大自然が遣わした正義の使者は異世界最強 作:Hetzer愛好家
部活で三日で15km走れと命じられたので5km走ったら足が筋肉痛で()
一通り休憩が出来た俺達は、空腹を解決するという目的も兼ねて俺の生成した薬品を飲みながらも下の階層へ行くことにした。
百階層から階段を下りきると、目の前には石壁が現れてので問答無用で破壊すると、目前には川のような物と滝のような物が現れた。そこから更に先へ行けば、二十階層の最後の部屋によく似た通路が現れる。
ただし、大きさは比較にならない。複雑で障害物だらけでも通路の幅は優に二十メートルはある。狭い所でも十メートルはあるのだから相当な大きさだ。その代わりに隠れる場所も多い。
「………止まれ」
息を潜めながら壁伝いに歩いていたが、俺の耳に何かの気配が引っかかる。
ハジメ達を静止させ、俺は物陰から数キロ単位で物が見える目を使って索敵する。気配の正体は、案外アッサリと見つかった。
それは、まるで白ウサギのようだった。ただし中型犬ぐらいの大きさであり、やたらと後ろ足が発達している。そして何より赤黒い線がまるで血管のように幾本も体を走り、ドクンドクンと心臓のように脈打っていた。物凄く不気味である。
更に、そのウサギより数十メートルは離れた場所には二つの尻尾が生えた狼が二匹。見るからに凶暴そうである。
さあ如何するか。そんなの決まっている。俺は手頃な石をポイッとウサギの近くに投げ落とした。
「……キュキュッ!」
「敵意を向けたな。さあ……来い!」
「キュウ!」
ドパンッ! と凄まじい轟音が鳴った。そう思った次の瞬間には、咄嗟に動いた俺の右腕に衝撃が走る。
ズザーッと後ろへ強制的に下げられ、俺は思わず冷や汗をかいた。身体が勝手に動いた御蔭で怪我一つ負ってないが、さっきの一撃は通常のライダーキックの八割程度の破壊力があった。
マトモに食らいでもしたらいくら俺でもダメージは免れない。ハジメ達なら一撃で腕が持って行かれただろう。最悪の場合、肩その物が関節から吹き飛んだかもしれない。特に回転を加えないライダーキックでさえ、戦車を一撃でバラバラに粉砕する程度の威力がある。その八割程度だとしても、油断は一切出来ない。
「キュキュウ!」
「くっ、舐めるなあ!」
僅かな時間視界に映ったウサギの位置と、そこから動くであろう位置を予測して拳を突き出した。
鉄と鉄が激突したような爆音。そして衝撃波。未来予測はひとまず成功した。見れば俺の拳とウサギの後ろ足が激突し、石煙を上げている。
極限まで集中力を高め、全てがゆっくりに見える灰色の世界へと視覚を徐々に移した俺は〝瞬光〟を発動させた。〝瞬光〟は知覚能力を大幅に引き上げる技能だ。この感覚は、車に轢かれそうになった時にスローモーションな世界を見るのと似たようなものである。
活性化して知覚能力が向上した俺の脳は、ウサギが次に動くであろう座標を幾万通りの内から最適な一つを導き出した。
「そこだっ。ライダァァァチョップ!!!」
体を捻りながら手刀一閃。
連撃を叩き込もうと俺の真後ろに回り込もうとしたウサギは、上半身と下半身が別々の状態で地面に血のペイントを塗りつける。
俺の凶行を見た二尾狼が狼らしい咆哮を上げて電撃を身に纏いながら突撃してくるも、俺は首元に手刀を落とすことで一瞬で二匹の意識を刈り取る事に成功した。
……代償として、俺の目元からは血が零れ落ちる。〝瞬光〟の副作用だ。本来なら長時間使用しない限りは血が零れ落ちるなど有り得ないが、尋常ではないぐらい集中したので短い時間にも拘わらず血が流れたのだろう。
なんにせよ、危なかった。下手したら後ろに控えているハジメ達に被害が及んだかもしれない。
「……ふう」
一つため息をつく。そして地面に寝そべる三つの死体を眺めた。
見た目はどこからどう見てもウサギと狼だ。特にウサギは、日本に居た頃から食べられる動物だったような気がする。狼もきっといけるだろう。中身は肉だし。
クラッシャーと仮面を外しながらウサギに近付き、一番筋肉が発達していて美味しそうな後ろ足を引き千切る。
「恵里。火を頼めるか?」
「え……あ、食べるの? 分かった」
恵里が俺の近くに着弾させた炎で直にこんがりと焼く。魔物の肉には毒物が入っているらしいが、改造人間の俺なら多分何とかなるだろう。ぶっちゃけ、毒より酷い悪臭の方が辛い。
この毒というのは、魔力を直接体に巡らせ驚異的な身体能力を発揮する魔物が体内で作り出した変質した魔力である。どうやら人間の体内を侵食し、内側から細胞を破壊していくようだ。
が、最悪毒に侵されたとしても身体がすぐに抗体を作り出してくれるはずだ。それに俺には香織という最高の治癒師が味方に居る。
「むぐっ……美味しくないな。もっと焼いて調味料を使えば良かった」
「せ、先生!? 魔物の肉は食べたらっ」
「ああ、知ってる。知ってるけど、別に俺の身体は弱くないし何とかなるさ……?」
ハジメに軽口を叩いたところで、俺の身体に妙な違和感が走った。身体の至る所からビキッベキッと変な音が鳴り、鈍痛を感じる。特に背骨。成長痛みたいな痛みだ。弱いけど。
更に腕辺りに違和感が生じる。変身を解いて人間の皮膚に戻って自分の右腕を見つめると、そこには赤黒い線が追加されていた。その線に意識を送ると、温かいような冷たいような、どちらとも言える奇妙な感覚が駆け巡る。
「……なんだこれ」
「あ、あれ? 猛さん怒ってませんよね?」
「何処からどう見てもお腹が膨れて幸せな所だろ? 怒るわけない」
「それなら、その顔の赤黒い線は……?」
香織曰く、どうやら改造手術の傷跡ではないが腕にあるような赤黒い線が顔にもあるらしい。まるで毛細血管のように広がっているそうだ。
と、此処までは良いことが腹が膨れたぐらいしかない。が、実際は違う。なんか、さっきよりも身体が軽く力が漲っているのだ。
身体に異常が一応起きたということは、俺の身体の特性が変わった可能性がある。そういう時にはステータスプレートを見るのが一番手っ取り早い。
早速ステータスプレートを取り出し、俺は自分のステータスを凝視する。
そこには……
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本郷猛 27歳 男 レベル:91
天職:風の使者
筋力:15500
体力:13500
耐性:13500
敏捷:20000
魔力:1000
魔耐:1000
技能:変身[+仮面自動生成]・改造人間・魔力操作・徒手空拳・剣術・人工筋肉活性化・脚力強化・風属性適性・風力吸収[+身体能力強化][+体力変換]・物理耐性・毒耐性・胃酸強化・天歩[+空力][+瞬光][+縮地]・纏風[+常時発動]・薬物生成[+合成][+調合]・手術[+執刀]・気配感知・暗視・限界突破・言語理解
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「………うん?」
何度も。何度も俺はステータスプレートを見つめ直した。どう見てもこれはおかしい。冷静に考えても、やはりおかしい。
二度。三度。四度。何度見ても、俺のステータスプレートが表記している内容は変わらない。
俺が妙な動きをしているせいで、続々と後ろからハジメ達が近付いて俺のステータスプレートを覗き込んだ。
そして、俺と同じような反応をした。
とりあえず、俺のステータスは魔力と魔耐が2倍以上は上昇し、敏捷も20000へ到達。その他の能力も少しずつ強化されている。
更に目を引くのは、新しく追加されていた〝縮地〟と〝魔力操作〟だ。縮地はウサギがやっていた超高速移動であろうと即座に理解する事が出来たが、魔力操作は何のことかサッパリだ。
「うーむ。訳が分からないな」
「魔力操作……もしかして、魔物と同じように魔力を直接操って詠唱なしで魔法が使えるんじゃないですか?」
「……なるほど。分からん」
魔法は正直使う予定がなかった。技能を発動させるために多少は使うが、それ以外には特に用途がない。常日頃から発動している〝纏風〟によって少しずつ緩やかに魔力が削られてるぐらいだ。
それがいきなり、魔力が直接操れると言われても理解する事は難しい。
「……まあ、追々分かるし良いか。とりあえず、魔物肉を食べたら能力が強化されてその魔物が持つ固有技能を手にできるってことだな」
「あ、と言うことは……」
「うんハジメ。言いたいことは分かるけど、毒があるの忘れたらダメだよ。俺は改造人間だから殆ど痛みもなく食したけど、普通の人間なら死に至るはずだ。此奴は皆が食べられるように俺が何とかしておく」
生物学専攻は此処で活きる。久しぶりに研究が出来ることに対する俺のワクワクは止まらない。
ひとまずこれから必要なのは、しばらく滞在するための拠点造り。そして魔物肉の毒物の研究と中和方法だ。やることは盛りだくさん。これから忙しくなるだろう。
大方のプランを考えついた俺は、早速ハジメ達に今後について話をするのだった。
次回は休憩回。猛さんの毒物研究と、ハジメくんの兵器開発。そしてクラスメートsideです。
本郷猛と結ばれて欲しい人は?
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香織&シア
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ユエ&ティオ
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雫