魔法科高校の劣等生~世界最強のアンチェイン~   作:國靜 繋

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感想を含めて思ったのが、近親相姦推奨勢多くね!?
でした。


喧嘩を売られたので一国を滅ぼしました

真夜を救助してから二日が経ったその日、四葉家本宅で一族会議が開かれていた。

日頃は、表社会裏社会問はず仕事が在る分家の当主たちもが集まるほどの重要な会議だ。

議題はもちろん『真夜が誘拐された』件と『終夜が崑崙方院を壊滅させた』件の二つについてだ。

真夜が誘拐されたことは、その日の内に七草から四葉に伝えられていた。

それを聞いた元造はすぐさま救援部隊を送ろうとしたが、その後の弘一から来た連絡で救援部隊を送るのを早めることにした。

終夜の持つ潜在的資質とその特異性、そしてそれを十全に使える才覚の危険性は、父である元造が誰よりも理解していると元造自身、自負していた。

しかし、その才覚は元造が思っていた以上のもので救援部隊とともに駆けつけた時には既にことが終わった後だった。

崑崙方院支部があった場所は、完全に更地となっており、支部そのものは跡形もなく消滅していた。

その後直ぐに終夜を発見できたのは良かった。

あの時の終夜の眼は多くの人間を殺し、死というイメージを濃密に理解できている百戦錬磨の元造ですら背筋が凍りつき、死を覚悟する前に殺されると感じたほどだ。

 

「それで元造殿、ご子息は」

 

「終夜は今、部屋で謹慎させている。あのままだったらあいつは一人で大漢に攻め入ろうとするからな」

 

「そこまでですか」

 

「ああ、それに今回の件で、我々は我らの血統が諸外国に狙われていること、終夜の力の危険性の両方を少ない犠牲で再認識できたのは最良の結果といえよう」

 

少ない犠牲、それは真夜だ。

終夜に救出されたまでは良かった。

だが、目を覚ました真夜は極度の男性恐怖症に陥っていた。

父である元造にさえ、真夜は恐怖した表情を浮かべるのだ。

終夜には、救助してもらったということもあってか、幸いなことに恐怖した様子はない。

ただ、このままでは七草との婚約関係にも問題が出てくる。

しかしこの程度のことで深夜の系統外魔法『精神構造干渉』を使わせてエピソード記憶を意味記憶にしてまですることではない。

むしろこのことで、深夜が真夜に罪悪感を覚え、自身を追いつめさせる結果になることを元造は父として避けたいと思っている。

 

「しかし今回の一件で、大漢から軍事的協力関係を一方的に切られたことについて、国防軍から釈明の連絡を早く寄こせと来ていますが?」

 

「何が釈明だ!!奴らの方が先にやって来ていることを国防軍は知らないのか!!」

 

「そうだ、そもそも今回の交流会そのものが仕組まれていたらしいではないか!!」

 

「国際魔法協会からの連絡はどうなっている。それこそ奴らからの釈明を聞きたいわ!!」

 

一気に火が付いた大人たちは、口々に思ったことを吐き出した。

その内容は子供が癇癪を起して思った事を吐き出すのとは違い、真実が公にされない苛立ちからだった。

事実、国際魔法協会からはそんなことは知らないだの、そのような事実は存在しないといって来ており、崑崙方院本部からも、そのようなことはなかったといって来ている。

そのことに四葉家は全く納得していなかった。

あれだけ大規模なことをしておいて、我々は一切関与していません、でまかり通るはずがない。

そしてそのことに一番憤りを感じているのは、ほかならぬ終夜だった。

 

「お前たちの言い分は分かっている。だが一番の懸念は終夜だ」

 

「ご子息でしたら部屋におられるのでは?」

 

「ああ、だがあいつは見た目以上にフットワークが軽いからな」

 

「それでしたら杞憂でしょう。部屋と窓全てに二人体勢で監視を置いておりますから」

 

そう、黒羽家当主であり元造の義理の弟にあたる重蔵が、安心させようと微笑みながら言った。

 

「確かにそうだが……いや、これ以上このことを話しても無駄だな。それよりも国防軍には――」

 

元造が国防軍に対する対応を言おうとした時だった。

いきなり扉が開き、使用人が元造の元へと駆け寄って来た。

日頃では、何があっても礼節を弁えており、緊急を要することでも必ず許可を取ってから室内に入る徹底ぶりを見せている四葉家本宅の使用人が、だ。

そのことを分家の人間たちも重々承知のはずだ。

だからこそ、事が余程緊急を要する重要なことだと、内容を聞かずとも誰もが想像できた。

 

「何!!終夜、深夜、真夜の三人ともがか!!」

 

「どうなされたのですか?」

 

元造より十近く歳の離れた従妹が、この様な場で珍しく狼狽している元造へ訊ねた。

 

「終夜、深夜、真夜が書置きを残して居なくなったそうだ」

 

その言葉に、重蔵は固まった。

全ての入り口に黒羽でも選りすぐりの者達を監視に置いていたのだ。

その中から脱出など不可能に近い。

だが、それをやってのけるのが終夜クオリティーだ。

 

「そ、それで書置きには何と?」

 

「読むぞ。――

 

拝啓父上殿、これを読んでいると言う事は、俺と深夜と真夜の三人はいなくなっていることでしょう。ですが安心してください、俺達はただ”大漢”の奴らに復讐しに行くだけです。まあ、帰るのに一年は――」

 

そこで、元造は書置きを破り捨てた。

そのことを咎められる者は誰一人としていなかった。

むしろこの会議に出ていた者達は、誰もが呆然としていた。

それもそうだろう、誰もたった三人で一国相手に喧嘩を売ろうなどと思いもしなかったのだから。

 

「あの糞餓鬼どもが――」

 

その日、四葉家本宅で元造の怒りの咆哮が響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃終夜たちはというと――

 

「よかったのですか兄さん?勝手に抜け出して来て」

 

「良いって、こうでもしないと俺の手で仕返すことが出来ないからね」

 

「そういうものですか?」

 

「そういうものだよ、深夜」

 

「それにしてもよくこんなもの手に入りましたね」

 

「ああ、お願いしたら快くプレゼントしてくれたよ。この飛行機」

 

そう、現在終夜たち一行は大漢に行くためのプロペラ飛行機の中だった。

プロペラ機の入手方法は、誰もが想像がつく魔法を使って向こうからくれるように差し向けたのだ。

そんなプロペラ機の運転は、一応ではあるが、一通りの操縦方法を終夜自身が知っているから問題はない……つもりだ。

 

「それにしても兄さんよく運転できますね」

 

「習ったからね」

 

「っと、そろそろだな」

 

「何がですか?」

 

真夜と深夜はそろって首を傾げたている、そんな二人を終夜は両脇で抱えた。

 

「きゃっ!!」

 

「に、兄さんいきなり何を」

 

「そ、操縦はどうするのですか」

 

「まあまあ、大丈夫だから」

 

「な、何が大丈夫なのですか?」

 

慌てふためく深夜と真夜を抱きかかえ三人分のキャリーバックを引きながら終夜はプロペラ機の窓を吹き飛ばし、そのまま飛び降りた。

 

「「キャ――――――――――――――」」

 

両脇から甲高い悲鳴が夕焼けの綺麗な大漢の空に響き渡った。

重力に従い自由落下する三人だが、急激に落下速度が緩み空中で停滞した。

墜ちる感覚がなくなったので、目を見開いた深夜と真夜は信じられない光景を目にした。

空中に留まっているのだ。

 

「兄さん、まさか!?」

 

「暫くは、空の散歩だね」

 

「飛行魔法を使えたのですか!!」

 

「まあ、感覚で作っているから皆が使えるか、といったらそうではないのだけどね」

 

若干苦笑いしながら終夜は言った。

それでも、深夜も真夜も終夜のことを尊敬の眼差しで見ていた。

そんなことをしている間に、パイロットも乗客もいなくなったプロペラ機は、自動操縦の指示通り高層マンションへと突っ込んでいった。

その階は丁度、大漢の高官が住んでいる場所でもあった。

プロペラ機が突っ込み、マンションは炎上し始め黒煙を出し始めた。

この時大漢の者達は事故だと思っていた……終夜たちによる復讐の狼煙とも知らずに。

 

 

 

 

 

 

 

その日から大漢は常に悪夢の日々が続いた。

崑崙方院の研究所が警備、研究者を含め一斉に消滅した日が在ったり、大漢軍の大規模演習の時味方を殺しだしたり、対地用ミサイルを市街地に向って一斉発射した日もあった。

政府役人が観衆の前で演説している時に暗殺されることもあれば、崑崙方院の支部で全員が酸欠に陥り死亡した姿が在ったり、支部そのものが人の血肉で真っ赤に染め上げる事態もあった。

そしてその事件が起きた日には必ず、高降水型スーパーセルが観測され、大雨による洪水、ダウンバースト、竜巻が発生し、雹による被害もあり、地上への落雷や雲間放電もあり一切の救援が呼べない状況に陥っていたのだ。

その災害だけでも被害は推して計るべきものだろう。

その間に終夜が、深夜と真夜に手を出したかは、別の話だが。

 

「兄さんもうすぐですね」

 

「これで全てが終わるのですね」

 

「ああ、そうだ。真夜をこんな目に合わせた親玉との完全決着だ」

 

今日、大漢の重鎮たちの秘密議会が崑崙方院本部で行われることを終夜たちは、あらゆる方法で裏取し、突き止めた。

この時は深夜の精神構造干渉魔法が有意義に働いた。

参加者の中に崑崙方院総院長、軍務長官も含まれていた。

これで復讐に一区切りつけられる、そう終夜は思った。

 

「それじゃあ、行こうか」

 

「「はいっ!!」」

 

真夜と深夜と手をつないだ終夜は、魔法を発動させながら歩き出した。

加速・移動・振動・収束・発散・放出の複合魔法『スーパーセル』。

大規模な災害を振りまく環境を作り出す悪夢の様な魔法。

一度動き出したなら、術式解体や術式解散でさえ、止めることは不可能だ。

発動前ならばそれでもいいだろうが、発動してしまった後は環境として定着し自然に消滅を待つことしかできないからだ。

本部の正門前には通常時の三倍以上の人間が警備にあたっていた。

しかしその程度の人数、終夜たちにとって物の数ではなかった。

 

「兄さん、ここは私が」

 

そう言って真夜が、得意な魔法『流星群』を発動した。

流星群は、光が100%透過する状態に改変させ、有機・無機や硬度、可塑性、弾力性、耐熱性を問わず対象物に光が通り抜けられる穴を穿つ魔法だ。

それによって、警備にあたっていた者達は、全身を穿たれ、絶命した。

 

「聞こえているかいクズども。俺の名前は四葉終夜だ。俺の妹を誘拐し傷つけた罪お前らの命で償わせてもらう」

 

そう言うと、終夜は正門を破砕した。

本部から大量の警備にあたっていた大漢の魔法師、軍人が現れて来たがそれは終夜相手には悪手でしかない。

むしろ数が多ければ多い程、終夜に戦力を与えることになるからだ。

精神支配の系統外魔法『即席軍隊(インスタント・アーミー)』。

これによって支配された人間は、完全に終夜の支配下に入った。

支配下に入った者達に終夜が下した命令は常に一つ。

 

「自害しろ」

 

これだけだった。

終夜を上回る系統外魔法師はいないとは思うが、だからといって深夜や真夜といった守るべきものが居る状態で不確定要素を抱えるほど終夜は楽観主義者ではない。

終夜の命令を受けた者達は、標準装備で持っている拳銃で己の頭を撃ち貫いた。

深夜や真夜も一年近く目の前で人が死んでいく光景を見ていれば、嫌でもなれたようだ。

だが、真夜の男性恐怖症は治せず男性に対する攻撃は常に過剰とも言えるものだった。

 

「さ、行こうか」

 

深夜と真夜の手を引き本部の中へと入って行った。

本部の入り口は確かに頑丈で、建物自体も要塞化されていたが、そのような物終夜の前では濡れた障子紙と同じものだ。

待ち伏せも、精霊の眼とマルチスコープによって尽く見破り、仕掛けてあるトラップさえも無意味と化した。

偶に深夜や真夜がドジを踏んで作動させることもあったが、終夜が居る限り二人が傷を負うことは範馬勇次郎で構成されたアメリカの総軍を壊滅させることに等しいのだ。

まあ、一言で言うなら無理ということだな。

そして、三人は遂に大漢の重鎮たちが集まる部屋までたどり着いた。

終夜が扉を開くと案の定重鎮たちを守るために専用に守護している大漢でも屈指の魔法師たちがいた。

その各々が得意とする魔法が、終夜たちに向けられ放たれたが、その効力を発揮することはなかった。

魔法を放たれると理解するよりも早く終夜が、反射的に対物防御・領域魔法を発動し、終夜たちの周りに対物防御魔法が展開され終夜たちをすっぽりと覆う範囲に領域魔法が展開されることでその尽くを無効化した。

 

「所詮この程度か」

 

終夜の干渉力を上回ることが出来る者が居るのかさえ、そもそも存在するかも疑わしいのだ。

 

「邪魔」

 

その一言で大漢の重鎮たちを守護していた魔法師たちは爆散した。

血肉が飛び散る中、終夜たちだけは一切汚れることがなかった。

そのようなことが無意識下で出来る時点で、実力を推して計るべきなのだがそれが出来ないのが、大漢の重鎮たちだ。

 

「な、なんだね君たちは!!この様なことをして許されると思っているのか」

 

「うん?なんのことかな?俺はただゴミ掃除をしに来ただけだよ」

 

「ふざけているのか!!」

 

嘲笑いながら言い切った終夜に大漢の重鎮の一人がキレた。

どんなに考えても己の不利が覆るわけがないのに、だ。

 

「さあ、真夜お前の手で決着をつけるのだろう?」

 

「ええ、兄さん」

 

真夜は一歩前に出て、魔法を発動した。

その瞬間部屋が暗くなり天井に星空のように小さく光り輝く光源が出来ていた。

真夜の魔法である『流星群』は、そもそもこういった限られた室内の方が実力を発揮する。

そして、星が流れ落ちるように重鎮たちを撃ち貫いた。

真夜の瞳には一切の罪悪感も悲壮感もなく、むしろ復讐をやり遂げ生きる目的を失った虚無感を感じさせた。

 

「さ、帰ろうか。一年近く帰っていないのだ、間違いなく説教だろうね」

 

終夜が場の空気を壊すような発言をした。

その真意を深夜は理解してくれたのか、苦笑いをした。

 

「そうだね。兄さんが言い出したから兄さんが私たちの分も怒られてよね。ね、真夜」

 

「ええ、そうね」

 

真夜も終夜や深夜に心配を掛けまいとしてはいるが、精神構造干渉の魔法を使える二人は特に相手の心情に機敏である。

だが、そこを乗り越えるのは真夜であって、二人が外から干渉することではないと分かっていた。

 

「ささ、帰るよ」

 

二人の背を終夜が押しながら帰路についた。

本部の正門前まで来ると終夜は全てにけりをつけるべく、二度と真夜を誘拐しようと思わない様に原因である崑崙方院本部を跡形もなく消す魔法を組み上げだした。

幸いにも環境は作り上がっている。

崑崙方院本部の上空で空気の流れをある一定に調整し、移動魔法で強制的に回転を加える。

後は簡単だ、竜巻が起きやすいスーパーセルだ。

上空から何かがゆっくりと降りて来るかのように着弾した。

魔法による付加により、通常の竜巻では考えられない規模の竜巻で本部は跡形もなくすりつぶされた。

終夜たちはというと、やり過ぎたと思い竜巻の被害に自分たちが合わない様に急いで逃げていたりした。

 

 

 

 

この事件ののち大漢は、半年もしない内に大亜連合に吸収された。

むろんたった三人でことを起こしていたのだ、全ての人間を上手く抹殺できたわけではなく逃げ切れた人間も数える程度ではあるが居る。

しかしその者達は、この件について一切口を開こうとはしなかった。

それ程までに凄惨な事件であり、大漢での犠牲者は、軍人、魔法師、高級官僚などは五千六百人程度だが、一般人も合わせるとその人数は三十万人を超え、被害者だけでも五百万人を超えるとされる。

この件で、世界は日本のとりわけ四葉と言う一族の危険性を理解させられた。

たった三人でこれだけだ、一族総出となるどれ程のものになるか、そう考えると身の毛もよだつ話しだ。

自称世界最強国家である、USNAはこの件を非常に重く考えている。

元々竜巻が起きやすい環境であるということもあり、その被害は毎年のように出ておりその危険性も十二分に理解している国だ。

その竜巻を個人で作り出せるものが居る、それだけでも脅威に値し、何時それが自分達に向けられるのかと思うと枕を中々高くして寝ることが出来なかったらしい。

そもそもの原因が、大漢にある事を突き詰めたUSNAは非常に珍しく一つの家と条約を結んだのだ、それも公式の場で。

その内容は、たった一つであり簡単に要約すると、四葉の者と分かる者には一切干渉せず、四葉の関わりがある事にはこちらからは干渉しない。

その代りUSNAと敵対しないといった物だ。

まだ細かく内容は制定されているが、その詳しい内容を知る者は限られている。

むろんこの事を馬鹿にするものは、誰も居なかった。

それだけの事件であったのだから。

この件で更に終夜の危険性を世界に周知させることとなり、終夜は誰にも御することの出来ない存在として魔法と関わりのある者や裏に生きる人間たちからは口を揃えて『アンチェイン』、何者にも縛れぬ者、そう言われるようになった。

まあ、深夜や真夜が可愛らしくお願いしたら何でもお願いを聞いちゃう重度のシスコンなのだが。

 




とりあえず、今後の展開どうしようと思ってる。
母親となるのは真夜で、だけど深夜と真夜の卵子を使って人工授精をさせてって流れで、とりあえず二卵性双生児で娘でって言う流れになっていて。
何が言いたいかというと、双子の娘の名前大募集中です!!
あと、双子は誰と同年代にするかも募集中です!!
意見は、個人宛てにメッセージでお願いします。誰と同年代かも。
そして、次の話投稿するときに、あとがきに書いて集計したいと思います。


次の話は原作に細かく描写されていない大越紛争に終夜を参加させます。

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