魔法科高校の劣等生~世界最強のアンチェイン~   作:國靜 繋

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妹っていいよね!!

転生から五年――

妹たち誕生から三年の月日が流れた。

妹たちも魔の二歳児を通り過ぎ、三歳児神話へと突入していた。

終夜も五歳児になったこともあり、礼儀作法を覚えさせられだした。

食事マナーに言葉使い等、簡単なものから難しいものまでを徹底的に覚えさせるという名の強制だったが。

こればかりは、前世の記憶の弊害もあり中々上手くならない。

前世の方が長かったから馴染みにくいというのと、徹底した食事のマナーが必要な所に行くほどの家の生まれではなかったというのが大きい。

という以前に、五歳児にやらせることではない。

僅かな作法のミス一つで一からやり直しだ。

気疲れこそすれ、癒される時間ではないのは確かだ。

ただ、礼儀作法を教えてもらう前の時間に合った魔法の訓練は転生特典の成果を確かめる意味と前世では存在しなかった全くの未知という興味の尽きないことも相嵌り、スポンジが水を吸う以上、それこそ砂漠に知識という水を垂らすと吸収すると同じくらいだ。

魔法師としての成長ぶりには、父元造を始め分家の大人たち全員が舌を巻いたほどだ。

 

「「にいにー!!」」

 

行儀教育から解放され、ようやく自由になった終夜を待っていたのは、目に入れても痛くないほど可愛らしい二人の妹たちだ。

十人が十人見ても可愛いと思うほどだ。

十人の中に、女に興味のないゲイやショタ好きでさえ振り返って見てしまうほどの可愛らしさで、その筋の者が見たら襲いかかってくること間違いなしだ。

そんな妹たちは、終夜に飛びつくようにして抱きついて来た。

終夜もきちんと受け止めてやりたかったが、身体の出来ていない身で二人分の突撃を抱きとめるのは無理があった。

そのまま、二人からの衝撃に身を任せる形で後ろに倒れようとした時だった。

不意に背中を何かで支えられるような感覚を感じた。

終夜は、振り返って見たが誰かがいたわけでもない。

 

「なんだったのだ?」

 

「どうしたのー?」

 

「したのー?」

 

可愛らしく小首を傾げる深夜と真夜。

それに対して、抱きついている深夜と真夜の頭を撫でながら、終夜は何でもないといった。

深夜と真夜と手をつなぎ、終夜は自分の部屋へと戻った。

その時の様子を誰かが見ているとも知らずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

執務室の扉が礼儀正しくノックされる音がした。

 

「入れ」

 

「失礼いたします」

 

「葉山か。で、どうだった」

 

「旦那様のご想像通りかと」

 

「そうか……」

 

元造は、葉山からの報告を聞くと僅かにため息を吐いた。

昔から僅かながらも兆しはあった。

それが、今日の訓練で確定してしまった。

 

「矢張り、終夜には効かなかったのか」

 

「はい、違和感は感じられておられましたが、それ以上でもそれ以下でもなく普通に魔法を発動されていました。キャストジャミングの中で」

 

キャストジャミング。

魔法式が対象物のエイドスに働きかけるのを妨害する無系統魔法で、無意味なサイオン波を大量に散布してそのプロセスを阻害するもので、それにはアンティナイトという希少鉱物が必要で、論理上はアンティナイトがなくても出来るが現在それが出来る魔法師は一人もいない。

そして、キャストジャミングは、対魔法師に対して有効な軍事手段だ。

それが効かない魔法師は、敵対する者にとって悪夢だろう。

 

「他には何かあったか?」

 

「無意識下での魔法の発現があった位かと。無意識下でとても細かく制御成されているのは、流石としか言いようがないですね」

 

終夜は未だ気づいていないが、その力はまさに現代魔法師の中でもトップクラスだ。

魔法師は、代を重ねるごとにその親和性を強めるというが、終夜は既に人の持ち得る限界にあると元造は思っている。

自分の息子がそれだけの才を持って生まれてくれたのは嬉しいが、一方で強すぎる力は周りに災いを齎すが、それ以上に本人を不幸にする。

それを元造は懸念している。

出来れば杞憂であってほしいと思うばかりだが、これだけはまさに神のみぞ知ることだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

当事者である終夜はというと――

 

「にいにーひざのうえわたしがすわる!!」

 

「まやは、きのうすわったからきょうはわたし!!」

 

妹たちが、どちらが終夜の膝の上に座るか喧嘩しているのを見ていた。

前回下手に仲裁しようとした結果、二人に『にいになんてきらい』といわれ落ち込んだのは記憶に新しい。

何たって昨日の話なのだから古い訳がない。

だから、ここで永遠と傍観するしかないのだ、残念なことに。

 

「にいにーは、どっちにすわってほしい?」

 

「わたしだよね?きのうはまやだったし!!」

 

「みやは、おとといわたしがおひるねしているとき、ごほんよんでもらったじゃない!!わたしおしえてもらったんだからね!!」

 

だが、世の中には無情にも終夜へと決断を迫らせた。

終夜はどちらも平等に愛しているが、その平等こそが二人を傷つけてしまうこともまた知っている。

だからといって、差別する訳にもいかず何と答えるべきか大いに悩ませる事に為る結果となった。

身体が出来ていたならば、あるいは二人を一緒に膝の上に乗せられただろう。

しかしこの身は五歳児。

そこまでも体格差がない以上どうしようもない。

 

「さて、本当にどうしよう…………」

 

「にいにーはどっちがいいの?」

 

「まやだよね、にいにー!!」

 

「ちがう、みやだよね、にいにー!!」

 

四葉終夜、父の心配を他所に齢五歳にして実の妹二人相手に修羅場状態。

 




中々アイディアがまとまらずこんなに日が経つとは……
次も一気に日付が年単位で跳びます!!
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