大自然が遣わした正義の使者は異世界最強   作:Hetzer愛好家

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お待たせしました。最新話更新です。
実は小説家になろうで一次創作を制作していたので更新が大幅に遅れてしまいました……()
作者名は変わりませんので、暇がありましたら閲覧と評価等々をよろしくお願いします。


第二十三話 真実と裏切り者

体全体が、何か柔らかく暖かい物に包まれている感触がする。敷き布団よりも寝心地が良いため、微妙に目覚めた意識をもう一度夢の中へ落とそうかと俺は思った。

 

「……ここは?」

 

ついさっきまで、俺はヒュドラと相対していた。しかし中々倒せず、切り札も使ってしまったので俺は禁忌とも言える怪人態へ変身した。そこまでは確かに覚えている。

 

完全な怪人になれば理性は吹き飛ぶ。というか、意識が失われる。本能のままに行動するバケモノになるのだ。その分リミッターが外れている状態なため、仮面ライダーとして戦うよりも遥かに強力な力を扱える。

 

が、正直そんなことはどうでも良い。今現在、俺が寝ているこの場所は何処なんだと知りたい。

 

二度寝したら起きれる気がしないため、己に鞭打って無理やり意識を覚醒させ、周囲を見渡す。周りにはパルテノン神殿のような支柱が生え並び、その中心に俺が寝ているベッドがあった。そのベッドは天蓋付きという何処か落ち着けない豪奢な物だ。

 

何とも言えない気持ちで更に辺りを見渡していると、枕元付近に人が居ることに気がついた。そこに居たのは、椅子の上に座りながら寝ている香織だ。その頬には、涙が流れた跡。

 

「……そうか。看病してくれたのか」

 

胸の奥が暖かくなる。そして、香織の寝顔を見てほんの少しだけドキリとした。

 

生まれそうになる恋愛感情を封じ込め、俺は起き上がって香織の肩を叩いた。

 

「ん……う。あ、起きたんですね……って、猛さんもう大丈夫なんですか!?」

「お、おう。何ともないさ」

「し、信じられない。猛さん、心肺停止していたんですよ?」

「ちょま、え? 心肺停止?」

 

心肺停止するのは一度目ではないとはいえ、流石に驚いた。それこそヒュドラが喋った事よりも、である。

 

完全な怪人態になった時の副作用ってそこまで酷かった? と一人百面相する。

 

確かに理性は吹き飛び完全なる暴走状態にはなる。思う存分暴れた後は丸一日近くは目が覚めないのも自覚している。だが、心肺停止までした覚えはない。

 

「これは、何が起きたか知る必要があるな。香織、俺がバケモノになってから何があった?」

 

俺の質問に、あたふたとした様子だった香織は何事もなかったかのように気を取り戻し、あの後何があったのかを話し始めた。

 

───────────────────

 

まるでバッタのような姿へ変わった猛さんは、獣のような雄叫びを上げると“バッタ男”の名に恥じない跳躍力でヒュドラに飛びつきました。

 

ヒュドラの放つ極光は全て“空を跳躍”したり予備動作のない動きで躱し、あっという間に距離を詰めた猛さんは如何したと思いますか?

 

……いいえ、跳び蹴りではないです。バッタ男だけど違います。正解は、“鋭利に尖った爪でヒュドラの目を潰した”ですよ。普段は絶対に見ない戦法ですね。

 

目を潰してからの展開はあっという間でした。ヒュドラの背面に降り立った猛さんは、大砲のような音を鳴り響かせる回し蹴りでヒュドラの事を地面に這い蹲らせ、抵抗する時間も与えることなく首元を手足の刃で切り裂き、切り口に手をズボッと入れました。

 

そして、何の躊躇いもなく猛さんはヒュドラの首を切断し、残された頭も容赦なく踏みつけて地面の染みにしたところで倒れたんです。

 

変身が解除され、全裸で倒れた猛さんを見て……ああ、何でもないです! それは関係ないので! だからそんな目しないでください!

 

……コホンッ。取り乱しました。その後は、油断せずに警戒していた私達の目の前で機械の首が持ち上がりました。

 

ですが、流石に二度も同じ事は起きませんでした。機械の首が持ち上がった瞬間にハジメくんがエレキアームでショートさせて幸利くんが首の繫ぎ目を狙撃してヒュドラの体勢を崩し、最後にシアの回し蹴りと恵里ちゃんの炎の槍が炸裂して完全に首を破壊しました。

 

その後、魔力枯渇したり集中力切れで疲弊した皆を癒していると突然奥にあった扉が独りでに開きました。新手かと思って身構えましたが、ハジメくんが何も居ないと言ったので警戒しながら扉の奥へ進みました。

 

すると、中は広大な空間に住み心地の良さそうな住居があったんです。念の為数回ハジメくんと幸利くんが見回りをして安全確認をして、問題ないと把握した上で猛さんをこのベッドに寝かして看病していました。

 

途中で心肺停止して焦りましたけど、何度も最上級回復魔法をぶつけたので半日と少しが経つ頃には容態が安定したので、私はそのままここで寝てしまって……。

 

はい、私が話せるのはこのぐらいです。なんかハジメくんが三階に気になる物を見つけたらしいですけど、私はまだどんな物なのか分からなくて……。

 

え、これから一緒に行くんですか? もう身体は動かしても大丈夫なんですかね? なんせ心肺停止していたので心配で。

 

……あ、大丈夫なんですね。それなら心配ないかな。全くもう、何時命の灯火が消えてしまうかヒヤヒヤしたんですからね? 今日は心配させたお詫びも兼ねて甘えさせてください。

 

───────────────────

 

香織に変な約束を取り付けられたが、一通り何が起きたかを把握した俺は彼女を連れてハジメが気になると言っていたらしい三階の部屋へ向かった。

 

三階は一部屋しかないらしく、突き当たりにある扉一つしか見当たらない。扉を開けると、そこには直径七、八メートルの今まで見たこともないほど精緻で繊細な魔法陣が部屋の中央の床に刻まれていた。いっそ一つの芸術といってもいいほど見事な幾何学模様である。

 

しかし、それよりも注目すべきなのは、その魔法陣の向こう側、豪奢な椅子に座った人影である。人影は骸だった。既に白骨化しており黒に金の刺繍が施された見事なローブを羽織っている。薄汚れた印象はなく、お化け屋敷などにあるそういうオブジェと言われれば納得してしまいそうだ。

 

その骸は椅子にもたれかかりながら俯いている。その姿勢のまま朽ちて白骨化したのだろう。魔法陣しかないこの部屋で骸は何を思っていたのか。寝室やリビングではなく、この場所を選んで果てた意図はなんなのか……

 

「……怪しすぎないか? これ、実は怪光線を出すとかじゃないよな?」

「ハジメくんが確認済みなはずなので大丈夫だと思いますよ。私もちょっと怖いですけど……」

「まあ、何かあるとすればこの魔法陣だろう。足を踏み入れたら何か起こるはず。念の為警戒しておいてくれよ」

 

腰に常に巻き付いているタイフーンに風を送り込みながら、俺は魔法陣に足を踏み入れた。すると次の瞬間、カッと純白の光が爆ぜ部屋を真っ白に染め上げる。

 

そして、これまでの出来事が走馬灯のように脳裏を駆け抜けてから光が収まった。眩しくなくなったので目を覚ませば、さっきまでは確実に居なかったであろう男が現れている。

 

敵意は一切感じられないが、警戒心を緩めずに男を睨みつける。よく見れば、男は後ろの骸と同じローブを着ていた。

 

「試練を乗り越えよくたどり着いた。私の名はオスカー・オルクス。この迷宮を創った者だ。反逆者と言えばわかるかな?」

「反逆者? 何だ、それは」

「ああ、質問は許して欲しい。これはただの記録映像のようなものでね、生憎君の質問には答えられない」

 

何でやねんとツッコミを心の中で入れる。

 

そんなことお構いなしに、男はとあることを話し始めた。

 

まず、エヒトルジュエというのはヒュドラの言う通り外道極まりない性格であり、彼の周りに居た神もまた外道といえる性格である話から始まった。

 

ヒュドラが話したように、神々は人間同士を争わせることをあくまでも遊戯として楽しんでおり、人が死ぬのを何よりの蜜として味わっていた。しかし、それを耐えきれないと思った一人の者が立ち上がり、〝解放者〟と名乗って同士を募り神々へ戦いを挑んだ。

 

「最初は順調だった。次々と神の送る天使を撃破し、遂には神々が〝神域〟という場所に居るということも突き止めた。だが、いざ〝神域〟へ突入しようと準備を進めていたときに、突如として解放者の一人が裏切った」

 

裏切った解放者は、裏切る直前の夜に「遅すぎるのだよ。儂は儂のやり方で世界を救ってみせる」と呟いたという。

 

裏切った解放者が引き連れてきたのは、様々な動植物と人間が合成された怪物のような物であった。そして、裏切った解放者の姿は赤い三角頭巾とマントを身につけた奇怪な姿へと変え、驚いた解放者達を容赦なく蹂躙していった。

 

最後に残されたのは、先祖返りと言われる強力な力を持った中心の七人だけであった。彼らは追い縋るショッカーと神の追っ手から何とか逃れ、バラバラに散って大陸の果てに〝大迷宮〟を創ってそこに潜伏した。

 

試練を用意し、それを突破した強者に自分達の力を譲り、何時の日か神の狂った遊戯と自分達を裏切り何の罪もない人々を犠牲にしていくショッカー首領を止められる者を待つために。

 

「話は以上だ。実は、もう此処も長く保ちそうになくてね。すぐ下まで裏切り者が送り込んできた怪人が迫っている。せめて、試練を突破した君だけでも真実を全て知ってほしかったが、残念ながら時間切れのようだ。……君に、私の力を授ける。どう使おうと君の自由だ。だが、願わくば悪しき心を満たすために遣わないでほしい。それでは、私は最後の戦いに行くとするよ。話を聞いてくれてありがとう。君のこれからが自由な意志の下にあらんことを」

 

記録映像はそこで途切れた。代わりに、俺の脳内に何かが侵入してきた。ズキズキと頭が痛み、脂汗が吹き出すがどうやらオスカー・オルクスの力を授けられているのだと理解して俺は静かに痛みに耐える。

 

ショッカー首領は、実は神々を討ち滅ぼして人類を救おうとしていた。これはどうやら間違いなさそうだ。やり方は間違っているが、首領も人類のために今も戦っているらしい。

 

だが、何度でも言おう。やり方が間違っている。力を持たないただの人間を脆弱と蔑み、少数を斬り捨てながらも神を倒そうなんてやり方は間違っているのだ。そうであると信じたい。

 

誰も泣くことなく、絶望することもなく俺は世界を平和にしたい。ただの理想論であるのは分かっている。実現がほぼ不可能なのも分かっている。

 

それでも俺は俺のやり方で人々を救うために、自分が悪人としての片棒を担ぐ事になったとしても人々を守る。それだけだ。

 

人間とは、一つではとても弱い生き物。そのままでは希望を見ることは叶わない。

 

ならば。この世界に希望がないなら、俺自身が誰かの希望になる。希望の風になる。それが、仮面ライダー本郷猛の生き方であり人々の守り方だ。人々を守る戦いが永遠に続くとしても、俺の決意が揺らぐことはない。

 

改めて俺は、ショッカーを討ち滅ぼすと同時に狂った神々も倒して人類に真の平和を見せるために戦うと心に決めるのだった。




一部設定は仮面ライダー1971-1973を参照しています。ちなみにハジメくんか幸利くんが仮面ライダー1971-1973の仮面ライダースーツを着るかもしれない予定があったりなかったり()

本郷猛と結ばれて欲しい人は?

  • 香織&シア
  • ユエ&ティオ
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