「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
深層の大広間、厄災がダンジョンの怒りを表しているように叫び出す。咆哮が、氷龍が出していた氷を咆哮で落とす。ここに絶対に共に戦うことがないと思えた二人の剣士が今、共に戦う日が来た
「ベル・・・行くよ!」
「ええ、背中を頼みますよ、アイズさん!!」
黒龍の力を持つ少年、ベル・クラネルと黒龍に家族を殺され黒龍に恨みを持っていたアイズ・ヴァレンシュタイン、二人の少年少女が今、目の前にいる厄災を共に倒すため二人の冒険が幕を開けた。厄災、ジャガーノートはベル達を毒々しい赤色の瞳で睨み付ける。
「フッ・・・・・ッ!」
最初に仕掛けたのはベル達だった。アイズが魔法の付与によりスピードを上げ、ジャガーノートを翻弄する。その間にベルは闇黒剣月闇でジャガーノートの足元に一気に近づく。そして、ベルがジャガーノートの近くまで来ると黒い炎を出す。黒龍の再生妨害の炎だ。
「ハァ!!」
「おおおおおぉぉ!!」
ベルが剣を振るい、ジャガーノートの一本の足を切る。足からは炭のような物がサラサラと落ちていた。
「やはり、早いですがその分もろいね・・・遠距離魔法は効かないようだけどそれでも十分に倒せる」
苦しみながら、ジャガーノートは牙に見えるほどの爪、『破爪』で引き裂こうとする。ベルはそれを読み取り後ろに避ける。
「まだまだ!!」
そうしてベルは、更に横から再生妨害の炎を付与させた闇黒剣月闇で更に足を切ろうとする。もちろん許すはずもなく、すぐに破爪をベルに向ける。
「よそ見は・・・メッ、だよ」
「グォオ!?」
「ナイスです、アイズさん!」
そこにアイズが、デスペレートでジャガーノートの目を突き刺す。ジャガーノートは目から血が出ており激しい痛みからか、悲鳴を上げ、頭を振るう。そこにベルは更にもう片方の足を切った。ジャガーノートは地面に倒れ込む。
「ガアアアアアアアアア!」
再生妨害の炎のせいか、途轍もない苦痛にジャガーノートは侵されていた。
「流石、黒龍。確かにこれは最強のモンスターって言われるだけあるね・・・」
アイズは後ろで様子を見ていたが、その強さがひしひしと伝わる。こんな相手に良く自分は喧嘩を売ろうと思い、前の自分が愚かに見え苦笑いした。しかし、アイズも見てばかりではない。
『リル・ラファーガ』
とりあえずさっさと倒すことにし、全開の魔力で行く。
『月闇居合!』
そこにベルは、闇黒剣月闇をアイズの近付ける。そしてベルは闇黒剣月闇を鞘にいれトリガーを押す。
『読後一閃』
パイプオルガンの音と共にベルは闇黒剣月闇を地面に刺す。同時に黒い炎がアイズを包んだ。風と共にまとわりつき、その姿はまさに『黒炎の女王』と呼べるほど、アイズとその、アイズの風と黒龍の炎が合っていた。
「・・・・・ッ!これは・・・」
「ブラックが使っている再生妨害の炎ですよ。どうやらアイズさんに合っているみたいです」
「へぇ~ベルってこんなことも出来るんだね・・・」
「はは、師匠にたたき込まれました・・・」
そう言ってうつむいていた。アイズは何やら地雷かと思い聞かないでおこうと思った。ちなみにアイズも妖夢には謎の威圧感はあり少し怖がっていた。
「・・・ってこんなことをしている場合じゃなかった・・・」
「ア・・・本当だ」
変な雑談もあったが二人はすぐにジャガーノートの所にかけ、後ろ足を切り落とす。それにより、完全に移動し出来なくなるようにした。
「すごいね・・・これ」
「ええ、これには何時も助けられています」
そんな会話をしている間にジャガーノートは暴れ出す。しかし、移動は出来ないためただ身体を揺らすだけしか出来なかった。ベル達はこのまま粉々にするまで切ろう近づいてくる。やがて二人は剣を構える。しかしジャガーノートも負けてはいなかった。
「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
「何が・・・」
ジャガーノートは叫び始めた。ジャガーノートの声がこの階層中に響き渡る
「何をしているんだろう・・・」
アイズ自信も分からないことだったが突然、スカルシープが入ってきた。野良でいたのがジャガーノートの咆哮でここに入ってきたのだ。徐々にリザードマン・エリートやスパルトイもやってくる。もちろん、すぐに対応し剣で捌く為に剣を抜いた。
「「「「ぐぎゃああああああああああ!」」」」
「・・・・・ッ!何・・・・・ッ!?」
突然モンスター達が叫びだした。あまりの音で、耳をふさぐ。やがて大量に集まってきた。
「来るか・・・・・ッ!」
次の瞬間モンスターが突進してくる。
「ここは私達が!!」
そう言ってリューとアイズはモンスターの大群に駆け込む。あまりの勢いで二人は大丈夫かと不安になったが勇気を振り絞りモンスターの元に駆ける。
その時だった・・・
―――ガリッ!
「は・・・?」
一瞬、何が起こっていたのか分からなかった。ベルも想定外なことに目を丸くする。アイズも目をこすってもう一度見る。しかし、状況は変わっていなかった。
「モンスターが・・・モンスターを食べている?」
ジャガーノートがモンスターを食べていた。魔石じゃない・・・モンスター自身を食べていたのだ。異様な光景に、ベル達は困惑し続ける。
「何が・・・ッ!リヴェリアさん!!」
「・・・・・ッ!リヴェリア様!!」
リューもハッとしたのか、壁によたれかかっているリヴェリアをリューは突き飛ばす。次の瞬間、ジャガーノートはリヴェリアめがけて突進してきた。
「何で・・・?足を切ったはずなのにあのスピード!?」
それと同時にジャガーノートはギロリッとリューを見つめる。
「ヒッ・・・・・ッ!」
その姿にリューは恐怖のあまり震えだしへたり込んでしまう。ジャガーノートは獲物を見つけたかのような目で殺意をぶつけてくる。その目にリューはついに地面にうずくまってしまう。ジャガーノートはゆっくりと口を開けた。
「はあああああ!!」
そこにベルがジャガーノートを攻撃する。その隙にアイズは二人を別の所まで運んだ。アイズはリヴェリアをとりあえず安全な場所に移動させ、寝かせる。その間はベルが何とか応戦していた。ジャガーノートはさっきより遅いが、それでも劣らないスピードだった。戦いの最中ベルがジャガーノートの足下を見る。
「な・・・ッ!?足が戻っている」
そこに切ったはずのジャガーノートに足が生えていた。しかも少し黒っぽく、まるで鉱物のようだった。
「何で?!再生妨害は付与しているはずなのに!?」
「ぐオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
それに構わず、ジャガーノートはベルに向かって破爪を向ける。ベルは急いで、受け身態勢をとった。
「ウグゥ・・・・・ッ!」
破爪は闇黒剣月闇に辺り火花を散らした。何とか闇黒剣月闇は耐えるも、ベルはその反動で壁にぶつかる。そこには煙が広がっていた。
「ベル!!」
煙が晴れるとベルは闇黒剣月闇を地面に刺し立ち上がる。
「どうして・・・?」
ふと、ベルはジャガーノートの足下を見る。その時、ある物が見えた。
「アレは・・・モンスターの顔?!」
よく見ると、ジャガーノートの足にモンスターの顔が写っていた。スカルシープ、リザードマン・エリート、スパルトイなど様々だった。
(まさか・・・・・ッ!)
黒龍は何かを察した。それにベルは少し声を荒げる
「どういうこと?!」
(恐らくだが、彼奴は再生はしなかった。ヤツがしたのは再生したんじゃない・・・取り込んだんだ・・・)
「取り込んだ・・・?」
ベルは黒龍の言葉に分からない状態だった。ジャアクドラゴンが続ける。
(恐らくだが、ヤツはモンスターを食った、その食った身体を取り込みヤツの身体にする。合体のような物だから再生妨害があってもこれでは無意味だな・・・)
「なら、再び切るまで・・・・・ッ!」
そう言ってベルはジャガーノートに駆け込む。
「やっぱり・・・リザードマン・エリートの黒曜石を使っている、すこし遅いぞ!」
そう言ってベルはジャガーノートを切ろうとした。しかし・・・
「・・・・・ッ!ベル、避けて!!」
「え・・・?なっ・・・ッ!」
アイズが叫んだと同時に、ジャガーノートの顔が笑ったように目を細めた。そして・・・
「――――ぁ」
次の瞬間、ベルの横腹に骨が突き刺さっていた。骨はジャガーノートにつながっている。ベルは、刺されたまま持ち上げられ、宙に浮く。いつの間にかベルの変身は解けていた。
「クラネルさん!!」
「ベル・・・・・ッ!」
リュー達が急いでベルの方に駆け寄る。しかし、ジャガーノートがそれを許さない。
「貴方はベルを回復して!!」
アイズが何とかジャガーノートの気を引いた。リューは急いでベルの方に駆け寄る。手持ちに持っていたエリクサーをかけリヴェリアと同じ場所まで連れて行った。
「クラネルさん、しっかりしてください!」
リューはベルの肩を揺らす。少ししたらベルは目を開けた。
「リュー・・・さん」
「クラネルさん、良かった・・・」
「うかつでした・・・取り込んでいるなら使えるのもおかしくないはず・・・油断していた・・・」
そう言ってベルは唇をかみしめる。そこに更に轟音が聞こえた。
「ガハァ・・・・・ッ!」
「アイズさん!!」
アイズもジャガーノートの尻尾により勢いよく飛ばされ、壁に激突する。アイズも、地にへたり込みリューはポーションを使う。そこに・・・
「ア・・・イズ」
「リヴェリア!」
リヴェリアが目を覚ました。すぐにアイズは布でリヴェリアの身体を暖める。
「アイズに・・・ベル・クラネルッ!状況は、氷龍は?!」
「氷龍に関しては倒せた・・・だけど・・・」
「18階層で出た、ジャガーノートがこちらをおってきました。僕も横腹を貫かれこの有様です」
そうしてベルは起き上がった。氷龍の時に落ちてきた岩に隠れ、状況を整理する。
「彼奴は、食べたモンスターの能力を使える。さっきの攻撃も恐らくスカルシープでしょう」
「更に魔法は正直絶望的な状況、リザードマン・エリートを使うなら魔法は通りにくい」
「ポーションもあんまりない、しかもベルは怪我をしていて状況は刻一刻を迫る状況か・・・」
そうしてリヴェリアは頭を抱える。体力からして、リヴェリアの残っている精神力は寒さのせいで一回しか魔法が使えない状態だ。
「リヴェリア、どうするの?」
「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
「・・・・・ッ!また・・・」
こうしている間にもジャガーノートはモンスターを捕食し、力を増大させていた。その様子にリヴェリアも焦り出す。時間はなかった。背後から迫ってくる悪夢に3人は身体を震わす。その時だった・・・
「考えなら、あります」
それは今までジャガーノートに仲間を殺された過去を持ち酷く怯えていた、リュー・リオンだった・・・
はい、今回はここまでです。果たしてリューさんの作戦とは?是時お楽しみに!!