魔法少女リリカルなのは IFストーリーズ   作:アルバロスガロード

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第六話「二つの大きな出会いなの」

~海鳴市・ある一軒家~

なのはが魔法少女になる一ヶ月程前。海鳴市内のある一軒家のリビングでは、一組の夫婦を見下ろす一人の人物と壁の近くに目に光の灯っていない痣だらけの男の子が座っている。夫婦を見下ろしている人物は、男の子に目をやりながらその夫婦に向かって、

「自分の子どもに随分酷いことするんだな。」

と言い、まるでゴミを見るような目でその夫婦を見ていた。そしてその人物は男の子に近づき幾つかの質問をしてある事を直接的にでは無いが確認した。ある事とは、夫婦からすべての事を肯定するように洗脳されていることと、男の子が夫婦を憎んでいることである。二つの事を確認したその人物は男の子に、

「君はどうしたい?君を虐待したこの二人を?君が望むならこの二人を生かす事も消滅させる事を出来る。」

と聞いた。男の子は自分に恐怖した視線を向ける自分を虐待していた夫婦を軽蔑した視線で一瞥しながら、一言小さな声で「消えてほしい。」と言った。夫婦は絶望していたが、男の子がそう言うとその人物は分かっていたので、

「了解。それじゃ消えてもらおうか!罪を背負いし罪人よ断罪されよ、ジャッジメント。」

と言い理由を聞かずに、呪文を唱えて黒い魔力光を放ちながら夫婦を消滅させた。そしてその人物は、男の子に向かって、

「自己紹介がまだだったね。私の名はメフィスト、魔導師だ。よろしくね。」

と自己紹介した。男の子も、

「初めましてメフィストさん。助けてくれてありがとうございます。僕の名前は影沼亮夜です。なぜ僕を助けたんですか?」

と自己紹介しながら、自分を助けた理由をメフィストに聞いた。メフィストは、

「君には魔導士の才能がある。そしてその力を使って手伝ってもらいたいからだ。」

と言った。亮夜はそれを聞いて、自分が必要とされていると思い嬉しくなりメフィストを信頼することにした。更にメフィストが虐待の傷などを魔法で治療したので妄信レベルで信頼した。

 

その後メフィストは「必要になったら連絡する。」と言って消えた。亮夜は夫婦の金(10年少々は一人で暮らせるぐらいの金額。)で生活することになった。学校には通っていない(年齢は10歳なのだが、夫婦が虐待していることが露天するのを防ぐために通わせていない。しかし将来的にはもっと洗脳した亮夜の金で生活したかったので、同学年よりも難しい内容を無理やり勉強させていた。学力は聖祥大附属小学校にはある程度余裕で入れるぐらい。)。

 

~海鳴市内のあるビルの屋上~

なのはがウサギに変化したジュエルシードを封印した夜。あるビルの屋上に魔法陣が展開されて一人の金髪の少女が髪の毛を風になびかせながら現れた。少女は海鳴の街並みを見ながら、

「この街の何処かに母さんの願いを叶える物がある。」

と呟いていた。そして少女は後ろを振り返り、ビルに入って行った。

 

~海鳴市内~

翌日、少女は海鳴市内を歩いていた。時おり周りに人が居ないタイミングで、金色の三角形のアクセサリー様な物を持って何か呟いていた。何度かそれを繰り返していると突然走り出した。

 

~海鳴市内のある公園~

走り出した少女は海鳴市内に有る人の気ない公園に来ていた。少女は何かを探しているかの様に、公園の中に有る雑木林に入っていった。雑木林を歩いていた少女はある木の下に野ウサギの親子が住んでいるのを見つけた。その時だった、後ろから獣の様な叫び声が聞こえてきた。少女が振り返ると豹の様な生き物が走って来ていた、少女は三角形のアクセサリーを前に出した。直後に豹が突撃してきて砂煙が上がった、そして砂煙が晴れると魔法陣を展開している少女が居た。少女が何か呟いた直後に周辺一帯が閃光に包まれた。閃光が消えると豹の様な生き物は消えていて近くにはジュエルシードが落ちていたので、豹の様な生き物はジュエルシードが変化した物だった。少女はジュエルシードを拾うと雑木林から出て行った。

 

雑木林から出て行った少女は疲れていたのか、公園内のベンチに座っていた。そして少女はふっと周りを見渡すと、

「そういえばここ何処だろう?まだバルディッシュに地図読み込ませていないのに。」

と言い、自分の現在が分からないことに気づいた。どうしよう考えていると突然、

「どうしたの?大丈夫?」

と声かけられた。私は「ひゃ!?」と言いながら声の方を見ると、自分とあまり歳の変わらない男の子が立っていた。

 

亮夜がメフィストに救われてから一ヶ月が経ち、亮夜は夫婦からの支配がなくなった生活を謳歌していた。亮夜は買い物をするために商店街などに向かっていると、途中にある公園のベンチに自分とあまり歳の変わらない金髪の少女が座っていることに気づいた。亮夜はなんとなく気になり近づいて、

「どうしたの?大丈夫?」

と声をかけた。少女は「ひゃ!?」と言いながら、亮夜の顔を見た。亮夜は少女の顔を見て「可愛い。」と思いながら、

「ごめんね。驚かせちゃって。何か困ったことがあったの?」

と話しかけた。少女は少し迷いながら、

「実は道に迷ってしまったんです。××○○というマンションに行きたいんですが、道分かりますか?」

と自宅のマンションの事を聞くと、亮夜は、

「あそこのマンションだね。分かるよ。丁度そっちの方に行くつもりだったから案内するよ。」

と答えた。少女は申し訳なさそうな顔で、「お願いします。」と言って立ち上がった。

 

~海鳴市内~

亮夜が歩きながら、

「そういえばまだ名前を名乗って無かったね。俺の名前は影沼亮夜。亮夜と呼んでくれて良いよ。君の名前は?」

と自分の名前を名乗りながら少女の名前を聞いた。少女は、

「フェイト。フェイト・テスタロッサです。案内してくれてありがとうございます。」

と名乗りながら亮夜にお礼を言った。亮夜とフェイトは歩きながら、

「フェイトって引っ越して来たばかり?」

「はい。引っ越して来たばかりなんです。色々な場所を覚えようと散策していたら迷ってしまって。」

「それでどうしようか公園で考えていたわけか。」

「はい。迷っていたら近くに公園があったので、公園のベンチで休憩も兼ねて座って考えていたんです。」

「なるほど。その時に丁度俺が通りかかったわけか。」

「あの~亮夜さん。どうして私に話しかけてくれたんですか?」

「なんとなく困っていそうだったから(ついでにほっとけない雰囲気が出てたから)。」

「そうだったんですね。何かそういう力を持っているんですね。」

「まあな(そういう力が必要だったからな)。あっ!フェイト着いたみたいだよ。」

「あっ!本当だ。ありがとうございます。」

「どういたしまして。それとここから真っ直ぐ行くと大きなストリートがあるから、そこに地図があるからそれで道を覚えてみて。それじゃまた機会があったら会うかもね?じゃあなー。」

「分かりました。ありがとうございます。またいつか。」

と会話してフェイトの自宅の前で別れた。

 

この時にお互いに家族のことは話さなかった。

 

~フェイト自宅~

フェイトは自宅に帰ると、今日手に入れたジュエルシードを見ながらさっきまで一緒だった亮夜のことを思い出していた。その時のフェイトは「亮夜のまた会えないかな。」と考えていた。

 

~亮夜自宅~

買い物を終わらせて帰宅した亮夜は、今日会ったフェイトの事を思い出していた。その時の亮夜は「フェイト可愛いかったな。また会えたらいいな~。」と考えていた。その時目の前に魔法陣が出現して、そこから半透明のメフィストと謎の腕輪が現れた。亮夜は驚きながら、

「メフィストさん。ついに僕の力が必要になったんですね?」

「亮夜その通りだ。そこにある腕輪は、宝玉輪といってお前に力を与える道具だ。それを用いてこの画像の女の子「フェイト?」…なんだもうすでに会っていたのか。なら話が早い、フェイトを正体を隠してサポートしてくれ。方法は任せる。」

「了解しました。最後に二つ程確認したいのですがよろしいでしょうか?」

「構わない。何だ?」

「はい。それはフェイトの目的とあなたとの関係です。」

「フェイトは、私が今協力関係を築いている人物の娘だ。フェイトの目的は、この画像の青い結晶体を集めることだ。」

「了解しました。」

「うむ頼んだよ。正体を明かすタイミングはこちらで指示する。魔法の使い方は宝玉輪をはめれば分かるから。」

と会話をした。メフィストが消えた後亮夜は、「フェイトとまた会えるし、メフィストさんに恩返しができる。」と喜んでいた。

 

この日出会った亮夜とフェイトは、ジュエルシードをめぐる戦いの中心となり、これから長い付き合いになるとは思ってもうなかったのだった。

 

 

~海鳴市内の一軒家~

二日後。なのはが風芽丘学園でジュエルシードを封印したあと、鴉はある二階建ての一軒家のベランダに来ていた。その家のベランダの窓が開いていて、顔は見えないが二人の人物が鴉の話を聞いていた。鴉はその人物達に深紅色と藍色の石を渡していて、二人はその石から写し出されている映像を見ていた。二人は鴉に向かって、

「にわかには信じられないが、最近のなのはの様子に納得いった。」

「だけど直で見ないと信憑性が薄いよ。」

「だから完全に信用をするのはこれからで良いか?」

と言った。鴉もそれには同意していたので、

「それで構わないよ。信用してくれた時は協力してくれ。」

と言った。二人が無言で頷いたのを確認して飛んで行った。

 

鴉と二人はジュエルシードをめぐる戦いにどのような影響を与えるかは誰も知らないのだった。




登場する家族の詳細解説コーナー
・バニングス家
 本作品では、アリサ以外はあまり登場しません。更にアリサはこの作品内では、重要人物のためやや設定が濃いです。逆に他の人物はかなり薄くなります。
 アリサ・バニングス
 なのはの親友でクラスメイト、いつもなのは・すずか・勇吾・勇我と一緒に行動している。日本で起業した世界的なアミューズメントパーク運営企業のバニングスカンパニー経営者夫妻を両親に持つ日本生まれのアメリカ人のお嬢さま。学力は非常に優秀で「学校のテストは100点が当たり前」と言っている。なのはとすずかとは一年の頃に出会い、そのころはかなりひねくれていたがある出来事を境に性格が改善され、なのはとすずかと親友になった。今では、向こう見ずで気が強い部分があるが好きな相手には思いやりが深くとてもまっすぐな性格になっている。ただ素直になれないことも多々ある。勇吾に対して、特別な感情抱いているが気づいていない。勇我に対しては、姉のように慕ってくれるので、可愛い弟分だと思っている。恭也・美由希・忍を兄・姉のように思っている。犬を10匹ほど飼うほどの愛犬家。家では両親と執事とメイドと生活しているが、両親は仕事でほとんど家に居ない。アリサは誰にも言えない秘密を抱えている。年齢は9歳。
 デイビット・バニングス
 アリサの父親で、バニングスカンパニーのCEOを務めている。陽気な外国人ような雰囲気の人物だが、大企業のCEOなだけありヤリ手の一面もある。多くの人々を笑顔にしたいと子供のころからの夢を持っており、実現している。逆にそのせいで、アリサに寂しい思いをさせていることには負い目を感じているが、友達が出来たことをうれしく思っている。アリサの秘密が他の人に知られ、アリサに危害が加えられることを恐れている。年齢は34歳。
 ジュディ・バニングス
 アリサの母親で、バニングスカンパニーのCOOを務めている。明るい人物で見た目はアリサがオトナになったような姿をしている。デイビットと出会った時から夢を応援しており、COOとして彼を支えているが、同じようにアリサに寂しい思いをさせていることを負い目に感じているが、友達が出来たことをうれしく思っている。アリサが勇吾に特別な思いを持っていることには、女の感で気づいている。なのは達は、アリサの秘密を受け入れてくれると考えている。年齢は32歳なのだが、20代後半の見た目をしている。
 鮫島
 バニングス家の執事兼専属運転手で、アリサの送り迎えをしている。バニングス夫妻からの信頼がとても厚く、夫妻がいない際のバニングス邸の管理を任されている。夫妻以外で、アリサの秘密を知っている唯一の人物で、アリサの親友のなのは達を信頼している。アリサが勇吾に特別な感情を抱いてることを年の功で知っている。年齢は55歳。

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