大自然が遣わした正義の使者は異世界最強   作:Hetzer愛好家

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第三十六話 ライセン大迷宮……なのか?

翌日、俺達はライセン大迷宮を発見して攻略するためにライセン大峡谷へと再度足を踏み入れた。

 

発見するとは言え、恵里が降霊術でオスカーと対話してある程度の場所を割り出してある。そこまで時間は掛からないだろう。

 

昨晩はとても良く眠れた。人形のように引っ付くユエを抱き、両隣ではずっと俺の頭を撫でてくる香織とシアと言う、何とも豪華な状態であったので快眠しなきゃどうかしてるのだが。

 

ちなみにハジメと恵里は少しだけ寝不足気味な様子であった。もう何も言わんぞ、俺は……。

 

さて、大峡谷に入ってから早数時間。サイクロンを最高速度で走らせながらも、前に立ち塞がる魔物には容赦をしない。

 

「そこだ」

 

ドガアン!!

 

無論、容赦をしていないのはハジメ達も同じである。

 

「ほいっと」

 

ドパンッ!!

 

「一撃必殺ですぅ!」

 

ズガンッ!!

 

「……邪魔しないでよ、もう」

 

ゴバッ!!

 

主に暴れているのは香織とユエを除いたメンバー。俺とハジメは射撃で。シアは大槌で。恵里は炎魔法で文字通り魔物を駆逐している。

 

戦闘をしていない香織は魔力を消耗したハジメ達の回復に務めている。また、ユエに関しては力を温存させ、大迷宮に入ったら頑張ってもらうつもりだ。

 

死屍累々。

 

そんな言葉がとても似あう様相になっているこの大峡谷を見て、地獄だと嘆いた先人は何を思うのだろうか。

 

さて、大峡谷を生息地としている魔物達に地獄を見せている俺達であったが、日が落ち始めたので野宿をする事にした。適当な場所を見つけてサイクロンを止める。

 

ハジメが制作した野営セットに仲間が入ったのを確認し、俺自身は何となくその辺を探索する。まだ腰を下ろす気分ではなかった。

 

野営セットの裏手にある岩壁を眺め、様々な角度から見ているうちに、一箇所怪しいと思える場所を発見した。

 

目を凝らして見てみると、巨大な一枚岩が谷の壁面にもたれ掛かるように倒れおり、壁面と一枚岩との間に隙間が空いている場所がある。

 

道中、このような場所は一切存在していなかった。興味が湧いたので、俺は警戒しながらも岩の隙間に入る。中へ入ってみると壁面側が奥へと窪んでおり、意外なほど広い空間が存在している。これは怪しい。何かあるだろう。

 

「……ん?」

 

空間の中ほどに入った所で、俺は遂に見つけた。ライセン大迷宮だと思われる場所を。

 

ただ、何と言うべきか。これは本当に正しい物なのか?

 

俺の視線の先には、壁を直接削って作ったのであろう見事な装飾の長方形型の看板があり、それに反して妙に女の子らしい丸っこい字でこう掘られていた。

 

〝おいでませ! ミレディ・ライセンのドキワク大迷宮へ♪〟

 

「大迷宮ってドキワクするっけ?」

 

しない。絶対にしない。命の危険が常に隣に立っているのだ。そんな気分になれる訳がない。

 

文字が妙に腹立たしい事もあり、俺は顔を大いに顰めてしまった。だが、幾らおふざけのように見えていたとしても、これが貴重な手掛かりになるのは間違いない。

 

心に生まれた疑念は晴れないが、恵里に聞けば嘘か真かが分かるだろう。ひとまずは仲間を呼ぶ事にした。

 

「ハジメ。皆もちょっと来てもらっても良いか? 特に恵里。君に確認して欲しい物を見つけた」

「……もしかして、ライセン大迷宮の入り口を見つけたんですか?」

「それっぽい物だ。ただ、イマイチ信憑性が欠けていると言うか、そもそも信じたくないと言うか……」

 

俺の発言に皆顔を顰めるが、見たら分かるはずだ。少なくともシア。君は絶対に表情に出ると思う。

 

皆をさっきの場所に案内し、全員が岩の隙間に入ったのを確認すると、俺は黙って壁を指す。

 

すると、まあ変わるわ変わるわ。皆の表情が面白いぐらいに変化した。

 

「なんじゃあこりゃ」

「「「なにこれ」」」

「……んっ」

 

五人の声が重なる。その表情は、まさに〝信じられないものを見た!〟という表現がぴったり当てはまるものだ。全員、呆然と地獄の谷底には似つかわしくない看板を見つめている。

 

唯一、恵里だけは黙ってその看板を見つめ、そして口を開いた。

 

「此処でおそらく正解です」

 

正直言って信じたくない。誰かの悪戯ではないかと思っている。だが、彼女が言うなら間違いないのだろう。オスカーと対話した、彼女の言葉なら……。

 

変身して視力を強化し、俺は壁の窪みの奥の壁を眺めて入り口を探す。

 

俺が変身したのを見て慌てて戦闘準備をするハジメ達を尻目に、俺は一箇所だけ形状が微妙に異なる壁の一部に手を掛けた。

 

すると、

 

ガコンッ!

 

「うお!?」

 

壁が回転した。忍者屋敷の仕掛け扉のように。

 

だが驚いている暇はない。無数の風切り音が徐々に迫っているからだ。俺の目はすぐに飛来物の正体を見抜いた。それは矢だ。全く光を反射しない漆黒の矢が侵入者を排除せんと無数に飛んできているのだ。

 

すぐ後からハジメ達が入って来たのが分かったが、それと同時に飛来物の数は増えている。此処はすぐにでも動ける俺が全て対処するとしよう。

 

ツェリスカで数発射撃して矢を撃墜し、それでも残った物は徒手空拳で叩き落としていく。一発の漏れも許さない。後ろに居る仲間を、誰一人とて傷付けさせはしない。

 

本数にすれば五十本。一本の金属から削り出したような艶のない黒い矢が地面に散らばり、最後の矢が地面に叩き落とされる音を最後に再び静寂が戻った。

 

と、同時に周囲の壁がぼんやりと光りだし辺りを照らし出す。俺達のいる場所は、十メートル四方の部屋で、奥へと真っ直ぐに整備された通路が伸びていた。そして部屋の中央には石版があり、看板と同じ丸っこい女の子文字でとある言葉が掘られていた。

 

〝ビビった? ねぇ、ビビっちゃった? チビってたりして、ニヤニヤ〟

〝それとも怪我した? もしかして誰か死んじゃった? ……ぶふっ〟

 

「……」

 

無言で石板を殴って破壊した。ただの一撃で。

 

しかし砕けた石板の跡、地面の部分に何やら文字が彫ってあり、そこには……

 

〝ざんね~ん♪ この石板は一定時間経つと自動修復するよぉ~プークスクス!!〟

 

「……なあ、ハジメぇ」

「は、はい! 何でしょうか!?」

「ミレディは解放者云々は関係なく、人類の敵って事で良いか?」

「え、ちょ、ま。急にどうしたんですかって、歩くのはやっ!? ちょ、ちょっと待って下さいよぉ!」

 

俺、彼女が嫌いだ。人の神経を態々逆撫でてくるこの感じ。千発殴っても気が収まるか分からない。こんな気分になるのは学生の時以来である。

 

隼人や茂なら笑って流すのに……と、自分の意外と短絡的な部分を嘆きつつ、俺は道なりに進み出すのだった。




次回から本格的に大迷宮攻略です……が、身体能力が純粋に高いメンツが三人。そのうちの一人は割と何でも出来ちゃう化け物と来れば……ね?

本郷猛と結ばれて欲しい人は?

  • 香織&シア
  • ユエ&ティオ
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