異端児の保護区を出た後、ベルは月影の館に帰ることにした。一応、フレイヤには警告をしておりベルはまぁ警戒しつつも帰り道を進む。
「まぁ・・・これで大丈夫だろう・・・とりあえず帰ろっと」
そう言ってベルは頭をかく。保護区の道をまっすぐ行き右の曲がり角を曲がろうとする。
「アレ・・・命さん?千草さんも」
しかし、曲がり角を曲がった先に命達がいた。ベルは気になって命達を追いかける。しかし、その先は人混みだった。
「すいません、ちょっとどいてくれませんか?」
ベルは人混みをかき分けながら命達を追う。次第に甘い匂いがしてきた。少しずつ進むと様々な建物が並ぶ。
「ここは・・・まさか・・・」
そこには色気のある女性があっちこっちにいた。ベルはその光景に冷や汗が流れる。そう、ここは・・・
「歓楽街?」
そこは様々な居酒屋や娼館など様々な建物が並んでおり、人がたくさん盛り上がっていた歓楽街だった。それが分かった途端、ベルは青ざめる。
「ベル、いい?歓楽街は危険よ。女の毛皮を被ったモンスターがたくさんいるの・・・だからあそこに行っちゃだめ」
「いやあんたが言えたことじゃないでしょう」
「「「「「「うんうん」」」」」」
「ちょ、皆酷くない?と言うかフラン、レミリア!あんたらも大概でしょうが!!」
「アハハ・・・」
以前ルーナから教えられた事を思い出してベルは少し後ずさりする。だが、命達があそこに行ったと言うことがあれば友人がお金の問題で身請けするかも知れない考えがベルに過ぎる。しかし、タケミカズチファミリアの財政はそこまで悪化していないためそれはないだろうと思い大丈夫かとも思ったが、だとしたらここに来る必要はないだろう。そのためベルは頭を抱える。
「とりあえず命さん達に聞かないと・・・」
そうしてベルは命達の後を追うことにした。しかし人も多くなかなか進めない。その時だった・・・
「ボーク?迷子なの?」
後ろから娼婦らしき女性が後ろに肩をかける。女性はベルを誘うように耳に口を近づけた・・・が
「すいません、悪いですが僕は人捜しに来たので・・・」
「あ、あら~そう、残念だわ」
そう言って大人しく去った。一応殺気も出したお陰でもあるだろう。ベルはすぐに命達の方に向かう。だがなかなか距離が開いていたので見失ってしまった。
「どうしよう・・・見失っちゃった・・・うん?」
しかし進み続けると、極東風の建物に目が入る。朱色の柱が立ち並び、漏れ出ている光からは黄色い声と美声が聞こえている。娼館だと言うことがすぐに分かった。もしかしたらここにいるかも知れないと思い、ベルは入る。
「ベル君?!どうしてここに?」
「ヘルメス様?!」
そこに金髪の男神、ヘルメスがいた。ヘルメスはそれを見て何やらにやついていた。
「そうか、君もやはり男だな!!」
「ええ?!」
「分かるぞ!女を抱きたい、コレは全男の悲願だ!!さぁベル君、好きなのを選びな!!」
「ち・・・違います!!」
「そうと決まれば善は急げだ!!コレを」
そう言ってヘルメスはベルに小さな瓶を渡す。
「コレって?」
「精力剤だ」
「ブふぅ!!」
ベルは驚きのあまり吹き出す。
「じゃあ、健闘を祈るよ!!」
「ちょ・・・待ってくださいよ!!
ベルが引き留めるにもヘルメスは建物の中へと消えた。
「どうするんだよ・・・コレ・・・」
ベルは疲れたのかため息が出る。いつの間にか少し言葉も荒くなっていた。
(人間の男とはなんとも不思議だな・・・)
(((((うんうん)))))
黒龍達が頭に話しかけてくる。ベルは苦笑いをするも、とりあえず命達を探すことにした。
「とりあえず、ここら一帯を探すかぁ・・・」
そうしている途端、誰かの肩が当たった。
「すいません・・・」
「おや、坊主。こんなところで何をしているんだい?」
見てみたところアマゾネスのようだった。露出の高い、褐色色の肌に膝まで長い黒色の髪をしていた。
「お前、もしかして『
「ア・・・やっぱりばれます?」
そう言ってベルは冷や汗をかく。アイシャは何やらにやりと微笑みベルを見る。何やらベルにはなじみ深いようなものを感じた。
「『邪龍』?!」
「『邪龍』って確か戦争遊戯で謎の姿に変身してロキファミリアのフィン・ディムナとアイズ・ヴァレンシュタインを倒したあの?!」
「女性限定のファミリアなのに唯一の男性団員!!」
「白い髪、紅の瞳、腰につけてある謎の剣、間違いないわ!!」
それを聞きつけた、アマゾネスの娼婦はベルに向けて寄ってきた。
「ねぇ、今夜は私と一緒にどう?」
「私を指名しない?そこのちんちくりんより絶対良いわよ?!」
そう言ってアマゾネスは一斉にベルを誘う。もちろんベルはそんな余裕はないためどうしようか悩んでいた。
「少しどいてくれませんかね・・・」
ベルは殺気を出すが・・・
「良いわ、この殺気!!この子は私がいただいた!!」
「ええ?!」
アマゾネスの娼婦達はひるみもせずむしろ更にエスカレートした。
アマゾネスは自分より強い男を見つけると本能でその男との間に子どもを生みたいという欲が強く出るのだ。よってベルの殺気はこの娼婦達の興奮材料しかないのだ。もちろん限度はあるがベルの生身の殺気では以下の通りだった。
(ブラックの殺気を上乗せするか・・・)
ベルは黒龍の殺気をぶつけようとする。その時だった・・・・
「いっとくがこの男は私が先に見つけたんだ、誰が渡さねえよ」
そう言ってその女性はベルをつかみその場を去ろうとする。
「え・・・ちょ?!」
黒色のロングヘアのアマゾネスはベルの肩を組みとある建物まで向かう。
「ここは・・・・お城?」
そこは、砂漠にある強大な王宮のような構造で辺りは円形の前庭があり建物は黄金に輝いている。ベルをつかんでいる女性がその様子を見たのか口を開く。
「ここは、私達・・・イシュタルファミリアのホーム『女主の神娼殿』さ・・・」
そう言って女性はベルをとある一室まで連れてくる。恐らく娼婦が使うような部屋だろう。
「私はアイシャ、ここなら誰にも邪魔されないな、じゃあ始めようか?」
「ちょっと待ってください、僕はそんなことするために来たんじゃないんです!!」
「なら、私達の派閥潰してくれるのかい?」
「え・・・?」
ベルはそう聞いた途端、目を丸くする。そういう派閥は大体怪しいことをしているからだ。
「違うのかい?」
そう言ってアイシャは口ごもる。ベルはとりあえず事情を話した。
「そうか、知人がここに来て追っていたら迷子になったと・・・」
「はい・・・」
アイシャはそれにため息をついた。その様子は何やら呆れているようだった。恐らくここに来たのなら一人や二人は抱けよと言うことだろう。ふと、アイシャは何やら閃いたようだった。
「坊主、『殺生石』というのを知っているかい?」
「殺生石・・・?」
それを聞いてベルは首をかしげる。アイシャは更に問いかける。
「じゃあ、イシュタルファミリアが怪しい取引をしていると言うことは?」
「・・・・・・・ッ!」
それを聞きベルは驚いた顔をしていた。それに知らない様子にアイシャは頭をかく。
「まぁいい、とりあえず始めるか」
そう言ってアイシャはベルを押し倒してきた。何やら獣の目をしている。
「ちょっと、何をするつもりですか?!」
「何ってあたし達の性質知っているだろう?今から喰うんだよ」
そう言ってアイシャはベルの服を脱がそうとする。ベルもこの状況になれておりすぐにアイシャを突き飛ばそうとする。その時だった・・・
「アイシャ、大変だよ!!フリュネがこっちに来ている!!」
一人のアマゾネスが顔に焦りを見せながら扉を勢いよく開ける。アマゾネスの少女から出た、その名前を聞いた途端アイシャの顔色が変わる。
「おい、坊主!何処でも良いから隠れろ!!」
「え・・・ええ?」
アイシャにそう言われベルはとりあえず隠れようとするもその時は遅かった。次の瞬間、扉が吹き飛んだのだ。
「ゲゲゲ、ここに若い男の匂いがするよ~」
煙が舞って晴れた瞬間、一つの巨体が浮かび上がる。鼻をヒクヒク動かし、目をぎょろぎょろとさせており、褐色色の肌でアマゾネスを想像させるその姿はヒキガエルのようだった。巨漢と言うより巨女だろう。短い手足と共に身体だけ大きい。2mはあるだろう。
「何・・・あれ・・・?」
その姿にベルは困惑する。なんせこんな人がたくさんいるところでモンスターがいるかと思いベルは冷や汗をかく
「何のようだ、フリュネ・・・。ッ!」
アイシャはそのヒキガエルのような女性、フリュネを鋭い目で睨めつける。ベルはその姿に酷く怯える。
「ちょっと、なんでモンスターがいるんですか!?」
「イヤ・・・ああ見えても一応アマゾネスだよ・・・」
それを聞いた途端、ベルは冷や汗をかく。目の前の光景は信じられずベルは目をこする。
「あんた、いい加減にしな。何人もの男を使い物にするな!!さっさと奥で大人しくしていな」
「ゲゲゲ、良いじゃねえか。最近は男もよって来ないからな!!」
そう言ってフリュネはギロギロした目と共に舌をなめ回す。
「お前のせいで男共が来ないんだよ。いい加減気づけ」
「女の嫉妬は醜いねぇ・・・私の美貌の力に劣ると言うのに・・・」
そう言ってフリュネはヒキガエルのように笑いながら大声をだす。ベルはこっそり抜け出そうとしたが・・・
「もう、無理矢理奪うかね~どうせならここで白黒つけようか・・・なんせあたい達は・・・・」
そう言ってフリュネは構えアイシャを見る。フリュネはベルの方に目を向けた。ベルは気が付かれた事を感じ急いで逃げようとする。
「
「・・・上等だ!!」
そうしてアイシャはベルを追いかけ始めた。ベルは自分を襲おうとする人物同士で争うことを願ったがそれはかなわず一斉に追いかけてきた。
「くっそおおおお!!なんでこうなるんだよ!!」
そう言ってベルは自分の貞操、基ベルの命の危機に逃げ惑っていた。屋根から逃げようとすれば上ってきて追いかけてきたり、殺気を出してもひるみもしなかった。
「チッ!!あそこに逃げ込むか!!」
そう言ってベルは極東風の建物に入る。
「い・・・いらっしゃいませ・・・」
「隠れられる場所は何処だ!!」
ベルは店主に荒げた声で問いかける。命の危機からかベルは再び言葉が荒くなっていた。
「ア・・・あそこの奥の部屋なら・・・」
「感謝する、礼は置いておくぞ!!」
そう言ってベルは2万ヴァリスの入った袋を店主にたたき出す。そう言ってベルは奥の部屋に入った。
「ま・・・毎度あり・・・」
そう言って店主はへたりつく。アイシャ達も流石に別の娼館までは追って来られないようだった。
「ここまで来れば大丈夫か・・・」
そう言ってベルはふすまに身を置く。その途端安心したのか寝転んでしまった。
「あの・・・もしかして初めての方ですか?」
「え・・・?」
しかしベルは必死すぎて気が付いていなかった。隣に娼婦がいたことに・・・その姿は美しいものだった。金髪で狐のような耳をしている。恐らく狐人だろう。さっきまで挨拶をしているようでベルはそれに気が付けなかった
「私はサンジョウノ・春姫と申します。もし初めてなら・・・私からさせていただきます・・・」
「え・・・ちょ?!」
そう言って狐人の女、春姫はベルを押し倒す。そうして服を脱がそうとした。ベル自身もしまったと思い焦り出す。このままでは、と思ったその時だった・・・
「と・・・殿方の裸ああぁぁぁ!」
そう言った途端、春姫は気絶してしまった。様子から見るに初心なのだろう。
「何だったんだ今の・・・」
そう言ってベルは服を着直す。ベルはこれからどうしようか迷っていたところだったが・・・
「とりあえず、この人が目を覚めるのを待とう・・・多分アイシャさんとあのクソヒキガエルもいるだろうし・・・」
そう言ってベルは春姫が目覚めるのを待つのだった・・・・
はい、今回はここまでです。次回は本格的に春姫を出します。それでは次回お楽しみにしてください