大自然が遣わした正義の使者は異世界最強   作:Hetzer愛好家

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アレルギーで咳が出まくって喉が潰れたのでタイトル通りため息が量産されています()
ちなみに駅でも咳をし過ぎて駅員さんにドナドナされて熱を計測されました。皆さんも公共の場での咳き込みはお気を付けて()

※また話数の表記間違えた(アホ)


第十話 量産されるため息

一行はその後、お通夜のような雰囲気で下へ下へと降りていく。

 

時折ハジメが不機嫌そうな顔で現れた魔物を駆逐してしまい、メルドからは「成長したなあ!」と褒められる一方で、他の生徒達からの反感は増している。

 

それもそのはず、今のハジメは光輝と力量はほぼ同じかそれ以上だ。つまり、ハジメは生徒内ではNo.1かNo.2の立ち位置である。つい先日までは見下していたハジメが突然とんでもない力を手にしていたという事に、困惑と嫉妬が隠せないのであろう。

 

当のハジメは、もう慣れてしまったのか特に気にしている様子もない。自分の出番が回ってくる度に新しいカセットアームを試し、その使い心地がどんな物か調べている。

 

そんなこんなで俺達は、本日最後の階層である二十階層に辿り着いた。どうやらこの階層を突破出来るか否かで一流の冒険者かどうかが決まるようだ。

 

俺はメルドのすぐ後ろにハジメパーティーを引き連れて、狭い通路を進んでいた。地形的には鍾乳洞だ。魔物を取り囲めるような場所ではない。となると、最前列の俺が索敵を厳かにしなければならないだろう。

 

「メルド。この階層の魔物は?」

「ロックマウントという奴だな。カメレオンとゴリラを混ぜたような魔物だ」

「カメレオン、ね。 ……お、見つけた」

 

仮面を被っているためか、俺の目はすぐに壁に擬態しているロックマウントを見つけてしまった。俺はおもむろにしゃがみ込み、手頃な石を拾う。

 

ハジメ達には戦闘準備をしろとだけ伝え、俺は石ころを思いっきり壁目がけて投擲した。

 

すると……

 

「グゥガアアアア!?」

「お、当たった」

 

壁と同化していたロックマウントの体は、今は褐色となり、二本足で立ち上がる。そして目に命中したであろう石ころの痛みで悶絶している。

 

ロックマウントの悲鳴に合わせて他の場所に擬態していたロックマウントも姿を現した。

 

「ロックマウントだ! 二本の腕に注意しろ! 豪腕だぞ!」

 

メルドの声が響く。

 

俺はハジメを引き連れながら恵里と幸利に援護を頼み、一気に突撃していった。この間他の生徒達は唖然としている。俺達の行動が異常に早かっただけだが。

 

横幅が狭い通路での戦いなので、魔物を取り囲んでリンチにする事は不可能だ。しかし、だ。縦にはどうか? という面まで目が行けばこの戦闘もかなり楽になる。

 

「〝ロープアーム〟!」

 

その事をハジメも分かっているのだろう。真っ先にロープアームで天井付近まで上昇すると、同時に跳び上がっていたロックマウントを蹴り飛ばして地面に叩き落とす。

 

ハジメがヒョイヒョイと上を移動してロックマウントを撹乱している間に、俺は懐に潜り込んで一匹一撃で息の根を止めていく。

 

時折弱めに蹴って恵里と幸利の方向へ飛ばせば、非常に効率良く恵里はロックマウントを焼き尽くし、幸利は闇属性魔法で暗闇を瞬間的に作って目潰しをしてから第二に適性のある水属性魔法を叩き込む。

 

堪らずロックマウントは傍らにあった岩石を掴んで砲丸投げのフォームでぶん投げ、後方で待機している生徒達目がけて投擲した。

 

すぐに打ち落とそうと俺は壁を蹴ろうとしたが、それよりも早くハジメが動いた。

 

俺もハジメも、何故動こうとしたのか。その理由はロックマウントが投げた岩石にある。いや、岩石というよりは“岩石に擬態したロックマウント”とでも言うべきか?

 

兎に角、投げられたロックマウントは空中で見事な一回転をすると両腕を広げて恵里達の方へダイブしていった。なんだか目が血走って鼻息も荒い気がする。主に女子生徒が顔を引き攣らせて硬直しているのも無理はないだろう。

 

「〝ガトリングアーム〟! 恵里、下がれ!!」

「は、ハジメっ」

「ッ、此処に闇を求める――〝暗転〟」

「ナイスだ幸利! さあ、落ちろぉ!!」

 

キイィィィィィィィィィイイ!!!

 

悪魔の笑い声のような射撃音。彼の右腕は、凶悪なフォルムのガトリングガンへと変わっていた。どうやらあれは世界最強とも悪名高いガトリングガンである“GAU-8アヴェンジャー”を参考にしているらしい。マシンガンアームとは違ってミサイルを装填出来ないが、破壊力は折り紙付き……だそうだ。

 

いくら恵里を守るためとはいえ、少し過剰防衛ではないのだろうか……なんていう事を考えつつ、飛来してきた跳弾を蹴って後方待機していたロックマウントに当てる。

 

「恵里、大丈夫だった?」

「う、うん。怖かったけど……」

「幸利、ナイスアシスト。目眩ましをしてくれた御蔭で助かったよ」

「ハジメがあんな武器出すから一瞬反応遅れたけどな。助けになったら良かった」

「白崎さん達も大丈夫? 顔が青褪めているけど……」

「あ、ありがとう。大丈夫、だよ?」

「貴様……よくも香織達を……許さない!」

「「「「え?」」」」

 

……どうやら、光輝がまた何かを勘違いしたらしい。振り返らずとも、ハジメ達の間の抜けた声から察することが出来る。

 

仮面の中で深く、それはもう深くため息をついた。彼のご都合主義的な脳味噌では俺の言葉も届いていなかったらしい。もう少し客観的に物事を見てほしいと切に願う。

 

チラッと背中側を見れば、光輝の持つ聖剣が彼の怒りに呼応するように輝いていた。此処は狭い空間であり、彼がこれから出そうとしているような大技を繰り出せば空間その物が大崩れする可能性がある。

 

「万翔羽ばたき、天へと至れ――〝天翔閃〟!」

「あっ、こら、馬鹿者!」

 

メルドの声を無視して、光輝は大上段に振りかぶった聖剣を一気に振り下ろした。その瞬間、詠唱により強烈な光を纏っていた聖剣から、その光自体が斬撃となって放たれた。

 

まあ、別にロックマウントを殲滅しようという心意気は悪くない。問題なのは、射線上に味方が居るというのにそれ諸共殺そうとしている事だ。

 

「……タイフーン、呑み込め」

 

とはいえその力を有効活用しない手はない。後ろに流れてしまいそうな余剰エネルギーは全て拳打の風圧で掻き消し、正面から彼の攻撃を受けることにした。

 

光輝の攻撃で巻き起こった爆風は、周囲の壁を滅茶苦茶に破壊していくがタイフーンはそんなこと気にも留めずに回転する。

 

複眼が紅く光り、体の節々から蒸気が立ち上ったのを確認した俺は一気に踏み込んで最前列に立っていたロックマウントに渾身の正拳を突き出す。

 

――ライダーパンチ

 

ズドン! と大砲の発砲音のような轟音が鳴り響き、ロックマウントは後続に控えていた奴ら諸共吹き飛んだ。ロックマウント同士が激突したぐらいでは勢いが収まらず、最終的には最奥の壁を木っ端微塵に破壊するにまで至った。

 

俺は変身を解いてため息をつく。

 

「はあ……やれやれ」

「せ、先生!? そこに居たんですかへぶぅ!?」

「この馬鹿者が。気持ちはわかるがな、こんな狭いところで使う技じゃないだろうが! 崩落でもしたらどうすんだ!」

「うっ」

「というか、周りを良く確認しろ。一応俺が最前線で戦っていたのは見てたはずだが? それとも俺を殺そうと思ったのか?」

「ち、違います! 俺はロックマウントを倒そうとっ!」

 

彼の言い分を聞いた感じだと、光輝はついカッとしてあれだけの攻撃をしようとしたらしい。目の前に、同胞の仲間が戦っていたにも拘わらず、というのが気に入らないが。

 

もしかしたら、口にしてないだけで光輝は俺に怒鳴られた事が気に入らないのかもしれない。

 

なんにせよ、このまま彼が突き進んでは危険だろう。メルドの今後に期待である。

 

そんな時である。ふと香織が崩れた壁の方に視線を向けた。何事かと思って俺も目を向ける。そこには、キラキラと青白く輝く水晶のような物が花の形となって鎮座していた。

 

「あれ、何でしょうね。綺麗ですけど……」

「ほぉ~、あれはグランツ鉱石だな。大きさも中々だ。珍しい」

「「グランツ鉱石?」」

「あれは宝石の原石だ。荒削りの時点で彼処まで綺麗に輝くもんだから、ご令嬢へのプレゼントには持ってこいなんだよ。求婚の際に使われることも多いらしいな」

 

元の世界で言う結婚指輪に使われることもあるというグランツ鉱石。生徒達は、特に女子生徒達は食い入るように鉱石を見つめている。

 

ハジメは恵里に「綺麗なアクセサリーってやっぱり気になるの?」と話しており、クラス内では隠れカレカノとして有名な野村健太郎と辻綾子はチラチラとお互いを見ては頷き合っている。

 

「素敵……」

 

メルドからの説明を聞いてウットリとしている香織に、俺は日頃の感謝として何かアクセサリーを送るのもアリかもしれない。そんなことを考える。

 

が、思案に暮れていた俺は唐突に動き出した生徒を捕まえる事は出来なかった。俺が異常事態に気がついたのは、動き出した生徒が走りながら声を発してからである。

 

「だったら俺達で回収しようぜ!」

「そうだな。香織もあんなに欲しがってるし」

 

動いたのは檜山と光輝だった。二人はグランツ鉱石に向けてヒョイヒョイと崩れた壁を登っていく。それに慌てたのはメルドである。

 

「こら! 勝手なことをするな! 安全確認もまだなんだぞ!」

 

しかし、檜山は聞こえないふりをして、とうとう鉱石の場所に辿り着いてしまった。二人が普通なら聞こえない声で「うるせえなあ」とか「別に大丈夫だろ」という声を聞いて俺も二人を止めるために動こうとする。

 

が、俺の動こうとした体は一人の騎士団が発した言葉によって硬直してしまった。

 

「団長! トラップです!」

「ッ!?」

「なにっ!?」

 

その言葉も、どうやら遅かったらしい。檜山と光輝がグランツ鉱石に触れた途端、眩い光に包まれた魔法陣が現れた。魔法陣はあっという間に部屋全体へ広がり、あの日と同じように光を増していく。

 

「撤退しろ!」というメルドの声虚しく、俺達の視界は白一色に染め上げられた。一瞬の浮遊感の後、ドスンと地面に叩き付けられる。

 

「くそっ。皆、大丈夫……だな。それよりも早く撤退をっ」

 

どうやら転移をしたらしく、先ほどの狭い空間は微塵も見当たらない。代わりに、手すりのない石造りの大橋の上に俺達は立っている。

 

天井も高く、奥行きもかなりある。随分とだだっ広い空間だ。橋の下は川など流れておらず、奈落の底といった様子である。

 

そして上へ行ける階段の近くには幾つもの魔法陣が設置してあり、その反対側には一際大きな魔法陣が構えてある。どうやら撤退する事もすぐには出来ないらしい。

 

その証拠として、幾つもの魔法陣からは大量の骸骨が出現し、大きな魔法陣からはトリケラトプスのような生き物が出現した。更に、メルドの絶望したかのような声が決め手となったのだ。

 

――まさか……ベヒモス……なのか……

 

という、絶望に染まった声が。

 




次回はベヒモスです。次々と仮面ライダーの技を出していくつもりの回でもあるのでお楽しみに!

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