「嘘・・・だろ?」
「フレイヤファミリアのほとんどが・・・」
「やっぱり化け物だ・・・ッ!」
一部始終を見ていたオラリオ市民達は混乱していた。それもそうだろう。都市最強と言われたロキファミリアに続きフレイヤファミリアまでやられるとなるといよいよこのファミリアは最強となる。もはやオラリオ支配なぞ簡単にできる。イケロスもここまでではいろいろ計画が狂っていたが・・・
(ククッまあいい、これでルーナファミリアをオラリオの敵に回すことができた)
微笑みイケロスはまた高らかに声を上げて反乱を起こそうとした。しかし・・・
「ウィーネ!?」
「ウィーネちゃん!!」
オラリオ市民の罵声が聞こえる中ウィーネが突然ホームからが出てきたのだ。
「ウィーネ!!でちゃ駄目だ!!」
「出たぞ、モンスターだ!!」
「やっちまえ!!」
当然市民は石を投げる。もちろんいくらか石は当たる。暫くすると頭から少し血が垂れていた。するとウィーネは立ち止まる。そして・・・
「なっ・・・?!」
ウィーネは自分の翼に手をかける。そして・・・
「アアアアア!」
その翼を引きちぎった。ベルも驚嘆の声を出してウィーネを呼んだ。しかしウィーネは自傷行為をやめず爪を引っこ抜いた。この状況にオラリオ市民の罵声も止み石も市民の手から落ちる。そしてウィーネは涙を浮かべながら声を上げる。
「私は・・・ヒトを傷つけたくない!!人と話したい!!私はモンスターだけど、話したいの!!わたしは傷つけられるのも傷つけるのもイヤなの!!」
それはウィーネの覚悟だと理解したベル達は見守ることしかできなかった。
「クソォ・・・まあいい、彼奴はモンスターだ、どうせ一声かければ・・・」
「不味い・・・ッ!」
暫くしてイケロスは顔に悪態をついたがすぐに手を広げ反乱を繰り出す。今の現状モンスターであることを再確認されてしまえば反乱は避けられない。急いで黙らせようとするがこいしはディックスのもとを離れられないため止めることはできなかった。反乱が起きる。このままでは民間人に犠牲者が出てしまう、そう恐怖したときだった・・・
「ちょっと待ってもらおうか、僕達も彼女の覚悟を見届けたからね。ルーナファミリアにも恩があるしここからは黙ってはいられないから反乱は起こさないで欲しいな」
そこにロキファミリアの幹部達が現れた。そしてウィーネを守るように全員がウィーネの前に立つ。
「なっ・・・ロキファミリア!?」
「悪いけどここまで見せてもらっちゃったらね、流石に僕達も我慢できないんだ」
そう言ってフィンはフレイヤファミリアに槍を構える。それに続くようにベート、ティオネ、アイズ、ガレス達も戦闘態勢に移った。状況を察したのかフレイヤファミリアはすぐにオッタル達を運び退散していった。
「何故ロキファミリアまで・・・ッ!」
イケロスは悪態をつきながら混乱していた。あのロキファミリアは確かに恩があれども、流石にモンスターは殺そうとするし何よりその中の幹部アイズ・ヴァレンシュタインはモンスターにかなり深い負の感情を抱いているはず、それなのに彼女までモンスターに加担しているのは誰が予想したのだろうか、答えは否、そんなの誰だって予想できない。しかし現実はロキファミリア、都市最強派閥の二つが敵に回ってしまえば反乱が起きることもない。いや、流石のオラリオ市民もここまであると反乱を起こすそんな勇気はない。
「ヴァレンシュタインさん、どうして・・・?」
アイズはベルのほうに振り向き口を開く。
「アイズ・・・」
「え・・・?」
「アイズって呼んで、皆そう呼ぶ・・・」
少し、間が開いた。いきなり名前呼びにしろと言われているような感じだった。
「ア・・・分かりました、アイズさん・・・」
「うん・・・」
そして何事もなかったように再び剣を構える。
「イヤ、なんでいきなり自己紹介のようなことしているの!?」
「え・・・?だって自己紹介は必要・・・」
「イヤ、え?じゃないわよぉぉぉ!!!」
アイズは首をかしげ「何で?」というような感じの目をしていた。それに突っ込むレミリア達も一苦労である。アイズの天然は凄まじいものだ。アイズが天然だと言うことは有名だがまさかここまでとは思わなかったと皆はため息をつく。
「はぁ~もう良いわ・・・でもフィン、なんで私たちを・・・」
「言ったろう?恩返しさ・・・それにあの子の覚悟を見せられたからかな?それにベートとアイズも動いたみたいらしいし」
「アイズさん・・・」
アイズは複雑そうな顔をしていた。そこにベルは心配そうに見る。それもそうだろう。なんせアイズの目的を知っているのだから。それもウィーネは龍種、仇の黒龍と同じ種類のモンスターなんて恨みしかないはずだ。それが今、龍種であるウィーネを守っている。正直アイズも本当は殺したいのかも知れない。それでも守っているのだ。
「最初は殺そうとした・・・フィンに止められたけど・・・でも・・・」
そして少し口を閉じウィーネを見た。
「この子は殺せない・・・そう思ったから・・・」
「・・・ッ!」
「多分・・・君達が、正しいと思う・・・」
そしてアイズは民衆のほうを見た。
「私も・・・戦う・・・!」
「・・・ッ!はい!!ウィーネ達を守りましょう!!」
ベルがそう言うと皆はウィーネを守るように立つ。
「クソ・・・ッ!」
イケロスは悪態と焦りを感じながらどさくさに紛れ自分達のホーム、『クノッソス迷宮』に逃げようとしていた。
「クソ・・・ッ!ディックス達は何をしている?!あの役立たずどもめ・・・ッ!」
しかしディックス達も来たくても来られないのである。そしてクノッソスの迷宮の扉の目の前に来ていた。そしてそのまま鍵を持って入ろうとしていた。
「何処に行こうとしているのですか?」
「なっ・・・ッ!」
そこにガネーシャファミリアの白髪の狼人、犬走椛に黒髪のヒューマン、射命丸文に青髪のヒューマンでシャクティ・ヴァルマがすぐそばに来ていた。イケロスは鍵を開けようとしたがその前に射命丸文が腕をつかんでいた。
「クソ・・・ッ!何故だ?!」
「ルーナファミリアからイケロスが動いたと聞いてね、すぐ監視したのさ」
「何だ・・・と・・・」
「あなたは終わりですよ、さっきこいしさんからも連絡がありましてね、闇派閥に関わっていたことが分かりましたからね・・・あなたは天界強制送還の刑が出ました。天界でしっかり反省しなさい」
そうしてシャクティと椛は剣を取り出す。そしてイケロスのほうに向かってきた。
「マ・・・待て・・・」
イケロスの声も無視して文達はイケロスに近づいてくる。
「止めろ・・・」
そう言うも既に剣がクビの近くに来ていた。
「止めろおおおお!!」
イケロスの最後の叫びが辺りに響いたのと同時に一つの光の柱が出てきた。それが合図だったのかロキファミリアはすぐにオラリオ市民に告げる。
「聞け!オラリオの市民よ!!イケロスは闇派閥に関わった罪で今天界に強制送還された。
これにより今イケロスファミリアの団員はすぐ逮捕する!そしてこの少女のことに関してはギルドとガネーシャファミリアも容認済みだ。今すぐ立ち去れ!さもなくば・・・」
そう言って槍を市民の目の前に近づける。
「ここで反逆者として処罰する・・・」
それに怖じ気づいたのかオラリオ市民は悲鳴を上げながら去って行った。暫くして門の前にはルーナファミリアとロキファミリアとウィーネしかいなくなった。
「「「ウィーネ(ちゃん)!!」」」
そうしてベルも含めルーナファミリアは全員ウィーネに抱きつき泣きながら頭を撫でてきた。それぞれ「頑張ったね」とか「無茶しちゃって」など様々だったがそれでも無事だということが分かれば安心して泣きながら抱きしめるのである。
「強くなったね・・・ウィーネ」
ベルはウィーネのあの時の姿を見て爪と翼がなくなったウィーネを見て強くなった姿、あの時ただの弱かっただけの少女が今では自分の命が、危険にさらされるのもいとわずオラリオに反乱が起きずにすんだ。それは多くの命を救ったのだ。モンスターでおそられる身でありながら・・・
「今日はお祝いね!クノッソス迷宮の件が終われば後は解決、頑張りましょう!!」
そう言って皆が叫ぼうとする。その時だった・・・
「それは楽しみですね・・・ところでベル?」
次の瞬間ベルの背中に悪寒を感じた。振り返るとベルの後ろに妖夢がいた。
「ア・・・師匠?」
妖夢は笑っていたが何か黒いオーラが出ていた。ベルは急いで逃げようとする。他のルーナファミリアの団員達も何故か逃げなければならないと感じてしまっている。そうして逃げようとするベルも「何処へ行くんですか?」と言われて肩をつかまれ逃げられないような状態だ。反射的にウィーネとルーナ以外正座されていた。あの勇儀までもだ。
「貴方たち・・・先ほどの戦いを見ていましたがどうしたんですか?一応私もレベルは公では2ですけど本来は6です。ですがそれならあのオッタルというものも倒せましたよね?なんせレベル7が二人もいるんですから・・・」
後ろから「ゴゴゴ」という文字が見える。そこに皆も命が危ないと本能を告げたので逃げようとしたが・・・
「アレは・・・一応住民がいたのでして・・・」
「それでも状況などを見極め、地形を利用し全力でできるようにすることが重要ですよね?・・・なのに何故あんなに苦戦したのでしょうか?」
「それは・・・」
「ベル?あなたもですよ?しかもカリバーに変身して何故かレベル5に苦戦した感じでしたねぇ・・・普通ならあなた程度なら瞬殺できるでしょう?何故ですか?」
「住民がいたのd「そんな言い訳通用すると思っていますか?さっきも言ったとおり状況さえ見極めれば住人も被害をあわずに全力を出せます、それができないと言うことは未熟という証拠です」
鬼である。団員達はあの修行を思い出し全身に鳥肌が立つ。団員達は恐怖に捕らわれていた。
事実妖夢はできているので何も言い返せない。そう言って一呼吸おいて妖夢は全員をにらめ付け・・・
「貴方たち・・・この件が終わったら修行させます・・・もちろんベルもですよ・・・あんた相当なまっているようでしたからねぇ・・・あなたは特に以前よりも倍の難易度でやりますから・・・覚悟は・・・できてますよね?」
「いえでk「できてますよね?」・・・はい・・・」
圧力が出たのかベルはうなずいてしまった。
ここに処刑鎌が振り下ろされた。この異常事態の後地獄の特訓が来ることを皆は感じていた。暫く苦笑いもしたがそれを見ていたフィン達は退出したのだった。ちなみにティオナの勘とフィンの親指がかゆくなった。多分リヴェリアとエイナのスパルタ教育を混ぜ合わせた厳しさだろう。ティオナは絶望の顔をしてフィンはドンマイという哀れむ顔をしていたのだった。
はい、今回はここまでです。次回はかなり短くなると思います。後3話程度で異端児編が終わり次にとある話を入れます。
春姫「あの・・・私の出番は?」
ごめん、まだ先になりそうだ。