大自然が遣わした正義の使者は異世界最強 作:Hetzer愛好家
展開がかなり急ピッチですが、今回からありふれの内容に入っていきます。
あの後、俺はハジメと様々な推測を言い合ってから別れて香織を捜しに行った。突然姿を消した俺のことを、香織は少しの間プリプリしながら怒っていたが。が、雫に諫められたのと甘い物を沢山食べたことによってすぐに機嫌を直してくれた。
結局、俺は香織と雫に手を引かれて夜の間ずっと振り回された。美少女二人に振り回されるなら何されても嬉しいと一文字が言いそうな状況ではあったが、智一さんのことがあったので俺は大人の理性を過労死寸前まで働かせたのは言うまでもないだろう。
疲れて眠ってしまった香織をバイクの後ろに乗せて帰ると、すぐに智一に肩を掴まれてもの凄い勢いでお礼を言われたのも良い思い出だ。
夏祭りの後からこれまで勉強に自分から向かうことがなかった香織が急にやる気を見せ始めたのもまた、一つの良い思い出である。
さて、何故ここまで過去を顧みる形で話を進めているのかというと、あれから二年が経過したからである。
香織は無事に高校に受かることができ、入学の日を今か今かと待っている。そして俺は、何時までも無職なのは不味いと思って教員採用試験を受け、合格して香織の入学する高校の教師になることが出来た。
一年と少しで教員免許を取れたのは、俺が城北大学に在籍していた頃に教員免許を取得していたからである。生物学を専攻していたこともあり、俺は理科の教員になった。
改造人間としての力もある程度コントロール出来るようになり、ひとまずは安心して生活を送れる。この時点で俺はそう思っていた。
だが、その見通しはとても甘かったことはこの時俺は知らなかった。
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キーーンコーーンカーーンコーーン
「それじゃあ、授業を終わるぞ」
「猛先生! この問題分からないので教えてくださ~い!」
「あ、ズルいよ! 私も猛先生に教えてもらいたかったのにぃ!」
教職に就いてから約半年。俺は改造人間であることを隠し、人間フリをしながら何とか生活していた。
月曜日の四時間目はこうして生徒に引っ張られ、昼食を食べながら授業では分からなかったところを教えるのがいつもの流れになっている。
「あれ、猛先生。やっぱり居たんですね」
「愛子先生ですか。まあ、いつも通りですよ。勉強を教えるのは好きですから問題ないですし」
そこへ社会科教員の畑山愛子先生がやって来るのもいつもの流れだ。
愛子先生は百五十センチ程の低身長に童顔、ボブカットの髪を跳ねさせながら、生徒のためにとあくせく走り回る姿はなんとも微笑ましく、そのいつでも一生懸命な姿と大抵空回ってしまう残念さのギャップに庇護欲を掻き立てられる生徒は少なくない……らしい。
彼女も月曜日の昼休みは教室にやって来て一緒に昼食を食べる事が殆どだ。とは言っても、大抵話すのは愛子先生が威厳ある教師になるにはどうしたら良いかという内容である。
「愛ちゃんもやっぱり気にしてるの?」
「愛ちゃんって言わないでくださいよ! うう、どうして猛先生のように威厳ある教師になれないのでしょうか……」
「さ、さあ。僕に言われても困りますよ」
「猛先生も真面目に答えてあげてよ~。私達、こう見えても愛ちゃんのこと応援してるんだからね?」
「そうそう! 猛先生って新任とは思えないほどしっかりしてるから愛ちゃんに色々教えてあげたら良いと思うんだよね!」
俺は苦笑しながら話を聞き流し、クラスを見渡す。クラス内には香織や雫が居り、更にクラス一のイケメンと持て囃される天之河光輝や脳筋だが実は思慮深いところもある坂上龍太郎が一緒にご飯を食べている。ハジメは教室の端っこで居眠りをしている。
いつものクラスの光景に、俺はホッコリしつつも香織が作ってくれた弁当を掻き込み、それを包みで覆って教室を出ようとした。しかし、教室を出ようとしたところで……
凍り付いた。
光輝足下に、純白に光り輝く円環と幾何学模様が現れたからだ。その異常事態には直ぐに周りの生徒達も気がついた。全員が金縛りにでもあったかのように輝く紋様――俗に言う魔法陣らしきものを注視する。
そんな中、俺は嫌な予感がしたために教室に居るにも関わらずサイクロンを呼び出した。この魔法陣から怪人が出てくるのでは? という長年の戦闘生活から出た悪い癖である。
しかし、魔法陣は怪人を召喚する事はなく徐々に輝きを増していき、一気に教室全体を満たすほどの大きさに拡大した。
自分の足元まで異常が迫って来たことで、ようやく硬直が解け悲鳴を上げる生徒達。未だ教室にいた愛子先生が咄嗟に「皆! 教室から出て!」と叫んだのと、魔法陣の輝きが爆発したようにカッと光ったのは同時だった。
咄嗟にベルトを回し、第二の皮膚を服の下に出現させたところで俺は目を閉じる。それほどにまで凄まじい光だったのだ。
俺は手元にあるサイクロンのハンドルの感触だけ感じながら、光が晴れるのを待つ。少しずつ光が引いてくのを感じた次の瞬間には目を開き、俺は愕然とした。
まず目に飛び込んできたのは巨大な壁画だった。縦横十メートルはありそうなその壁画には、後光を背負い長い金髪を靡かせうっすらと微笑む中性的な顔立ちの人物が描かれていた。
背景には草原や湖、山々が描かれ、それらを包み込むかのように、その人物は両手を広げている。
よくよく周囲を見てみると、どうやら俺達は巨大な広間にいるらしいということが分かった。
素材は大理石だろうか? 美しい光沢を放つ滑らかな白い石造りの建築物のようで、これまた美しい彫刻が彫られた巨大な柱に支えられ、天井はドーム状になっている。大聖堂という言葉が自然と湧き上がるような荘厳な雰囲気の広間である。
そして俺達は、その一番奥にある巨大な台座に立っているらしい。
明らかな異常事態に、俺は顔の手術跡を隠すことなく周囲を見渡す。俺達の周りには三十人程の法衣を纏った者が祈りを捧げるように跪き両手を胸の前で組んでいる。
徐々に視界が戻ったのか、生徒達がガヤガヤと騒ぎ立てる中、俺は一際豪奢な服に身を包んだ老人を睨みつけて質問を放った。
「貴様ら、何者だ?」
すると老人は、若干顔を引き攣らせながらも外見によく合う深みのある落ち着いた声音で質問に答えた。
「ようこそ、トータスへ。勇者様、そしてご同胞の皆様。歓迎致しますぞ。私は、聖教教会にて教皇の地位に就いておりますイシュタル・ランゴバルドと申す者。以後、宜しくお願い致しますぞ」
俺は、イシュタルと名乗った老人の顔を更に鋭い目つきで睨みつけるのだった。
この作品の本郷猛は、仮面ライダーTHE FIRSTのようにベルトを自力で回して変身することが可能です。一度取った不覚は二度と取らないという心構えだと思ってください。
また、教室に居るのにサイクロンを呼び出したことに関してのツッコミは受け付けません()
次回はステータスプレートの回ですので、お楽しみに!
本郷猛と結ばれて欲しい人は?
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雫