では、ゆっくりしていってね!
むかしむかし、本当に昔のことだ…
俺はとある一羽の鶴を助けた…
その鶴は怪我をしていて、俺には無視することはできなかった
だから助けた…怪我を治療した、鶴は嬉しそうに飛んでいった…
その鶴はそれから毎日のように俺の家から見えるところを飛んで、俺を見守っているかのようだった…
俺はその鶴に気づいて、いつも手をふっていた
数日すると、鶴が家の周りを飛んでいない…猟師に撃たれたり、怪我したりしてしまったのか心配になったが、俺にはどうすることもできない…
その日の夜俺の家の戸がトントンとたたかれる
「こんな晩にだれだろう」と思って戸を開けると、雪の中にはその雪よりも白く、輝くように美しく腰まで流れる黒絹のような髪…
『綺麗な黒髪』
その一言に尽きるのだけれど、俺の心は彼女の髪にすっかり奪われてしまった。
他を寄せ付けない深い闇のような黒。それでいて艶やかで繊細な細い髪の一人の娘が立っていた
その美しい娘は言った
「旅の者ですが、道に迷ってしまいました。今晩泊めていただけませんか?」
「一人暮らしで汚いところだが、それでも良かったらいいぞ?」
と答えて俺は娘を泊めてやった
次の朝、俺は目を覚ましてびっくりした
いろりの火は消えていて
なんだかなべからすごく食欲をそそる良い匂いがする
汚く散らかっていた家も綺麗に片付けられている
「夢でも見てるんだろうか…俺は…」
そうつぶやくと娘の声がした
「私をあなたの女房にしてくださいませんか?」
「突然なにを言うんだ?俺みたいな貧乏人があなたのような立派な人を女房にするなんて…あなたにも迷惑がかかる、俺ではあなたを幸せに出来ない」
「私は貧乏でもかまいません。あなたのおそばにいたいんです」
娘は何度もそういった
そして二人は夫婦になって仲良く幸せに暮らした
そのまま幸せに…暮らして死にたかった…
ある日のこと…女房が俺に言った
「私、はたを織ろうと思うんです。はたが織れるような部屋を作ってくれると嬉しいです」
俺が部屋を用意すると女房は喜んだが、俺の目をじっと見て言った
「一つだけお願いがあります。わたしが部屋から出てくるまで、絶対に中をのぞかないで欲しいんです」
「わかった。絶対に見ないよ」
俺がそう答えると女房は安心して部屋に入っていった。それから、「キッコ パタン、キッコ パタン」というはたを織る音が聞こえてきた。その音は休むことなく一晩中、近くの野や山に響き続けた。俺は約束を守って待った。朝になって、やっと女房は部屋から出てきた。少しやせて顔色も良くない。だが、その手には見たこともないような美しい布を持っていた
「さあ、これを売ってきてください。きっと高く売れるはずですから」
俺は女房の心配をしたが、女房は大丈夫だと言った…
俺はその布を売った…
すごく莫大な金になった…
俺はそれから欲望に目がくらんだ…
金をただただ使い、仕事もせず、遊んでいた…
そして金が無くなると、女房に無理を言ってはたを織ってもらった…
何度も何度も…
キッコ パタン、キッコ パタン キッコ パタン、キッコ パタン キッコ パタン、キッコ パタン キッコ パタン、キッコ パタン キッコ パタン、キッコ パタン キッコ パタン、キッコ パタン キッコ パタン、キッコ パタン キッコ パタン、キッコ パタン キッコ パタン、キッコ パタン キッコ パタン、キッコ パタン キッコ パタン、キッコ パタン キッコ パタン、キッコ パタン キッコ パタン、キッコ パタン キッコ パタン、キッコ パタン キッコ パタン、キッコ パタン キッコ パタン、キッコ パタン キッコ パタン、キッコ パタン キッコ パタン、キッコ パタン
女房ははたを織るたびにどんどん体調が悪くなっていく…
金に目がくらんでおかしくなった俺はそのことにしばらく気づかなかったが、流石に気づいた…
あるとき、女房ははたを織り始めて2日たっても出てこない、いつもなら一夜で出てくるのに…
おかしくなった俺でも心配になった…
俺は女房に…無理をさせすぎていたと…
そう思った…
それからさらに一日たっても出てこない…
俺はもし彼女が死んだら…もし彼女がこのまま出てこなかったら…そう考えてしまう
俺はこのとき本当に純粋に…金なんかいらないから…だから女房が無事に出てきて、普通に幸せに暮らしたいと思った…
ただ、普通に暮らしたいと…貧乏でもなんでもいいから…
女房がはたを織り始める前の…貧乏でも充実してて…本当に楽しかったときに戻りたいと…
「もう…いい…もういいから…だから出てきてくれ…なあ…もういいからでてきてくれよ…○○○!!!!!!!!!!!!!」
俺がいくら叫んでもあいつは出てこない…
キッコ パタン、キッコ パタン キッコ パタン、キッコ パタン キッコ パタン、キッコ パタン キッコ パタン、キッコ パタン キッコ パタン、キッコ パタン キッコ パタン、キッコ パタン キッコ パタン、キッコ パタン キッコ パタン、キッコ パタン キッコ パタン、キッコ パタン キッコ パタン、キッコ パタン キッコ パタン、キッコ パタン キッコ パタン、キッコ パタン キッコ パタン、キッコ パタン キッコ パタン、キッコ パタン キッコ パタン、キッコ パタン キッコ パタン、キッコ パタン キッコ パタン、キッコ パタン キッコ パタン、キッコ パタン
キッコ パタン、キッコ パタン キッコ パタン、キッコ パタン キッコ パタン、キッコ パタン キッコ パタン、キッコ パタン キッコ パタン、キッコ パタン キッコ パタン、キッコ パタン キッコ パタン、キッコ パタン キッコ パタン、キッコ パタン キッコ パタン、キッコ パタン キッコ パタン、キッコ パタン キッコ パタン、キッコ パタン キッコ パタン、キッコ パタン キッコ パタン、キッコ パタン キッコ パタン、キッコ パタン キッコ パタン、キッコ パタン キッコ パタン、キッコ パタン キッコ パタン、キッコ パタン キッコ パタン、キッコ パタン
俺は我慢できなくなってはたを織る部屋の扉を開ける…
部屋のなかにいたのは女房ではなく一羽のツルだった…そのツルにはほとんど羽がなく、それでもツルは残り少ない自分の羽をくちばしで抜いては、はたを織っていた
俺は目の前が真っ暗になった…そしてそのまま、気 を失ってしまった
気 がついたとき、そばには女房が座っていた…またやせて、下を向いた顔がますます青白く見えた…女房の横にはまだ織りかけの布が置いてあった
あいつは悲しそうに言う
「ごめんなさい…」
と…そう言うと、女房はみるみるうちにツルの姿になって、ふらふらと空へ舞い上がった…そして「カウ、カウ」と悲しい声といっしょに、まだ雪深い山の上の空に消えていった
「こんなことがあったのかもしれないね、こういう昔話があるんだよ?みんなも約束はちゃんと守りなさいよ?口先だけの俺も約束だけは守るからね」
ここは寺子屋
子供たちはみんな良い子で素直に言うことをきいている
『は~い』
「ん、では解散だ、みんな気をつけるなよ?」
俺はそういう
すると真面目な生徒が言う
「先生!気をつけなきゃダメでしょ~?」
ふ~まだ、俺のことを理解してないのかな?
「俺が言うことはほとんど口先だけだよ?君たちでだまされないように判断しなくてもいいよ?」
「それは判断しろってことですね?」
「さて、どうかな?」
俺はそういって慧音のところへ歩き出す
慧音は俺の同僚みたいなものだ
ここ寺子屋で先生をしているからな
ちなみに同僚はあと二人いる
結婚しろよ…って思うあの二人組みだ
みんななあわかるよな?
「じゃあ、先に帰るぞ?慧音」
「ああ、ではな」
「ああ、もう会うつもりはないけどな」
俺はそういって歩き出す
「本当に口先だけだな、お前は」
慧音が後ろでそういっていた…
「今日は珍しく口先だけの戯言、狂言じゃなかったわね」
後ろから金髪美人に声をかけられた…
俺はそれにすぐに声を返す
「ああ、久しぶりだね、スキマの妖怪」
スキマの妖怪は会いも変わらず胡散臭い空気をだしながら話しかけてくる
「妖怪になってから嘘を言わない…嘘の話をしない珍しい日だったわね」
「ん?なんのことかな?俺はいつでも口先だけだよ?」
俺はそういってニィっと笑った
感想待ってます!