、嫁に近いが嫁でない愛すべき妹たちである深夜と真夜に行って来いと言われたので渋々行くことにした。
そんな終夜は現在、USNAと新ソ連のインドシナ半島臨時合同参謀本部にいた。
過去の因縁と互いの利権もあり足を引っ張り合うと思っていた終夜だったが、非常に珍しく大亜連の勢力拡大阻止の為に表面上とはいえ一致団結していた。
「現状、ベトナムのゲリラ部隊と日本の義勇軍と思わしき部隊の奮闘もありギリギリ戦線を押し止めているのが現状です」
「しかし、現状が好ましくないのもまた事実、奴らは数だけは多いがその数を馬鹿にする事は出来ない」
「然り、そのために我らが来ているのだから。して今回のミッションだが――」
終夜は、先ほどから永遠と続く前上口を聞き流していた。
元来ベトナムからの救援要請があった訳では無い我らは、大義名分が不透明だ。
むしろUSNAと新ソ連はインドシナ半島の地理的条件などを目当てにしている、互いを牽制することこそが真の目的だ。
「結局大亜連を引かせればいいのだろ?」
今まで黙っていた終夜の一言に、この場にいる者達が一斉に振り向いた。
「ことは、そこまで単純なことではないのですよ」
「政治的問題も」
「軍人が政治のことを考えてどうする。今は目先の戦場のことだろ」
終夜の言っていることには、一理ある。
だが、軍事と政治は斬っても切れない関係にある以上、誰もが簡単にうなずく事は出来なかった。
そんな中終夜を援護した人が居た。
「確かに、我等は力を示してこそだ。それに我らが介入を決めてから日が経っている。こうしている間にも一般の者達が大亜連の者によって虐殺されているのだぞ!!」
「ウィリアム少佐」
USNAの方針は、この時点で確定した。
USNAの誇る最強の魔法師部隊であり、USNA最強の魔法師であるスターズ総隊長、ウィリアム・シリウスだった。
本来であるならば、この作戦にスターズは参加する予定ではなかった。
だが、終夜がこの紛争を収めるための参戦を要求し、その要求をのんだことで急遽決まったのだ。
ウィリアムに与えられた極秘任務は簡単で、終夜の実力の確認と新ソ連の牽制。
終夜と言う存在は、最早戦略級という言葉に収まる存在ではなくなり、裏社会や一部の高級官僚や権力者、大企業の役員たちからは既に自然災害の一つとして考えられるようになっていた。
味方であるならば恵みが、敵には滅びが待っている。
誰が言い出したかは、分からないが力ある者達が終夜を表すのに最も適した言葉だと思っている。
「分かりました。USNAと”終夜殿”の顔を立て今回は、即座に軍事介入いたしましょう」
新ソ連の参謀が折れる形に見せながらも、終夜の名を強調しながらいった。
そこからは本当に電撃的な決着だった。
USNAを右翼から新ソ連を左翼からの挟撃で、インドシナ方面へと突出した部隊を終夜が単体で叩くと言う至極簡単な作戦だった。
単純だからこそ難しく、戦力の調整も難しく右翼左翼どちらかに一点突破されてもダメで在り終夜と言う決戦戦力があったからこそ実行に移せたのだ。
そうでなければ、短期で解決させるのは困難だっただろう。
これ程までに短期で解決できたのは、やはり終夜だ。
可愛くて仕方がない娘たちに会いたいのと大亜連と言う一つの国家にまとめあがったが元は大漢が含まれている国だ。
終夜が一区切りついたとはいえ、過去の恨みが早々になくなるわけもなく、この進行で出兵していた大亜連の部隊は半壊してしまったのだ。
全滅しなかったのは、USNAと新ソ連が戦っていた部分であり、終夜と当った所は綺麗な赤い大地と化していた。
「矢張り、アンチェインの名は伊達ではありませんでした」
「……そうか、分かった。下がっていい」
「はっ!!」
終夜の戦いを陰ながら見ていたウィリアムは、上官へと今回の作戦の報告をした。
「少佐、お疲れ様です」
「大尉か」
「四葉終夜の実力はどうでしたか?やはり噂が誇張されただけでしたか?」
大尉と言われた男は、権力がある者達が恐れ慄く四葉終夜という者の実力が、誇張表現されただけのただの魔法師だと思っており嘲笑い気味に言った。
事実、終夜の力を目のあたりにしたことのない者達は、大漢の内部分裂と偶々重なったために誇張されていると思っている。
ウィリアムもそうであった。
終夜の実力をその目で直接見るまでは。
「あれは冗談や誇張で済まされるものではなかった。上が言っていた通りあれは化け物だった」
「冗談ではなさそうですね、少佐」
嘲笑い気味だった顔から一転、大尉は真面目な表情に切り替えた。
「正直な所、あれとは戦いたくないものだ。あれと戦うとなるとせめて二か国、我等が祖国と新ソ連、その二つ以上の軍事力をただの消耗品として扱うなら僅かばかり勝機が見えるが所詮理論上だ」
「少佐が差し違えての特攻をしたならばどうでしょう?少佐には分子間結合分割術式が有ります。その魔法ならば」
期待したような声音で大尉は訊ねたが、ウィリアムは頭を横に振った。
「その魔法を使う前にやられたら意味がない。あれは事象干渉の規模、強度ともに規格外だ」
「そうですか……」
そんな会話をしながらも、ウィリアムはどうしたら終夜を”足止めできるか”を考えた。
しかしその思考は無意味であり、ウィリアムが終夜と
その頃の終夜はと言うと――
「ただ今帰りましたよ~」
「だあ~」
「う~」
ベビーベッドに寝かされている一歳になったばかりの深姫と真姫の頬を突いたり指を握らせたりと、帰宅してからと言うもの娘二人に付きっきりだった。
これを見たらウィリアムがどんな顔をすることか、お互い知らない方が良いこともあるものだ。
そして、批判はNGではなかったのですがNGと捉えられる分で書いていた作者に落ち度はあるとはいえ、それの所為で低評価がいっぱいに……という愚痴を書きつつも、次回やっと原作の話にしたいと思います。
若しかしたら違う可能性もあります。
そして、双子の名前の提案者である、すだい様にはこの場をお借りしてお礼申し上げたいと思います。
ありがとうございます。