大自然が遣わした正義の使者は異世界最強 作:Hetzer愛好家
猛さんをハーレムさせるならユエとティオ辺りも候補に挙がりますが、如何せん恋愛感情は封印している猛さんですので如何したものかなと()
「シアね。オーケー、覚えたよ」
「あの、貴方の名前は……」
「本郷猛。短い間だが、以後お見知り置きを」
シアとの話を一度切り上げ、俺は周囲に視線を巡らせる。改造人間として強化された聴覚と戦闘経験から鍛えられた第六感が、半径十メートル以内に敵が居ることを捕捉したのである。
仮面を被り、普通の人間なら卒倒するレベルの殺気を振り撒きながら敵を探す。
……あ、シアが気絶した。うん、香織はシアの保護を頼む。
俺の殺気を感じ取ったのか、近くに居た幸利も仮面を被り、狙撃銃剣の引き金に指をかけて何時でも撃てるようにしている。
足音は一つ。鼓動音も一人分。徐々に、この部屋に近付いてきている。
「……幸利。お前から見て後方斜め20°の位置だ。部屋に入った瞬間に狙撃してバックステップで後退しろ」
「うっす。改造人間っすか?」
「だな。鳴き声からして蠍男だ。どうやら怪人は量産されているらしい」
「再生怪人ではないんですかね。まあ、二度目の会敵なら何とかなりますよ」
そこで会話は途切れる。あと数メートルの距離だ。俺は拳を握る。
幸利は腰を落とし、反動の少ない射撃体勢を取る。確実に急所を狙い撃つためなのだろう。ちなみにどの改造人間でも共通の弱点がある。それは防御力が比較的低い間接部分だ。そこを狙撃すれば、どんな改造人間でも怯む。
「……あと十秒だ」
足に力を込める。更にタイフーンに蓄えたエネルギーを少し解放する。一撃で敵を殺し、急速離脱しなければ危険が伴う。落ち着け。落ち着け。
誰の耳にもコツコツと足音が聞こえ始めた。俺は天井まで跳び上がる。
そして、俺が天井を蹴った次の瞬間、蠍男が部屋に足を踏み入れた。
ドパンッ!
「ライダァァァパンチ!」
ズゴア!!
幸利の狙撃によって一歩後退った蠍男に対し、容赦なく顔面に鉄拳を叩き込んで地面の染みにする。念のために心臓付近を踏み抜き、俺は幸利と香織に「付いてこい」とだけ口にしてハジメのパワードスーツに取り付けられた無線に連絡する。
「座標を送る。基地の出口付近で合流だ」
『分かりました。ご武運を』
「そっちこそ。油断するなよ」
ハジメと恵里のコンビなら、怪人数体であれば相手する事は可能だろう。戦闘員程度なら余裕で蹴散らせるはずだ。
心配はしていないが、やはり俺は過保護。ハジメに厳しい言葉を投げかけてから無線を切った。
「イーッ。イーッ……イッ!?」
「イーッ?! イーッ……!」
シアをサイクロンに乗せ、自動運転で運びながら俺は時折現れる戦闘員をその辺の石を投げることで事前に殺す。極力目立たないように。しかし迅速に移動をした御蔭で俺達はものの三十分程で基地の出口付近に辿り着いた。
此処に来るまでの間、怪しげな施設には全て大量の手榴弾と幸利の有毒ガス爆弾を投げ入れているため俺達が立ち去ればこの基地は時間が経てば壊滅するだろう。
問題はハジメ達だが……。
「先生」
「ハジメ。問題は……なさそうだな。手持ちの手榴弾は使い切ったのか?」
「研究室や発電所に投げ込んでおきました。途中からは恵里の魔法で跡形もなく燃やしてますよ」
「……そうか。よくやった」
問題あるどころか百二十点満点超過の解答用紙を投げつけてきた。もうこの二人だけで旧ショッカーの基地を全滅させられるのではないだろうか。ビッグマシンの能力も改造人間ではないから通用しないし、案外余裕で行けたりして。
まあ、それは置いておこう。
このまま基地を立ち去るのは構わないが、階段をバイクに乗ったまま降りるのは流石に戴けない。俺はシアの頭をペシペシ叩いた。
「ほら、起きろ」
「ん、んう!? 此処は!?」
耳がキーンとする。耳元で叫ばないでくれ。改造人間だから音をより鮮明にキャッチしてしまうんだ。煩いと敵わない。
「……よく通る声だ」
「あ……す、すみません」
「……謝るなよ。怒ってないから。とりあえず階段降りるから歩いてくれ。それとも立つのは厳しそうか?」
「……厳しそうです」
「そうか。それなら俺が運ぼう」
「「え?」」
え? 香織まで反応してるのは何故? え、ちょ。そんな物欲しそうな表情しないでください。なんか父性くすぐられます。
ナズェミテルンデスゥ! とはならないが、とても居心地が悪い。勘弁して欲しい。
……うん、分かった。分かったよ。後で沢山構ってあげるから今は止めてくれ。まずはシアを休める事が出来る場所を探したいんだ。一刻も早く。
ちなみに本音を言えば、今日は怒濤の展開だったので早く休みたい。身体は疲れていないが、流石に心が疲れた。今日は怒りっぱなしだ。
「ひえっ!?」
「よっと……お前軽いな」
「あ、あああああの! これって……!」
「ん? 歩けないんだろ? それなら階段を降りるまでは運んでやるから」
所謂お姫さま抱っこ状態でシアを運ぶと、シアがもの凄く慌てふためいた。ついでに香織からの視線がより厳しくなる。
なんか下から見上げてくるシアの表情がとても可愛らしくて、俺は直視する事が出来ない。若干涙目で顔を赤らめているのだ。これで胸がドキリとしなかったら男じゃない。
何というか、シアをお姫さま抱っこするのは失敗だったかもしれない。だが、おんぶをしたら間違いなく俺の理性が飛ぶ。シアの何処とは言わないが、メロンが二つ引っ付いてるのだ。此奴は男性キラーだろうか。
とりあえず煩悩退散。俺は頭を振って階段を黙々と降りていくのだった。
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その後、俺達は警戒心マックスの状態で階層を下げていったが、ショッカーの基地らしき物は先ほどの階層で見た物以降見られなかった。
最終階層である百階層も、特に何もなかった。強いて言うなら、滞在にはもってこいの広い洞穴と更に下へ続く階段を見つけたことだ。
どうやらオルクス大迷宮は表向きは百階層で構成されているとなっているが、実際の所は百階層の後に更に百階層ほどあるらしい。
何となくだが、この下の階層にはショッカーの基地がわんさかある気がする。少なくとも半端な冒険者では百階層すら辿り着けずに死んでしまう。人々には知られない場所になるため、基地は作り放題のはずだ。
ここまで魔物が出てこなかったのもショッカーが改造するためにこれより下の階層へ連れて行った可能性が高く、一層油断が出来ない。
ひとまずは此処で一度休憩してゆっくり体力を回復させ、今後襲ってくるであろう災難に備えるべきだ。
備えるべき、なのだが……。
「……香織、近すぎる。少し離れてくれ」
「嫌です。今夜は離れません」
「参ったな……」
そう。俺は現在、香織にガッシリとホールドされているのだ。それも正面から。
引き剥がそうにも下手な力は入れられないし、そもそも香織の髪の毛から漂ってくる女性特有の甘い匂いのせいで俺は若干骨抜き気味だ。これに柔らかい双璧が二つと来るのだから勘弁して欲しい。正直なところ理性が保たない。
いや、まあ彼女がシアに嫉妬したというなら分からない話でもない。彼女が以前零した本音を聞いてからは、殆ど確信に近い形で彼女が自分に好意を寄せていることを、自惚れでも何でもなく俺は知っている。
しかし、俺は改造人間。人間のような恋をしてみたいとは思うが、それは叶わない願いだ。改造人間は人とは違う。改造人間と普通の人間との恋が実ることは、残念ながらない。言うならば、聴覚障害者と健常者の恋愛が上手くいきにくいのと同じようなものだろう。
普通の恋愛でも必ず生まれるすれ違い。それが恒常的に起こるとなれば、難しさは倍増だ。
故に、俺は香織を傷つけないためにも気持ちは抑え込んでいる……。
「もう、シアさんばかり構って。なんか依怙贔屓してませんか?」
「してないよ。お姫さま抱っこだって彼女が歩けないから仕方なくやっただけさ」
「ううー……猛さんの優しくて紳士的な所は素晴らしいですけど、なんか複雑です」
「こら、何で複雑なんだよ」
依怙贔屓しているつもりはない。断じてない。ついでに言っておくと下心もない。神に誓ってないと言える。それでも女性は疑ってくるのだから、とても怖い。やはり怒らせたくない存在だ。
「だってえ! 猛さんって誰にでも好かれるじゃないですか! 気がついたら誰かに取られてしまいそうで怖いんです!」
「え、ああ……うん。そうか」
「好きなんですよ? 大好きなんです。でも、私が告白しても猛さんは絶対断るじゃないですか。『君を傷つけたくない』とか言って」
……見透かされている。恐ろしい。
というか、今盛大に告白されたのか? 香織さん、普通に大好きとか言ってきたぞ。どう反応すれば良いのか分からず、俺はただひたすらに眉をハの字に曲げてしまう。
別に香織の事が嫌いな訳ではない。むしろ好きな部類に入る。だが、彼女はまだ若いのだ。何も俺を選ばなくても良いと思う。もっと良い男は他に居るだろうに。
「……まあ、あれだ。香織はまだ若いじゃないか。何も早とちりする必要はないよ」
「早とちりなんかじゃないですよお! もう!」
「怒っても可愛いだけなんだよな……」
誰にも聞こえないほど小さな声でそんなことを呟く。
結局、俺は感覚的に夜になっても香織に抱き締められたままであり、満足な睡眠を取ることが出来なかった。
香織が離れた後、何故か大きな空虚感があった。
次回からがある意味で本番です。裏の大迷宮攻略に入ります。
本郷猛と結ばれて欲しい人は?
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香織&シア
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ユエ&ティオ
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雫