大自然が遣わした正義の使者は異世界最強 作:Hetzer愛好家
「ライダーパンチ! そこだ、大車輪投げ!」
「な、何故なんですか。データと全く一致しない!?」
「そんな無駄口を叩く暇があるのかな?」
冗談は程々にしてくれ。そう思いながら幸利は隙を見せている神の使徒を次々と狙撃していく。
たった二人で使徒の大軍を相手取ってるのに、全く焦りも危険も感じない。そんなこの状況に、幸利はただ困惑していた。
姿形は尊敬している本郷猛と全く変わらないのだが、隼人の戦闘スタイルは猛と大幅に異なっている。
猛は基本的にその場にある物を全て駆使する超技巧派だ。石があればそれを投げて牽制に使い、岩石を使って必殺の一撃とする事もある。改造人間としての超人的な身体を存分に活かした格闘術も強力無比であるが、それ以上に身体スペックをフルに活用した型に捉われない戦闘術が脅威となっている。
対して隼人の戦闘スタイルは、己の身体一つのみを信じて戦い抜く、生粋の拳闘家スタイルだ。だが、脳筋に突っ込むだけではない。ジャーナリスト活動で培った多角的な視点を用い、常に相手の隙をいやらしく突く。だから通用するのだ。
また、彼は猛よりも先天的な格闘能力が高い。単純なパンチやキックなら、猛よりもより深く鋭く急所に突き刺せる技能を彼は持っている。
そして最後に、隼人は感情の起伏が非常に激しい。怒りや悲しみの強さが猛以上に己の力に変換される。だから強い。特に今の隼人は強い。猛とはまた別なベクトルではあるが、彼も強い。
「そこだ! ライダー返し!」
「くっ、〝劫火ろ〟……」
「させん、ライダーチョップ!」
一体、また一体と叩き潰していく隼人の姿はまるで雷神だ。猛が風神で、隼人が雷神。そんなどうでも良い事を考えられるぐらいに余裕があるため、激戦を予想していた幸利は拍子抜けした表情を浮かべていた。
一応、隼人の死角に居ると思われる使徒に狙撃を行ってはいるが、正直仕事が少なくて暇してる。
だって隼人。足場のない空中でも活動するために、使徒の頭を踏み潰しながら移動しているのだ。何もしなくても数が減ってくので、働かなくても良いんじゃね? と思い始めている幸利。
「やっぱ仮面ライダーって強すぎるわ。先生も、あの人も……」
彼のボヤキは、隼人の強烈な咆哮によって搔き消された。
「どうした、こんな物か!」
「生意気をっ。その余裕、すぐに捻じ伏せてやります!」
「三人、集束をっ。残りは続きなさい!」
二重、三重と姿をブレさせながら隼人に猛迫し、何としてでもその命を刈り取ろうとする神の使徒。デフォルトであるはずだった無表情はもうない。
使徒は必死だった。目の前に立ちはだかる巨大な山に目を奪われ、その山の陰から死の弾丸を放っているもう一人のイレギュラーが存在する事に気が付かないぐらいには。
〝限界突破〟に似た能力を発動させ、牽制の魔法を撃ち込みまくり、何としてでも隼人の動きを止めようとする使徒であったが、まず一人の首が爆ぜた。
唖然とする使徒の瞳には、全身から蒸気を立ち昇らせた隼人が映っている。
「ならば此方もフルパワー。全力で行かせてもらおうか!」
瞬間、使徒の視界から隼人の姿が消えた。
使徒は何が起きたのか全く分からなかったが、幸利だけはたった今起こった出来事を理解する。
「加速装置か……!」
猛と比べると、魔法が使えないので能力がどうしても劣ってしまう隼人。しかし自前での強化だけでも十分に使徒に対応可能だ。
特に怒りに燃えている状態なら、千や万の使徒を全滅させるぐらい朝飯前である。
次から次へと使徒の首が爆ぜ、ボロボロと地上へ落ちていくその光景は、かつて神の使徒と激闘を繰り広げた解放者なら度肝を抜いて気絶するだろう。
「まあ、念の為援護はしとくか」
必要はないだろうけどと内心では思いつつも、万が一をケアするためにも幸利は狙撃を続ける。
途中、何体かは幸利の存在に気が付いて特攻を仕掛けたが、無造作に振るわれた手から放たれる闇属性魔法で一瞬視界を失い、その隙に脳天を撃ち抜かれて絶命していった。
隼人よりは劣るとは言え、彼もまたオーバーテクノロジーを満載に積み込まれた強化服を着ている仮面ライダー。魔法とハジメお手製の武器が使える分、隼人よりも戦略の幅があるのも大きい。
幸利が着実に神の使徒を撃墜し、隼人が何百体と屠っていったため、ものの数十分で周辺に浮かんでいた神の使徒は地へと堕ちていった。
「これで最後だ! ライダー二段返しぃぃぃい!!」
ズゥドオオオオオオン!!!
「隕石かな? ま、念の為数発はぶち込んどくかぁ」
ズガアアアン!
最後に残った使徒も無事地面に叩き付けられ、更に幸利に眉間を数発拳銃で撃ち抜かれ。とうとう全滅してしまった。
「ふう。取り敢えず俺の手が届く範囲は全滅したかな? 向こうの方では本郷が戦ってるみたいだが……まあ、大丈夫か。本郷だし」
あれだけの殲滅戦をやっておきながら息一つ乱さずに地上に降り立った隼人を見て、幸利は大きな溜息を吐く。
「全滅も何も、ぺんぺん草すら残らん勢いでぶちのめしてたじゃねえか。正直ビックリしてる」
「お、急に何だ? 尊敬でもしてくれるのかい?」
「尊敬するのは猛先生とハジメだけだ。あんたは……何だか腹立つから嫌だ」
「おいおい、悲しい事言ってくれるじゃないか」
怒りの元凶たる使徒を存分に殴ったからか、隼人の顔には何時もの陽気な笑顔が戻っていた。
内心では隼人を尊敬しているが、それを口に出すと何だか負けた気分になりそうなので敢えて冷たい言葉を発した幸利は、急速に近付いてくる気配を感じとる。
もっとも、これは敵の物ではない。とても無邪気で、突き放そうにも突き放せない物だ。
幸利は何度目かの溜息を吐き出す。
「おにいちゃあああ!」
「何だ? うるっせぇ……って飛び込むなバカぐえぇ!?」
「おお、元気だねぇ」
猛烈な勢いで幸利に飛び付いたのは雫だ。
強化服を着ていながら吹き飛ばされるぐらいの勢いであったため、僅かに幸利が戦慄の表情を浮かべている。
尚、隼人はその光景を見て腹を抱えて笑っている。
「おにいちゃすごい! かっこよかった!」
「分かった、分かったから降りろ! これじゃあ立てねえ!」
興奮気味の雫は何を言っても幸利から離れようとしない。一層強く抱き着くだけだ。
やろうと思えば突飛ばせるだけの力を彼は持っているのだが、そうすると雫が怪我をしてしまいそうで、しようにも出来ない状態にある幸利くん。ただ黙ってこの状況を受け入れるしかなかった。
「なあ。あんた、さっき猛先生が戦ってるとか何だとか言ってなかったか?」
「ん? おお、言ったな。本郷が空に浮かびながら敵をボコボコにする姿が見えたんだよ。ま、あの調子なら三分ぐらいで終わるだろうけどな」
「うわあ、さっすが先生」
「アンドロイドの身体ならもっと強そうだけどなあ……」
「へえ、アンドロイド……は? アンドロイド?」
「あれ、知らなかったのか? 本郷は一度死んで、その後はアンドロイドの身体を使って戦ってたんだぞ」
「……詳しくは知らなかった。あんたは何処まで知ってる?」
「知るも何も、本郷を殺した原因を作ったのは俺だが」
「はあ!?」
驚愕で目を見開く幸利を不思議そうに雫は見つめる。
一度死んだ事は知っていたのだが、アンドロイドの身体で活動してた事までは聞かされていなかったので、その話を詳しく聞きたい衝動に幸利は駆られる。
隼人はそんな幸利の顔を見て何かを悟ったのか、肩を軽く竦めて口を開いた。
「折角だし話そうか。俺と本郷の関係性を。それと、彼奴の一度目の生涯を」
猛が未だ戦いを繰り広げている最中、こっちの二人は呑気に会話に花を咲かせるのだった。
本郷、一文字のダブルライダー共闘はいつかやります。
ライダー二段返しを採用した理由は、かつて本郷さんもやってたけど本家本元はこっちだからね! と言いたくて採用しました。
すっごい余談的なお話なんですが、一文字さんは感情の起伏次第では本郷さんと互角になる可能性があります。流石に魔法有りだとキツイですが、徒手空拳オンリーなら五分になります。ま、本郷さんに怒るなんてないんですけどね。
次回、使徒侵攻がひとまず決着します。
本郷猛と結ばれて欲しい人は?
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香織&シア
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ユエ&ティオ
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雫