ZガンダムAWS   作:ST郎

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5.ゼーラスJ型 2

 案の定だった。

 新装備品受領書類の中に、ちゃんとその答えが載っていたのだ。

 

"新装備は、ゼーラス18号機に使うこと"

 

 その後に各種の資料確認をした結果、自分が一生懸命調整していたのは、ゼーラスの12号機だった。

 道理で上手く行かないはずだ。

 それを持ってカールは怒りの抗議を行う。

 

「艦長! これを見て下さいよ」

 ブリッジに居た艦長に、カールは書類を叩きつける様にして見せる。

「受領書…類? これが?」

「ちゃんと中身を見て下さい! あの新装備、ゼーラスの18号機に使えって書いてあります。 こっちが弄ってたのは、12号機!」

「それは、そっちの確認不足だろう」

「確認も何も、作業を進めていたのはそっちでしょ。 必要書類だって、今の今まで僕に見せてくれなかったじゃないですか!」

 物凄いカールの剣幕に、周囲がシーンとなる。何というか、雰囲気的には白けているって感じで、いちいち腹の立つ連中だと思った。

 そして、一人熱くなるカールを前にしても艦長は表情を変えず、どこか他人事の様に言う。

 

「なら、早速改善したまえ。 それが君の仕事だろ」

「やりますよ。 でも、協力はして下さい。 他所者扱いするのは勝手ですけど、そっちだって支障が出るんですからね」

 正義は自分にあるとばかりに、カールは怒りを隠そうともせずにその場を後にする。

 本当に碌でもない連中だ。

 彼の中で、更にジェミニボックス乗員たちの評価が下がった。

 

「へー、そうだったんだ」

 鼻くそでも穿りそうな感じで、気のない返事をメカニックの一人であるザッド・バナドが返してきた。

このデタラメを引き起こす、ボタンの掛け違いを始めた張本人でもある。

 

「っ~貴方の責任です。 あの12号機から新装備を外して、18号機に付け替えて下さいよ」

「いや、俺、今手が空かないんだよね。 第一暇しているの、お前さんだけだろ。 天才テストパイロットさん」

 そう言って意地悪く笑い、更に絶対に何もしないと言う感じで腕組をして姿勢を反らした為、カールも流石に切れた。

 

 気がつけば、カールは誰かに羽交い締めにされ、ザッドから引き離されていた。

 それでも手足をバタつかせ、尚も殴ってやろうと暴れる。

 だが、ピクリとも動けない。振り返って見れば、自分を抑えているのはグスターブだった。その顔は険しい。

 ザッドは仲間に抱えられているだけで、特に押さえつけられる様な真似はされていなかったのだが、それが余計に腹立たしかった。

 しかし、よく見れば、ザッドは鼻血を流している。カールの攻撃が届いたのだ。

(ザマーミロ!)

 そう思ったのだが、自分も鼻血を垂らしている事に気が付く。脇腹も痛い。

 どうやら、そこまで一方的に殴りつけた訳では無いらしい。

 

「くそ、このガキ。 これで、もう、協力なんて一切してやらねえからな。 第一、あんな役に立たないMS、お前以外に乗らないってんだ」

「手伝う気なんて、最初から無かっただろ! 上等だ! このへっぽこ傭兵共が。 俺が代わりに乗ってやるよ。 あんたらの代わりに、MS戦だってやってやる!」

 もはや、売り言葉に買い言葉で、収拾がつかない。

 

「そこまでだ」

 低く静かな声を発したのは、グスターブだった。

 仄かに殺気がこもる雰囲気に、流石にザッドも身を竦ませた。カールは尚更だ。

「ザッド、今回ばかりは、お前のミスだ。 全部やれとは言わないが、カールを手伝ってやれ。 他の奴らもだ」

 鶴の一声だったのか、メカニックたちからは渋々だが了承の返事が帰ってくる。

 どうやらグスターブは、事情の方まで何時の間にか知ったらしい。或いは、カールが大声でそれを喚いていた為に、嫌でも聞こえていたかだ。

 そして、流石に言われた後の行動は速かった。

 ザッドを始めとしたスタッフはテキパキと作業を進めて行く。

 

 最初から、これをやれよとカールは心の内で毒づいた。

 もっとも、彼らにしてみれば戦力の一つであるMSをバラさなければ成らないのだから、部隊全体の事を考えると必死に成らざる得ない理由もあったのだが…

 

「カール、医務室で治療を受けてこい」

 何故か急に、グスターブはカールの事を名前で呼び始めていた。何時もなら、オイとか、小僧とか、嫌味ったらしく呼ぶのに、だ。

「大丈夫ですよ。 僕にも時間はない。 次の連絡で帰るんですからね。 その前に、やれるだけの事はしますよ」

「そいつは承服しかねるな。 お前さんには最後まで残って、このジャジャ馬の面倒を見てもらわにゃ。 第一、MS戦だってやってみせるんだろう?」

 その言葉にカールは内心ビビる。勢いで言ったとはいえ、連中に余計な言質を取られるのは厄介だと知っていたからだ。例え冗談だとしても、ハイエナにたかられる隙きを作ったのは痛い。

 

 恐る恐るグスターブの顔を覗くと、目があった瞬間に、これまで見せたことが無い様な悪戯っぽい笑顔をカールに見せる。

 不思議と今までの様に嫌な感じはしなかったが、やはり他所者を見ている様な感じだけは残っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ZX-006 ゼーラス

全高:18.50m

本体重量:32t

全備重量:51.4t

装甲材質:チタン合金セラミック複合材(一部にガンダリウム合金)

出力:1510kw

推力:9850kg☓2(テールスタビライザバーニア)/12080kg☓4(腰)/総推力68020kg(ウェーブライダー時のみ)

センサー有効半径:10,300m

武装:60mm頭部バルカン砲☓2、ビーム・ライフル(ネモと共通だが、ジェミニボックス仕様機はカスタムタイプ)、ビームサーベル☓2、シールド(ネモと共通)

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