大自然が遣わした正義の使者は異世界最強   作:Hetzer愛好家

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あと何話で本編に入れるのだろうか()


第一話 苦悩

バリンッ!

 

「うわ、また割ったのか!?」

「す、すみません」

「もの凄い握力ね。ガラスを一握りで割ってしまうって、一体どのぐらいの握力があるのかしら?」

 

俺はその後、頭を抱えながらも香織に案内されて彼女の両親と顔を合わせた。彼女の両親の名前は、父親が智一で母親が薫子というらしい。二人とも俺の体調を気にしていたらしく、顔を合わせて早々に「辛くないか?」や「無理はしないでくれ」と声をかけられた。

 

二人とも良い人らしいのは一発で分かったので、ひとまず安心した。その後リビングに通された俺は、何故倒れていたのかを根掘り葉掘り聞き出された。

 

が、俺からすれば“気がついたら部屋に運び込まれていた”という状況なので話すこともない。それよりも俺の記憶と香織の話が少しも一致しないということを伝えてかなり難しい顔をされた。

 

と、まあ最初から苦労しているのだが……それよりも問題なのは出されたコップを尽く握り潰してしまうことだ。アンドロイドに脳骸を移していた頃とは全く違う感覚に、俺は改造された当初のように手に持った物を壊してしまっているのだ。

 

その事から俺が改造人間の身体は健在であると知らされて密かに落ち込んだのは内緒である。

 

「君は本当に何者なんだい? さっきから話している事柄は全て特撮ドラマの話じゃないのか?」

「全て事実ですよ。俺がサイボーグなのも、ショッカーやデストロンといった悪魔の組織と戦っていたのも、全て事実です」

「にわかには信じがたいけどねえ。でも、ガラスをポンポンと割っていく所を見せつけられると信じてしまいそうになるわよ」

「サイボーグって、アニメや漫画で良く見るあれだよね? そういえば、最近男の子の間で“仮面ライダー”が流行ってるみたいだけど……」

 

仮面ライダー。絶対に忘れることのない、大自然がつかわした正義の使者であり、哀しみに満ちた戦士の名前。俺の二つ目の名前だ。

 

しかし、香織はあくまでも仮面ライダーは現実世界の存在ではないと言う。彼女の知っている仮面ライダーは、テレビで放送される特撮ドラマの番組という物らしいのだ。

 

だが、俺が仮面ライダーであることは紛れもない真実である。何方も間違った事を言ってないことから、俺の悩みは更に深くなっていく。

 

「まあ、余り深く追求しても分からない事は分からないからね。これ以上の詮索は止めにしよう。それよりも、家はあるのかい?」

「あなた……あるわけないでしょう? 彼の話が本当なら、住む時代も世界も違うのだから」

「そ、それもそうだったね。だが、年頃の娘も居るのに大丈夫だろうか……」

「年頃、ですか。ところで彼女は何歳なんですか?」

「ああ、今は中学二年生さ。中学校の生活に慣れたからか、勉強に今ひとつ身が入らない娘に少し悩んではいるんだけどね」

「お父さんっ! 余計なこと言わないでよ!」

 

何とも仲の良い家族だ。俺の家族は早くに死んでしまったため、ほんの少しだけ羨ましく感じた。が、次の瞬間に俺は智一さんにある提案を持ちかける。

 

「なら、自分が勉強を見ましょうか? 居候の対価として、ですけど」

「それは本当かい? 最近は家庭教師を雇おうか迷ってたんだけど……」

「心配しなくても大丈夫ですよ。こう見えても、知能指数は600あるので」

「「「IQ600ぅ!?」」」

 

俺は知能指数が600あり、城北大学生物学研究室の学生だ。小学生の頃から誰かに勉強を教えるということはやってきたので、別に苦にはならないだろう。

 

もっとも、知能指数が600ある上に運動神経も抜群であったが故にショッカーに捕まり、改造人間にされてしまったのだが……。

 

今ばかりは自分の生まれ持った能力に感謝をするべきだ。

 

「それなら是非ともお願いしたいよ! 君なら変な気も起こさないだろ『『オトウサン?』』すみません」

「ふふ、心配しなくても変な気など起こしませんよ。その辺りの常識は理解してますから」

「良かったわねえ、香織。これからはビシバシ勉強を教えてもらいなさいよ?」

「う、うん。よろしくお願いします」

 

こうして当面の寝床を確保することが出来た俺は、この後にやって来る苦悩の存在を察することは出来なかった。

 

────────────────

 

バキッ! バキッ!

 

「……ダメ、か」

 

夜になり、俺は智一さんが勤めているという建設会社の廃材処理場までやって来ていた。ここで俺は、改造人間として人間社会で暮らしていくための感覚を取り戻そうと思ったのである。

 

が、結果は散々だった。手当たり次第に掴んだ鉄柵は全てベニヤ板のようにひん曲がり、木材なんぞは軽く握った瞬間に粉々になってしまった。

 

智一さんは引き攣った笑顔で「機械を動かすことなく廃材処理をしてくれて助かる」と言ってくれたが、俺からすればその引き攣った笑顔その物が心に刺さる。

 

改造人間初心者は、己の力を手加減をすることが出来ずに物を破壊してしまうのが殆どだが、正に今の俺がそんな状態だった。

 

「これじゃあ暫くは香織に触れないで勉強を教えないとだな。触った瞬間に彼女が死ぬなんてことは避けたいし……」

「す、凄い悩みだね。とても信じられないけど、やっぱり君はサイボーグなのかな」

「無理やりサイボーグにされた、元人間ですよ。出来ることなら普通の人間に戻りたいです」

 

それは叶わぬ夢だ。悔しいが、ショッカーの技術力は途轍もない。本郷邸の研究者たちの技術力も現代日本を凌駕しているが、ショッカーはそれ以上の技術を持っている。

 

俺の身体を生身の物に戻そうとしても、現代日本の技術力では不可能だろう。

 

まあ、仮に手術を受けられると言われても俺は手術恐怖症を発症しているため、そもそも手術を受けること自体が困難であるが。

 

「……ん? 君たちは何者だ? ここは立ち入り禁止だぞ!」

「ああ? るっせえよジジイ。夜は誰も使ってないんだから別に構わねえだろお?」

「そうだよお。迷惑かけてねえんだから良いじゃねえか。けち臭えなあ」

「そんなんだからこんなボロボロな場所で働いてるんだろお?」

「そんなこと言われても、ここは関係者以外は立ち入り禁止なんだ。ルールには従うってのが社会人として普通だろ?」

 

何やら智一さんが困った声で何者かを追い払おうとしている。声から察するに、三人組の男らしい。呂律が回っておらず、酒を飲んでいるか薬を乱用しているかの何方かだ。

 

このまま争いに発展しては智一さんが危険である。俺はため息をつきながら智一さんと男達との間に割って入った。

 

「君たちは子供じゃないだろう? 駄々をこねてないで早いところ立ち去るんだ」

「ああ? るせえな。俺達に指図してるんじゃねえよ」

「如何にもお坊ちゃんみたいな顔してやがるなあ。やっちまおうぜ」

「そのイケメン面に傷を付けられるなら本望だなあ!」

 

ダメだ。聞く耳を持っていない。というか、言葉が届いてすらいない。すぐに攻撃が来ると悟った俺は咄嗟に足を肩幅ぐらいに開いて腰を落とし、飛来してきた拳を紙一重で躱すと逆に肘鉄を腹部に突き刺す。

 

かなり手加減した踏み込みで肘鉄を放ったが、攻撃してきた男は後方へ数十メートル吹き飛んでしまった。遠目にだが血は噴き出していないので、命に関わる怪我はしてないはずだと信じたい。

 

空気が破裂したような音を立てて男が吹き飛んだため、近くで攻撃の機を伺っていた男二人や智一さんが目を見開いている。

 

内心は「やってしまった」と思いつつ、俺は残された男二人を睨みつけた。

 

「あんな風に吹き飛ばされたくないなら、彼処で転がっている奴を回収して早急に立ち去れ」

「「は、はいぃ!」」

「はあ……すみません。お騒がせしました」

「い、いやあ……そんなに暗い顔をしないでくれ。むしろお礼をさせてよ。アイツらは近所では有名な迷惑者だったし、僕も対処に頭を悩ませていたんだよ。礼として、居酒屋にでも行かないか? 全て僕の奢りで良いからさ」

「それじゃあ……お言葉に甘えさせてもらいます」

 

その後、居酒屋でも渡されたグラスを尽く握り潰してしまい、店主からストローを貰って酒を飲むという何とも微妙な形で料理をご馳走になったのだった。

 




早速お気に入り登録をして頂いた方、本当にありがとうございます! 今後も何とかして続けていきますので、最後まで付き合ってくれると嬉しいです。

次回は一応ですがハジメや雫が登場します。今のところハーレムメンバーは決まってません(おい)

本郷猛と結ばれて欲しい人は?

  • 香織&シア
  • ユエ&ティオ
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