「すいません・・・お客様と勘違いしてしまいまして・・・」
「大丈夫ですよ・・・僕自身ここに隠れられて助かっていますし・・・と言うか、実質客ですしね」
ベルはそう言って壁により掛かる。疲れが大分取れたのか荒々しい口調も直っていた。ベルは、黒龍から力を借り聴力を駆使して辺りを索敵する。一応、フリュネ達はいなかった。
(もう大丈夫だろう・・・)
(ああ、とりあえず出てみるか・・・)
「あの、すいません。少し良いでしょうか・・・」
「え・・・あっはい」
黒龍達と会話して部屋を出る準備をする時、春姫がベルを呼び止める。どうやら何か言いたそうだった。
「もしよろしければ、時間までお話しできないでしょうか・・・」
春姫がそう言ってくいっと袖を持つ。
(どうする?)
(まあ、良いんじゃないの?見たところ大丈夫そうだし)
(それにこの子可愛いっす!!話して損はないじゃないっすか!!)
ベルは脳内でモンスター達と会話する。暫く頭を悩まされたベルだったがとりあえずOKすることにした。
「分かりました、じゃあ時間まで少しお話しましょう・・・」
「ありがとうございます、旦那様」
「イヤ、旦那様は止めてください。僕はベル・クラネルです」
「分かりました、ではベル様は何処に住んでいたのですか?」
そうしてベルは昔話に入った。もちろん黒龍のことは伏せて・・・
「そうなんですか・・・ベル様は幼いときからその力を・・・」
「はい、春姫さんは何処の出身ですか?」
「私は極東出身です。海に囲まれていて、四季もオラリオよりはっきりしています。春は桜が咲き、夏は蝉が鳴き、秋は紅葉が咲き、冬は雪が降ります。私はそこで生まれました」
そう言って春姫は自分の故郷のことを話し始めた。その様子にベルは少し不思議に感じた。
「あの・・・春姫さんってもしかして貴族出身ですか?」
それを聞いた途端、春姫は悲しそうな目をした。ベルは何か不味いことを言ったのかと思い少し焦る。
「はい、ベル様の言うとおりです。私は貴族出身でした・・・」
そうして春姫は話を続ける。ベルが言いたいことはなんとなく分かってしまうのだ。自分がなぜ、ここにいるのかを・・・
聞いた所によると春姫は、代々高貴な貴族であり母はおらず、父親貴族の立ち振る舞いは大変であったけれども何不自由ない生活をしていたのだそうだ。
だが、11歳の頃春姫は大神に捧げるお供え物を寝ぼけて食べてしまったらしい。そのせいで勘当されたらしい・・・そこで小人族の売人が春姫を連れ出そうとしたところ、モンスターに襲われ生娘だとわかり、売り払ったという。そこで目をつけられたのがイシュタルファミリアだったというのだ。
ベルもそれに驚き、本当に食べたのかと聞いたが春姫は覚えていないという事で黒龍達もはめられたと分かる。それで春姫は両手を押さえて涙を流した。ベルはそれを優しく受け止める。それと同時に怒りが芽生えた。知らないところで一人の少女が苦しんでいた。それも、恐らく地位のためだろう・・・それが許せなかった。そしてそれを怒るのはベルだけではない・・・ベルの中にいるモンスターもだった。春姫はそれに気が付くととりあえず話題を変えようと手を叩く。
「でも、本でオラリオには憧れていました・・・だから来てよかったと思っています」
「『
「はい!それです!!」
それで、話を盛り上がった。この瞬間だけは楽しそうな雰囲気が広がった。
「これ良いですよね!!こことか・・・」
「はい!!とても面白いです!!」
そう言ってベルは暫く話をした。ふと、ベルは何か話したいようだった。
「春姫さんは・・・英雄に憧れていますか?」
そう言った途端、春姫は少し曇った顔を見せる。ふと、春姫は悲しそうに口を開いた
「私は・・・確かに英雄とやらに憧れました・・・今でもそうです・・・ですが私にはそれを望む資格がありません」
「どうして・・・ですか?」
そう言った途端春姫はうつむく。外は騒がしかったのにここはまるで雪が降っているような静けさだった。
「私は娼婦だからです・・・娼婦は英雄にとって汚れでしかありません・・・」
「そんなことはない!!英雄は誰だって助ける!!たとえそれが娼婦でも・・・」
「いいえ、ベル様。英雄にとって娼婦は恥なのです。殿方と夜を共にし、身を委ねる・・・汚れているんです。私は・・・」
そう言って春姫は胸に手を置く。ベルもこれ以上は言わせたくなかった。しかし、春姫は続ける。
「英雄に救われる資格などn(ええい!!やかましい!!)え・・・?きゃああああああああああ!!本が浮いているぅぅぅぅ!!」
「ちょ?!ブラック?!」
(黙れ、ベル!この娘の話を黙って聞いていれば・・・おい貴様、春姫と言ったな?!)
「は・・・はい!!」
その途端、黒龍が突然大声を上げしゃべり出す。それに春姫は尻尾と耳がビクンと伸びる。ベルの懐から出て黒い光と共に黒龍はワンダーライドブックのまま、春姫の顔面に近づく。ベルは周りに聞かれたら不味いと思い、何とか黒龍を黙らせようとする。が、黒龍は止まらなかった。
(なぜ、貴様は英雄に救われる資格はないと言った?!)
「え・・・?それは、私が汚れているからで・・・」
(そんなの知るか!!汚れているが何だ、雄に身を委ねて夜を共にしているだぁ?!そんなの関係ないだろうが!!)
「ですが娼婦は、英雄にとっては破滅の象徴で・・・」
(知ったことか!!貴様には、こいつのすごさが分からぬのか?!こいつはな、大罪龍である我でも手を伸ばすお人好しだぞ!!決して見捨てない、その意思がこいつの強さなんだ!!)
「でも・・・」
(でもではない!!いいか、我は人を大量に殺した!!どう考えても償えぬ罪だ!!それでも彼奴は受け入れてくれた!!共に英雄になると誓ってくれた!!こいつは馬鹿だ、超がつくほど馬鹿だ!)
「ちょ、それは言い過ぎじゃない?!」
そうして、黒龍は少し間を開ける。そして再び口を開いた。
(だから・・・お主も助けてもらいたいなら祈るな、求めて声に出せ!英雄と共にするのに恥なのは汚れていようが、関係ない!一番恥なのは、何も出来ず臆病でいることだ!!)
そう言った途端、春姫は黒龍の言葉に撃たれたのか一瞬戸惑う。そうして何か黒龍は「ええい!!」と言いながら何やら頭の中で語りかけていた。それに他のモンスターも驚きの声を上げる。
(そんな、無茶っすよ!!)
(馬鹿なの、あんた!そんなことをすれば・・・)
(ええい、もうよい!ベル、お前が決めろ!!)
「ええ・・・(汗)」
そう言ってベルは少し戸惑い始める。ベルは、黒龍と共にどうしようか考えてはいた。時間は刻々と過ぎてゆく。
(ベル・・・お前はお前がなりたい英雄になれ・・・)
そう言ってベルは少し考え込む。アイシャが言っていた殺生石が頭に離れなかった。ジャアクドラゴン曰く、何か春姫に関係あると踏んでいるようだ。怪しい取引があれば恐らく闇派閥が関係していることもあった。
ベルはひたすら悩んでいた。ふと、ベルは妖夢の言葉を思い出した。
(ベル・・・貴方は自由です。もちろんその環境に身を委ねるのもありです。ですが、出来ることなら流される事は無く、自分で決めてください。それが、あなたが英雄になる道です)
それを思い出した途端、ベルは春姫に目を向ける。
(僕は・・・僕は・・・)
「・・・・・春姫さん、貴方はどうしたいんですか?」
(この人を助けたい!)
「え・・・?」
そうしてベルは、春姫の肩を持つ。
「ホウワァ!ベル様ぁ!」
(過去なんて関係ない!!)
春姫は困惑するが、ベルは真剣なまなざしで見る。春姫はその様子に迷いが出ていた。
「・・・私は・・・・」
「春姫さん、貴方は自由だ。もちろん、臨むなら残ってもいい。でも、本当にやりたいことがあるのなら、僕の手を取ってくれませんか?」
そう言ってベルは肩に手を離し、春姫に手を差し伸べる。春姫はその光景に戸惑いを隠せ無かったのだった。
三人称視点end
春姫side
私は娼婦だ。何者かによってはめられ、家族からも見放されて・・・何もかも失ったあげく売られ、娼婦として生き抜くことになった。
何時もさみしかった。小さな部屋でポツンと一人ただ客が来るのを待って、殿方に身を委ねる日々(何時も気絶しているが)。
いつだからだろうか、私は英雄に憧れたのは・・・それはずっと前、友達が少ない私が初めて本に書かれた理由に憧れたのだ。もし、どこかに捕らわれた時私を英雄が救ってくれたらどんなに良いのだろうか・・・どんな気持ちになるのか、それが楽しみだった。
しかし、それはかなわなかった。私はもう娼婦になってしまったのだから。英雄譚にはどれも娼婦が救われる話はない。後から英雄にとって娼婦は邪悪な存在なのだと分かった。それが分かった途端、私はどこか安心をしていた。諦めたら楽になれると思ったからだ。そう、思っていた・・・でも・・・
(お主も助けてもらいたいなら祈るな、求めて声に出せ!英雄と共にするのに恥なのは汚れていようが、関係ない!一番恥なのは、何も出来ず臆病でいることだ!!)
突然浮かんできた本に急に語りかけられた途端、私はどこかしまっていた夢を思い出した。それを聞いたところで何だとも思っていた・・・でも、こんな汚れた私を救い出してくれる英雄がいるのなら・・・私は望んで良いのだろうか・・・許されてよいのだろうか・・・
「春姫さん、貴方は自由だ。もちろん、臨むなら残ってもいい。でも、本当にやりたいことがあるのなら、僕の手を取ってくれませんか?」
私は・・・自由・・・それを聞いた途端、何か吹っ切れたようだった。もし、許されるのならば・・・私はこの人に助けられたい・・・
その瞬間、私は無意識に手を伸ばしていた・・・
春姫side end
三人称視点
「・・・・・・・ッ!貴方の意思、確かに受け取りました」
ベルの伸ばした手に春姫はつなぐ。その途端、すぐにベル達は辺りを見渡し様々な本が浮かび出す。
(そうと決まれば、まずその首輪からだな・・・どうやって壊す?)
(我がなんとかすれば、壊せるが恐らく壊したところで感づかれるな・・・)
そう言ってベル達は悩み出す。
(なら私が行きましょうか、幸いばれずコレを外すことが出来ます)
そうしてベルはうなずき、闇黒剣月闇を取り出してウォーシャドーのワンダーライドブックを取り出す。
『必殺リード!ジャアクウォーシャドー!』
『月闇必殺撃!習得一閃』
そうして、ウォーシャドーは本から飛び出す。
「よし、とりあえずやってみるか・・・」
そうしてウォーシャドーは突然、黒い影に包まれる。そして小さかった身体がどんどん大きくなっていった。やがて影がこぼれ落ちそうになる。
「わ・・・私がもう一人居るぅぅぅぅぅぅ!!!!」
そう言って春姫が絶叫する。コレはベルに取り込まれた影響で得た追加能力だ。対象に変身することが出来る。期限は一日で、再び使うには3日かかるが・・・
「コレで私はイシュタルファミリアに乗り込みます・・・あの女に聞いた通り怪しい取引について調べて来ます」
「うん、僕は・・・」
「気が付かれないようにしてください、ア・・・そう言えばコレを・・・」
そうしてウォーシャドーによって春姫の首についている
「え・・・何で」
「私はこういうのは得意なんです。魔力の流れを読めればコレを外すことが出来ます。それに念の為その首輪の魔力もコピーしといた方がいいです」
そうして春姫にローブを着させ顔を隠す。ウォーシャドーは春姫に頼み、歓楽街の出口に足を運んでいた。
「私はこの後イシュタルファミリアに乗り込みます。危なくなったら逃げるので安心してください」
「分かった・・・気をつけてね・・・」
そう言ってウォーシャドーは暗闇の中に消えた。そうしてベルは春姫を連れて月影の館に向かうのだった。
「ベル~遅いと思ったら歓楽街に行っていたとは・・・ちょっとこっちに来ようか」
あれからベルは月影の館に帰った途端、レミリア達が怒りのオーラを出していた。それにベルはたまらず、正座をした。隣にいるフィナは首をかしげており小悪魔はそっとフィネを隣の部屋に連れて行く。ちなみにこの時、ロキファミリアとガネーシャファミリアとリュー達を含む豊穣の女夫人の店員がいたのだが恐怖に押され、すこし後ずさりしたらしい。
「さ~て、ベル?どういうことか説明してくれない?」
「あの・・・その・・・」
ベルは理由を言おうともしてもなかなか言えなかった。
「ベルきゅん・・・どういうつもりかな?君は既に女の子がたくさんいるんだよ」
「ベル・・・ルーナ様が歓楽街に行ってはだめだと言いましたね」
咲夜も激おこ状態だった。ベルはすぐに説明しようにも言い出せない状況だった。
「まぁまぁ・・・ベルの話を聞いてからでも遅くは無いとは思いますよ・・・ついでに言うならその原因も喜んでいるようですし・・・」
「え・・・?」
そう言って扉が勢いよく開く。
「春姫・・・ッ!」
「春姫殿!!」
ベルの隣にいる春姫に向かって歓楽街に向かっていた命達が春姫に向かって飛びついてきた。
「どういうこと?」
ルーナ達も首をかしげたがベルはその光景に驚きが出ていた。
「命さん達、春姫さんと知り合いだったんですか?」
そう言って、タケミカズチが説明してくれた。命達は、極東の地で数少ない友達だったらしい。たまに貴族との接触がきっかけだったらしい。そこにあの事件があった。モンスターによって行方不明となり、心配していた。
「なるほど、だから・・・」
「はい、春姫殿がいたと聞いた途端いても立ってもいられず・・・」
「事情は分かったわ。今、ウォーシャドーが潜入してイシュタルファミリアに潜入しているのね・・・」
「はい・・・」
「そう言えば、こいしも何か感づいたらしいですよ・・・いま、イシュタルファミリアに向かって資料を盗んでいこうとしていますけど・・・」
そう言った途端、何やら大きな音が聞こえた。ふとみていると、そこには・・・
「ウォーシャドー?!こいしさんも・・・どうしたんですか?!」
慌てた様子でウォーシャドーとこいしが勢いよく扉を開け、真剣なまなざしで、ベル達を見た。
「すぐに、春姫を隠して!!イシュタルファミリアが攻めてくる!!」
「どうしたの?!こいし!?」
そう言ってウォーシャドーは一枚のかみを持ってきた。それに全員が目を通す。
「あの後、暫くしたらばれてしまい急いで逃げたのですが・・・イシュタルファミリアのフリュネに追われ・・・見たところとんでもない情報が・・・」
「コレって・・・」
「“タナトス”・・・・」
タナトスは、以前オラリオに恐怖を与えた
「それに・・・殺生石・・・」
その中に殺生石も含まれていた。殺生石は狐人限定の
「・・・・・・・ッ!」
「ベル・・・」
ベルは怒りで拳を握らせる。しかしウォーシャドーは焦りながら声をかける。
「それだけではありません。その決行日なのですが・・・」
そうして資料を見る。そこには決行日が驚きだった。
「満月の日の3月26日・・・今日じゃない!!」
「恐らく、今にも決行したいようだから春姫を必死に探しているはずだから急いで隠さないと・・・」
そう言ってベル達はうなずく。急いで春姫を保護することにした。
「春姫さんはこちらに!フラン、咲夜、勇儀、分かっているだろうけど春姫さんを守って!!」
「「「ええ!」」」
そうして全員春姫を保護し春姫は地下室に保護することにした・・・そうしてベルは月影の館に配置する。
「アイズさん、リューさんも悪いですね・・・」
「気にしないで、
そう言ってアイズ達も配置につく。一応アイズを除くロキファミリアの幹部はイシュタルファミリアのホームに向かう事になっていた。
「イシュタル様も魅了を持っていたんでしたっけ?」
魅了、それは下界に降りた美の神にだけ持たされるのを許された能力、一度受ければその女神の言うことを何でも聞いてしまうのだ。思い当たるのはフレイヤだがイシュタルも持っている。
「一応、それには気をつけましょう・・・一応、クラネルさんは耐異常がありますが油断しないように・・・」
そう言ってベル達は警戒する。フィネは春姫と一緒に地下室にいた。大丈夫と思ってきたその時だった・・・
「・・・・・・・ッ!クラネルさん!!伏せて!!」
「え・・・?」
そうしてリューが急いでベルを低い態勢にさせる。その時だった・・・
「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
「グゥ・・・・・・・ッ!」
強い風が吹いてきた。ベルの身体は今にも吹き飛びそうでもうちょっとで壁にぶつかるほどだった。
「何・・・・・・・ッ!?」
「・・・・上!!」
そうして上を見ると、更に強い風が吹いていた。辺りは夕日が龍によって遮られる。黒い羽毛と口先に緑色がついていた。翼は大きく、風を強く吹き出していた。
「アレは・・・ッ!!」
「君たち!!今すぐホームの中に入れ!!」
「フィン?!」
ふと、フィン達がボロボロの姿でアイズ達の目の前に現れた。
「コレは・・・」
「気をつけろ、アレは氷龍レベルだ・・・」
そうしてベル達は、一斉に剣を構える。けが人を連れて全員中に入った。
「ベル・・・コレは・・・」
「ええ、前回は氷でしたが今回は風でしょうね・・・」
そうしてベルは闇黒剣月闇を構える。
『ジャアクドラゴン』
『ジャアクリード』
「変身!」
『闇黒剣月闇』
『ジャアクドラゴン』
「皆さん・・・行きましょう!」
「「ええ!!(うん)」」
そう言って三人は再び立ち向かう。今までの龍とはまた違った戦い、新たな龍に今立ち向かうのだった。
「さてと・・・こちらも行くか・・・」
一人の男が屋根の上でその光景を眺めていた。ローブを被っていて姿すらも分からなかった。
「フフフ、もう少しだ・・・もう少しであの剣を手に入れられる。そしていずれはこの世界は我らのものに」
そうして一人の男は高らかに笑うのだった。
はい、今回はここまでです。今回はとある伏線をいれました。何かを予想してみてください!