モモイロノミチシルベ   作:メアリィ

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『Abvss of Carnation』作者のメアリィです。
唐突ながら推しの1人である桃井愛莉ヒロインの二次創作が描きたくなったので投稿しました。
是非興味ある方は覗いて見てください。

宣伝ではございますが、上記作品も絶賛公開中です。
こちらも是非読んでみてください。


推し、事務所を退所する

 

 

 

───僕の好きなアイドルが事務所を退所した。

 

 

 

その事実を知ったのがつい数分前。

たまたま趣味というか癖でネットニュースを眺めていたらそのニュースがトピックとなって掲示されていた。

 

衝撃のあまりスマホを落とし、画面が割れてしまったのは些細な事で。

デビュー当時から365日ずっと推し続けてきた天使のようなアイドルが画面に出てこなくなるという現実が受け入れられなかった。

 

そんな話は一度も噂にならなかった。

いいやそれどころか家族会議(・・・・)にすら話題にならなかった。

悲しみと同時に憤りのような感情がごった混ぜになって、涙なのか汗なのかよく分からない汁で目の前がぼやけてしまう。

 

俺はドアを破壊するかのごとく蹴破り、そのアイドル(・・・・)の自室に突撃する。

 

 

 

 

「おい義姉(ねぇ)ちゃん!!!どういうことだよこれは!」

「なによ!いきなり大声出さないで、ビックリするでしょ!」

「なによもこうもねぇ!なんで事務所を退所したんだよ!」

「それこそ(はれ)には関係ないでしょ!」

 

 

───アイドル、桃井(ももい)愛莉(あいり)

 

アイドルグループQT(キューティー)のトップアイドル。

宮益坂(みやますざか)女子学園に通う高校2年生。3月19日生まれ身長156センチ(ちっちゃくて可愛い)体重(自主規制)kg(軽くて可愛い)。特技は料理(可愛い)子供の面倒を見ること(優しくて可愛くて困る)。趣味はアイドル研究(真面目で尊敬)ショッピング(あぁ尊い)という非の付け所がない最高のアイドル(推し)だ。

 

俺とアイドル(推し)は所謂義理の姉弟で、幼少期俺の両親が事故で死んでから親戚の家に引き取ってもらうことになり、その親戚というのが桃井家だった。

 

「関係あるわ!!俺の推しである義姉ちゃんが今後テレビに出なくなるって知って、俺は何を糧に生きていけばいいんだよ!!!」

「...知らないわよそんなの」

「理由を教えてください愛莉様!愛莉様の為なら靴を舐めます!!」

「...ちょっと姉弟である事が嫌になってきたわ」

 

ゴミを見るような目でアイドル(推し)に蔑まれる快感はいつ味わっても至福だった。

 

「じ、冗談はさておき。何があったんだよ義姉ちゃん」

「ま、色々よ」

「最近バラエティにしか出てないことと関係あるか?」

「っ!」

 

義姉が顔をひくつかせたのを俺は見逃さなかった。

義姉がどうしてアイドルを始めたのか知っている俺にとっても重要な内容であることに変わりは無い。

 

「まぁバラエティで喋ってる桃井愛莉も可愛いっちゃ可愛いんだけどさ!!こう...『あぁ桃井愛莉と同じクラスだったらめっちゃ楽しいし学校行くの辛くないだろうなー!!あー羨ましいよ!!宮益坂女子行きてー!』って思えるからさ」

「それは晴だけでしょ!」

「あぁもちろん!!」

「威張って言うもんじゃないよ!仮にも本人を目の前にして!」

 

とはいえ、強がっているように見えるのもまた事実。

桃井愛莉の1人の弟として、また1人の桃井愛莉ファンとして心配が絶えない。

 

「俺じゃ力になれないか?」

「今更よ。何もかも...」

「...そっか」

 

ネットニュースになってる時点で事務所を退所する事は決定事項。

揺るぎない事実であることに変わりはないようだった。

テレビで義姉の姿が見られない。

 

 

───愛莉(推し)は俺にとって救いだったのだ。

 

 

愛莉が目指す夢と、俺が望む夢。

それがアイドル(・・・・)という形として表現され、桃井家に入ってから...いや、あの時(・・・)から俺たちは姉と弟、アイドルとファンという距離感で生活出来ていたのだ。

 

「哀しいな」

「もう終わった事よ...もう出て行ってくれるかしら」

「ごめん」

 

 

今は俺の変な会話に付き合う気力もないのだろう。

そっとしておくべきだと思い、義姉の部屋から静かに出ていこうとする。

 

「ねぇ、晴」

 

不意に声をかけられてドアノブにかけていた手を止める。

 

 

「...約束(・・)、守れなくてごめんね?」

「っ」

 

振り返った先にある義姉の今にも泣き出しそうな作り笑いが見ていられなくて。それと同時に無力な俺に腹を立ててしまった。

 

─何とかしたい。

 

そんな気持ちがふつふつと、沸き上がるようだった。

 

 

 

 

 

──これは、俺と義姉が描くファンとしてアイドルの物語

 

 

 

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