炎の呼吸は世界最強   作:ギラサメ

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なんとか書けました。

遊郭編も放送開始したので頑張りました。


第二十二章 寄生花

焔SIDE

 

 どうも皆さん、お久しぶり。最近、出番がなかった焔ちゃんです。

 今、私達はどうしているのかというと……

 

 

「だぁー、ちくしょぉおおー!」

 

「……ハジメ、ファイト……」

 

「お前は気楽だな!」

 

「呑気に話したりしてしないの!」

 

「とにかく今は全力で走る事だけを考えろ!」

 

 

「「「「「「「「「「「「シャァアア!!」」」」」」」」」」」」

 

 二百体近くの魔物に絶賛追われ中です。

 

 

 少し前

 

 私達が準備を終えて迷宮攻略に動き出した後、十階層程は順調に降りる事が出来た。南雲の装備や技量が充実し、熟練してきたのと私と雫の剣技もあるが、ユエの魔法が凄まじい活躍を見せたというのも大きな要因だ。

 全属性の魔法を何でもござれとノータイムで使用し私達を援護してくれる。

 私達が降り立ったのが現在の階層だ。まず見えたのが樹海だった。十メートルを超えてるんじゃないかと思える木々が鬱蒼と茂っていて、空気は湿っぽかった。

 私達が下の階への階段を探していると、突然、ズズンッという地響きが響き渡った。何だと思って身構えると目の前に現れたのは、見た目は完全なティラノサウルスのような爬虫類の魔物だ。

 ここジュ○シック・ワー○ド?

 それと何故か頭に花を生やしているけどな。

 

 私達はそれぞれ慌てず、武器を構えるが、それを制するようにユエが前に出てスッと手を掲げた。

 

「“緋槍„」

 

 ユエの手元に現れた炎は渦を巻いて円錐状の槍の形となり、一直線にティラノのが口内目掛けて飛翔し、あっさり突き刺さって、そのまま貫通。周囲の肉を溶かして一瞬で絶命させた。地響きを立てながら横倒しになるティラノ。

 そして頭の花も地面に落ちた。

 

「「「……」」」

 

 色んな意味で思わず押し黙る私達。

 最近、ユエ無双が激しい。そのせいで私達は出番がなくなってしまっている。

 私達は武器を仕舞い、ユエに話しかける。

 

「あー、ユエ?張り切るのはいいんだけど……最近、俺、あまり動いてない気がするんだが……」

 

 ユエが振り返って南雲を見ると、無表情ながら何処か得意げな顔になる。

 

「……私、役に立つ。……パートナーだから」

 

「はは、いや、もう十分役立ってるって。ユエは魔法が強力な分、接近戦は苦手なんだから後衛を頼むよ。前衛は俺達の役目だ」

 

「……ハジメ……ん」

 

 南雲に注意されてしまい若干シュンとするユエ。

 

「なぁ、ユエ。頑張ってくれるのは嬉しいけど、刀振られねぇと腕が鈍っちまうかもしれねぇしよ」

 

「うん、私もユエちゃんが頑張ってくれるのは嬉しいよ。でも、もし、ユエちゃんが魔力使いすぎて倒れたら元も子もないよ」

 

「ホムラ、シズク」

 

 

 

 

 

「しかしよ。なんなんだこの魔物?花なんか生やして」

 

「うん。なんなんだろうね?」

 

 あれから私達は魔物と遭遇し、戦闘して倒したが、どの魔物にも花を生やしていた。ティラノの他にラプトルのもいたけど。

 

「うーん」

 

 私は魔物の死骸に近寄り、死骸を観察した。生やした花を手に取ってみた。

 

「ん?」

 

 ふと、私は花に違和感を覚えた。そしてある事を思い出した。

 

「姉貴どうした?」

 

「焔?」

 

「ホムラ?」

 

 三人が私を見た。

 

「この花、おかしいんだ」

 

「おかしい?」

 

「あぁ、匂いを嗅いだらこの花からあの魔物とは別の匂いがした」

 

「別の匂い?」

 

「こいつは多分寄生だ。どこかにこの花を寄生させた張本人がいるはずだ。それに戦っていてこの魔物、音も変だった。まるで自分の意志とは……っ!?」

 

 私が言いかけた瞬間、何かを感じた。

 

「焔?」

 

「マズイぞ。数十匹以上の魔物が接近中だ」

 

「あぁ、まるで誰かが指示してるみたいに全方位から囲むように集まってきやがる」

 

 南雲も感じたのか。

 

「どうするの?」

 

「……逃げる?」

 

「……いや、この密度だと既に逃げ道がない。一番高い樹の天辺から殲滅するのがベターだろ」

 

「だろうな」

 

「ん……特大のいく」

 

「おう、かましてやれ!」

 

 私達は高速で移動しながら周囲で一番高い樹を見つけた。そして、その枝に飛び乗り、眼下の足がかりになりそうな太い枝を砕いて魔物が登って来にくいようにした。

 私達は武器を構えながら待つ。

 そして第一陣が登場。ラプトル、ティラノのお出ましだ。ティラノは樹に体当たりしてくる。ラプトルはカギ爪を使ってヒョイヒョイと登ってくる。

 南雲はドンナーでラプトルを撃ち抜く。

 私と雫は日輪刀でラプトルを斬る。時折、蹴ったり、踏みつけて落とす。

 

「ハジメ?」

 

「まだだ……もうちょい」

 

 ユエの呼び掛けにラプトルを撃ち落としながら答える南雲。ユエはひたすら魔力の集中に意識を集中させる。

 やがて、眼下の魔物の数が増えてきた。

 

「ユエ!」

 

「んっ!“凍獄„!」

 

 ユエの魔法で私達がいる樹を中心に眼下が一気に凍てつき始めた。ビキビキッと音を立てながら瞬く間に蒼氷に覆われていき、魔物に到達すると花が咲いたかのように氷がそそり立って氷華を作り出す。魔物は氷華の棺に閉じ込められ目から光を失った。

 

「ユエちゃん凄い」

 

「わぁお、童磨に負けないくらいの氷だ」

 

「はぁ……はぁ……」

 

「お疲れさん。流石は吸血鬼だ」

 

「……くふふ……」

 

 最上級魔法を使った影響でユエは肩で息をしている。

 南雲は首筋を差し出し、吸血させ回復させる。

 

「っ!?ヤバいぞ、また来やがる。それも更に倍の数だ」

 

 私はまた魔物の音を感じた。南雲も気づいたようだ。

 

「またって……さっき倒したばっかなのに」

 

「こりゃ寄生させた張本人を見つけて倒すしか方法はねぇ」

 

「姉貴の意見に賛成だ。あの花を取り付けているヤツを殺らない限り、俺達はこの階層の魔物全てを相手にすることになってしまう」

 

 私達は花を寄生させた張本人を探す事になった。

 

「ハジメ……だっこ……」

 

「お前はいくつだよ!ってまさか吸血しながら行く気か!?」

 

 南雲はユエを抱っこしながら移動……とはならず、邪魔にならないようおんぶする事になった。

 

 そして冒頭にプレイバック、プレイバック。

 

 

 ドドドドドドドドドドドドッ!!

 と、地響きを立てながら二百体近くの魔物が迫っている。背の高い草むらに隠れながらラプトルが併走し四方八方から飛びかかってくる。それを倒しつつ、探索の結果一番怪しいと考えられる樹海を抜けた先、今通っている草むらの向こう側に見える迷宮の壁、その中央付近にある縦割れの洞窟らしき場所に向かい、ひたすら駆ける。

 

「ユエさん!?さっきからちょくちょく吸うの止めてくれませんかね!?」

 

「……不可抗力」

 

「嘘だ!ほとんど消耗してないだろ!」

 

「……ヤツの花が……私にも……くっ」

 

「なにをわざとらしく呻いてんだよ。ヤツのせいにするなバカヤロー。ていうか余裕だな、おい」

 

 この二人、こんな状況でよくイチャイチャしていられるな、おい。

 

「おい、そろそろ例の洞窟だ。飛び込むぞ」

 

 私の言った事に、全員洞窟に飛び込んだ。

 縦割れの洞窟は窮屈さを感じる狭さだ。ティラノは入ってこれねぇ。ラプトルは一体ずつしか入れねぇ。侵入してきた一体を南雲がドンナーで噴き飛ばし、すぐに錬成で割れ目を塞いだ。

 

「ふぅ〜、これで取り敢えず大丈夫だろう」

 

「……お疲れさま」

 

「そう思うなら、そろそろ降りてくれねぇ?」

 

「……むぅ……仕方ない」

 

「おい、どうやら当たりみたいだ。微かに花にあった同じ匂いがする」

 

「そうか。よし行くぞ。油断するなよ」

 

「ん」

 

「おう」

 

「分かったわ」

 

 私達は薄暗い洞窟を慎重に進む。

 しばらく道なりに進んでいると、やがて大きな広間に出た。広間の奥には更に縦割れの道が続いている。もしかしたら階下への階段かも。

 私達が部屋の中央までやってきた時、それは起きた。

 全方位から緑色のピンポン玉のような物が無数に飛んできた。私達は背中合わせになり、飛んでくる緑の玉に攻撃する。

 しかし、その数は百を超え、尚、激しく撃ち込まれる。

 

「キリがないよ」

 

「クソ!本体は!」

 

 私は匂いを嗅いだり、音を聞いたりして本体を探す。

 どこにいる?

 

「……にげて……」

 

 ユエが私達に手を向けていた。ユエの手に風が集束する。私達はその場を全力で飛び退いた。刹那、私達のいた場所を強力な風の刃が通り過ぎ、背後の石壁を綺麗に両断した。

 

「「「ユエ(ちゃん)!?」」」

 

 まさかの攻撃に驚くが、ユエの頭を見て理解する。ユエの頭の上に花が生えていた。それもよく似合う赤い薔薇が。

 

「くそっ、さっきの緑玉か!?」

 

「ハジメ……うぅ……」

 

 ユエが無表情を崩し悲痛な表情をする。

 

「ユエちゃん」

 

「ユエ」

 

 クソ、あの花を斬って助けたいが、あの花に操られているせいで自分の意志とは関係なく、花を庇っている。迂闊に攻撃出来ねぇ。

 

「……やってくれるじゃねぇか……」

 

 色々考えているとそれは奥の縦割れの暗がりから現れた。

 

 植物と人間が融合した魔物。こいつが寄生花の正体か。

 

 見た目は人間の女だが、音や匂いから最悪な感じがしてならない。まだ、上弦の陸・堕姫の方がマシだな。

 私達はすかさず武器を構えるが、植物女がユエを盾にしている。

 

「ごめんなさい」

 

 悔しそうな表情するユエ。どうすれば?

 考えていると植物女が緑の玉を発射する。なんとか当たらないように避ける。喰らったらユエやあのティラノやラプトルと同じになっちまう。

 

「どうするのよ?」

 

「分かんねぇよ!」

 

 雫が聞いてくるが、どうすればいいか分からねぇ。

 

「ホムラ、シズク!……私はいいから……斬って!」

 

 ユエが叫ぶ。

 出来るかよそんな事!

 もし、炭治郎でも禰豆子があんな風になってたら斬れねぇだろうな。

 

「ハジメ!……私はいいから……撃って!」

 

 今度は南雲に向かって叫んだ。

 南雲でも流石に。

 

「え、いいのか?助かるわ」

 

 ドパンッ!!

 

 

……エェェェェェェーー!!

 

 

 撃った!?普通に撃ちやがったよこの人!?

 

 ユエの頭の上の花が撃ち落とされていた。

 

「ユエ!離れろ!」

 

「っ!?」

 

 私が叫ぶと同時にユエは植物女から離れる。

 

「雫!」

 

『炎の呼吸 伍ノ型』

 

『風の呼吸 捌ノ型』

 

『炎虎』

 

『初烈風斬り』

 

 私の炎の虎と雫の巨大な斬撃で切り刻んだ。植物女は傷つき、燃えながら地面に倒れ伏した。

 

「ユエ、無事か?違和感とかないか?」

 

 ユエの安否を確認する南雲。だが、ユエは頭をさすりながらジトッとした目で南雲を睨む。

 

「……撃った」

 

「あ?そりゃ撃っていいって言うから」

 

「……躊躇わなかった……」

 

「そりゃあ、最終的に撃つ気だったし。狙い撃つ自信はあったんだけどな、流石に問答無用で撃ったらユエがヘソ曲げそうだし、今後のためにならんだろうと配慮したんだぞ?」

 

「……ちょっと頭皮、削れた……かも……」

 

「まぁ、それくらいすぐ再生するだろ?問題なし」

 

「うぅ〜……」

 

「「……」」

 

 見ていた私と雫は互いに顔を合わせ……

 

「「はぁ〜」」

 

 ため息を吐いた。もう呆れて何も言えないよ。

 

 

 

 

 

 そんな事もあって私達は大迷宮を進み、遂に百層目に到達した。

 進むと、巨大な扉を見つけた。

 

「……これはまた凄いな。もしかして……」

 

「……反逆者の住処?」

 

 確かに如何にもラスボスの部屋って感じだ。冷や汗がとまらねぇ。見ると雫もどこか緊張してるって感じだ。

 

「ハッ、だったら最高じゃねぇか。ようやくゴールに辿り着いたってことだろ?」

 

 この状況でよくそんな事言えるな南雲は。

 

「……んっ!」

 

 ユエは覚悟決めたようだ。

 ここまで来たらやるしかねぇ!覚悟決めて扉に向かう。

 しかし、扉の前に行こうと最後の柱の間を超えた瞬間、扉と私達の間三十メートル程の空間に巨大な魔法陣が出現し、そこから六つの頭と長い首、鋭い牙と赤黒い眼の化け物が現れた。

 

 あれは……

 

 

 

 ヒュドラ?

 




宇髄天元、まきを、須磨、雛鶴、登場。

「ハジメの奴、普通撃つか?あそこで?俺でもあそこまで派手にしねぇよ」

「「「天元様」」」

「と、ここでコソコソ噂話。ユエは焔と雫の血を吸う事もある。ハジメの方が極上だが、二人のは普通の味らしい」

「ところでこの小説で俺の継子はまだ出ねぇのか?」

「まだ先のようです」

「早く出してくれよ。俺が派手に育てたんだからよ」

「「「「次回、ヒュドラ!」」」」

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