大自然が遣わした正義の使者は異世界最強   作:Hetzer愛好家

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第二十六話 久方ぶりの外気と暫しの別れ

光が晴れた先。明らかに空気が変わったと感じるが、まだ外ではないことも同時に悟った。秘密の通路であるだろうし、いきなり外というのはないと先に考えていたためショックは比較的薄かった。

 

暗闇が支配する洞窟を警戒しながら進む。途中、幾つか封印が施された扉やトラップがあったが、オルクスの指輪が反応して尽く勝手に解除されていった。そして、数十分歩いたところで光が見えた。

 

その光を抜けた先に待っていたもの。それは……。

 

「……これは、外なのか?」

 

目の前に広がった光景は断崖絶壁の崖と乾ききった石の地面だ。眩しいぐらいの日光が肌を焼き、目に刺さる。

 

生まれて初めて、空気が旨いとはこういうことなのだなと思いながら俺は後ろを振り向く。

 

香織とシアは久しぶりの外気を胸いっぱいに吸い込んでいる。ハジメは無表情がデフォルトなはずのユエが見るからに笑っていることに驚いており、そんなハジメに恵里は「何かしてやれ」という視線を投げる。幸利は手を組み、思いっきり天に向かって伸びた。

 

仲間の微笑ましい光景に俺の頬も緩む。緩ませながら、俺は真後ろにツェリスカの銃口を向けて引き金を引いた。

 

ドゴアン!

 

突如響いた銃声に目を見開くハジメたち。俺が振り向くと同時に、鳥のような魔物が脳骸をまき散らしながら地面に落ちた。射撃の精度は落ちてないらしい。

 

俺の目は、一キロ先に多くの魔物が存在しており、それらがこっちに向かってきている様子を捉えていた。

 

「ハジメ。幸利。魔物が十体ぐらい来るから二人で迎撃しろ。お前たちのコンビネーションをもう一度見てから幸利を送り出したい」

「そう言われたら……」

「やるしかねえな!」

 

ダイヤルスイッチを捻り、強化服を纏った二人は仮面を装着して肉眼でも確認できるぐらいの距離まで近づいた魔物に飛び掛かった。深紅のマフラーをたなびかせ、ハジメが無駄のない回し蹴りで鳥型の魔物を撃墜し、幸利は地上を進む虎型の魔物の顔面を容赦なく殴って粉砕する。

 

「ヤアッ!」

「トウッ!」

「ライダー……」

「ダブル反転……!」

「「キック!!」」

 

空中で互いの足の裏を蹴って反転し、その勢いでキックを放つとハジメは跳ね上がってドンナーを抜き、幸利は狙撃銃剣を取り出した。銃剣を投げて魔物の頭部を粉砕した幸利はそれを回収しながらハジメの目の前に浮かび上がると銃口を残りの魔物に合わせる。

 

そして幸利が引き金を引いたコンマ数秒後にハジメも引き金を引いた。

 

電磁加速した弾丸が狙撃銃から放たれた銃弾を後押ししながら猛進し、反応すら許すことなく残った魔物を駆逐した。

 

「あっけないなあ……」

「ま、俺らが強くなりすぎて普通の魔物じゃ相手にならないんだろうな。成長が感じられて俺は良かったと思うよ」

「……それもそうだね」

 

仮面を外して互いに微笑み合うハジメと幸利。彼らはきっと、体は離れていても心は常に一つであることだろう。

 

幸利は自分のバイクを取り出すと、それに跨ってからハジメを再度見る。ハジメもまた、真っ直ぐ幸利を見つめた。

 

「じゃあ、達者でな。仮面ライダーハジメ」

「ふふ、そっちこそ。仮面ライダーユキ」

 

お互いの拳をバシッと打ち付け合い、ニヒルな笑みを浮かべた二人は同時に目線を外した。幸利は、俺にもニヒルな笑みを投げかけると、最後にペコリと頭を下げてスロットルを全開にするとあっという間にこの場を立ち去った。

 

俺達は、幸利の背中が見えなくなるまで彼の事を見送るのだった。

 

───────────────────

 

「さて、行くとするか」

 

完全に姿が見えなくなったことを確認すると、俺はサイクロンに跨った。背中側にはシアが乗り、俺の前には香織が搭乗する。美少女サンドの出来上がりだ。理性が試される。

 

ハジメは後ろに恵里、前にユエを乗せると何時でも出発できるという意思表示なのか俺にコクリと頷きかけてきた。俺も頷き、サイクロンを発進させた。目指すはシアの故郷であるハルツィナ樹海だ。

 

本来ならシアとは家族に引き渡したらそこでお別れの予定だが、彼女の希望があれば今後の旅の同行も許可しようと思っている。ただ何にせよ、一度シアの家族とは会っておくべきだろう。そう考え、まずは樹海に向かい、そこにあると言われる大迷宮を攻略することになっている。

 

サイクロンで途中現れる魔物を轢き殺しながら時速400kmhで爆走する。ハジメの操縦するバイクも後ろから空を飛ぶ魔物を撃ち殺しており、何者も近づけずに俺たちはザッと三十分はノンストップで走行した。

 

すると、俺の超強化されている耳に何者かの悲鳴が入ってきた。どうやらそれはシアも同じだったらしく、少し身を乗り出して前を確認している。

 

「……聞こえたか?」

「はい。あの、多分なんですけど……この声って私の家族の声ですよ」

「なんだって?」

「もしかしたら、私が突然居なくなったのを心配して捜しに来たのかもしれません。何でこの渓谷に来たのかは分かりませんけど……」

 

その言葉を聞いた俺は、サイクロンのスイッチを入れてマフラーを全噴射。ハジメにも事情を話してから急加速した。

 

声がした場所はおよそ五km先。サイクロンなら数十秒で到着するだろう。

 

十秒もしないうちに俺の目は岩陰から岩陰を忙しなく逃げ回る人らしき影と、空からそれを襲おうとするワイバーンのような魔物が見えてきた。

 

タイフーンを起動させて変身し、サイクロンの設定を弄って自動運転に切り換えた。そして香織とシアには「落ちるなよ」と注意をして、俺は座席の上に立つと一思いに跳び上がった。

 

ツェリスカを抜いて銃口を合わせ、敵の数を確認する。合計六体のようだ。

 

すぐさま引き金を引きながら銃口を高速でずらして狙い違うことなくワイバーンの頭を狙い撃ち、俺自身は最後に残されたワイバーンに向かって急接近する。

 

呆気に取られて間抜け面を晒している兎人族を飛び越してワイバーンに組み付いた俺は、長い尻尾をガシリと掴んで勢い良く背負い投げした。

 

「ライダァァァ返し!!」

 

ズドオオオオオオオオン!!!

 

轟音を立てて地面に激突したワイバーンは辺りに血を撒き散らす。すぐ傍に着地して仮面を外した俺は、未だにポカンとしている兎人族達にケガがないことを確認して安心のため息を吐く。

 

兎人族達は、俺が着地しても誰一人として我に返らなかった。が、サイクロンの爆音によって漸く我に返ったらしく、爆音がした方向を一斉に振り向いた。

 

「みんな~、無事でしたかぁ~!!」

「「「「「「シア!?」」」」」」

 

サイクロンが徐々に速度を落とし、驚きの声を上げた兎人族達の目の前で停止した。完全に停止するのを待ってから、シアは中年で濃淡色の髪の毛をしておりウサ耳が生えた男に駆け寄る。

 

「シア! 無事だったのか!」

「父様! はい、この通りです!」

「お前がショッカーに連れ去られたと聞いたときは腰を抜かしたぞ! 夜も眠れず食事もマトモに出来んかったんだからな……心配したぞっ」

「でも、こうして無事に帰って来れましたよ!」

 

兎人族に揉みくちゃにされながらも、シアは満面の笑みで無事を伝える。兎人族の中には涙を流す者もおり、余程心配していたことがうかがい知れた。

 

その間にハジメたちのバイクも到着し、この場に全員が集合した。するとシアの父親らしき人物が俺の前に進み出る。

 

「本郷猛殿で宜しいか? 私は、カム。シアの父にしてハウリアの族長をしております。この度はシアのみならず我が一族の窮地をお助け頂き、何とお礼を言えばいいか……」

「偶然とは言え、シアの尊い命が失われなくて良かったですよ。それに困っている人が居れば助けるのは当たり前です」

 

自分より年上だと思われるカムには敬語で話す。ちなみに俺が敬語で話すのは、学校の先生や香織のご両親。そしてルリ子さんだ。自分の周りに年上が少ないので敬語を使うことは案外少なかったりする。

 

そのためか、シアやユエはかなり面食らっている様子だ。まあ仕方ない。見たことないんだし。

 

「ところで、何故あなた方はこんな峡谷に居るのですか? 兎人族は樹海に生息しているはずです。それに、兎人族は気が弱く樹海から出ることはなかったはずですが」

「ああ、それはですね……」

 

カムは事情を簡単に話し始めた。

 

シアが攫われたハウリア族は大いに狼狽え悲しんだ。しかもその様子を樹海深部に存在する亜人族の国【フェアベルゲン】の使者であるエルフに見つかってしまい、そのままシアという忌子が居たのに存在を隠していたという事がバレてしまったらしい。

 

そのまま留まっては一族諸共処刑である。それを逃れるため、ハウリアはシアを探すという目的も兼ねて樹海を出たらしい。だが、不幸なことに樹海を出て直ぐに運悪く帝国兵に見つかってしまったという。巡回中だったのか訓練だったのかは分からないが、一個中隊規模と出くわしたハウリア族はただ逃げるしかなかった。

 

そこでハウリア族は魔法が使えないらしいこのライセン峡谷に逃げ込み、ほとぼりが冷めるまで待機することにしたようだ。しかし、帝国兵は出入口を兵士で固めて封鎖し、ハウリア族が魔物に襲われて逃げるのを待ち伏せしているという。

 

「なるほどね……よし、それならここから脱出する手伝いをしましょう」

「ほ、本当ですか? 何も、そこまでしてくださらなくても……」

「さっきも言いましたよね。僕は困ってる人を見逃すことはしませんよ」

 

相手が例え同族になったとしても、俺は変わらない。俺が守りたいのは美しい自然と命の輝きだ。下衆の汚い命の輝きは出来る事なら見たくない。

 

ハジメにも目線で確認を取るが、彼は微笑みながらコクリと頷いた。どうやら了承してくれたらしい。道は決まった。俺はサイクロンを回収すると、カムに峡谷の出口まで案内するように頼んだ。

 

呆然とする他のハウリア族にも出発すると声をかけ、俺は変身を解いてカムの後ろを追従するのだった。

 




他の昭和ライダーは出そうか迷ってますが、一応どこで出すかはある程度の目星が付いています。出すなら七人ライダーまでかなと思ってたり…。
少なくとも一文字は既に出てますのであとは五人ですね。

幸利が向かったのは王城です。前回の最後に出て来た幸利は、ここで出発してから王城に到着しています。

本郷猛と結ばれて欲しい人は?

  • 香織&シア
  • ユエ&ティオ
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