101番目の家畜   作:八雲 紅

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双が完結してないので過去については捏造入ってます
あと実写版のオリキャラが出ます


垰良晴という男

私立百花王学園。

ギャンブルが全てのこの学園では敗者は家畜として虐げられる。

その家畜(ポチ)の証を首から下げた男子生徒ともしゃもしゃとした癖毛に眼鏡をかけた男子生徒が学園の食堂で対峙していた。

 

1人は生徒会所有の家畜、垰 良晴。

もう1人は学園の報道倶楽部所属の新渡戸(にとべ)(きゅう)

 

「どうしたんだい、にとべきゅん」

 

「フルネームなのかあだ名なのかよく分からないから止めてくれ」

 

垰の揶揄う言葉に嘆息しつつ新渡戸は答える。

そして一息ついた後に手元のメモ用紙をペラペラと捲り会話の準備に入る。その様子からして垰とのやり取りは慣れているのだろう。

 

「聞いてるかい?話題の転入生の話」

 

「それなりに」

 

「それなり、ねぇ」

 

垰の答えに新渡戸は目を細める。

この学園で転入生や編入生は珍しくない。実家が相当な名家でコネがある場合や実力で特待生の枠を得る場合など様々だ。

だがそれらのほとんどは初日にギャンブルの洗礼を受けて敗北、最悪全てを毟られ即家畜落ちなんて事もしばしば。

だが新渡戸が話した転入生は転入早々にクラスのリーダー格とのギャンブルに勝利し逆に借金を背負わせた異例の存在として早々に注目を浴びている。

 

蛇喰 (じゃばみ)夢子(ゆめこ)。2年華組転入生。転入早々に同じく華組の早乙女(さおとめ) 芽亜里(めあり)にギャンブルを挑まれるも勝利し逆に900万近い借金を負わせる。期待と話題に満ちた転入生だ」

 

「そりゃ皆知ってる、朝からその話題で持ち切りだ」

 

「そう、皆知ってる。でも俺が聞きたいのは蛇喰夢子についてじゃなくて早乙女芽亜里の方だ」

 

垰の言葉に被せるように新渡戸は言葉を紡ぐ。

早乙女芽亜里の名前が出た瞬間、飄々と話を受け流していた垰の雰囲気が変わる。

 

「かつての相棒に、何か思うところあるんじゃないの?」

 

その反応を待っていたかのように新渡戸は更に続ける。

しばらくお互いの視線が混じりあう時間が流れ、観念したように垰はため息を吐いた後に口を開いた。

 

「俺は信じて待つだけだ」

 

心配するでもなく、怒るでもなく、ただただ当たり前のように垰はそう言った。

 

「芽亜里は初見殺しに弱いからなー、あいつがストレート勝ちする方が珍しい」

 

「相棒に対して容赦ないねー」

 

「でも芽亜里はタダじゃ終わらない。何倍返しにして最後に必ず勝つ、そういう奴だよ芽亜里は。だから俺は信じて待つ」

 

「熱い惚気ありがとうございます」

 

垰の言葉に新渡戸は遠い目をしながらそう締めくくる。

この男が未だに生徒会の家畜として身を置いているのも諦めているからではなく相棒を信じているからこそ。

それを知れただけでも新渡戸にとっては収穫だった。

 

「では今の惚気もとい早乙女に対しての熱いエールを記事に」

 

「五十嵐さんと芽亜里が許さないと思うよ」

 

「ですよねー」

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

時を同じくして学園の中庭。

中庭のベンチで隣り合わせで座る一組の男女が居た。

 

1人は黒い長髪に赤い瞳が特徴の女子生徒。

転入早々に早乙女芽亜里とのギャンブルに勝利したと話題の蛇喰夢子。

もう1人は黒髪の汎用で何処にでも居そうな男子生徒。

初日に夢子を学園に案内した縁で彼女と友達になった元家畜、鈴井(すずい) 涼太(りょうた)

昼食を済ませた2人は中庭のベンチに腰掛けながら雑談に花を咲かせていた。

 

「蛇喰さん、僕なんかと一緒で良かったのかな……?」

 

「私は鈴井さんと一緒が良かったんです。あと夢子と呼んでください!」

 

「分かったよ、夢子」

 

鈴井はこの学園の生徒にしては珍しく、落ち着きのある常識人である。

転入早々にカモられそうになる夢子を庇ったり今も学園の案内を続けたり、更には早乙女とのギャンブルでは早乙女に加担していた事を自ら明かして謝罪する誠意も持ち合わせている。夢子もそんな鈴井を気に入り彼の借金を返すだけでなく友達として接するようにお願いしてたりする。

 

「鈴井さん、早乙女さんについて何か知っていますか?」

 

「早乙女について?」

 

ふと、夢子は思い出したかのように訊ねる。

早乙女は夢子とのギャンブルに負けた事により家畜落ちしクラスの支配者から一転して虐げられる立場になっている。この学園の伝統を考えれば不思議な光景ではないが彼女が言いたいのはそういう事では無いだろう。

 

「昨日の早乙女さんとのギャンブルです。私は正直、早乙女さんの事をクラスのボス気取りの乱暴な方だと思ってたんです」

 

「夢子って容赦ない時あるね……」

 

「でも最後の1000万を賭けた時、彼女の目が変わったんです。適当な相手をカモろうとするだけの小物の目ではなく強い信念を持ち数多の戦いを潜り抜けた勝負師の目に。……まぁ、イカサマは止めてくれませんでしたけど。それで、気になったんです。何故あのような眼差しを向けられる方が小物の真似事をしているのか」

 

貶すような称賛するような夢子の言葉に鈴井は驚く。

そして早乙女の家畜としてそれなりの付き合いがある鈴井は夢子の疑問にも思うところはあった。

 

「僕も詳しくは分からないけど心当たりはあるよ。1年前、家畜の公式戦の権利を利用して代理人が生徒会役員達に次々とギャンブルを挑んだ事があるんだ。この学園を取り仕切る生徒会役員のギャンブルともなれば注目が集まるし動くお金も大きくなる。その家畜の反乱ともいえる事件に早乙女さんは関わっていたらしい」

 

「ふむふむ」

 

「この事件以降、いつの間にか生徒会は1人の家畜を所有し始めた。生徒会はこの学園を取り仕切る、いわばギャンブルの強者の集団なんだ、家畜を作ることはあってもわざわざそれを所有することは無い。その家畜は噂だとその反乱の時の仲間の負け分を代わりに負ったらしい」

 

「文字通りの人質ということですね」

 

「うん。で、僕の予想だと早乙女はこの家畜の生徒のためにお金を集めてるんじゃないかなー、って」

 

ギャンブルがあまり得意でない鈴井は1年前の事件も人伝いに聞いただけで詳しくは知らない、あくまで予想だ。

夢子もこれ以上は追及せず、鈴井の話を噛み締めるように何度も頷いている。

 

「早乙女さんには悪いことをしてしまったかもしれません。人生すら賭けられ、管理されるなんて、本当に……」

 

そう呟く夢子を見て鈴井は心配する。

罪悪感か、それとも怖がらせてしまっただろうか。無理もない、一瞬で転落した早乙女を目の当たりにし人生を奪い取られた家畜の話を聞いたのだ、罪悪感を覚えたり怖がるなという方が無理だろう。

鈴井は話題を変えようと口を開こうとすると

 

「ふふっ、鈴井さん!私この学園に来れて良かったです!」

 

喜色満面の夢子の言葉に開きかけた口が閉じた。

 

「私、放課後は生徒会に行ってみたいです!」

 

ああそうだ、彼女は狂ってるんだ。

再認識した鈴井は遠い目をしながら空を仰いだ。

 

 

 

 





夢子「申し訳ないことをしました」(申し訳ないと思っていない)


新渡戸は実写版シーズン2に出てきます
学園生にしては珍しくギャンブルはせず家畜に対しても特に何もしません
ネタになるなら家畜だろうとなんだろうと構わない、自分がギャンブルして狂うのではなくギャンブルに狂う人を見て狂うタイプなので主人公とも気が合うと判断し、出しました
言ってしまえば主人公もこいつも場酔いするタイプって事です



後ガキ(仮)

垰「転入生は蛇喰、生徒会長は桃喰。両方バミってるよな」
新渡戸「バミってる」
垰「親戚だったりするかな?」
新渡戸「日本語おかしくなるけど珍しい名字なんてこの学園じゃ珍しくもないでしょ」
垰「日本刀もバミってる時代だし他にもバミってる親戚居たりして?」
新渡戸「バミってる流行らせたいの?」
垰「バミらせたい」
新渡戸「……真偽はともかく親戚ってのは面白そうね」


※後にその日本刀と同じ名字の人が来ることを彼らは知らない
※更にバミるのが流行るのも彼らは知らない
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