虹ヶ咲学園サッカー同好会"NEO SKY, NEO MAP!"   作:ルビィちゃんキャンディー

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皆さん、あけましておめでとうございます。ルビィちゃんキャンディーです!虹ヶ咲の物語がついに始まります!

https://syosetu.org/novel/180745/
前作、輝こうサッカーで!

基本的に私のラブライブ×イナイレ小説はイナイレの原作とは少し違った設定や価値観が存在します。それでも大丈夫だという方はこれから先もよろしくお願いします!では始まります。




1話 「新たなる旅立ち」

 

 

 

10年前のサニデイジャパンの世界制覇。

それにより、サッカー人気は高まり、サッカーでの強さが社会的地位まで決めるようになった。

 

実力の無い学校は経営が立ち行かなくなり、人々に喜びをもたらすはずのサッカーは、社会に大きな影を落とす存在となってしまった。

 

そんな事態に対応するため、サッカー管理組織"フィフスセクター"が誕生した。

 

 

「……サッカーは、皆平等に愛されるべきであり、その価値ある勝利を平等に分け与えられるべきである」

 

「この少年サッカー法第5条を守ることが、我々フィフスセクターの存在意義であった…しかし、」

 

それ故に日本のサッカーは衰退した。

平等のための支配が選手の育成の邪魔をし、今の日本は世界の中でも落ちこぼれとして嘲笑われるところまで来ている。

 

 

「今の日本は世界の中でも弱者」

 

「軟弱と化した日本のサッカーを…あの最強の時代を超えた、究極のサッカーへと進化させる」

 

「日本のサッカーは…再び世界の頂点となる」

 

日本全国へと拡散されるフィフスセクター"聖帝"のスピーチ。

その目は…果たしてどこを見据えているのか。

 

 

 

これは───新たに始まる少女たちのサッカー物語

 

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

 

高校生になって二度目の春が来た。

いつもと変わらずに家を出る準備を続けながら、テレビのスポーツチャンネルでサッカーに関する情報をチェックする。

 

 

「昨日の試合も黒澤ダイヤさんがハットトリック…!J1の首位は独走状態!」

 

テレビに映るプロの選手たちにはいつも驚かされる。自分じゃ考えられないようなプレーをたくさん魅せてくれて…いつも登校は急ぎ足になってしまう。

 

行ってきます!と元気に玄関のドアを開け、今日も少女の一日がスタートした。

 

少女の名前は"上原歩夢"。

サッカーが大好きな高校2年生である。

 

 

 

『まもなく〜1番線に快速"川越行"が参ります』

 

 

―――歩夢の通う学校は自宅から少し離れた場所にある。早朝、通勤通学により起こる人の波の中を進み、電車に揺られること数十分。

改札から出た場所は秋葉原。

ここから少し歩くと彼女の通う学校が見えてくる。

 

 

「歩夢さん!おはようございます」

 

お店が開店し始める前の朝は昼とはまるで別の世界のように人がいない秋葉原。

コンクリートの地面を鳴らす音だけが響いていたが、少女の優しい声がその中に混ざり合った。

 

 

「おはようございます。こころ先輩!」

 

長く伸ばした黒髪に赤色の綺麗な瞳。

礼儀正しい言葉使いと落ち着いた雰囲気から、その少女を花に例える人も少なくない。

 

 

「歩夢〜!今日はにこが面白くてさ!」

 

歩夢がこころと呼ぶ少女ともう1人、肩を組んできながら元気に話す少女がいた。

容姿はこころに似ているが、髪型とその雰囲気から2人を見分けることが出来る。

明るい性格で学校の頼れる姉貴的存在である"ここあ"。2人は姉妹であり、世界トップクラスのサッカープレイヤーである"矢澤にこ"の妹たちでもある。

 

 

「寝坊して寝癖も治さないで飛び出していってさ〜!靴下は左右間違えて履いていくし!」

 

「こら…ここあ?歩夢さんが困ってるでしょ?」

 

「あ…あはは、」

 

矢澤家の日常を聞けば聞くほど…歩夢の中のにこのイメージは崩れていく。

しかし、そんな話しを楽しみながら聞く彼女もいる。こんな感じの登校も気づけば1年間続けており、歩夢は高校生活にすっかり慣れてしまっていた。

 

 

「歩夢。今日も朝練頑張ろ!」

 

「はい!」

 

桜並木を抜け、学校の校門が見えてきた。

生徒が吸い込まれるように校内へと入っていく。歩夢もその1人だ。

"国立 音ノ木坂学院"。あの伝説のサニデイジャパンの選手たちを育てたサッカーの名門校。歩夢、そして矢澤姉妹はここのサッカー部員である。

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

国立 音ノ木坂学院

 

10年ほど前までは都心の中にひっそりとその校舎を構えていた学校だった。

しかし、音ノ木坂学院サッカー部の全国大会準優勝、世界大会代表メンバーの多数選出により、サッカーの名門校としてその名を広めた。

 

今では普通科の中にサッカー特進コースが組み込まれており、サッカー選手の育成に力を注いでいる。

 

 

「DF!!戻りが遅いですよ!!!」

 

「「「はい!!」」」

 

ビルの隙間から朝日が差し込みグラウンドを照らす。そして響き渡る監督の指導。

音ノ木坂学院サッカー部は早朝からハードな練習メニューが組まれている。監督曰く、これでもまだ情けある方なのだとか。

 

剣道の竹刀を何度も地面で鳴らし、厳しいながらも的確な指示を飛ばす。

青みがかった黒髪を伸ばしたその女性、凛とした容姿と美しさはまさに大和撫子。

 

音ノ木坂学院サッカー部監督"園田海未"。

その容姿と指導から"鬼の大和"と呼ばれている

 

 

「歩夢、決め切りなさい!!」

 

「はいっっ―――せい!!」バシュッ!

 

中途半端な場所まで攻めて終わるのはサッカーではよろしくないプレー。

海未の声で強引にDFを突破した歩夢は、そのままゴールにボールを叩き込んだ。

 

 

「ハァハァ…」

 

「今日の朝練はこれで終了です。シャワーはホームルームに間に合うように済ますこと。以上」

 

「「「ありがとうございました!!!」」」

 

ぞろぞろと引き上げるサッカー部員たち。

歩夢も例外なく、流れる汗を拭きながらシャワールームを目指して歩く。

 

 

「歩夢ー!今日も頑張ったな!」

 

「ここあ先輩。お疲れ様です!」

 

強豪校のサッカー部であるためチームのレベルは高い。そんな中でも歩夢は先輩にも負けない技術、そして努力値を持っている。

 

それは仲間や監督も分かっており、チームとしての繋がりは硬く強くなっていた。

 

今日も学年の隔たりなど関係無く、歩く道中会話で盛り上がっていた中だった。

 

 

物語の歯車が────徐々に動き出す。

 

 

「歩夢。このあと理事長室に来てください」

 

「え、理事長室にですか?」

 

「はい。話があります」

 

何か悪いことでもしたか?と仲間からかわれる中、歩夢は監督の表情から何か自分にとって大切なことだと感じ取っていた。

 

 

 

―――――――――

 

 

 

「失礼します」

 

悪いことをしていなくても理事長室に入るのは緊張する。中に入ると音ノ木坂学院の理事長、そして園田監督と担任のことりが待っていた。

 

指示された椅子に座ると、理事長は早速本題に入った。

 

 

「まずは、これを読んで欲しいの」

 

歩夢の担任の母親とは思えないほどの美しさを保つ理事長から受け取ったのは…一枚の手紙だった。

中を開けて書かれている文を読むと…それは内容を疑うようなものだった。

 

 

「上原歩夢様…あなたは今の管理されたサッカーを、本来あるべきサッカーへと解放する選手の一人に選ばれました。"虹ヶ咲学園"で同じ志しを持つ者たちとホーリーロードで優勝し、自由なサッカーを取り戻してもらいたい。」

 

「………なんですか、これは」

 

「そこに書いてあるとおりよ。上原さん」

 

理事長は動揺している歩夢が聞き取れるようにゆっくりと口を開いた。

 

 

「…"虹ヶ咲学園"。東京・お台場にある、自由な校風と専攻の多様さで人気の高校よ」

 

「確認したところ…上原さんの転入が認められていると報告があったわ」

 

「そ、そんなこと私していません…!」

 

「分かっています。そこで上原さんに尋ねます。あなたは今のサッカーを…どう思う?」

 

理事長の質問は歩夢にとって、簡単に答えられる内容ではなかった。

 

今から数年前、サッカー実力主義となった社会を平定し、学校間の格差を無くすためにとある組織が作られた。

その名も"フィフスセクター"。

 

しかし、サッカー実力主義は国内だけの問題に留まらず、世界から見た国の価値観として…サッカーの存在は大きくなっていた。

 

そんな中で日本のサッカーは世界から行き遅れていた。10年前の栄光は完全に過去のものとなり、今では日本のサッカーはレベルが低いと世界から見られている。

 

 

「次第にフィフスセクターはサッカーの管理を"平等"から"強化"へと目的を移行したわ」

 

「園田監督がこの学校にいるのも…その管理があってこそよ」

 

日本のサッカーレベル強化プログラムとして、プロのサッカー選手は数年間サッカー部の監督として指導を行うという規則がある。

 

園田海未はJリーグでプロとしてサッカーをしていたが、今は音ノ木坂学院サッカー部監督として、日々指導を行っている。

そのため、プロサッカー選手としては休職中である。

 

 

「…私たちプロが監督となることは賛成です。しかし…管理の度が過ぎます」

 

海未の言う通り、フィフスセクターの指示に逆らった場合はサッカー部を潰したり乗っ取ったりするのみならず、時には学校そのものを廃校にまで追いやっている。

 

指定した時間以上の練習、練習試合、試合の勝利、得点数など…フィフスセクターはあらゆるサッカーの管理をしてきた。

 

音ノ木坂学院のような強豪校ならまだしも、レベルが高いとは言えない学校のサッカー部は生き残れないのと同じ。

 

 

「私は…10年前、サニデイジャパンのサッカーを見て…サッカーと出会いました」

 

「私もこの人たちみたいにサッカーをやりたい…かっこよくて、キラキラした選手たちを見ながら、私は心に決めました」

 

「でも、今のサッカーは私の憧れたサッカーじゃない」

 

歩夢は言い切った。

自分の思っていることを正直に。

だが、それと転入はまた別の話だった

 

 

「…突然の事で、気持ちの整理が」

 

「そうね。答えをしっかり考えて、後日聞かせてもらってもいいかしら?」

 

「……はい」

 

歩夢は迷いを抱えたまま理事長室を後にした。

方向性によっては今の仲間たちとも別れを告げなければならなくなる。それがどうしても歩夢には耐えられなかった。

 

その日の授業は、全く頭に入らなかった。

 

 

 

 

―――――――――

 

 

 

 

東京の夜は寂しく明かりが灯り続けている。

人の気配が無い世界で街灯だけが道を照らし、海辺では建物や機械の温もりの無い光。

 

その吸い込まれそうな世界を、歩夢は自分の部屋のベランダから眺めていた。

太陽が上っている時間が賑やかだからこそ、この寂しい感情は強くなるが、今回はもう一つ理由があった。

 

 

「…私なんかに出来るのかな」

 

サッカーの自由を取り戻す…それは今の日本サッカーの最高権力に対抗するということ。

あまりの規模の大きさに、先の見えない不安や今の大切な時間の消失が頭をよぎる。

 

そんな中、歩夢の意識を現実から戻すかのように、ポケットに入れていたスマホが揺れた。

 

 

「……侑ちゃん」

 

電話の相手は大切な幼馴染だった。

 

 

「どうしたの?侑ちゃんからなんて珍しいね」

 

『歩夢の声が聞きたくなってね』

 

とても優しい声を聞き、不安で揺れていた心が少しだけ落ち着いた。

あちらの方は今頃はお昼過ぎだろうか、いつも歩夢が忙しくない時間を考えて連絡してくれる。

 

大切で―――大好きな幼馴染。

 

 

『一年生たちはどう?』

 

「みんな上手な子ばっかり。私も頑張らないと……」

 

『……歩夢?』

 

音ノ木坂学院での日々が思い起こされる。

やっぱり怖いし…辛いなぁ…歩夢は誰もいないベランダで一人蹲っていた。

 

しかし、向こうで頑張る幼馴染に心配は掛けさせたくない。悟られぬように話題を思い出話に変える。

 

 

「…ねえ、覚えてる?小学生の時、私たちがサッカーに出会ったあの日」

 

『10年前だね。覚えてるよ』

 

「侑ちゃんとは離れ離れになっちゃったけど…私もサッカー頑張ってるよ。いつかサニデイジャパンみたいに、かっこいいサッカー選手になれるように」

 

『…私も頑張ってるよ。もちろん、あの時の目標に向けてだけど…もう一つ、新しい目標が出来たんだ』

 

「新しい…目標?」

 

 

『歩夢とまた一緒にサッカーすること』

 

「!!!」

 

胸の鼓動が早くなるのを嫌でも感じる。

侑が遠く離れた場所で自分の知らない人間に変わっていくのが正直怖かった。

だが彼女は私とのサッカーを目標としてくれている。離れてなどいない。そう、伝えているようであった。

 

そして───────

 

 

「…私もね、目標があるの」

 

 

────決めた。

侑と一緒にサッカーをする時に、あの時見た自由で輝かしいサッカーが出来るように。

取り戻す。私はサッカーを取り戻すんだ。

 

 

「今は言えないけど…私もその目標に向かって頑張るよ…!だから、侑ちゃんも…」

 

『うん。頑張るよ』

 

歩夢はゆっくりと立ち上がった。

自分は一人なんかじゃない。一緒に戦う仲間だっている。諦めなければ力は無限大だ。

 

その後、部屋に戻った歩夢は理事長から渡された転入案内を広げ、新たな出発の準備を始めた。

 

 

 

 

「……歩夢が動き出した」

 

「ユウ。誰と電話してたの?もしかして…ガールフレンドだったりして♪」

 

通話を終えた侑はグラウンドへと向かう。

まもなく午後の練習が始まる。自分もうかうかしてなどいられない。

 

 

「うん。そうだよ」

 

「そっかそっかー。照れないで……え?」

 

青い空を見上げ、"高咲侑"は笑っていた。

 

 

「すぐに会えるよ…歩夢。あの人にも伝えないと」

 

 

 

 

―――――――――

 

 

 

そして、歩夢の転入当日。

音ノ木坂学院の理事長室では理事長含め、海未とことりの3人が彼女の無事を祈っていた。

 

 

「歩夢を見ていると…昔の千歌や穂乃果を思い出します」

 

「心配だけど…何かを変えてくれる気がします。お母さんもそうでしょ?」

 

「ええ。日本のサッカーは、まだ死んでいないわ」

 

 

 

 

朝日が昇り、また新しい一日が始まった。

いつもとは違う道を歩きながら、歩夢はその決意を胸に一歩一歩進んでいく。

 

 

「ここが…虹ヶ咲学園」

 

音ノ木坂学院とは何もかも規模が違う。

巨大な城のようにそびえ、最新の技術で構成された校舎。迫力に圧倒される…それでも歩夢の歩が止まることは無い。

 

 

これは─────少女たちによる、"あの日の輝き"を取り戻すサッカー物語。

 

 

虹ヶ咲学園サッカー同好会

"NEO SKY, NEO MAP!"

 




輝こうサッカーで!をお気に入り・評価してくださっていた方、また新しくこのお話を読み始めた方もお気に入り・評価よろしくお願いします。

輝こうと同じく、後書きでは必殺技紹介などを今後もやっていきます。

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