リヴェリアからこの階層が深層だと告げられとりあえず4人はここで長く居座るのは危険だと判断し暫く道を探し抜け道を見つけとりあえず道を歩いていた。暫く歩いたら小空間があったのでそこで休憩することにした。だが、バリケードは作る時間はないため2人で戦闘をして一人ずつ戦闘をしている。リヴェリア自身あの魔法のせいで体力回復が必要と同時に精神力の回復を最優先にしている。
「にしてもよくここが深層だって分かりましたね・・・?」
「ああ、さっきの蜥蜴人は体が黒曜石でできていた・・・エリートの方だろう、奴等は深層でしか現れない」
「なるほど」
現在アイズとリューがモンスターを狩っている中リヴェリアとベルは座って話していた。案外第三者から見てもリヴェリアが警戒をそこまでしてはいないようだった。
「怖くないのですか・・・?僕が」
「いや、最初は怖かったさ。なんせ落ちた後私を助けたのがあの黒龍で、しかも目の前にいたんだ、体が震えたよ」
「じゃあ何で?」
ベルは少し驚いた感じで問いかける。リヴェリアは我が子を見るような目で頭を撫でる。そして口を開いた。
「お前は、自分の秘密・・・しかもばれたらオラリオにいられなくなる可能性があるほどの秘密を明かしても私達を助けてくれただろう?それで安心したんだよ。しかも黒龍が私達を命懸けで助けてくれたのだから・・・」
「ですが、僕がだまそうとしているかも知れないですよ?」
そういった途端リヴェリアは優しく微笑んでくれた。
「それだったらこんなに優しくないはずだ、私は戦争遊戯の後のことを今でも忘れていないのだぞ・・・あの時お前の瞳を見て私はお前が嘘をつく人間だとは思えない」
そう言ってベルは少し涙を流していた。リヴェリアは少し心配の表情を見せる。
「どうした・・・?」
「イヤ・・・嬉しいんです」
ベルは、泣きながら口を開く。涙を拭いながら続きを話した。
「最初、お爺ちゃんからも念を押されてずっと胸が引き締まるような感覚で不安だったんです・・・今までブラックの事を受け入れてくれたのはファミリアの皆だったんです・・・その時も嬉しかったんですが・・・もしばれてしまったら僕のせいでファミリアの皆が・・・オラリオにいれなくなると思っていたので・・・でもお陰で少し、安心しました・・・まだ、受け入れてくれる人がいるんだなって」
それを聞いた後リヴェリアはそっと抱きしめた。まるで我が子を抱くような感覚で。
「そうか・・・良い家族を持ったな」
リヴェリアはこの時ベルの母親になった。ベルは母親というものを知らない。生まれたときから祖父によって育て上げられてきた。そのせいか母親の温もりを知りたいと思っていたのだ。
(暖かい・・・これが母の温もりってやつなのかな)
ベルは初めて感じた母の温もりに少しの間身を委ねるのだった。その間だがベルが隻眼の黒龍の事についてリヴェリアに話していた。ベルが初めてカリバーになったことも、黒龍を倒したことも、あの電流のことを、そして黒龍と共に冒険したことを・・・その様子はまるで子どもが母親に何時ものように会話をしている親子のようだった。
一方これを戦いながら見ていたリュー達は・・・
「どうしましょうか、これ」
「・・・・・・・」
なんとも交代しづらい雰囲気だった・・・まるで邪魔しちゃいけないようなそんな感覚だった。
アイズは現在も険しい顔をしていた。やはりアイズは難しいようだった。黒龍に家族を殺され一度全てを失ったアイズはあの光景を見て許せなかった。家族を殺した奴が今度は人間らしく家族を作っている。それが許せないでいた。自分は家族を黒龍に殺され、黒龍は新しい家族ができた。理不尽にもほどがあると思っていたのだ。しかしリヴェリアにも止められ、状況も状況で手を組まなければならない。家族を殺した奴とだ・・・アイズにとっては屈辱的だった。さらにアイズはベルに一度負けている。しかも全開は恐らく黒龍の力だって使える。つまり手を抜かれていた。これは黒龍に敗北したという事実が証明された。それが・・・許せなかった。しかもそのベルが今、リヴェリアの優しさを受けている。その光景が耐えられなかった。
「悔しい・・・ッ!」
戦っている中アイズはそう口走ったのだった。
一方リューはともかくモンスターを倒すことに専念していた。リュー自身は隻眼の黒龍のことについては驚いてはいたがジャガーノートよりかはマシだと思ってしまった。むしろ味方に頼もしい位なので安心している。今回のこともありある程度は目をつぶっているのだ。
「とりあえず・・・邪魔しない方がいいですね」
そのためか、ベルの様子を見てもう少し粘ろうと思っていたリューであった。
暫くして流石に交代をしようとリューとベルが交代した。そこに羊型で仮面を付けた骨のモンスター、スカルシープと人骨で戦士のような見た目をしているモンスター、スパルトイが目の前に来た。
スカルシープは深層に存在する代表的なモンスターであり骸骨系で羊型のモンスターである。推奨レベルはレベル4、特攻だけではなく遠距離攻撃で骨を伸ばしてくる。スパルトイは様々な武器を持って戦い多様性がある。その中でも白兵が強いなのだとか・・・どれも普通のレベル3では勝てない・・・
「ぐぎゃあああああ!!」
「深層と言ってもこれくらいなら大丈夫そうだ・・・」
普通なら・・・ベルはヴェルフに作ってもらった武器『蛇龍』と自身の魔力で紫色の炎を目の前にいるモンスターに撃つ。
ベルは邪龍と妖夢の修行で生身でも恩恵を手に入れる前からレベル3くらいの力を持っていた。なので、これくらいは余裕なのである。それが恩恵を持ってレベル3となれば上級冒険者、それもアイズ並の強さだろう。お陰で、この階層のモンスターは余裕で対応できているのだ。
「強いですね・・・」
「ああ、流石黒龍を倒したと言われている者だ」
そうしてリューは少し距離をとる。
「どうしたんだ?」
「やっぱり、少し抵抗があるんです・・・王族の方とお隣なんておこがましいかと・・・」
「私は王族がイヤになったからオラリオに来たのだぞ?王族扱いしなくても別に良い・・・」
「いえ、ですが・・・」
そう言われリヴェリアは苦笑いした。どうしようかと思いきやリヴェリアは何かを思い出したようにとある物を取り出す。
「それは・・・?」
「これはな・・・私が小さい頃持っていた何やらの笛の道具だ。仕事の合間にこれを作っていた・・・もう完成したがな」
「それを何で?」
リューは思わずリヴェリアに問いかける。そこでリヴェリアは安心するような笑顔で答えてくれた。
「私が小さい頃にな・・・内緒でこっそり森を探検したことがあったんだよ。その時情けないことに迷ってしまってな、日が暮れる頃には私は泣いてしまった」
「そんなことが・・・」
「その時・・・誰かが助けてくれたんだ。その時、お守りとしてあげると言って渡してくれたんだ」
「それが・・・」
「この笛さ・・・ただその時は穴が開いてなかったから何に使うのかよく分からなかった・・・後で調べて作り始めたんだ」
そう言ってリヴェリアは親しげに話してくれる。そこでいろんな話を聞いた。趣味、笑い話、時には黒歴史などなど・・・それでいて少し溝が浅くなったように感じていた。
そうしている間にもベルはじゃんじゃんと倒す。そこにアイズも負けず嫌いなのかペースを上げる。ベルは体力面のことを心配してアイズに声をかけるが・・・
「アイズさん、体力は温存した方が・・・」
「うるさい!」
そう言って忠告を聞かず止まらなかった。それどころか逆にペースが激化してどんどんアイズはモンスターを切り裂く。あまりにもペースが早すぎて数分でモンスターの灰と魔石の山ができあがるほど・・・暫くしてリューとアイズが交代することになった・・・その時は少しバテていたそうな・・・
暫くしてリヴェリアも体力と精神力が回復できたとのことで移動できるようになった。リヴェリアがベルにワンダーワールドに入ると言うことも提案されたが・・・
「ワンダーワールドはこちらの世界ではモンスターと僕以外入れないようになっているんです・・・もし入ったとしても10分で灰になります」
と言われ、リヴェリアとリューは「ガクリッ」とうなだれるのであった。暫くして開けた道に進んできた。
「ここは・・・」
少し警戒しながら進む。モンスターはある程度でるがそれも難なく対処した。
「今のところこれだけか・・・気をつけろ、今のところエリートとスカルシープは出ていない・・・彼奴が来たら急いで逃げろ・・・」
「「「はい(うん)」」」
そう言って慎重に進む。
彼奴とはペルーダのことである。ペルーダは龍種であり背中にハリネズミのような背中をしており攻撃時、その針を飛ばしてくる。更にやっかいなのがその針には猛毒が含まれており当たれば即効で激しい熱にうなされ、第一級冒険者でも死にいたる。そしてこれは上位の解毒魔法か、特殊な解毒剤がなければ直らない。今、ベル達に解毒魔法を持つ者は存在しない。ポーションもあまりない状態だ。耐異常でも難しいほどの毒性なので危険である。なので注意して行かなければならない。
暫くするとまた大空間に出てきた。その時だった・・・
「・・・ッ!これは・・・」
「・・・・・」
複数人の死体を見つけた。辺りは死臭で匂いが立っている。ずいぶん昔のようだった。
「恐らく、毒ですね・・・」
そう言って、リューは覆面を覆い死体に近づく。その様子をベルは耐えているようだった
「ベル・・・」
「大丈夫です・・・師匠からこういうのも馴れておけとも言われたので」
妖夢からは「生きるためには時に残酷なことをしないといけない」という教えを受けていた。それが死体を剥ぐことだ。修行の合間にとあることが起こりこれを経験したのだがそれはまた別の話としよう。妖夢自身もベルにこんなことはさせたくないのだが生きて欲しいとの願いが込められておりベルはそれを分かった上で必死に耐えていた。
「使える物は何個かあります・・・いくらか持っていきましょう」
そう言って全員は死体を剥ぎ始める。そうしていくらか装備が集まった頃これからの正規ルートの捜索に話しあうことになった。
「とりあえずあちらに向かってみますか?あの状態・・・毒で退却した者だと思われます・・・」
「ああ、私もそう思う・・・もしかしたらそこに進めば正規ルートが分かるかも知れない」
そう言ってベル達は進む準備をする。その時だった・・・
「オオオオオオオオオオオオォォォォォォ!」
「「「「・・・ッ!」」」」
突然モンスターの咆哮が聞こえた。全員突然の事で身構える。
「これ・・・奴か・・・?」
「イヤ・・・違う、もっとでかい!!」
その途端ベル達の天井から冷気が出てきた。
「・・・ッ!これは」
「下がれ・・・ッ!」
天井の冷気が足下に落ちた冷気がどんどん上がってくる。やがて地面が盛り上がってきた。
「グオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォ!!!!」
次の瞬間天井から亀裂が走った。
「全員!逃げろぉ!」
そう言ってベル達は一気に下がった。入り口は確認したがすぐ封鎖されていた。
「・・・ッ!全員戦闘態勢に入れ!!これは恐らく・・・今まで一番やっかいな奴なようだ」
そう言った瞬間天井が割れた。落石を避けベル達は上を見る。そこにはドラゴンがいた。体は結晶のようでそれでいて冷たい。氷だ・・・そして大きさは黒龍並にでかい・・・鋭い目つきでこちらをにらむ。
「なに・・・アレ・・・?」
「アレは・・・」
「あのモンスターって」
「あり得ない・・・彼奴は」」
「オオオオオオオオオオオオォォォォォォ!」
「『銀盤の氷龍』・・・ッ!」
そしてそのドラゴン、銀盤の氷龍は高く舞い上がり咆哮を上げベル達に襲いかかったのだった。
はい、今回はオリジナルのモンスターを出しました。現在はこの名前です。次回、氷龍との戦闘回です!お楽しみに!!