大自然が遣わした正義の使者は異世界最強   作:Hetzer愛好家

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察したら胸糞なので一応注意です。
それとハジメ視点です。


第二十話 魂は変わらず

ドパンッ! ズガアッ!

 

「ふう。相変わらず素晴らしい一撃だね」

「ホントな。デザートイーグルも凄まじいが、ハジメの拳銃も強すぎる。名前は〝ドンナー〟だったか?」

「……私の出番が取られてる気がする」

 

三者三様。何処かごちゃ混ぜに見えて、しかし抜群に連携の取れた動きで僕達は一足先に五十階層を探索&敵の殲滅に乗り出した。

 

ウジ虫のように現れる戦闘員をただの一撃で屠り、お供として引き連れていた魔物も拳銃や炎魔法で難なく殲滅した僕達はあっという間に巨大な扉の前までやって来た。

 

そこで現れた門番的存在のサイクロプスも文字通り瞬殺し、扉の奥へと足を踏み入れる。

 

「……なんか、臭いな」

 

とても失礼な言葉が僕の口から零れ落ちる。だが、彼の感想は残念ながら他の二人の感想も全く同じようの物みたいだ。

 

扉の奥は光が殆どない空間。暗視があっても慣れるまでに多少時間が必要なため、最初に機能する五感は嗅覚だ。その嗅覚が何やら腐ったイカのような臭いや血の臭いを捉えた。

 

仮面を外しつつも警戒心を最大にして辺りを見渡すと、徐々に慣れた視覚が立方体の石によって四肢を拘束された女の子の姿を発見する。

 

よくよく見れば、女の子は膝から下と両手を石に埋められているらしい。十字架、というよりは大の字に近い拘束だ。普通に股関節や膝は動かせるぐらいに緩い拘束に見える。その娘の身体には、見るのも憚られる生々しい傷跡が多数見受けられた。

 

「……本当に、人なんだな」

「待って幸利。近付くのは危ない。この迷宮内に人が存在することがおかしい」

「そうだけどさあ。放置してサヨナラは後味が悪すぎないか?」

 

恵里と幸利が女の子を助けるかどうかで言い争っている。が、僕はそれは気にもとめずに女の子の目を覗き込んだ。此方の姿を間違いなく捉えたにも拘わらず、口を開かない女の子。しかし、さっきから不規則に目をパチパチさせているのだ。もしや、と思って僕は彼女の目を注視している。

 

一定の規則性があるようで、まずは目をパチパチと三回間髪を明けずに瞬き。そこからパチ……パチ……とゆっくり三回。そしてもう一度パチパチと三連続。

 

「S、O、S。助けて、かな?」

「………」

 

コクっと一つ頷いた女の子。間違いない。彼女が目で表現していたのはモールス信号だ。彼女はモールス信号で「SOS」。すなわち助けてくれと言ってきたのである。

 

何故モールス信号が使えるのかはさておき、どうやらこの場所に拘束されているのには何か原因があるらしい。それと、身体にある生々しい傷跡はきっと関係があるのだろう。

 

彼女が失声症であると仮定し、僕は話を進めることにした。

 

「何で、ここに拘束されてるの?」

「………」

「裏切られた? 誰に?」

「……」

「ショッカー? まさか……いや、何でもない。君の種族は?」

「…………」

「先祖返りの吸血鬼か。拘束される前は王女として国をまとめていた。でもある日、ショッカーが侵攻してきて家族は皆殺し。君は此処に閉じ込められた……のか」

 

恵里と幸利が若干引いているのは気にしない。今はこの女の子に関する情報を集めるのを優先したい。

 

「……」

「君は不死身なのかい? え、傷を付けられてもすぐに塞がる? 首を落とされてもそのうち治る? それじゃあその傷は……あ、魔力がなければ無意味なのか」

「………」

「……それを良いことに、ショッカー怪人の対人攻撃実験台として色々されたのか。更にはありとあらゆる辱めまで?」

「……」

「そう、か」

 

沸々と怒りが込み上げてくる。元来、困っている人は放っておけない僕だが、今回は格別である。義憤は偽憤とも言えるが、それでも僕はショッカーの卑劣な行為に怒りを爆発させる。

 

二人に彼女から得た情報をそのまま伝えると、恵里は涙を、幸利は怒りを零した。

 

今すぐにでも解放してやろう。僕はそう思い、立方体に手を置いて錬成を使って破壊してしまおうと思った。

 

しかし、そこへ声が響き渡る。

 

「き、貴様ら何者だ! 何故此処に来た!」

 

バタバタと足音。そして現れたのは、無数の戦闘員と虫をモチーフにした怪人達。

 

応答する間もなく襲いかかってきた戦闘員の頭蓋骨をドンナーの持ち手で殴って地面の染みに変えながら後退する。

 

仮面を装着して周囲を睨むと、いつの間にか戦闘員が僕達の事を囲んでいた。

 

「恵里、魔法」

「ん、任せて。〝螺炎〟」

「幸利、援護」

「了解」

 

周囲を包み込むように放たれた炎の螺旋。それを合図に僕はその場を飛び出した。大多数の殲滅を行うならば、ドンナーでは手数不足。それを察したので右腕の形を変える。

 

〝スイングアーム〟に切り換え、モーニングスターのように振り回して戦闘員の顔面を削りながらも怪人達の特徴も分析する。

 

一体はカブトムシのような姿だ。立派な一本角が黒光りし、身体からは毒霧のような物を噴出させている。近付くのが利口とは思えない。

 

そしてもう一体はカブトムシとは対のクワガタの姿をしていた。これまた立派な大顎を構えている。更に両手には両刃刀を所持している。

 

両方とも虫なため、空中移動能力は比較的高いはずだ。機動力もそれなりにありそうなので、短期決戦を仕掛けたい所である。

 

「――〝暗転〟 さあ存分に食らいな――〝破断〟」

「――〝炎渦〟――〝絶火〟 はあ……もう終わり?」

 

戦闘員はあらかた片付いた。スイングアームで最後に数体を葬り去ると、僕は怪人の目の前に立ち塞がる。

 

恵里と幸利も戦闘員を全滅させ、僕の両隣に陣を構えた。

 

「ただの人間にしては強すぎる。貴様らは何者だ? それだけの力があれば我がショッカーでもエリートとしてやっていけるぞ」

「ふざけるな! 悪魔の組織に身も魂も売る道など、死んでも選択しないぞ!」

「そう言うな。ショッカーの一員になれば、巨大な力を独り占め出来るのだぞ? しかもこの基地で一員になれば、この小娘を好きに扱う権利まで与えられるのだ。悪い条件ではなかろう?」

「……ッ!」

 

スッと頭が急速に冷凍された。人間は真に怒る時、激情は心に秘めつつも脳内はクリアになると言う。一周して冷静になるのだ。

 

正に、この状態はそれに当てはまる。

 

恵里の親に対する怒り。幸利を虐めていた人達への怒り。それと同レベルの怒りの炎がブワッと心の鉢から溢れだした。

 

「貴様ら……人を何だと思っているんだ!」

 

ジャキリとガトリングアームの銃口を怪人達に向けた。気配感知には猛先生達がこの部屋に入ってきたことを知らせるが、この際そんな情報はどうでも良かった。

 

ショッカーの敵。そして人類の味方。形は違えど、その魂までは変わらず。

 

僕の名は、〝仮面ライダー〟。

 

「許さない。貴様らのように、人類を穢そうとする者は断じて許せん! 行くぞ!!」

 

〝縮地〟の超加速の衝撃波で一気に戦闘員を弾き飛ばし、無謀と分かっていながらも僕は二人の怪人の懐へ突っ込んだ。

 

かなり長いリーチの両刃刀がすぐさま迫るも、左側はドンナーで迎撃。右側はガトリングアームで殴って弾き飛ばした。

 

その反動で身体を横向きに回転させながら〝纏雷〟を発動させ、人間の血液なら軽く沸騰するレベルの電撃キックでクワガタ男を蹴り飛ばし、そこから〝錬成〟で地面を使って串刺しにする。

 

「ぐううう!? なんて事を!」

「先にお前の命を頂くぞ!」

「舐めるな、小僧め!」

 

クワガタ男を拘束していられるのは精々三十秒。だが、それだけの時間があるなら十分だ。

 

霧のように散布される毒には目もくれず、僕は左拳を突き出した。咄嗟に出されたカブトムシの角に拳が着弾し、内蔵されていた爆薬で跡形もなくへし折ることに成功する。

 

苦しみ悶えるカブトムシ男に容赦なくガトリングアームを突き付け、躊躇うこともなく引き金をガチリと引いた。

 

キイィィィィィィィィィイイ!!!

 

回転する六連の銃身から直系30mmの弾丸が分間三千発のペースで発射され、カブトムシ男の胸元へ無慈悲な蜂の巣を量産していった。ビクンビクンと身体を上下に弾ませ、悪魔のような笑い声が収まった後に、物一つ言えないカブトムシ男の亡骸はハッキリ言って無様で哀れだ。

 

これまで吸血鬼の女の子にされた仕打ちに対する怒りも込めて引き金を引いていたため、マガジンがガチャンと落ちてから漸く現実に帰る。

 

「な、何という事だ。ただの人間に……!」

「……次は貴様の番だ。塵一つ残さず消してやる。〝ファイヤーアーム〟!」

 

右腕を中心として炎が僕を包み込む。螺旋を描く炎が不用意に近付いた戦闘員を跡形もなく焼き尽くし、パワードスーツの中にある僕の皮膚が汗ばんだ。

 

何故にファイヤーアームなのか。その理由は極めて単純だ。虫というのは余りにも高熱な場合は割かしポックリ逝くからである。みんな大嫌いなゴキブリでさえも80℃以上の熱湯をぶっかければ即死する。そのぐらい高熱は虫の天敵だ。

 

殆ど勘に頼った形ではあったが、クワガタ男が分かりやすく後退りしたことで勘は確信へ昇華された。後は叩き込むのみ。

 

「ヤアッ!」

 

気合一声と共に、足のスプリングを起動させて高く跳び上がる。前方に一回宙返りをすれば、炎が見惚れるような跡を残す。

 

〝空力〟で軌道を変え、僕は重力に引きずられるように地面目がけて急降下した。

 

形は違う。破壊力は圧倒的に劣る。それでも、この一撃は僕が一番に憧れている人が繰り出す技と同じ物だ。

 

その一撃は必殺となり、怪物を滅する。

 

「ライダーキック!!」

 

流星の如く降り注いだ必殺の跳び蹴り。先生のように正確に心臓付近を蹴ることは出来なかったが、左肩を蹴り抜いてそのまま地面に押し倒すことに成功した。

 

断末魔の悲鳴を上げて、身体を溶かしていくクワガタ男を見て僕はトドメと言わんばかりにドンナーを取り出す。

 

ドパンッ!

 

ビクッ! と身体を跳ねさせると、クワガタ男はそのまま身動き一つ取らなくなった。先ほど蜂の巣にしたカブトムシ男も既に身動き一つ取っておらず、泡のような物を噴出して地面の染みになっていった。

 

それとほぼ同時刻に先生達の援護を受けたこともあって数百を超える戦闘員が屍になっていた。薬莢が落ちてないことを見るに、先生は全て徒手空拳のみで沈めたようだ。

 

後に残されたのは、傷だらけの女の子だけ。

 

「今、助けるよ」

「………!」

 

仮面を外しつつも迷うことなく立方体に近付き、僕は手を置いた。目を見開く女の子に優しく微笑みかけ、僕は錬成を始めた。

 

魔物を喰ってから変質した赤黒い、いや濃い紅色の魔力が放電するように迸る。

 

しかし、イメージ通り変形するはずの立方体は、まるで僕の魔力に抵抗するように錬成を弾いた。だが、此処で諦めるほど僕は甘くない。随分な量になった魔力をやけくそ気味に全開放した。

 

一気に紅い光が輝きを増し、部屋全体を明るく彩った。正真正銘の魔力全開放ということもあり、自分の身体その物が紅く発光している。

 

直後、女の子の周りの立方体がドロッと融解したように流れ落ちていき、少しずつ彼女の枷を解いていく。彼女の身体に付けられた傷跡が気になるが、それを差し置いても一糸纏わぬ彼女は神秘的であった。

 

「はあ……はあ……うまく、いったね」

 

初めての魔力全開放に、体力が一気に持って行かれて僕はゼハーゼハーと肩で息をする。思っていた以上に辛かった。

 

立ち上がれないのか、地面を這って近寄っていた女の子は、僕の手をギュッと握る。言葉こそ発さないし、感情の起伏も見られない。だが、彼女の瞳は「ありがとう」という感情でいっぱいに見える。気怠い腕を何とか動かし、優しく女の子の頭を撫でてやった。

 

……撫でていた所で、突然耳をつんざく銃声が五回鳴り響いたのでビクビクゥ! と思いっきり体を跳ねさせてしまったが。

 

「バカ。最後まで周囲には気を配れ」

 

僕の永遠のヒーローは、呆れた顔で僕のことを見ている。ツェリスカの銃口からは狼煙のように煙が上がり、僕の後ろには体を痙攣させながら仰向けに倒れる巨大な蠍が居た。

 

女の子を逃がさないための最後のガーディアンを僕が察知するよりも圧倒的に早い段階で先手を打った先生に乾いた笑みを送ろうとして、思わず表情が引き攣った。

 

その理由は蠍の下顎付近にある。大穴を開けて居る蠍の下顎だが、やけに強化された目で見てみると、発射されたはずの五発がまるで最初からその形であったと言われても信じてしまうほど、自然な状態で連なっていた。

 

先生は五連発、それも口径の大きいツェリスカで、一度たりとも外すことなく最初に撃った場所に命中させていたのだ……。

 

改めて、先生の力が恐ろしく感じた。

 




もう誰なのかは分かってると思いますが、あえて名前は伏せておきます。どうせ次回で明かすので。

女の子の過去を表現するとなればR-18Gタグを付けないといけないぐらいエグいです。

本郷猛と結ばれて欲しい人は?

  • 香織&シア
  • ユエ&ティオ
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