アースラ内部。
一人の少年がとぼとぼと杖を突きながら歩いている。
初めて入るアースラ。
しかしそこをゆっくり巡回する暇もなく、魔力量など検査を行われたのだ。
その間に、魔法について説明されたのだが....。
「急に自然摂理や物理法則、プログラム化して書き換えて作用に変えるとか難しいこと言われても分からんわ。もう頭パンパンなんだけど。」
疲れた顔をして歩くユーリ。
船員の説明が専門的だったことから理解が追いつかなかったのだ。
ユーリからすれば、もっと噛み砕いた説明をして欲しい物だ。
そう思って歩いていると、目の前に金髪の少女?が歩いているのが見える。
あれは...ユーノさんだったか。
それにしてもこんな場所で何してるんだろう?
そう思っていると、彼はどこかに入ろうとする。
見ると、そこは青い人間のシルエットがある。
...つまり、男子トイレだった。
「ユーノさん!」
俺が慌てて名前を呼ぶと、ユーノさんは振り返って俺に笑顔を見せる。
「あれ、ユーリ君。検査終わったんだ。お疲れ様。」
....可愛いな。
今日出会ったばかりだが、改めてそう思う。
ちょっと目を逸らしてしまった。
僕とかボーイッシュな振る舞いをしているが、美少女が隠しきれていない。
なんとなくだが、俺には分かった。
まぁそんなことよりも。
「あ、ありがとうございます。....その、ユーノさん。そこは男子トイレですよ?」
間違えていますよと遠回しに告げるも、ユーノさんは首を傾げる。
とにかく可愛いのやめろ。
「え....うん。そうだけど。」
本当に自分が入ることの問題性が分かっていないのか、それとも確信犯なのか。
こんなに心がざわざわってなる瞬間があるのか。
杖に振り回されて高所に連れていかれたよりもスリリングな気がするぞ、これは。
しかし...やはりここはちゃんと言うべきであろう。
ユーノさんがなぜ男子トイレに入ろうとしたのか分からない。
もしかしたら何かしら重い事情があるのかもしれない。
でも男子は男子トイレ、女子は女子トイレ。
分けられているなら従うべきだ。
というよりなんで俺が態々こんなことを言わなきゃいけないのだろうか。
普通そういう常識はその歳であれば培われて然るべきだろう。
そう思うと、ハッとする。
考えてみればこの世界には魔法がある。
それにこの世界とは違う別の世界があるような口ぶりでもあった。
ならばそういうのが分かれていない文化の所から来たのではないだろうか?
いや、それならば誰か教えるべき...てか、一度間違えているユーノさんを見て誰か教えるはずだ。
いや、もしかしてわざと教えてないのか?
....彼女の背景は中々闇が深そうだ。
「あの....色々あると思うんでしょうし、教えてもらわなかったのかもしれないけど....男の人は男子トイレ、女の人は女性トイレに入るものですよ?そのっ...だからユーノさんは正しくは女子トイレで....」
そう言うと彼女は一瞬ぽかんとした顔をする。
そしてその後に俺の言っている意味を理解したのか何故か顔を赤くする。
「き、君!もしかして僕の事...女だと思っているのかい!?」
....いや、そんな反応されてもなぁ。
「どう見ても女の子じゃないですか。」
確かにボーイッシュだが、男の子っぽい服装している美少女だ。
俺には分かる。
そもそも服装で判断するのは、昨今のユニセックスなどそういう壁が取っ払われ始めている世において、あまり当てにならない指標だ。
そう言うと彼女は俺の肩を掴む。
「ぼ、僕は男だよ!!」
またまたぁ...マジ?
いやどう見ても女の子だし....。
「こんな可愛い子が男のわけないだろ!いい加減にしろ!!」
「かっ、かわっ!?君は自分が一体何を言ってるのか分かっているのか!?ちょっと...もう我慢できそうにないし、退いてよ!!」
どことなく内股になっているのはそういうことか。
だが、俺にはどうしても目の前の相手が男とは思えない。
何か....何かが間違っている。
しかし、トイレの前で立ち往生しているのも人の迷惑だ。
なにより目の前のユーノさんが我慢が出来そうにないという。
...いや、目の前のユーノさんが男かどうか簡単に分かる方法がある!
俺は考えこむのをやめて、ユーリさんの目を真っ直ぐに見据える。
「もし本当に男であるなら...俺が居てもトイレが出来る。連れション出来るはず、ですよね!!」
「...当たり前じゃないか。もう勝手にしなよ...。」
ジト目で俺を見つつ、そう言って男子トイレに入るユーノさん。
え...マジで。
俺は引き下がると思っていたからこそ、動揺する。
しかし、言った手前だ。
後を追うようにトイレに入っていった。
「...分かったでしょ。僕が男だって。」
どこか恥ずかしそうにしつつも、頬を膨らましてこちらをジト目で見るユーノさん。
俺はただユーノさんに万感の思いを込めて頭を下げ、言葉を絞り出す。
「本当....すいませんでした......。」
いや...見たけどさ。
普通に男やったわ。
一人でなんか色々考えて、馬鹿な事を口走っていたと思うと顔に火が昇るくらい恥ずかしい。
それほどまでに目の前の少年が少女にしか見えなかったのだ。
俺の目は節穴だった
何が俺には分かるだ、何もわかってねぇじゃねぇか...。
「...まぁ、分かれば良いよ分かれば。まったく...僕のどこが女の子に見えるって言うんだ。失礼しちゃうよ....。」
見た目が...いややめておこう。
男なのに女だと思われていたなんて知ったらショックだったに違いない。
本当に申し訳ない事をした。
すると向こうからクロノ兄貴とアルフさんが歩いてくる。
「遅いぞユーノ。...ユーリも居たのか。」
「...なに、その感じ。何かあったのかい...変な感じだけど。」
アルフさんは目敏く俺とユーノさんの間に流れていた気まずい空気を察する。
この人....なんて勘の鋭さだ!
流石頭に獣耳が付いているだけある。
野生の勘というものだろうか?
「う、ううん。なんでもないよ。ごめん、ユーリ君がトイレの場所が分からない様子だったから案内してたら遅くなっちゃった。」
ユーノさんは人好きのするような笑みを浮かべつつ、あくまで本当のことは言わない。
ユーノさん....俺の失敗を黙っててくれるのか。
この人めっちゃくちゃ良い人じゃん!
今日初めて会ったけど一気に尊敬する人になったわ。
ありがとう...ありがとうユーノさん!
俺がユーノさんを見ると、不意に彼と目が合う。
すると彼はふいっと目を逸らした。
どうやら...まだ気にしているらしい。
男だと分かっているのに可愛いと思わせられるのは凄いと言わざるを得ない。
まぁ、もう心の中で留めておくが。
そして、クロノは俺を見ると口を開く。
「それじゃあ..ユーリも来るか?今からなのはの様子を見に行くのだが。」
「あっ、同行します。」
俺は首を縦に振るう。
すると、クロノ兄貴はそうかと一言言うと歩き出す。
俺達はその後について行く。
「そういえば...ユーリにはまだ状況の説明をしていないか。」
「それならフェイトやなのはに説明する時に一緒で良いんじゃないか?」
アルフさんとクロノさんが話している。
状況....もしかして敵のことについて教えてくれるんだろうか。
その...ヴォルなんちゃらって奴ら。
「ユーノさんは、クロノ兄貴が話している今の状況って奴、知っていますか。」
「...知っているよ。さっきクロノから聞いたから。」
ちゃんと答えてはくれるがどことなく受け答えが冷たい。
最初のフレンドリーさが少し薄れている気がする。
悲しいなぁ....。
なんかここで俺だけ知らないのも疎外感を感じてしまう。
こそっと概要だけでも今の内にユーノさんから教えてもらえないだろうか。
そう思って彼との距離を詰めたちょうどその時、目の前に医務室が見えてくる。
そしてクロノ兄貴は扉を開ける。
彼等が中に入る中、俺もその後について行って中に入っていく。
部屋の中では既になのはさんは起きていて、フェイトさんと談笑していた。
安心しきったフェイトさんの顔。
その表情から彼女にとってなのはさんがどれほど大事な存在か窺える。
なんかいい雰囲気だぁ....。
「失礼する。」
「あっ、クロノ君、アルフさん、ユーノ君!!...とユーリ君も居るんだ!なんで!?」
なのはさんが俺達を見て、嬉しそうに声を上げる。
なんだ....結構な物言いじゃないか。
俺は居てはいけないのだろうか...。
そう思っていると、クロノ兄貴が口を開く。
「彼もなのはが倒れた後に色々あって戦闘に関与したからな。それに....今回の案件は彼にとっても関係のある物だ。」
そういうクロノ君。
そういえば俺が杖から引っ張り出された時には既になのはさんは墜ちていた。
だから知らないのだろう。
しかし、俺に関係しているとはどういうことか....。
もしやデバイスが事前に知識があったのと何か関係があるのだろうか?
そう考えていると、彼女は俺を見て顔を曇らせる。
「そっか...ユーリ君も。戦わないで済むならってそう思ってたんだけどな....。」
そう言うなのはさん。
彼女も巻き込まれるような形で魔導師になったのだと聞いたことがある。
だからこそ、戦ってほしくなかったのだろうか?
彼女も、俺のことを考えてくれていたのだと分かる。
「とにかく、今は今回起きたことについて説明が優先だ。今回、君たちを襲った魔導師たちはヴォルケンリッターと呼ばれる闇の書に生み出された存在だ。闇の書とは関連する一連の事件、そしてその中心となるロストロギアの名称だ。転生機能と無限再生能力を持つ破壊不可能な融合型デバイス。質の悪いことに他者のリンカーコアを喰らって頁を埋めることで力を解き放つ。....まさに最悪の遺産だよ。」
リンカーコア?
なんだろう。
なんか魔法についての説明の時に聞いたような.....
俺が頭を捻っていると、なのはさんが青い顔をする。
「リンカーコアを...喰らう....」
えっ、何。
そんな深刻なことなのだろうか。
なのはさんの呟きを聞いて、クロノ兄貴は話を続ける。
「...言い方が悪かったかな。正確には蒐集するんだ。闇の書は魔力の源であるリンカーコアから魔力を蒐集する能力を持つ。なのはがされた奴だ。そして蒐集した魔力が多ければ多い程頁も多く復元される。...なのはから魔力を取ったんだ。今回で少なくとも数ページは埋まったんじゃないかと推測される。」
....あれ?
結局どういうことだろうか?
リンカーコア、そこから魔力を蒐集するって形か?
いや、でもそれなら魔法は使えない....?
でも、魔力を蒐集するって言ってるしなぁ。
「つ、つまりどういうこと....なのはさんは大丈夫なのか?」
俺がおずおずと言うと、なのはさんは笑う。
「私は、リンカーコアが回復するまで魔法は使えないけど、私生活には支障はないみたいだし...うん、大丈夫!」
笑顔で俺にそう言い放つなのはさん。
はえ~、リンカーコアって回復する物なのか。
知らなかった。
そもそもどんなものなのかよく分かっていないが。
「魔導師が持っている魔力を貯め込むための器官だよ。....魔法についての説明で一緒に説明されたでしょ?」
「はえ~なるほど.....」
ユーノさんが俺に小さな声で教えてくれる。
呆れ顔であるとはいえ、ありがたい。
なるほど、魔力を貯蔵庫みたいなものか。
人体の器官であれば回復してもおかしくはないな...多分。
俺の間の抜けた返事を聞いて、クロノが口を開いた。
「...もう少し緊張感を持ってもらいたいな。リンカーコアを持つ君にとっても関係のある話なのだから。」
「え?俺にもリンカーコアってあるのか?....そうか、俺にも....。」
...考えてみれば説明してくれた人が魔法を使うにはリンカーコアが必要みたいなこと言ってたような。
デバイスが主体とはいえ、魔法を使っていたのだ。
ならば確かにリンカーコアを持っていたとしてもおかしくはない。
クロノ兄貴は俺の目を真っ直ぐ見つめる。
「君の魔力量はなのはやフェイト、僕とユーノと比べると低いが、一般の武装隊員以上の魔力量がある。彼らに狙われてもおかしくない。...こちらも君の安全という面を配慮するが、何が起こるか分からない。もしもの時の為にも君には自分の身はある程度自分で守れるようになってもらう。」
「それって....魔法を教えるってこと?」
俺が問うと、クロノ兄貴は頷く。
「まぁそれ以外にも戦い方だったりもだ....付け焼刃であっても、今みたいに何も知らないよりはマシだからな。それに....デバイスの主導とはいえ、魔法を行使した君には難しい話でもないはずだ。」
そんなものなのだろうか?
俺が首を傾げるとなのはさんが頷く。
「最初からある程度魔法が使えたなら、練習すればすぐある程度戦えるようになるよ!私もそうだったし。」
「...なのははかなり早い部類だと思うけどね。」
ユーノが苦笑いを浮かべている。
フェイトさんは俺を見る。
「時間があったら...色々、教えてあげるよ。私、お姉ちゃんだしね....!」
「へぇ...よかったじゃん。フェイトに教えてもらうなんて中々ないぞ。まぁ、フェイトの使う魔法と同じ奴使ってたしな。いけるんじゃない?」
何故かはりきるフェイトさんを他所に、アルフさんは肩を叩く。
なんだろう...なんか凄い期待を寄せられている気がする。
それに、あの杖が使っていた魔法はフェイトさんの魔法と同じものだったのか。
でも、俺はアレを自分で使えるわけではないのだが。
「それで闇の書の話に戻るけど、それって全ての頁が埋まったらどうなるの?」
なのはさんはクロノ兄貴に向き直り、質問する。
すると彼は答える。
「過去の記録では一つも例外なく暴走している。原因は分からない。...だけど、分かっていることもある。」
クロノの表情が深い怒りと悲しみで染まる。
「絶対に完成させちゃいけないってことだ。アレが完成してしまえば、多くの人の命が犠牲になってしまう。」
するとユーノさんも口を開く。
「僕たちのやるべきことは闇の書の持ち主の確保と闇の書自体の封印。でもそれにはヴォルケンリッターの妨害が必ず入るだろうね。」
つまりはヴォルケンリッターを倒して持ち主を捕まえれば良いという事だろうか。
持ち主を捕まえれば自ずと闇の書も手に入るだろうしな。
名前的に本だろうし。
「それにしても、ヴォルケンリッターが使ってた魔法、あれはなんなんだい?フェイトやなのはの魔法とは形式が違っていたけど。」
アルフさんはそう尋ねる。
何か相手の魔法で気にかかる点があるのだろうか?
思えば俺は相手が魔法を使う瞬間を見ていない。
そう言う意味では同じ情報を共有出来ていないのだ。
アルフさんの質問にユーノさんが答える。
「あの魔法はベルカ式と言ってなのは達が使うミッドチルダ式とは勢力を分けた魔法体系なんだ。遠距離や広域攻撃ではなく、対人戦に特化した運用の戦闘魔法なんだ。圧縮魔力をカートリッジに込めて、武器内で炸裂。そうすることで瞬間的に魔力と破壊力を発揮する危険な技術だよ。」
へー。
素人の俺にはミッドチルダ式との違いが分からないが、要するに脳筋魔法ということだろうか。
遠距離や広域攻撃こそ魔法って感じがするしな。
どんな魔法か想像つかない。
もしかしてアレか?
前にはやてにやらせてもらったドラ〇エのバイキルトみたいな物だろうか。
...バイキルトしか使えない魔法使いってなんかしょぼくね?
見た目騎士の人とか居たし、案外魔法はフレーバーで腕っぷしが強いのかもしれない。
正直かなり失礼なことを考えている自覚はある。
そう思っていると、フェイトさんが口を開く。
「だからバルディッシュがあんなことになったんだ...。」
「レイジングハート....。」
二人は何かを心配している。
「....ごめんね。私の力不足で.....。」
「いっぱい頑張ってくれてありがとね....。」
二人はねぎらいの言葉を発する。
...もしかしてデバイスだろうか。
そう言えばアースラの人が再分析してくれるらしいから棒切れを預けたが、そこに二人の杖が一部損壊した状態であったのを思い出す。
もしそうならカッコいい名前付けられているなぁ。
普通そうなのかな?
そりゃ棒切れって名前を付けたら嫌がるはずだ。
まぁ今は名前を思い浮かばないし、それで呼ばせてもらうが。
なんなら他の人に付けてもらった方が良いかもしれないな。
そう思っていると、クロノ兄貴が口を開いた。
「さて、ここまで話したところで突然で悪いのだが君達には会ってもらいたい人が居る。別部屋で待たせているから。フェイトにとっては保護観察官である人だよ。」
そう言って彼は部屋の外に出るように促した。
「このお方が時空管理局歴戦の勇士にして僕の恩師、ギル・グレアム提督だ。」
別部屋に移るとそこには白髪の威厳溢れるおじさまが居た。
クロノ兄貴が勇士とか恩師とか言っていたから結構凄い人なのだろう。
なのははグレアムさんに対して頭を下げる。
「初めまして、高町なのはです。」
彼女がそう言うと、にこやかに笑いつつも貫禄のある様子で返事する。
「初めまして、私がギル・グレアムだ。君がなのはちゃんか。話は聞いているとも。私も実は君と同じく地球出身なんだ。」
「そ、そうなんですか!」
「あぁ。ごく稀ではあるが、私たちのようなケースもあるんだ。」
意外な共通点に驚くなのは。
...そう考えると、俺はどこ出身なんだろ。
というよりも、やはり地球でなのはや目の前の人のように魔法が使える人は稀らしい。
そうなると、俺はミッドチルダ?出身だろうか。
これから魔法を知ると言う俺が何故こんなガチッぽい所に居るかよく分からないが挨拶は大事だよな!
人付き合いの基本だもん。
挨拶しとこ。
「初めまして、ユーリ・ハラオウンです。」
俺が挨拶すると、グレアムさんが憐れむような目を一瞬見せる。
「君がユーリ君か...。君の事も聞いていた。自分がどういう人間か分からないらしいね。...余計なお世話かもしれないが、君がどうしても昔の自分がどんな人間か気になるのなら思い出そうとするのをやめないでくれ。諦めなければきっと道を拓ける。そのはずだ....。」
グレアムさんの両眼を見据える。
その目は俺を見ているようで、俺とは別の何かを見ているような、そんな哀愁を伺わせた。
「は、はぁ.....。」
ただよく分からなくて生返事する。
もっと大人になったら深く理解できるのだろうか。
正直、昔の事が気になる時もあるが今で手一杯で長々と考える機会が最近なかったなぁ。
今度、もっとしっかりと考える時間を作ってみるか。
そう考えていると、俺となのはさんと入れ替わりにクロノ兄貴とフェイトさんが前に出る。
二人はどこか緊張している。
フェイトさんにとっては保護観察官、クロノ兄貴にしてみれば恩師であるからそりゃ緊張するわけだ。
「グレアム提督、闇の書が復活しました。そしてこの案件を僕たちが担当することになります。」
クロノ兄貴がそう言うと、グレアムさんは厳粛に頷く。
クロノ兄貴を見ている目はやはり俺の時のように何かを見ていた。
「そうか...闇の書が。....自分が言えた義理ではない。..だが、無茶はするなよ。」
「...はい!!!!」
その言葉にしっかりと頷くクロノ兄貴。
するとフェイトさんも口を開く。
「グレアムさん。私も今回の闇の書の件、加わりたいと思います。」
彼女がそう言うと、彼は彼女に対して口を開いた。
「良いだろう。自分を信じてくれる人は決して裏切ってはいけない。その条件を守れるのであれば君の行動を制限しないと約束しよう。」
「有難うございます!!」
フェイトさんは頭を下げる。
かくして、闇の書事件における方針が決められたのだった。
グレアムさんとの面会を済ませた後に、俺となのはさんは休憩室で飲み物を飲んでいる。
どうやらフェイトさんとクロノ兄貴はグレアムさんと話をする必要があるらしく、ユーノさん達も何か調べることがあるなどそれぞれ色々あるらしい。
ちなみにアルフさんはフェイトについているらしい。
飼い犬らしいし、一緒に居るのだろうか。
なんか変な意味にも聞こえるし、飼い犬呼びはやめておこう。
時間も普通に遅い。
そろそろなのはさんも帰ることになるだろう。
正直、俺は保護者がリンディさんなんで帰る必要もないのだが。
艦内を杖で歩き回るのは少し疲れたなぁ....。
でもまぁリハビリとかあるし、病院に戻されるのだろう。
....そう言えば、俺確か風呂で看護師に呼ばれていたな。
てか、なんならアレじゃん。
窓ぶち破って出てるじゃん。
もし探しに行って看護師さんがその惨状を見ればどう思うか。
...最悪身投げに勘違いされそうである。
やばい。
やばいぞ....かなり面倒なことになった。
あのクソデバイスなんてもの残していきやがったんだ。
どうしよう...窓も割っているし、なんて言い訳しよう。
ワンチャン子供一人の頭を床に擦り付ければなんとか....ならないよなぁ。
背筋が冷たくなって、冷や汗が背を伝うのがありありと分かる。
「グレアムさん、威厳があって良い人そうだったね...ねぇ、大丈夫!?凄い顔色だよ!!」
「あぁ...ああ。うん。多分....。」
俺が生返事するも、彼女は更に食いついていく。
「どうみても大丈夫じゃないよ!どうしたの!?」
「...杖に引かれて現場に行くときさ、窓ガラスをぶち抜いちゃって....。」
そう言うと彼女は「あっ....」と言った表情になる。
しかしすぐに朗らかな笑顔を浮かべて俺の背中を撫でてくれた。
「だ、大丈夫だよ!きっとリンディさんが色々取り計らってくれているよ。」
「そうかなぁ.....。」
「そうだよ!信じよう?ユーリ君のお母さんなんだから!」
そうか。
確かにあの人は現状俺の身元請負人であるのだから母に当たる人なのだ。
それなら信じるしかないよな!
「そっかぁ....いや、そうだよ。きっとなんとかしてくれてる。俺、信じるよ!」
「うん、その意気だよ!」
そうしてなのはさんは帰る時間になるまで俺の相手をしてくれていた。
こうしてみると、姉のようだし、俺にも気を配ってくれる辺りフェイトさんにそっくりだと思った。
金髪男の娘ショタに嫌な顔されながらパンツ見せてもらいたいです。
なので前半は性癖が結構出ちゃってますね。
ユーノ君は可愛い。
つまり男の娘ユーノ君相手ならBLじゃないんだ(錯乱)
がわ”い”い”な”ぁ”ユ”ー”ノぐん”....(ニチャァ)
主人公の魔導師ランクはBです。
なのはやフェイト、ユーノやクロノなど主要キャラA以上が大半なんで、それと比べると劣ってますね。
ただ一般の武装局員は平均C~Dらしいし、それよりは高いですけどね。