大自然が遣わした正義の使者は異世界最強   作:Hetzer愛好家

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小説を描く以上は批判が来るのも織り込み済みですが、それでも少し悲しい気持ちにはなりますね。批判するぐらいなら何で自分で納得のいく作品を作らないのかなと度々思っています。
…と、まあ愚痴はこの辺にしておきましょう。今回は短めです。お楽しみください。


第三十三話 予定変更と再出発

結局、誤解を解くことは叶わなかった。

 

何を言ってもそれらしい言葉を結城に投げかけられてしまい、俺は反論するための言葉が足りなくなったのである。

 

「絶対違うだろ……」

「そう思っているの、多分だけど猛さんだけですよ」

「ウソだろおい……」

 

もう反論する気も失せた俺は、黙って霧が晴れるのを待ってから大樹を目指すために寝ることにした。何でも大樹へ行くためには一際濃い霧が晴れる周期を待たないといけなかったらしい。後からアルフレリックから聞かされた。

 

次に行けるようになるのは三日後らしい。それまでは正直言って暇だ。

 

……いや、今日みたいにショッカーが樹海を襲撃してきたら暇とは言えなくなるか。まあ、今回撃破した怪人の数は軽く百を超えている。そう簡単には数を補充できないだろう。

 

多分、あと一週間は補充に時間を割く。そう信じたい。

 

コートを羽織り、目元にタオルを置いた俺はそのまま地面に寝転がった。こんな時でも香織は寄り添ってくれるのが何だか申し訳ない。膝枕なんてしてくれる香織は天使の域に達している。

 

改造人間なので戦闘後に疲れが出ることはないのだが、俺は普通に睡眠を取ることが好きなので外であろうとも難なく眠れる。睡眠時間は至福の時間だ。ましてや、こうして膝枕されているので普段の三割増しで良い時間である。

 

 

そのまま俺は、日が暮れるまで眠り続けるのだった。

 

香織の膝枕は、俺にとっての安眠枕だった。

 

その事をそのまま伝えると、香織は喜んでくれたが代わりにシアの機嫌がすこぶる悪くなった。

 

「ズルいですぅ! 私もしたいですぅ!」

 

ただでさえシアは戦闘に参加できなくて不機嫌気味であったのに厄介なことになってしまった。

 

しかし残念ながら、この状況を打破できる知識を俺は持ち合わせていない。

 

暫くの間は、俺を挟んでやいのやいのと口撃し合う香織とシアを見守ることにするのだった。

 

───────────────────

 

漸く三日が経過したので、俺達は大樹へ向かうことになった。アマゾンと結城も同行したため、かなりの大人数である。

 

この三日でシアが俺に対してやけに積極的になったり、恵里が訓練したハウリアが見違えるほど逞しい顔付をしていたりと、まあ色々な事があった。

 

あ、シアは俺達と旅を続けるという道を選んだ。何でも、もっと俺の下で修行して強くなりたいらしい。自分で鍛錬するという道も考えたらしいが、結局は今の結論に至ったそうだ。

 

俺はシアの決めた事なら否定しないし、香織達もそれは同じだったらしいので特に揉めることもなくシアの同行が決定した。

 

「カムさん。後どのぐらいで到着しますか?」

「そうですな。ざっと見て十分でしょう。ああ、魔物が出ることもありますが手出しは不要です。恵里殿に鍛えられた御蔭で、樹海の魔物程度なら難なく倒せるようになったんですよ」

「そうでしたか。すっかり逞しくなりましたね」

「いえ、とんでもない。ですが、何時かは猛殿ぐらい強くなりたいですなぁ」

 

和やかな雰囲気で。しかし油断は一つも見られない顔付のハウリアを見ていると、超短期間でここまで仕上げた恵里は人に物を教えるのが上手なんだろうと認識することになった。

 

そのまま特に何かが起こるという事はなく、俺達は遂に大樹の下へたどり着いた。

 

その大樹を見た俺の第一声は、

 

「枯れてる……?」

 

であった。大樹についてフェアベルゲンで見た木々のスケールが大きいバージョンを想像していたのである。しかし、実際の大樹は見事に枯れていたのだ。

 

大きさに関しては想像通り途轍もない。直径は目算では測りづらいほど大きいが直径五十メートルはあるのではないだろうか。明らかに周囲の木々とは異なる異様だ。周りの木々が青々とした葉を盛大に広げているのにもかかわらず、大樹だけが枯れ木となっているのである。

 

「大樹は、フェアベルゲン建国前から枯れているそうです。しかし、朽ちることはない。枯れたまま変化なく、ずっとあるそうです。周囲の霧の性質と大樹の枯れながらも朽ちないという点からいつしか神聖視されるようになりました。まぁ、それだけなので、言ってみれば観光名所みたいなものですが……」

「そうなんですね。しかしまあ、大きいのに勿体ないというか……」

 

こんな大樹に桜でも咲いたらきっと綺麗である。そんな事が起きたことはないと言うので少しガッカリしたが。

 

大樹の根元には石板が置いてある。そこには、七角形とその頂点の位置に七つの文様が刻まれていた。よく見ればオルクス大迷宮の扉と全く同じだ。

 

そして石板の裏側には表の七つの文様に対応する様に小さな窪みが開いていた。

 

「これは……オルクスの指輪を嵌めてみるか」

 

その言葉通りに俺は指輪を対応しているであろう窪みに嵌め込む。すると、石板が淡く光りだし、それが収まると文字が浮かび上がっていた。

 

「なんだ……? 〝四つの証〟〝再生の力〟〝紡がれた絆の道標〟〝全てを有する者に新たな試練の道は開かれるだろう〟……ってどういうことだ?」

 

紡がれた絆の道標、というのは亜人と友好関係を結ぶということだろうか。亜人は滅多に樹海から出てこないし、こうして案内して貰えること事態が奇跡であるぐらいだ。

 

とすれば、後は〝四つの証〟と〝再生の力〟の意味を考えないといけない。

 

香織達も石板を覗き込んで意味を考えているのか、首を傾げながら考え事をしている表情である。

 

「……もしかして、四つの証というのは四つの大迷宮を攻略しろってことじゃないですか?」

「あ、なるほどな……流石はハジメだ」

「仮にそうだとしたら、再生の力を持つ神代魔法もあるってことじゃないですかね。それ含めて四つ以上の大迷宮攻略の証を持ってこい、みたいな?」

「多分それで正解だと思うぞ。この枯れた大樹を再生させる必要があるんだろうな」

 

だとすれば、現状この大迷宮に入ることは不可能である。折角やって来たのに入れないのは悔しいのだが、此処でウダウダ悩むよりは次の大迷宮を攻略するために動いた方が良いだろう。

 

「結城。それにアマゾン。わざわざ同行してもらったのに悪いが、今はこの迷宮に入ることは無理らしいから他の大迷宮を攻略する事にするよ。それまでの間、このハルツィナ樹海を任せても大丈夫か?」

「勿論ですよ。僕はこの美しい町を傷付けさせるつもりはありません」

「アマゾン、ミンナヲ守ル! 猛、安心シテ出発シテイイ!」

 

何とも頼もしい仲間を俺は持ったらしい。これなら安心して任せることが出来るだろう。

 

結城とは握手し、アマゾンは頭を軽く叩いて別れの挨拶を済ませる。長ったらしい言葉は不要だ。俺達は、言葉がなくてもお互いに通じ合っている。

 

俺はカムさんにも握手をして、別れの挨拶をする。

 

「僕が居ない間、結城達と一緒にショッカーの魔の手から亜人を守ってやってください。貴方達はもう、誰かに助けられるのが当たり前の弱い種族ではありません」

「猛殿にそう言われると感慨深いですな。よし、亜人族の命と自由はこのハウリア族にお任せくだされ。必ずや一つでも多くの命と自由を守って御覧に入れましょう」

「頼みます。その代わりと言ってはあれですが、僕は全力でシアを守ります」

「猛殿が守ってくれるなら一安心ですな! 心から安心して送り出せますよ」

 

カムさんともう一度だけ笑い合い、俺達は手を離した。

 

サイクロンに跨ると、香織を前に、シアを後ろに乗せて俺はエンジンをかける。ハジメも、ユエと恵里をバイクに乗せて出発の準備を整えた。

 

カムさんに貰った樹海の地図を脳内に叩き込むと、俺はハジメに声をかける。

 

「それじゃあ、行くか」

 

俺の一言で爆音が二つ上がり、土煙を上げながら二輪は発進する。ぶち当たる風を感じながら、俺は次々と通り過ぎていく色とりどりの木々に暫しの別れを告げる。

 

次の目的地はライセン大峡谷にあるというライセン大迷宮だ。そこを目指すためにも、当面の食料や調味料、そして替えの衣類。そして素材を換金したりとやりたいことは沢山ある。

 

 

数時間ほど走り、そろそろ日が暮れるという頃、前方に町が見えてきた。入り口付近には人だかりが出来ているらしく、そこから聞こえてくる楽しげな声に俺は頬を綻ばせた。

 

それは香織とシアも同じらしい。香織は此方を微笑みながら見てくるし、シアはより強く抱き着いてくる。

 

俺は二人の髪を優しく一撫ですると、アクセルを全開にして町に向けて全力疾走するのだった。

 




ハウリアは恵里が訓練したこともあって厨二病を発症していません。これで歴史が変わる……かも。

本郷猛と結ばれて欲しい人は?

  • 香織&シア
  • ユエ&ティオ
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